2008年10月27日

徳島大会を終えて

P10003832008年10月25日,(社)建築士会の全国大会が徳島で開催され,3000人を越える建築士が47都道府県から集いました.その中で建築交流セッション2というイベントの企画に携わりました.テーマは,「今社会に求められる建築士の役割」.国土交通省の宿本住宅局建築指導課企画専門官をお招きし,設計者サイド代表の建築士,施工者サイド代表の建築士と膝を交えたパネルディスカッションの場を設けました.現在,国交省側には,現場のナマの声が届いてない.けれどもその状況を憂いて,少しでも現場のナマの声を吸い上げようと国交省サイドは尽力されている.一度直接,互いに顔を向き合わせての意見交換会を行いたいと常々考えてきました.パネルディスカッションの前に,宿本専門官による「建築関連法改正の解説」を目的とした講演があり,その中で,今後の一級建築士試験に対する次のような話もありました.「学科試験については出題範囲はこれまで通りで,出題するウエイトを調整するようなもの.イメージとしてはこれまでの4教科4冊分の参考書の中から出題するものの,一部の分野(環境・設備関係など)の出題数を増やす.また,これまでは重箱の隅をつっつくような出題もあったが,今後は,出題の簡素化を行う.さらに,受験者の負担軽減措置として,これまでの五択から,四択方式へ変える.尚,今回の制度改正の趣旨は,今の建築士に求められる知識の内容が,従来に比べて広がったことにあると考えて頂きたい.」と話されてました.その他にも多々と「なるほど,そのように国交省は考えているのか.」と感じた話を聞けて,この講演だけでも非常にためになった.宿本専門官の解説の明快さ,説明の上手さにも感心しました.ボイスレコーダーに録音しておけばよかったと後悔しました(準備に追われ,個人的にそこまで余裕がなかったので,後日,徳島県建築士会の方より提供頂こうと思う).そうすれば,大会に参加できなかった他の青年建築士(=40歳以下の建築士のこと)達にも聞かせることができるので.

私の勝手な解釈ですが,学科試験については,広く浅い知識(浅いというか基本的な知識)が求められるようになっていくと思われます.その影響は,製図試験にもおよび,これまでのパズルゲーム的試験ではなく,構造計画の検討や,設備計画の検討が求められてきます.とはいっても,求められるのはあくまで実務に基づいた基本的(初歩的)な知識と技能に他なりません.今年の本試験課題の内容がその良い参考例でしょう.そのため,次回からは試験時間も1時間延長されます.



パネル 講演の後,パネルディスカッション開始.例えば管理建築士講習についての話で,父と息子の2人で設計事務所を経営しているケースを考えて欲しい.父親が管理建築士で,今回の管理講習を受講していたが,不慮の事故で死亡してしまった場合,息子が建築士であったとしても,管理建築士講習を受講してなければ,その事務所の管理建築士になれない=設計事務所としての営業を継続できないことになる.仮に管理建築士講習が半年に1回しか受講できなければ,最悪,半年間,設計事務所として営業出来ない.ただし,そのような場合には,事情を勘案してビデオ受講などの措置で対応できるようにするとのこと.総じて,国交省側の考えは,四角四面の画一的な法規制で建築士を縛りつけようとは考えておらず,今後の社会にとって必要不可欠な建築業界の健全なる発展を目指すことが目的(主旨)で,柔軟で弾力的な対応を行っていくという話であった.

ただ,会場からの参加建築士意見を聞いてて感じたのですが,国交省が法律(ルール)の執行権力者のような扱いで,自分達はそのルールの被害者だという意識を持っている建築士が少なくない.これからは,我々建築士達一人ひとりが自分達の業界のルールを自分達で決めていくという意識を高める必要がある.ようするに,ルール策定をいつまでも行政任せで済ませずに,自分達で考え,そして策定し,その運用状況を常に検証し,さらに,よりよいルールの策定・運用を目指していく.それをもって,「私達は,社会から信頼されうる建築士です.」という社会アピールに繋げていくべきであると考えています.その先に,健全な建築士こそが社会から高い評価をいただけるような業界の未来があると信じております.来年は,6月に関東甲信越ブロックの埼玉大会をラフレ埼玉で開催します.その中の第三分科会は,今回のパネルディスカッションの延長となる内容にしたいと考えてます.建築士会会員でなくとも参加できるような大会にしますので,一緒に考えていきませんか?



ura410 at 00:27│ 学科試験 | 建築士制度_法改正