先日,ウラ指導の前半戦受講生から次のような製図試験勉強に関する悩み相談メールを頂きました.同様の悩みを抱えている方も多いと思いますので紹介しておきます.
 
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何と言いますか、得体のしれない不安感に襲われています。
と云うのも、先月の
通信添削課題の解答例を見て、またしても課題文の読み取りが出来ていませんでした。まだ添削の結果は見てないのですが、おそらくランク4だと思います。3月の通信添削課題も、同様にセキュリティと駐車場の計画に引っ張られ過ぎて、プランが細部に廻らず、提出が出来ませんでした。
 
国語力開発を勉強して事務所ビルやビジネスホテル、集合住宅の研究はしているものの課題文作成までは至れておらず、作成するようになれば課題文のミスリーディングを防げるのかなぁ〜など色々悩んでおります。

また、模範解答例作りで学んで得た知識を課題を解く時に盛り込みたくて、へんな主観が入ってしまったり、逆に足枷になってしまったり、沼にハマっていきます。
 
はたして自分の実力がアップしているのかどうかも分からず、課題発表までの間にある程度の力を付けておきたいです。

変な質問メールになってしまい申し訳ないですが、2課題連続で読み取りミスを犯してしまい不安になったのでメールしました。
 
今の時期にやっておかねばならないことや、製図試験初心者が上級者へとステップアップするには何をしたらいいのか、色々頭を抱えているので、アドバイスを頂ければと思います。
 
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上記の相談メールに対して下記のとおり回答しました.


得体のしれない不安感は,よく分かります.私自身が受験生だった時もそうでした.
 
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結論としては,「特にこれだ!」という解決策はありません.

大切なことは,自分自身の思考の観察や把握,対話にあると思います.失敗した課題も何度も解き直すことが今の○○様にとって最も効果的な学習方法です.解答例を知っていて全く構いません.もし解答例を知らない自分が解いた場合,どういった思考をするだろうか?と考えながら解き直し続けてください.

一つの課題を解いたら解きっぱなしにしてしまうことが一番危険です.実際に,上級者の方(=戦闘力の高い受験生)は,無意識のうちに上記の話を実践しております.
 
国語力開発講座については,課題文まで作成せずとも構いません.理想的なプランとは何かがつかめればオッケイです.その上で,本番ではプランをギリギリまで崩していきます.

崩さなねば合格できません.

本番でどこまで崩してよいか?についての判断力を鍛えるがために,国語力開発を通じて理想的なプランとは何か?を身につけて頂いてます.課題文の内容によって,崩し方のレベルも大きく異なります.それを本番で判断せねばなりません.理想的なプランとは何か(=本来あるべき姿は何か)を理解できれていなければ,崩していく際の判断基準がなくなってしまいます.
  
プランニングには,標準というものがありません.良いプラン(理想的なプラン)か,悪いプランしかない.本番でプランニングを崩した際,理想的なプランからどの程度,遠ざかっているかを試験本番中に随時,判断していきます.合格図面の範囲内であれば,どんどん崩しまくります.そうでないと制限時間内にプランをまとめきれません.
 
ただし,注意して頂きたいのは,崩しまくり過ぎると一線を踏んで一発不合格となったり,減点が重なって同じ不合格図面扱いとなってしまいます.ランク2だろうが,4だろうがランク1を手にしない限り同じ不合格です.
 
そこで,どの条件を優先的に守らねばならないかと,何を優先的に崩して構わないかを同時進行で考えるようにして下さい.そのバランス感覚を養うには,ユーザープランニングの検証が最適です.徹底検証することで合格図面,不合格図面に対するバランス感覚も磨かれていきます.後半戦では,このバランスを磨く時間がとれません.
 
上記内容を理解しておかないと,課題文を解く際に守りに入ってしまい,結果,守りすぎてしまうことで,肝心な部分を崩してアウトとなります.
「守る」と「崩す」のバランス感覚を養う.けれども,気分は,「崩す」ベクトルで課題文を解く.
しかしながら,的確に「崩し」ていくためには,理想系はなんたるかを知っておかねばなりません.前半戦のうちは,理想系をきっちり理解できるようになることを目指して下さい.その上で,後半戦は,各課題文を通して,「崩し」を実践していきます.それが,一級建築士製図試験における絶対合格の王道です.
 
その2へ続く