知り合いから罹災(りさい)証明と,応急危険度判定の違いについて質問される機会が増えてきましたので,解説しておきましょう.罹災証明書とは,自然災害などにより住宅が破損した場合に,その被害程度を所定の基準に基づき判定し,市町村が証明する書類です.この証明書は,保険の請求や税の減免などの手続きに必要とされます.また,今回の東日本大震災のように大規模災害が発生した場合に行われる各種救援措置もこの罹災判定により行われます.「全壊」「半壊」「一部損壊」など4段階に判定されます.
応急危険度判定とは,建築の専門家たる我々,建築士が地震等により被災した建物の危険度を調査するものです.震災後に,余震などが発生した際の二次的災害を防止するのことを目的とします.私も,中越沖地震の際に,応急危険度判定業務に携わりましたが,その時も建て主の皆さんより,罹災証明と勘違いされてその説明に苦労しました.肝心なことは,応急危険度判定で「危険」と判定された建物でも,一部を修理して住むことができるのであれば,罹災証明書では,「全壊」ではなく,「半壊」や「一部損壊」と判定されることもあるのです.