P1060191今日は,都内で日本建築史講習会を開催.日本建築の流れを神社建築,寺院建築,住宅+城郭という3つの分野に分けて解説.ここで改めて,日本の歴史の流れがザックリ解説しておきましょう.

1.飛鳥時代(538〜710年/約170年間)
→538年頃に仏教伝来.寺院建築が始まる(世界最古の木造建築は,法隆寺).聖徳太子の時代.

2.奈良時代(710〜794年/約84年間)
→奈良の平城京に都が置かれた時代.仏教をはじめ,大陸の文化・技術に影響を受けた天平文化が栄え,益々,寺院建築が広がる.ただし,地震や日照り,天然痘などのはやり病,貴族達の反乱などで国が乱れる.そこで,聖武天皇は,不安定な世を仏教の力で救おうと,鎮護国家の象徴として平城京に東大寺大仏殿(743年)を建築.その他,古事記日本書記万葉集など既存最古の史書,文学が登場した時代です.
3.平安時代(794〜1192年/約390年間)
→奈良時代末期には,仏教が腐敗する.仏教ブームにあやかり,悪僧達が増え,政治を混乱させていく.そこで,京都の平安京に都を遷都し(=腐敗した奈良の平城京を捨て),寺院勢力の一掃を図る.この時代の初期は,唐風文化が開花するが,中期以降は,日本独自の文化(国風文化)が芽生え,神殿造りも登場.最澄(努力型の秀才タイプ/天台宗の開祖/比叡山延暦寺)や空海(天才型のカリスマタイプ/真言宗の開祖/高野山金剛峰寺(こんごうぶじ))により密教も伝来.密教とは,経典ではなく,師匠から弟子へ口伝えで奥義が教えられる仏教で,仏にすがるだけでなく,修業を重ねることで自然のいろんな物まで動かしていく可能性があるというもの.特に,空海は,祈祷(きとう)により疫病を止めたりしている.つまり,不思議な力が宿っていると信じられていた.そのため,密教は,天皇や貴族から大変な人気を集めた.また,国家のための仏教(国家安全)から民衆のための仏教(民衆救済)へ変わっていく(全体から個へ).

4.鎌倉時代(1192〜1336年/約140年間)
→貴族に変わって武士の時代が到来し,鎌倉に幕府が置かれた時代.質実剛健な鎌倉文化が栄える.重源(ちょうげん)が宋から新たな建築技術を持ち込む.それが,大仏様(天竺様).また,栄西によって禅宗がもたらされ,禅宗様(唐様)が広がる.

5.室町時代(1336〜1573年/約235年間)
→足利尊氏が室町幕府を樹立.住宅建築に変化をもたらす書院造(今の和室の原型)が成立する.書院造は,コチラ.書院造は,一般には,床の間などのある座敷を指すが,厳密には武家住宅の建物全体の様式(角柱を用いる,檜(ひのき)材を使うといったルール)のことをいう.ただし,その定義は,今でも曖昧.

6.安土桃山時代(1573〜1603年/約30年間)
→信長や秀吉の時代.この時代に数奇屋が生まれ,千利休による茶の湯が新風を巻き起こし,南蛮貿易の影響で南蛮文化が流行.

7.江戸時代(1603〜1867年/約265年間)
→ようやく社会が安定し,文化全般が成熟する.寺院も神社も再建ラッシュが起こり,庶民の住まいも発展します.日光東照宮のジオラマ模型を作成されているブログを見つけました.コチラ

【番外編】
今年,日本建築史が出題されるとしたら狙われそうな新問題は,下記の通り.
1.賀茂分雷神社(=上賀茂神社/678年) 流れ造り
2.宇佐神宮 八幡造り
3.吉備津神社 向拝が空間化
4.唐招提寺金堂 問題コード17245の問題文は,唐招提寺金堂の解説.
5.平等院鳳凰堂 寝殿造り的な平面構成
上記の内容については,再度,全体的な出題傾向を検証した上で,今年の一発逆転模試(コチラ)にも出題させるかもしれません.