ネパールと云えばヒマラヤの国であり、エベレストを盟主とする高峰は、ネパールにある世界のブランドである。

そのネパールの登山界を国際的に代表する、某団体。1990年民主化より以前、国王親政パンチャヤト体制では、王族がその団体のトップであった。

「登山なんて、ネパール人は外国人の荷を背負う3K業界」

と、ネパールの登山界が自国内で見下されていた時代には、当時、最も高貴な血筋と認められていた人がトップの座にいることに意味があった。

その後、アーリア系ヒンズー上位カーストと、山岳系諸民族の間での権力闘争の時代があった。結局、ヒマラヤ登山の一番近い場所出身の山岳民族系の会長が続き、それより標高の低い山岳民族の人たちが脇を固める黄金期があった。

なのに、ここ2年ほど、山岳民族同士による、まるで南北朝の争いのような状況に落ち込んでいる。より北の方の民族は人格者のリーダーをいだくが、より南の民族は誠実な智恵もの揃い。南朝の方が当初、世間の同情や支持を集めていた感じがある。

この件は、政府観光省の仲裁が入り、マオ派政権時代には団体がマオ派に乗っ取られ、で、南北朝の間では、ネパール最高裁に裁判として提訴され、互いに非難合戦。嗚呼。

しかし北朝の皆さん。したたか。この団体の上部組織。アジアの国際的団体の会長を輩出。で今回、その会長は、更にその上の世界的団体の中心的ポストに推薦され.....アジアの団体には北朝から彼の支持者を会長に押し上げることにしたらしい。

それを、こっそりやるのではなく、本日記者会見を開いて発表するという大胆さ。いやはや......ホントに上手くいくのかいな?日本をはじめとする、アジアの加盟団体のみなさん。ネパールの内紛について知ってるぞ。

今年6月のイムジャ氷河湖決壊防止イベントは、南北朝の政治対立とは関係なく、このおじさんたちの息子や息子世代の若者が立ち上げた。若者たちの志に打たれて、私も、たった一人の外国人ランナーとして走った。いろんなメディアにリポートも出した。頑張った。

今日の記者会見では、

「氷河湖イベントは、我々が開催したものです。ここに来ているミキさんも、一番最初のランナー登録者として、001のゼッケンで完走してくれました。来年も参加してくれます。来年も、彼女は001です。来年は、アジアや世界の団体も主催者として参加してもらいます」

と紹介されてしまった。おいおい、おっちゃんたちの団体じゃなくて、息子たちがやったでしょ!まあ、父ちゃんたちがスポンサーだったけど。この件については息子たちがやってて、いい活動だと南朝側も認めてくれてるのに、父ちゃんたち、イベントを政治化するのか?来年も走りますって、私、まだ云ってないぞ!辛いんだよ、あの高度で走るのは。勘弁してくれよぉ。

前日、偉いさんから直接、記者会見に来てくれますよねと電話あったのは、ランナーとして紹介する腹づもりがあったからかぁ?してやられたり。 

南朝、北朝側どっちも、ずーっと家族で仲良く付き合ってくれている兄さんたちばかりだ。喧嘩されると、私は悲しいのだ。困るのだ。第一、登山を政治化してほしくないのだ。

この手の団体の場合、日本や先進国の場合、かつて第一線で登山を実践していた方たちが中枢を閉める。しかしネパールでは、登山家ではなく、登山やトレッキングをアレンジする会社の経営者が中心なのだ。ネパール人登山家は、第一線を退いたあと、登山隊ガイドの総監督として現場に係わり続け、業界団体とは一線を画すことが普通。

ネパールの団体で偉くなる人たちは、皆さん英語が堪能。山岳民族特有のにこにこ笑顔とホスピタリティだけでなく、抜群に頭もきれる。アジア人同士でなく、アメリカやヨーロッパの登山家、議員、貴族の方々なんかとも仲良くなれるグローバル・ネパール人なんだが。

自国の団体がゴタゴタしているのに、そんなに世界の頂点を目指して大丈夫なのか?

「心配いらないよ。問題ないよ。ミキはボクたちの仲間だからね。一緒にネパールの登山界を盛り上げようね」

と、にこにこ笑顔で優しくしてくれる、大好きな兄さんたちなだけに、すごく心配なのだ。登山政治は、程々にしてほしいのだ。

南北朝の皆さんがもう一度手に手を取り合い、みんなで一緒にネパール登山界の発展に邁進してくれるなら、気候変動からヒマラヤを守る活動に取り組んでくれるなら。不肖、オバサン。もう一度肝臓ぶちこわしても、イムジャのレース走りますけどね。それがネパールのためになるなら。

でもなぁ.....今のままでは。