以前,今後求められる一級建築士像について,記事にしました.こちら
また,前回の記事にて,今回の一連の法改正(建築士試験制度改革を含む)は,社制審の答申である「建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について」にもとづいて立法化されているとお話しました.
その答申の中では,「建築士制度の抜本的な見直し」について次のように述べられています.

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近年,構造計算や構造設計,設備設計の業務内容が高度化してきており,一級建築士については,こうした専門別の業務を理解して,指示し,チェックできるだけの能力が必要となってきている.また,構造及び設備の専門能力を有する一級建築士を育成し,そうした人材を確保することも必要となってきている.したがって,これからの一級建築士の資格付与は,こうした能力を獲得できる実務経験とその能力を確認するための試験によって厳格に判定することとすべきである.(原文掲載)
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今年(平成20年度)の学科試験においては,煙感知器や誘導灯,差動式スポット型感知器といった電気設備系の配線図用記号に関する問題が出題されました.この問題は,実際に電気設備図に触れた経験がなければ解答する事ができません.見方をかえれば,電気設備設計者に有利となる問題として出題されているようにも読み取れますが...

いずれにしろ,今後の試験対策としては,構造設計図や,設備設計図を組み込んだ指導が必要となってくることでしょう.逆に,そのような試験内容に改善していくべきだと思います.ハリボテの知識や技能しか持ち得ない一級建築士を社会そのものが必要としておりません.そういった一級建築士に対する締め付けは今後一層強くなっていきます.例えば,一級建築士になっても建築士事務所に所属しない建築士は,設計・工事監理に関わってない建築士とみなされ,今後は,不利な扱いを受けることになるでしょう.そうなってはまずいと考えて,例えば,建材メーカーが建築士事務所登録を行って設計・工事監理等の業務をきちんと行っている風な体裁を整えたとしても,これから(平成19年6月20日より施行済)は,「建築士法第23条の6の規定による設計等の業務に関する報告書」が義務化され,事務所登録されている各建築士事務所が行った設計・工事監理業務等の実績と,それらの業務に対し,所属する建築士のうちどの建築士が関わったのかを明記した書類を毎事業年度ごとに都道府県知事に提出しなければなりません.つまり,どの建築士が実際に,設計・工事監理業務を行っていて,どの建築士はそういった業務に携わっていないのかをあぶり出されてしまうわけです.ここ1,2年は,建築業界の動向にアンテナを立てておくべきでしょう.