2012年06月23日

東日本大震災で建物がどのように壊れたか?セミナー

P1060269神保町の学士会館にて,弊社主催,旭化成建材様共催の「東日本大震災で建物がどのように壊れたか?検証セミナー」を開催.
 

実際に被災地で建物の応急危険度判定(コチラ)をされた経験のある方であれば,ご存知でしょうか地震被害で自分の建物が損傷してしまったマンションや戸建住宅の住人の皆さんは,被災して建物が損傷した際,私たち建築士にすがるように助けを求めてきます.その時,被害(損傷)状況を適切に判断できること(建て直しか,補修によって構造性能を回復できるか,簡単な補修で済む話か),その上で,適切な補修方法と想定コストを明示できるようになっておかねばなりません.保険適用についての相談への対応力も求められます.首都圏直下型地震の倒壊が危ぶまれている今,地震発生後の建物の資産価値を守れるのは,私たち建築人です.

特に,分譲マンションは厄介です.不在の方もいるため調査に時間がかかり,補修工事を実施するのに住人達の合意が必要となる.中には補修費用を払えない(払いたくない)と駄々をこねる世帯もあり,交渉作業が非常に難航する.そこまでくると,設計者の業務範囲を超えてしまうが,それらを取りまとめてあげねば先に進めない.住人は,補修にとりかかれないまま,余震に怯えながら生活し続けることになる.



P1060265さらに,地震被害によって,施工不良の粗(あら)が全て露出される.今回の東日本大震災においても,施工不良を指摘され裁判となった建物も多い.そのほとんどが,一社で設計施工を行った建物だ.設計施工を一社で行った場合,工事内容を監視する人間がいなくなってしまう.

ただし,設計と施工が別会社である場合,設計事務所の監理者責任が強く問われる.施工会社は会社を潰してしまえば逃げられるが,設計事務所の監理者は,最後まで個人責任を訴追されますのでご注意下さい.コチラ


最後に今回のセミナーのダイジェストを下記にまとめます.
第一部はエーユーエム構造設計(株)の濱尾建築士による「東日本大震災の建物被害の実例報告」.

・東日本大震災の地震特性(阪神大震災などとの違い)
 →最大級のマグニチュード9.0,最大震度7という規模にも関わらず建物被害が少なかった理由.
 →阪神大震災の方がマグニチュードは小さいが,建物被害は,東日本大震災の3〜5倍も大きかった.
 

・耐震補強実施済みの建物の被害は,ほとんどなかった.

 
・RC建物の場合は,柱のフープ筋の重要性がスライドより再認識された.

 
・設計の際は,異種構造材(鉄骨とRCなど)間の障害に注意する.
 →固有周期が異なるため.


第二部は,鉄骨パネルゾーンの製作過程について,職人である興山さん((株)興山工業所)から説明を受けた.個人的に一職人が語る生(ナマ)の話にとても魅力を感じた.弊社には,構造設計一級建築士がいることもあり,社内で結論を聞いてしまえば,すぐに解決できてしまう.それが,建築士としての探究心を低下させているように思えてきた.簡単に相談できる相手がいなかった時期は,自分で全て調べ上げ,それがノウハウとして蓄積されていた.建築の知識はナマモノだ.今後は,鉄骨やRC,木材など職人さんの話をナマで聞けるセミナーを企画していこうと決めました.現場で直接レクチャーできる形がいい.(株)興山工業所さんは,静岡にありますが,工場見学イベントを企画します.

 
第三部は,旭化成建材さんより,ファブラックスについての商品説明.従来品との比較の話だったので,この話も勉強になりました.鉄骨を身近に感じられるようになりました.ありがとうございました.


【番外編】
上の画像は,パネルゾーンの模型.(ダンボール製).下の画像は,セミナー終了後に受験生達に鉄骨のパネルゾーンの解説をする弊社の槙田取締役(構造設計一級建築士).
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ura410 at 02:08│ 建築勉強会 | 建築力育成セミ