110718_1804187月17日(日),18日(祝月)と,私の事務所にて,エスキース特訓塾を開催.少数限定で私自身が直接指導させて頂きました.参加者の1人は,岡山からご参加頂きました.今回の特訓塾では,プロジェクターを用いながら,前半戦一発逆転模試の課題文をもとにして,参加者全員でエスキースを進めていきました.
 
一級建築士の二次試験である製図試験は,2つの要素で勝敗が決まります.1つは,「課題文の読み取り(ぶっちゃけ,コイツが最も重要)」.どのような施設を出題者は,求めているのかを限られた時間の中で適切に解読せねばなりません.その際は,明確なロジック(理論付け)が必要です.特訓塾1日目は,この「課題文読解術」を実践しました.
 
できるだけ簡潔にまとめること,重要な要素を抜き出すというよりは,重要でない要素をはき捨てる感覚で読み取ること,その時,過去の本試験課題内容を参考に判断していくこと.さらに,最優先条件(=絶対条件)は,5つに絞る.最優先条件(一次条件)か,優先条件(二次条件)かを判別する.油断すると,最優先条件と優先条件がごっちゃになって等価(とうか)的に増えてしまう.それでは,各条件の優先順位を明確にできない.その曖昧さによって,後のエスキースの方向性がぶれる.

本番で合否を分けるもう一つの要素が,「プランニング力」です.とくに,チビコマや,1/400に落とすまでのプランニング力が肝心.そこで,2日目は,プランニングプロセスを,全員で共有しました.繰り返しますが,このプランニング力の前提となるのは,初日に鍛えた「課題文読解力」です.
 
ちなみに,前半戦一発逆転模試の課題文のダイジェストは,下記の通り.

1.この施設は,スポーツ交流と文化交流がメインとなる施設であり,スポーツ交流は,スポーツ室を中心にまとめ,文化交流は,多目的室を中心にまとめる.ただし,文化交流については,多目的室系と,実習系にさらにグルーピング可能.

2.アプローチ,ゾーニング,ストーリー(使い勝手)の原則を守る.

3.屋外広場の位置によって展開がかわる.

4.周辺条件からアプローチのファーストイメージを検討する.

5.平時と有時(災害時)については,平時の世界を優先する.

6.ゾーニングの明快性アピールのためにゾーンとゾーンの間にコアを打つ.

7.2つの大空間を上下に重ねることで,構造的合理性を確保する.

8.2階大空間の入り口近くに利用者用コアを打つ.(重複距離対策)

9.利用者用コア,管理者用コアの位置を考えながらプランニングする.

10.階別振り分けを常に意識する.最近の本試験課題は,1階パンパン,2階スカスカなものが多い.振り分けには,ゾーニングを利用する.今課題で言えば,スポーツ系と実習系は,2階に回す.

11.初期段階では,エントランスを中心とする共用ゾーン,管理ゾーン,多目的室系,備蓄倉庫の4要素で,1階を検討するとまとめやすい.

12.絶対条件とは,建物全体の構成にかかるものをいう.


今回の特訓塾で,受験生の皆さん達の考え方に直接触れることができ,私自身も大変,勉強になりました.受験生の皆さんの思考法や判断の仕方の癖や理由を把握できたからです.今後も受験生の皆さん一人ひとりと直接触れ合える,エスキース特訓塾を随時開催していきます.