aamall

2008年09月25日

観光立県と公共交通

 ブログ「高知に自然史博物館を」http://plaza.rakuten.co.jp/tosana/で,池内紀さんの観光事業に関する論説を紹介した.朝日新聞の「耕論」というページに掲載されたものである.今回は池内さんが指摘している事項のうち,公共交通を充実させることの大切さについて書いてみたい.

 私の知人は昔,高知市に住んでいた.今も時たま高知市に来ては,周辺の観光をして帰る.移動手段はクルマではなく公共交通を利用するので,なかなか大変だろうと思う.クルマなら1日でさっと周回できる観光地を,今日はこちら,明日はあちらという具合にゆっくり巡っている.それもかつて住んでいた町だからこそできるワザで,高知訪問は初めてというような観光客には難しいのでないか.
 しかも昔と違って,いま高知では公共交通は割高で,しかも著しく不便になっている.

 観光地を「点」としてでなく,「面」として整備すべきだという池内さんの主張と重なるのだけど,市内での移動,市内から周辺の観光地への移動など,基礎的な移動手段を充実させることが,観光振興にとっても重要だと思う.
 公共交通の充実は,市民の生活にとっても大きな意味をもつ.いまの高知市は,クルマがなければ日常生活も困難になってしまっている.これではダメで,やはりクルマがなくても困らない市街地づくりを目指すべきだろう.夏の暑さ(ヒートアイランド)を考えても,市街地のクルマの数はもう限界にきている.市民に愛される公共交通の充実が,本当に必要な時代になっている.
 高知市には,観光に利用できる素材がたくさん眠っている.そういうものを惜し気もなく破壊し続けて,道路ばかり造っている.こういう町づくりが,結局は市街地を寂(さび)れさせ,公共交通を経営困難にしている.観光の振興は,結局のところ「まちづくり」の問題でもある.そして高知県の「まちづくり」は,観光振興と逆の方向を向いている.

 私は旅先では公共交通を好んで利用する.その方が楽しいからである.月並みな言い方だけど,現地の人と「ふれあう」ことができる.人と出会い,話をすることが,旅の楽しみの1つである.クルマで観光地に行って,景色だか何だかを見て,現地で「出会い」や「ふれあい」の機会もなく帰途につく,などという旅はつまらないと思う.相手の顔や話の内容は忘れても,話をしたという思い出はいつまでも残る.
 史跡や景観だけでなく,「人」は旅の重要アイテムなのだ.観光振興の1つのポイントは,人と人の「ふれあい」の仕組み・装置を,さりげなく忍び込ませておくことだろう.そういう装置の1つが公共交通なのだ.
 というわけで高知の地方行政は,公共交通を充実させることに真剣に取り組むべきだと思います.

uradowan at 15:42│Comments(4)TrackBack(5)

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観光活性化と公共交通活用について、かつてちょっとだけ取り上げた(参考:高知からク

この記事へのコメント

1. Posted by やっしー   2008年10月12日 04:46
私のブログでも観光活性化と公共交通についての記事をアップしました。
こちらも参考にしてみてくださいね。
http://yassiblog.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/78-4d26.html
2. Posted by Ladybird   2008年10月13日 00:15
 コメントありがとうございます.記事も拝見しました.クルマ中心から公共交通重視の町づくりへ,高知市は大きくハンドルをきる必要がありますね.
 昔,アイルランドのダブリンを訪問したとき,貧弱な公共交通にうんざりした経験があります.その後のEU加入などを経て,アイルランド経済は大きく飛躍しました.みごとに活性化したダブリンの町をテレビの映像で見ました.そこには昔なかったものがありました.町のにぎわいと,モダンなデザインの路面電車です.
3. Posted by ナカちゃん   2009年01月26日 11:46
私がダブリンを訪問した時は、ちょうど路面電車を作りゆう時でした。現地在住の日本人もなんで今時、路面電車を作るのか?と訝っていました。アイルランド人はあまり働かないので、工期が伸びて全然完成しないとも嘆きよりました。それでもアイルランドの一人あたりのGDPは日本よりも上です。GDPが働く量やなくて、効率に依存しているということがわかります。

高知県にも的を得た政策というもんが必要やと思います。
4. Posted by Ladybird   2009年02月02日 02:10
 ご訪問ありがとうございます.
 アイルランドの一人あたりGDPがそれほど高いとは知りませんでした.企業誘致,観光誘致などの積極政策の成果もあるでしょうが,やはりEUへの加入が大きな推進力となったのかもしれません.
 アイルランド共和国はEUの辺境,北アイルランドは英国の辺境,高知は日本の辺境,というわけで,高知も辺境であるが故に存在感のある地方であって欲しいものです.

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