力学講習会先週末に(株)タジマ建築研究室主催の東京地区構造力学講習会に講師として参加してきました(満席でした).前半には力学の基礎知識を説明,後半には,過去問題を使った実践編を問題を解きながら解説しました.僕は,意匠設計が専門なので,後半の構造担当講師による講義を受験生の皆さんと一緒になって聞いていましたが,講習会終了後の質問対応していて,去年(h19年)度の5問目の問題(過去問コード19051)の問題を難しく感じてしまっている方が多いことが分かりました.繰り返しますが,僕は,意匠設計担当です.ただし,この問題は点取り問題(=点取らせ問題)であることが分かります.せっかくの機会なのでこの問題の解き方について解説しておきましょう.

まず,内力っちゅうのは,片方が「外力(または,反力)」,もう片方が「内力」という状態で考えます.常に,そのように考えて下さい.
次に,こちらのページにある「07 「N図,Q図,M図」の解説」という資料を見てください.
この資料の1ページ目最上段にある「N図の描き方」という部分の下にある図を使って解説します.この図は,単純梁をある地点で切断して,左右に分けた形になってますね.左側の部材で考えると「左向き外力P」と,「右向きの内力N」が釣り合ってます.これが「外力(または,反力)と内力との関係図」となります.内力を考える場合は,必ずこの関係図をイメージしましょう.どちらも「内力」という形はありえません.「外力(または,反力)内力」という組合せで考えます.

次に,この図のA点ですが,左側の部材で見たときは,A点内力は,「右向きにN」です.左側部材で考えるとA点内力は,「左向きにN」です.この2つの合計は,0です.このように,ある地点で左右や上下に部材をぶったぎって考えた場合,必ずA点内力の合計は0となります.これは,軸力の場合も,せん断力の場合も,モーメントの場合も一緒です.

ただ,モーメントだけは特別で,上述した「外力(または,反力)と内力との関係図」のイメージは,この資料の2ページ目最上段にある図のような形となります.モーメント内力を考える際には,必ずこの図をイメージしましょう.片方が「時計回り」なら,もう片方は「反時計回り」.逆に片方が,「反時計回り」なら,もう片方は「時計回り」となります.

さて,過去問コード19051(平成19年5問目)の問題で考えると(問題自体は各自用意して下さい),まず,AB間がキャンチ系であること誰でも分かりますよね?問題作成者もそれをあえてヒントとしてこの問題を作成しています.なので,B点で切断したと考えて部材AB間では,B点に「反時計回りでPL」というモーメント外力が作用することになる.それを打ち消すためにB点では,「時計回りでPL」というモーメント内力「Mba」で対抗します.上述したようにB点でのモーメント内力合計は,0にならなければならないので,B地点において,梁部分と,柱部分と,AB材(片持ち梁)との3つにぶったぎって考えるとしましょう.

梁の部分(固定端部分をCとする)にあたるBC材で考えるとB点のモーメント内力「Mbc」の向きは,内力「Mba」に対抗するため「反時計回り」となります.柱の部分(固定端部分をDとする)にあたるBD材で考えるとB点のモーメント内力「Mbd」の向きも,内力「Mba」に対抗するため「反時計回り」となります.

ようは,
B点における内力モーメントの合計=内力「Mba」内力「Mbc」内力「Mbd」=0
となる訳です.また,ぶっちゃけ,梁部分BC材と,柱部分BD材は,同じ距離で,同じ支点形式(両者とも固定端)であるため力が流れる際の強度が等しいため(力は強い方へより多く流れる),同じ大きさで配分されます(折半されます).したがって,内力「Mbc」内力「Mbd」の大きさは,いずれも「反時計回りでPL/2」となります.以上のことを理解できればM図をイメージし易くなることでしょう.
ここで,梁部分BC材で考えると,内力「Mbc」「反時計回りでPL/2」となるわけだから,B点付近については,部材上側が引張となるため,M図は,部材上側に描く.また,内力「Mbd」=「反時計回りでPL/2」となるわけだから,B点付近については,部材右側が引張となるため,M図は,部材右側に描く.そうなると必然的に答えは「2」が「5」に絞られてきます.後は,到達モーメントで考えれば答えは「5」と判断することができますね.

その2へ続く