一級建築士試験の受験勉強を楽しむための実務的知識をご紹介します.
1.断熱性を高めても光熱費が劇的に変化することはない.
→光熱費の削減は,断熱仕様よりも採用する温冷房システムの影響の方が大きい.とは言え,ロスが減るため一定の削減効果はある.
2.室内の温冷感は,床・壁・天井の表面温度によって決まる.
→室温(部屋内において,人の身体をつつんでいる空気の温度)より,床や壁からの放射の影響が大きい.放射(=輻射)については,コチラ.折角の機会なので,二次輻射についても知っておきましょう.温度をもつ2つの物体(例えば人と壁など)は,互いに,輻射熱の放射と吸収を行っています.コチラ.
3.人間の体の表面温度は,だいたい30〜35度程度(厳密には,31〜34度).
→関東の冬ならば,壁の表面温度が断熱によって16度程度に保たれれば,万一,電気やガスが遮断されても凍えたりすることはない.
4.夏は,壁や窓の表面温度が31度程度であれば,体の表面温度よりやや低いので,そよ風が吹けば,暑さに不快にならずに済む.
5.とはいえ,真夏日に窓を開けるとモアっとした空気が入ってくるだけで気持ちよくないのはなぜ?
→それは,空気自体の温度が高いのではなく,屋外にあるアスファルトやコンクリートからの輻射熱(放射熱)が入ってくるため.その対応策としては,庇をもうけて外部からの輻射熱を遮断したり,地面に水をまいて(打ち水),表面温度を下げるといった工夫が必要.
私は,深い軒のある家が好きです.その快適さを身をもって知っているからです.画像は,以前,設計した九十九里の家です.