平成28年度一級建築士製図試験が終了しました.「今年は簡単過ぎて,逆に戸惑った」という報告もあれば,「今までの本試験課題の中で一番,難しかった」という報告も頂いてます.あとは,「せっかくプランを上手くまとめることが出来たのに,室名抜け等をやらかしてしまった!」という連絡.この話が,教える側にとって,一番,こたえます.

教える側が出来ることは,合格に必要な知識武装をさせることでしかない.あとは,本番でやらかさなければ,誰だって勝てる試験です.それでも,やらかしてしまう.それを避けるために,受験生自身によるセフルチェックを徹底させようと,答案(図面+要点)の提出前にセフルチェックをウラ指導では強制させていますが,適当にチェックしている受講生が多い.そういう受験生は,どんなに添削を受けても,添削結果を受け流してしまうから,本番でやらかし続けます.学科試験でいう「とりこぼし(コチラ)」のようなミスを繰り返していたら,合格なんてできませんよ.それを防ぐには,自分自身でミスチェックについての意識を本気で高めてもらうしかない.

ぶっちゃけ,知識武装については,「後半生通信添削5課題後半戦一発逆転模試」で学んだ内容で十分じゃないですか.新しく問われた部分もありますが,それは通学組だって,初めて目にする問われ方です.通学しなければ,合格に必要な知識武装はできないという時代は,とうの昔に終わっています.むしろ,平成21年度に試験制度改革以降は,学んだことしか対応出来ないような「マニュアル型受験生」を試験元は必至に振るい落とそうとしているのだから


その年の製図試験課題が発表され,必要採点減の知識武装を行ったら,あとは,やらしちゃったか,やらかさなかったか,やらしちゃったとしても,それが採点上,大きな減点とみなされるものか,そうではないか(減点対象項目とみなされてなければ,減点すらされない)という話で合否が分かれます.

でもね,みんなやらかしてるんですよ.やらかしてしまうのは仕方がない.ただ,やらし方を最小限に食い止める努力は必要.僕だって,合格した年はやらかしました.昨年の合格者だって,いつの時代の合格者だって,本番で何かをやらかしていて,「不合格とみなされてもおかしくない」という状況の中,12月の合格発表日にドキドキしながら,恐るおそるセンターの合格者発表ページを開き,そこに自分の受験番号を見つけて,「やったー!」となる.

「いやいや,僕が(私が)合格した時は,必ず,合格できていると確信していましたよ」という合格者もたまにいますが,よくよく聞いてみると,再現図を起こしてなかったりする.
「再現図を起こさなかったら,自分が何をやらかしたのかを把握できないんじゃ!ボケっ」(≧∇≦)ノ
「妄想でこの試験の合格実態を語るんじゃねぇー!」と強く言いたい.

昨年末に出版した著書「合格者たちの勉強法(学芸出版社)」では,平成26年度(昨年度を含め,近年の本試験の傾向が大きく変わった年でもある)の製図本試験結果について,「こんな,やらかし(ミス)があっても合格できている」という事実を集め,公表しました.

なぜか?

繰り返しになりますが,製図試験は,どんなに猛勉強して実力を高めたところで,最終的には,その実力具合で勝敗が決まるのではなく,やらかさなかったか,やらかしちゃったかで勝敗が決まっているからです.だから,どんなミスはセーフだったのかという事実確認が重要となってくる.事実,「こんなんでもセーフなのか!」という話が多い.その事実を知っておくだけで,本番での戦い方は大きく変わってきます.それは,「同じミスを意図的にやっても合格できますよ」という意味ではなくて,合格図面のハードルの低さ(80点のプランでなく,60点のプランでも合格できているという事実)を受験生の皆さんに事前にお伝えし,その分,「本番でのミスチェックに集中力と労力と時間を投入にしろ」ということを伝えたいためです,この話は,書籍の中にも書いてありますし,このブログでも本番直前を含め,何度もお伝えしてきましたね(コチラ).
続く