(社)広島県建築士会福山支部主催 法規講習会,及び,製図試験対策講習会に講師として参加してきました.同じ施設内で2つの部屋に分けて学科講習会と製図講習会というはじめての試みでした.僕は初日,学科受験生の皆さんを対象とした法規の講義を行いました.去年度の学科試験法規科目の25問目,工事監理者責任に関する出題に関してもそうですが,今後も激動する建築業界の社会的動向や背景,課題等が今年も,本試験問題として出題されることでしょう.そのため,講義に併せて,現時点での法改正の動向や,建築士制度改革についての国の考え方,そして,建築業界が抱えている様々な問題点等についてお話させて頂きました.
2日目には,製図講習会の方に合流.ある受験生が自分のイメージを膨らませたまま課題文を解いて失敗していたため,「製図試験といえどもお金(予算)を考えるように」と指導しました.製図受験生の皆さんも是非,次のことを覚えておいて下さい.
お金をいくらでもかけることができるのであれば,どんな空間であっても魅力的な空間にすることが出来るのです.それは,プランニング能力とはありません(誰だって出来ることですから).お金やムダな労力をかけなくとも,また,特殊な装置や人口的な設備を使わずとも,魅力的な空間を創造すること.これが,本当の意味でのプランニング能力となります.
この試験自体,建築雑誌に載っているような建築作品を設計するのではなく,ギリギリの予算で,ありきたりの仕上げを使って,低コストで計画しなければならないような物件であると考えて欲しいのです.そうすることによって,お金をかける部分とかけない部分とのメリハリを意識するようになっていきます.そうなってくると,同じ課題に対するプランニングの進め方・考え方も他人とズレなくなります(=少数派にならなくて済みます).課題文を解くといつも自分だけヘンテコな方向にプラニングしてしまうというような方は是非,お試し下さい.
よく建物見学に行くと,「もっとこうしたらいいのに!」だとか,「こうなってたらいいのに!」とか思ったり,感じることがありませんか?しかしながら,そのアイデアを実現するために,現状よりもお金がかかるような話であれば,それはよいアイデアとは言えません.よいアイデアとはお金をかけずに,さらに良い空間を提供できることを言うのです.これから建築業界に限らず,この国で生きていくために良いアイデアを浮かべられる人間になることを目指し続けねばなりません.がんばりましょう.