5月27日(日)に,東京地区 学科試験対策法規講習会を開催しました.一見難しそう見えますが,いったん理解してしまえば点取り問題化できる避難安全検証法,耐火性能検証法,防火区画検証法,「耐久性等関係規定と構造計算の組み合わせ」をご説明.その後,建設業法,消防法,新バリアフリー法,耐震改修法,省エネ法,既存不適格建築物(独立部分)等の今年,新問題として出題される可能性が極めて高い部分を現状の法改正の動向や交通省の考え方を踏まえてご講義しました.同様の講習会を6月23日(土)に開催される(社)広島建築士会福山支部主催の学科試験対策講習会にてご説明させて頂きますので関西西部,中国四国地区の学科受験生の皆さんは是非ご参加下さい.
□東京地区講習会に参加された皆さんへ
先日の講義の最後にお話させて頂いた地域地区に関する用語について下記に記載しておきます.ご参照下さい.
■特別用途地区とは?
「特別用途地区」は,用途地域の指定があるところに重ねて指定されるものであり,用途地域の制限内容が都市計画法と建築基準法により全国一律に定められるのに対して,「特別用途地区」の制限内容は地方公共団体ごとにそれぞれ異なります.「特別用途地区」の種類については従来, 「中高層階住居専用地区」 ,「商業専用地区」 ,「特別工業地区」, 「文教地区」 ,「小売店舗地区」 ,「事務所地区」 ,「厚生地区」, 「観光地区」 ,「娯楽・レクリエーション地区」, 「特別業務地区」 ,「研究開発地区」 の11種類が定められていましたが,より地域の実情に即した指定ができるようにするため,平成10年の改正でそれらの類型自体も地方公共団体の方で定めることができるようになりました.ちなみに,東京都で現在定められている特別用途地区は, 「特別工業地区」, 「文教地区」, 「特別業務地区」 ,「娯楽・レクリエーション地区」, 「中高層階住居専用地区」 の5種類となっております.このうち指定箇所が比較的多いのが 「文教地区」 と 「特別工業地区」 で,それぞれ第一種と第二種とに分かれています.指定された用途地域による制限では建てられるはずの建物が,これら特別用途地区の規定により建築できないケースがございますのでご注意下さい.
■文教地区とは?
「文教地区」とは,地方公共団体が都市計画区域内に指定できる特別用途地区の一つで,「教育施設の周囲や通学路において,教育上好ましくないと目される業種(パチンコ店や風俗店など)の進出を規制する地区をいいます.文教地区内で建築を規制されるものとしては,パチンコ店,風俗店以外にも,ホテル,病院などがあります.その他詳細については,ほかの特別用途地区同様,すべて自治体の判断にゆだねられております.逆に,上記のような業種で該当都市部に建築したい場合には,事前に文教地区がどのあたりかを確認してからでなければ,安心して建築することはできませんのでご注意下さい.
■高層住居誘導地区とは?
「高層住居誘導地区」とは,都市における居住機能の適正な配置を図るため,高層住宅の建設を誘導するように指定される地区のことをいいます.この地区に指定されるのは,第1種住居地域などの用途地域で,もともと400〜500%の容積率が指定されている地域となります.高層住居誘導地区に指定されると,600%まで容積率が認められるうえ,斜線制限,日影規制の適用も除外されます.一般規制では,400%の容積率が認められているところでも,斜線制限,日影規制が適用されるのため,実質の使用可能容積率は280%程度となってしまいますが,高層住居誘導地区の場合,600%が丸ごと使用可能容積率となります.
■高度地区とは?
主に北側隣地の日照保護や通風などを目的として定められます.制限規定は北側斜線制限にも似ていますが,それよりも厳しいものとなっており,両方の規定がかかる地域では,厳しいほうの規定が優先して適用されます.東京都では,第1種高度地区,第2種高度地区,第3種高度地区と3種類の制限規定に分けられます.横浜市ではさらに細かく,第1種高度地区から第7種高度地区まで規定され,特に第6種高度地区と第7種高度地区では斜線を用いずに絶対高さだけを制限するといった異色の制限となっています.そのほか川崎市では第1種から第3種,千葉市では第1種と第2種とそれぞれ異なる制限になっています。
高度地区の例はこちら↓
http://www.city.kishiwada.osaka.jp/hp/m/m552/m552tosikeikaku-1.htm
■特定街区とは?
「特定街区」とは,特定のエリアを整備したり,改善するために市町村が定める地区のことをいいます.都市計画の一環で,都市計画法で定められる地域地区のひとつです.街区単位で良好な市街地を形成するために,都市計画で指定されます.この地区内では通常の建築規制の多くが撤廃され,大規模な建築物を建築できるように,容積率や高さの最高制限度および壁面の位置の制限が個々に指定され,敷地単位の容積率,建ぺい率,斜線制限等び規定は適用されません.敷地内に有効な空地を確保させる代わりに,容積率,斜線制限などの一般的な規制を,ほかの地区より緩和するものです.具体例としては,霞ヶ関ビル,貿易センタービル,新宿副都心の高層ビル郡などが特定街区によるものです.