舞監@日誌 since 2005

大阪在住、舞台監督・CQ塚本修(ツカモトオサム)の日記です。 観劇の感想や舞台用語の解説、たまに日々の出来事や劇団ガンダム情報も書いてます。 コメント・トラックバックは承認制ですので、すぐには反映されません。非公開希望の方はその旨お書き添え下さい。返信用アドレスも基本的には非公開にいたします。

2006年02月

【観】DASH COMPANY プロデュース

e50a8fbd.jpg『孤児の処置』
作/村山知義
『夢魔』
作/岡田禎子
演出/大塚雅史
@芸術創造館

1週間BLOGを休んだのは忙しいからである。
明日から仕込みの劇団ガンダムZの準備に日々は費やされる。
で、先週25日に観た芝居を振り返ってみる。
大阪現代演劇祭の終幕に伴い、多分今回で最後になる第6回クラシック・ルネサンスだが、今回ノミネートの3団体が『孤児の処置』をそれぞれの演出方法で演るのが興味深い。
大塚演出は常設の階段客席を取り払い、フラットな空間を使用する。
舞台に装置は無く、大小6脚の脚立が置かれている。
暗転もなく芝居は開演し、さながら稽古場公演の体をなした様子であるが、芝居が進むにつれ稽古場的な空間は払拭される。
踊る、動く、駆け巡る。
舞台を拡散させる演出で『孤児の処置』は作られている。
逆に『夢魔』では収束を意識して芝居は作られる。
淡く、動かず、静か。
この2本の芝居は静と動が背中合わせに作られた作品である。
よって2本連続して観なければならない。
1作品づつを区分けに見せるのはリーズナブルなようだが、連続して2本見せなければ意味がないと思った。

※フライヤーは薄いハトロン紙を使用。
『孤児の処置』は豪華ゲストをふんだんに使いながらも、活かしきれてない。
残念。

【観】浪花グランドロマン

eec35c74.jpg『冬桜』
作・演出/浦部喜行
@アリス零番舘

浦部版太宰治物語である。
『きりぎりす』をベースに太宰作品を散りばめながら、太宰治の半生を絡めつつ物語は進む。
構成は非常に良い。
淡々と進む独白と傍白の多用はともすれば眠気を誘うが、これらのモノローグにより太宰本人が浮き彫りにされてゆく。
太宰治にまつわる女性(作品の登場人物を含めた)を通してのアプローチ。
しかしこれらの女性の太宰に対するベクトルが同じであるのが残念に思う。
社会問題を題材にした場合、この方向性は間違ってはいないかも知れない。
しかし多方面からのアプローチがあった方がより劇的であり、太宰治の姿がより浮かび上がって来るのではなかろうか?
ま、そんなことはさておき、非常に秀作である。
浦部作品は狭い舞台の会話劇にハズレなし。

☆傍白
(ぼうはく)は劇中で一連の対話[ダイアローグ]からはずれた独白(どくはく)[モノローグ]のこと。
観客と特定の登場人物だけに分かることになっている演劇手法で、喜劇的手法としてよく用いられる。
心の中の声や独り言として語られたり、時には分かりやすく変化(照明変化・効果音等)を付けたり、周りをストップモーションにしたりと、様々な演出プランが練られる。

※画像は同一デザインを使ったフライヤー(チラシとポストカード)とチケット。
冬桜は雪の意。
浦部氏の造語か?

【観】−レンチ

fccd21b1.jpg『池のほとりで』
作・演出/中山治雄
@ウイングフィールド

総じて良いお芝居である。
このタイプの会話劇にありがちな説明過多や過剰な長ゼリフは見られない。
登場人物の設定や背景も適切な量で申し分ない。
難を言えば、5才で亡くなった双子の妹の設定は、もっと上手く使えただろうと思える点と、父親のイタズラと発明好きが非現実的なところあたりか?
また前半はとても丁寧に作られているのに対し、後半はやや大ざっぱに感じる。
しかしそのあたりは問題ではない。
1時間50分を飽きさせず見せ切る。
この成功の陰には中山治雄自身が出演しないで演出に徹したことが大きい。
しかし中山氏は非常に味のある良い役者で、出演していないのはやはり寂しい。
今後の−レンチをどのような方向で進めて行くのか、試作的な作品ではあったが今後がますます楽しみになった。

※画像はフライヤー。
もう少し明るめでも良かったのでは?
舞台美術(仲西明生作)は良く出来ていて大変美しい。
今後の仲西作品も要チェック。
海老澤美幸の照明も大変良い。

【舞】猫森楽日

44ab8ece.jpg早くも楽日。
怒涛の3日間であった。
打ち上げで聞けば初稿でこの脚本は2時間45分あったと言う。
いつものように泣く泣く登場人物のエピソードや見せ場をカットしての約2時間。
新福作品全般について言えることだが、全ての台詞は作家の愛情で出来ている。
この愛情は登場人物はもとより、劇団員や出演者に対して注がれた愛情である。
だから猫森の作品には心底悪人は出てこない。
どのキャラクターも演じる役者が愛着を感じる役どころになっている。
悪役すら愛らしいのである。
『ハッピーエンドでなきゃ嫌だ!』
物語の終盤で主人公が語るセリフである。
ストーリーの選択肢はいくらでもある。
書きようによってはいくらでも感動的にも出来るし、悲しく締めくくることも出来る。
『ハッピーエンドでなきゃ嫌だ!』
この一言に新福作品の真骨頂がある。
観客を含めた全ての人に対する切なる想い。
その想いのある限り、しんさんの周りには人が集い、猫森は続いていくのだと思う。

※画像は集合写真。
西山さん(西山茂・照明家)の明かりが美しい。

【舞】劇団猫の森

d34721d0.jpg『アクション大魔王』
作・演出/新福一史
@インディペンデントシアター2nd
2/11(土)15:00〜、19:00〜
2/12(日)13:00〜、17:00〜

さあ、猫森久しぶりの新作はエンタメアクション活劇だ。
平均年齢の高齢化にもメゲず、舞台狭しと40代が駆け巡る。
しかしやはり寄る年波には勝てぬのか、以前に比べてアクションシーンはめっきり減ってる。
されど猫森。
いつものギャグ満載プラス親父ギャグでベタな笑いを取りに行く。
今回は特撮ヒーローショーをテーマに、大手プロダクションと弱小アクションチームの対決から、昔大好きだったヒーローへの想いをノスタルジックに描く。
いつもながらのハードスケジュールで、仕込みも場当たりも予定通り(?)押している。
明日は1時間入り時間を繰り上げて、9時から作業を開始する。
無事に幕が開きますように。
ま、開かなかったことはないが、やはりエンタメで一日仕込み、翌日マチネはかなり無理がある。
何とかしたいなぁ。

※猫森らしいフライヤー。
新作は何年振りだっけ?
忘れるくらい久々だ。
期待せよ。

【G】劇団ガンダムZ・外伝

c783a9e7.jpg『MC戦記』
@メイドカフェCCOちゃ

MC=メイドカフェである。
18:00、小ネタ集の開演。
すでに会場は満席で立見が出る。
オープニングとエンディングは歌謡ショーである。
すでに歌手としてプロデビューしているニイラ・マスの歌声がCCOちゃ(コッチャ)に響き渡る。
上手いじゃないか!
続いてガトーの『ガンダム☆カルトクイズ』。
何と観客の中に、すげーマニアがいて次々答える、答える。
ビビる。
そして旭堂南半球による講談(?)『コムサイ』。
面白いじゃないか!
そして赤鼻作コントガンダムさん『メイドカフェ地獄変』。
萌〜?
20時からは演劇『極めてガンダム〜玉造編』(作・大竹野正典)の再演。
舞台の場所や広さ、キャスティングが変わるとまた違う味が出て味わい深い。
ジーン☆ひろしの演出が冴える。
ちなみにジーンは演出に関してはズブの素人だ。
客席最前線で見守る大竹野氏に皆、緊張することしきり。
以上のネタの合間をいつものようにアイキャッチ・ザネリがザフト軍(制服)のコスプレで繋ぐ。
明日ザフト軍(メイド)らしい。
見逃すな!

※画像はコスプレ3人娘。
萌〜。
そんなガンダムイベントはドリンク1杯600円で見れます。
昨日の情報はデマです。
完全入れ替え制にて各600円は必要なり。
デマに踊らされるな!

【観】世界一団(お休み中)

e84bad9c.jpg『心がわりエアポート』
構成・演出/ウォーリー木下
@HEP HALL

一人芝居×5+五人芝居=こんなん出ました。
残念ながら魅力的な設定を生かしきれてない。
構成は面白い。
芸達者な五人がそれぞれ自分のキャラクターを生かして一人芝居をする。
問題は五人芝居だ。
心が入れ替わった5人がやはり分かりづらい。
スーツケースを交換する作業がさほど重要に思えない。
もっとハチャメチャに人格が入れ替わるなり、さらに大事件に発展するなり、仕様はまだまだあった筈である。
ウォーリー作品がこの程度の展開で終わるハズがない、と思わせる一作であった。
とは言え、実は十分に面白いのだ。
昨年末『ワイルド番地』で見せた抜群の構成力を常に期待したい。

※A4を三分割した珍しいフライヤー。
これ流行りそうです。

【G】劇団ガンダムZ

3c7f2e38.jpg『外伝・MC戦記』
@メイドカフェ・CCOちゃ
2/9(木)18:00〜、20:00〜
2/10(金)18:00〜、20:00〜

いよいよ始動した『劇団ガンダムZ』のプレ公演は大阪初のメイドカフェ演劇公演である。
日本橋にあるメイドカフェ『CCOちゃ』(コッチャ)に特設舞台を組み、2日間公演を行う。
18:00からはコント・歌謡ショー・講談・クイズ等のバラエティーショーが、20:00からは昨年の本公演にて好評を奏した大竹野正典作『極めてガンダム』の再演が行われる。
お楽しみてんこ盛りイベントが何と喫茶代金のみでご覧頂ける。
つまり午後6時以前に来れば、コーヒー1杯で全イベントが見られる訳だ。
最近下火のメイド喫茶だが、まだ未体験の方はこれを機会に是非体験しておくと良い。
メイド喫茶がなくなる前に。
かく言う私もメイド喫茶に入ったことはない。
よってコーヒー1杯がいくらかも知らない。
全ては明日、明らかに!

※フライヤーは藁半紙に輪転機で印刷された物で非常に味わい深い。
劇団ガンダムZの本公演は3月4〜5日インディペンデントシアター2ndにて。

【観】燐光群

112a9ae8.jpg『スタッフ・ハプンズ』
作/デイヴィッド・ヘアー
訳/常田景子
演出/坂手洋二
@ウイングフィールド

もはや内容を語る必要はあるまい。
ネットで検索すれば著名な方の劇評を発見出来るであろう。
『STUFF HAPPENS』とはラムズフェルド米国防長官のイラク戦争に対するコメントで「ろくでもないことは、起きるものだ」の意である。
9.11同時多発テロからイラク戦争までを描いたこの歴史劇は全て実在実名の登場人物で構成されている。
この作品を上演するにあたり、坂手氏がスズナリ〜七ツ寺〜ウイングと、敢えて間口の狭い小劇場を選んだことに注目したい。
ロンドンでの初演が大劇場・素舞台・3時間半(!)に対し、坂手演出は小劇場・舞台は雑多な倉庫内・2時間半と、ロンドン初演と逆のアプローチで作品を紐解く。
歴史は密室で作られるのだ。
そう、敢えて言うなら、これは密室劇である。
狭い密室劇ならば小劇場で演った方が臨場感が出る。
セリフはマシンガンのように早口で語られる。
小劇場で2時間半は限界でもある。
また緊迫感を高めるためにもセリフを早く、早く語る必要がある。
3時間半の内容を、みごとに2時間半に凝縮している。
しかし暗転なしで一気に見せる、この2時間半の芝居は決して長いと感じさせない。
ラストにイラク人の独白がある。
そしてこの独白は、イラク人だけでなく全ての国と全ての人に対する作者からのメッセージである。
『…イラク人は、たった一つの失敗に対する責任を、負い続けている。サダムによる独裁、10年にわたる経済制裁、そして今度の戦争。イラク人の犯した、たった一つの失敗、それは自分たちの手で主権を握れなかったことだ。私たちは自ら権利を手にすることに失敗し、最悪の時期に最悪の独裁者を生んでしまった。自分たちの手に再び主権を取り戻すときが来るまで、イラク人はこれからも苦しみ続けるだろう。』

※フライヤーのイラストは石坂啓。
ライトなフライヤーだが内容は重厚である。
終演後、観客が筆舌しがたい顔で劇場を出るのが印象的であった。
記事検索
Archives
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ