2018年01月13日

【製図】どれほど実力があっても部分最適な判断一つで負ける試験

僕が建築学生だった頃,公共建築物を見ると,もっとこうしたらカッコいいのに等と勝手に批評してた.ただ,それは,表層部分でしか判断できてない部分最適な考えに過ぎない.本来,建物の価値というのは,全体の空間構成,アプローチ,ゾーニング・動線計画,法規制,構造,設備,施工性,コスト,使い勝手等から総合的に判断せねばならない.これが全体最適という考え方だ.

今の一級建築士製図試験では,そういった全体最適についての能力が強く求められている.部分最適な考え方をしてしまう受験生を振るい落とすように本試験課題が作成されているのだ(学科試験も同様).



もちろん,制限時間の限られた試験なので,実務のように,ビッチビチの法規制や施工性,コストまでは求められない.では,何が求めらているか.それについては,ご自分の目で試験元が毎年,公開する採点ポイントや標準解答例2案を見て頂きたい.建築技術教育普及センターのホームぺージに掲載されている.

僕自身も部分最適な発想で物事を考えてしまうタイプだった.なぜ,全体最適な考え方ができるようになったのかというと,年を重ねるに連れ,限られた時間と労力で問題解決せねばならない機会が増えたからだと思う.それまでは,一つの戦いに全力を投入し,圧勝することが快感だったが,管理職や経営者になってくるとそうもいかない.特に,弊社のようなベンチャー企業の場合,総務も経理も,資金調達も,営業も,広報も,社業に関わる様々なマネジメントも自分でやらねばならない.その上で,空いた時間を使って仕事をするようになる.以前だったら,全戦闘力をフル投入して取り組めた仕事も,全戦闘力の5%程度の労力と時間で,結果を出さねばならない.負けることも許されない.負けそうな戦いだったら始めから手を出さない.

その中で身についたのは,割り切り方の上手さだ.製図試験的に言えば,犠牲系を発動する上手さと言えるだろう.建築と政治はよく似ている.全ての要望に応えることはできない仕事だからだ.何かを犠牲にせねば,全体を最適化できない.まさに,「選択と集中」の決断が求められる.

昨年の一級建築士製図試験においても,犠牲系発動の仕方だけで合否が決まってしまった.これからの一級建築士製図試験対策は,解ける力とあわせて,考える力が合否に直結していくことになるだろう.



ura410 at 07:41│ │製図アドバイス