2月27日(日)に,イエサブユナイテッド主催の建築力育成セミナー【地盤編】を開催しました.地盤調査・改良工事・地盤保険会社の株式会社サムシングさんとのタイアップセミナーです.このような実践セミナーをいつの日か開催したいとずっと夢みてきた.今回ようやく叶えることができました.
前半は,弊社の構造設計を統括して頂いている槙田一級建築士(構造設計一級建築士/ゴマさん)よる地盤に関する基礎知識をレクチャー.
・木造住宅の重さってどれくらいなの?
 →12〜13kN/平米(1.2〜1.3t/平米)
 ※参加者には,屋根や壁など部位別の詳細計算式資料等を配布.
・不同沈下の種類と修復工事の内容
・地盤調査を行う際の注意点
・地盤改良工事の費用
工事方法などは,映像(動画)を使ってご説明し,参加者の皆さんに簡単に理解して頂けるように配慮しました.

そしていよいよ実践編として,調査データの見方を解説.地盤調査報告書のサンプルより,支持力や予想沈下量の計算を実践します.これが地盤改良工事が必要か否かの判断根拠となります.調査会社からの「改良工事が必要」という報告を鵜呑みにせず,自らその信憑性を検証できるようになること.これは,本セミナーの最大の目的です.それだけで,40〜80万円ほどの地盤改良工事に伴う建て主負担を減額させることができる.
 
最後に,サムシングさんより,地盤調査業務や,地盤保険の注意事項そして選び方についてレクチャーして頂きました.カラー刷りの分かりやすい配布資料まで用意して頂き,感謝です.

P1030768このようなセミナーでは,何よりも配布資料の分かりやすさが大切だと思っています.
 
講義でパワーポイントを使用する場合は,パワーポイントの内容を配布資料として参加者全員に配りたい.その際,文字が小さくならないようにする.この話も,ぶっちゃけ主催者という立場でないといろんな制約があってなかなか実現できません.文責がどうだとか,開催経費的に印刷代を安くしたいだとか始まるので.
  
ただ,内部スタッフより,次のような今回のセミナーの反省点があがりました.
・配布資料の背景が黒だったのでメモが取りずらかった次回は,背景を白にする等,メモがとりやすい形にすべき.
・満席で3人掛け席に3人座って頂く形となったため,前後の机間隔をあらかじめ広げておくべきだった.
※参加者の皆さんにも,アンケートをとらせて頂きますのでご協力下さい.
 
今後も参加者にとって実利的な知識を分かりやすくマスターできる環境づくりを進めていきます.次回は,断熱(羊毛断熱),太陽光パネルについてのセミナーを予定しています.詳細が決まり次第,メルマガやこのブログ上で告知させて頂きます.
  
講習会の中でもお話しましたが,同業者の方達と信頼できる建築業界ネットワークを積極的に構築していきたいと考えおりますので,今後ともよろしくお願いします.
本セミナーの感想が,こちらのブログで紹介されています.
こちらのブログでも紹介されています. 
 
※補足〜沈下量について
沈下量の一般的な許容値(建築学会の規準による)は下記の通り.
即時沈下(砂質土):2.5cm(べた基礎で,地中梁を格子状に配置するなどの処置(基礎の剛性を高めた場合)を行った場合は4cm)

圧密沈下(粘性土):10cm(べた基礎で,地中梁を格子状に配置するなどの処置(基礎の剛性を高めた場合)を行った場合は15cm)

即時沈下の場合は,基礎及び建物の建設中に,ほぼ沈下が終了してしまうため地盤が砂質土の場合であっても,特に沈下の検討を行うことはあまりないのが現状.
即時沈下についても,圧密沈下についても,学会規準では上記の数値となっていますが,即時沈下で2cm程度,圧密沈下で5cmを超える沈下量の場合は,基礎の剛性を高めて,それぞれ2.5cm,10cm程度で押さえるように考慮すべきであるというのは,槙田構造設計一級建築士の自論です.