前回からの続きです.和様という建築様式について整理しておきましょう.和様は,薬師寺東塔から三手先組物が登場し,唐招提寺金堂で三手先組物が完成し,和様という建築様式の原型がまとまります.詳しくはコチラ.そして,平安時代となり,寝殿造りの流れを持つ平等院鳳凰堂として洗練されていきました.
一方で,時代は貴族や天皇の時代から武士の時代へ移り変わります.鎌倉時代の幕開けです.
鎌倉時代(1192〜1336年/約140年間)
→貴族に変わって武士の時代が到来し,鎌倉に幕府が置かれた時代.質実剛健な鎌倉文化が栄える.重源(ちょうげん)が宋から新たな建築技術を持ち込む.それが,大仏様(天竺様).また,栄西によって禅宗がもたらされ,禅宗様(唐様)が広がる.分かりやすい解説動画は,コチラ.
平安時代までの貴族中心の政治によるドロドロの政権争いの時代の幕を閉じ,武士による新時代の到来に民衆の心も踊りました.建築においても旧時代(貴族政治)の和様とは大きく異なり,新時代を予見させる大仏様や禅宗様がもてはやされるようになります.まずは,大仏様からみていきましょう.大仏様の名作建築は2つしかありません.一級建築士「学科」試験問題にも頻繁に出題されている東大寺南大門と浄土寺浄土堂です.
続く