舞監@日誌 since 2005

大阪在住、舞台監督・CQ塚本修(ツカモトオサム)の日記です。 観劇の感想や舞台用語の解説、たまに日々の出来事や劇団ガンダム情報も書いてます。 コメント・トラックバックは承認制ですので、すぐには反映されません。非公開希望の方はその旨お書き添え下さい。返信用アドレスも基本的には非公開にいたします。

2007年10月

【観】トイガーデン『ハンカチ、雲の』

5b05c910.JPGトイガーデン #2
『ハンカチ、雲の』
原作/トリスタン・ツァラ「雲のハンカチ」
原作翻訳/山本桜子
脚色・演出/安武剛
@ウイングフィールド

トイガーデン2回目の公演は、ダダイズムの創始者トリスタン・ツァラの「雲のハンカチ」の脚色版。
「雲のハンカチ」は本邦初上演とか。
前回であまりに解らないとのアンケートが多かったのか、今回はパンフレットの他に「虎の巻」なる解説書を付けてくれた。
読んでから観るとかなり理解できる。
多分、読まずに見ると前衛過ぎて全く理解出来ないであろう。
しかし見てから読んだ方が、答え合わせ的で良かったかも知れない。
前回同様、演技に対しての演出はほとんど成されていないと思われる。
構成もほぼ原作通りであろう。
メインのストーリーと、その物語を別の役者たちが注釈するシーンが交互に構成されている。
この作品のスゴいところは、注釈シーンをチャット式に2ちゃんねる用語のオンパレードで話すことにある。
ダダイズムの基本とも言うべき否定と破壊を2ちゃんねるに重ね、見事に構成しきっている。
と言ってもかなりシュールなストーリーと2ちゃん用語が相まって、難解さを加速させ、面白いとは言えないが、かなり興味深く、すっかり私はハマっている。

※画像はフライヤー。
ひっくり返したオモチャ箱のようなデザイン。
舞台も玩具や小道具を無造作に散りばめ、劇団らしさ?をアピールしている。

【観】Ugly duckling『箱師よ、その町の暁に釘を打て。』

e24bc651.jpg劇団Ugly duckling
第28回本公演
『箱師よ、その町の暁に釘を打て。』
作/樋口美友喜
演出/池田祐佳理
@ウルトラマーケット

さても難解な作品の登場だ。
何が難解かと言えば、感想を文章で表すことが難しいのだ。
物語はシンプルであるが、構成を意図的にかなり入り組んだ作りにしている。
舞台は池田ともゆき氏らしいシンプルな四角舞台。
後方の上下に登退場口。舞台中央には奥側が昇降する格子が一つ。
素舞台さながら!
この舞台は見るからに演出泣かせだ。
脚本は様々な箱をテーマに一つ一つの物語を綴っていく。
身近なことを取り上げた、いつもの樋口作品だ。
終盤、社会秩序を象徴的に文字として記されたダンボール箱が、次々と積み上げられてゆく。
整然と積まれた社会の断片をうねる意識の大地震が破壊して、舞台は空になる。
と書くと格好いいが、役者が大暴れして、舞台の外に落としてしまう。
まるで低予算の高校演劇だ。
こんな演出を恥ずかしげもなくやってのける。
脚本の樋口さんと演出の池田さんのコンビは長い。
高校演劇からの付き合いなのだ。
そしてまた、この二人は、当時から絶対に忘れてはいけない大切なものを、ずっと持ち続けている。
それは脚本の端々に、演出のあちこちに、常に容易に発見できる。
それを確認しに、またアグリーに通うことになる。

※画像はフライヤー。
役者でもある出口弥生のイラスト。
味のあるデザインをいつも提供する。

【舞】心中天網島

68236ac2.JPGせめて夕方公演なら良かった。
18:00開演でも時間的には十分だ。
だが15:00開演となると、さすがに時間が足らない。
朝から役者の合わせ稽古。
演目上、衣装の着付けと美粧、床山に1時間以上は必要なので、満足にリハーサルも出来ないままの上演となる。
しかしそこはプロ。
きっちり仕事はこなす。
惜しむらくは場当たりの時間を少しでも捻出できたなら、せめてカーテンコールだけでもリハーサルするべきであった。
通常私の現場で、開演と終演の場当たりをしないことはあり得ない。
両袖が明るく、非常灯の消せない大ホールでは、時間がなくカツカツの場合、暗転すらリハーサルしないことがある。
それでも開演と終演からカーテンコールは必ず稽古をする。
私が観客として見た舞台でも印象に残るのは、やはり初めと最後なのだ。
いくら内容が良くても、カーテンコールで興醒めすることが時々ある。
だからカーテンコールを疎かにしてはいけない。
それほど酷いコールだった訳ではないが、もっとやりようはあったのでは、と思わざるを得ない。
※画像はラストシーンの舞台装置。
この芝居は一人の男をめぐる、顔も合わせたことのない女二人の義理を描いた名作である。
宮城野同様、女優ならば是非演じたい演目に違いない。

【舞】玉井敬友&古澤侑峯事務所『心中天網島』

18d00a20.jpg玉井敬友事務所・古澤侑峯事務所主催
近松ナウ参加作品
『心中天網島』
原作/近松門左衛門
脚本・演出/玉井敬友
@ピッコロシアター大ホール
10/27(土)15:00〜

久しぶりの玉井さんとの仕事は近松門左衛門の名作を玉井さんがリライトした舞踊歌舞伎(?)だ。
元「アングラの帝王」の異名を持った、熱く粘りのある玉井節は今も衰えることなく健在。
この作品は出演者が凄い。
紙屋治兵衛に歌舞伎役者六代目上村吉弥、小春とおさんの二役を地歌舞古澤流家元・古澤侑峯、義太夫に豊竹英大夫、三味線・鶴澤清友、尺八・福本卓道、民族楽器演奏・ヤススキー。
玉井さんも自ら近松門左衛門役で語りを演ずる。
すでに全席完売。
本日は仕込み日だが、これがまた段取りが悪い。
今回の舞台美術は紙屋治兵衛にちなみ、全場面を紙を基調に飾り付ける。
が、舞台美術が揃っていない。
演奏席の前に吊る紗幕が明日まで到着しない。
よって照明合わせもサウンドチェックも満足に叶わない。
ちなみに音響は天才音響家・笠木健司である。
もちろんサポートに田頭広光も居る。
まるでクロムじゃないか!
段取りの悪さまでクロムにならなくて良いのに…。

※画像はフライヤー。
題字は英大夫の達筆である。
ちなみに料金はS席6,000円(当日6,500円)、A席3,500円(当日4,000円)。
完売!
流石!!

【観】兎町十三番地『キリエ・カルテット』

c7ee51d7.jpg兎町十三番地04公演
『キリエ・カルテット』
作・演出/中川昌紀
作曲/吉田匡博
@芸術創造館

オープニングで召還の儀式が行われ、舞台は兎町十三番地となる。
恒例化したこの儀式は期待を煽り、兎町へと観客をいざなう。
今回は兎町世界にある孤島が舞台となる。
兎町十三番地の芝居には、二つの物語が内存する。
一話完結の本筋となるストーリーと、旗揚げからパーツを拾いながら進行する13人のアリスの物語。
このアリスストーリーは兎町世界を構築する重要なパーツであるようだが、未だ全容は掴めない。
初めて兎町を見る観客には、全く何のことやら理解出来ないであろうから、パンフレットに解説が望まれる。
今回に限って言えば、内容的にも13番目のアリス誕生編かと思えるほど兎町とはかけ離れていて、そもそも兎町を召還する意味にも乏しい。
天の岩戸を題材にしている割には、物語の核心から離れ、単に女性の心情を描いただけの作品となってしまったのが惜しい。
構成的にも、歌とダンスが独立しすぎで、より芝居と絡み合った構成にしないとどっち付かずになりかねない。
今回はちょっと失速。

※画像はフライヤー。
これはこれで悪くはないが、前回、前々回の躍動感がない。

【観】TEAM天晴『背伸びクルー』

b8090ca0.JPGTEAM天晴れ 第一回公演
『背伸びクルー』
作/仲谷萌
演出/山口千晴
@ウイングフィールド

TEAM天晴(あっぱれ)は現役高校生で構成された劇団で、今回が旗揚げ公演。
高校生らしい脚本と溢れるパワーで小気味よい60分の作品を演じる。
舞台は海の近くのレンタサイクルの店内。
店主の留守を預けられた店員の男と店の娘の高校生。
その店に忍び込んだ教師を名乗る泥棒の女。
店に出入りするお節介やきでカナブンを飼っている女が連れてきたのは泥酔した自殺未遂の女優。
そこに通りかかったカメラ好きの旅行者の女。
泥棒の女はカナブンを踏み潰し、死んだカナブンは緑の妙チクリンな幽霊になって現れる。
この店にたまたま集まったメンバーで、何故か映画を撮ることになる。
何たる脈絡のない展開!
役者たちは生き生きと伸び伸びとと演技する。
何ともヘンテコな作品だ。
自由度が高く、自分たちの演りたいこと、盛り沢山のアイデアを詰め込んだ元気溢れる作品に仕上がっている。
照明や音響のスタッフワークも良く、旗揚げとしては十分な仕上がりである。
欲を言えば、時間の経過を観客にもう少し伝えられると更に良い。
精一杯背伸びをして生み出した作品は、背伸びをして初めて見ることの出来るステキな風景となった。

※画像のフライヤーが素晴らしい。
PCのプリントかカラーコピーであろうが、ウイングの挟み込みですら見かけなかったのが惜しい。
この躍動感のあるイラストが大変良い。

【観】ドアーズ『ドアえもん のび大の日本誕生』

7e939840.jpgドアーズ
『ドアえもん のび大の日本誕生』
作・演出/中岡倫基
@ウイングフィールド

短編コント集。
アドリブ色の強いシュールなコントを集め、オープニングとエンディングをタイトルになったコントでサンドイッチしたオムニバスコメディ。
割合役者任せで、演出不在感が強い。
コントにテーマは不要であろうが、工夫や仕掛けは必要であろう。
それぞれのコントがドアから覗き見た物語を装う体で、大喜利を幕間に挟んで構成されている。
特筆は何と言ってもフライヤーのデザインに尽きる。
多分、今年一番ヤバくてインパクトのあるフライヤーだ。
これは大丈夫なのか?
「ドアえもん」のロゴ、スネ夫風のイラスト、「作:藤子・ドア・不二雄」って、どうなん?
これが大丈夫ならば、劇団ガンダムもぜひ手本にしたい。

※画像は件のフライヤー。

【観】コレクトエリット『ありがたき幸せ、つまりはありがとう』

09dabe88.jpgコレクトエリット vol.2
『ありがたき幸せ、つまりはありがとう』
台本/べかお
演出/松本絵理・べかお@-IST[イスト]零番舘

丁寧に紡がれた秀作である。
前半の単調で緩慢な展開は、後半の衝撃的な一言でいきなり意味を持ってくる。
この一言以降、私は舞台に釘付けとなる。
衝撃的で強烈な印象を与える劇団に出会い、心が震えた。
以下は本作を素晴らしいとした上で感じた今後の課題である。
はしのちなつの空間美術と如何に共存するか?
これが一つ目の課題であろう。
一見して簡素ゆえに圧倒的な存在感を持つはしの美術をどれだけ上手く使いこなすかが楽しみだった。
抽象的で自由度の高い美術ゆえ、使い方を誤れば致命的な傷を負いかねない。
はしの美術は両刃の剣と言える。
結果は及第点と思える。
演出的には想像の範疇である。
この美術の奥深くに潜む、更なる可能性を見出して貰いたい。
二つ目にパフォーマンスとの融合を上げておく。
これも想像の範疇である。
もっと実験的で冒険的で良い。
何とかまとめました感が強く、無くても構成しうると思わせてはいけない。
必要不可欠なものとして劇中に融合させ、構成しなければならない。
よりダンスに近付けるならば肉体訓練が必要であるし、演技を重視するにしても練習量は更に必要と思われた。
しかしながら2回目にしてこのインパクトは凄まじく、今後ずっと見続けていきたい劇団の一つである。

※画像はフライヤー。
役者は全員がほぼ出ずっぱりである。
主演の木原勝利が良い。
木原くんと主宰の松本絵理は、ミジンコターボを退団しコレクトエリットに専念すると言う。
本当に演りたいことが見つかったのだ。
英断である。
決意が十分に伺える公演であった。

【観】GiantGrammy『バレなきゃいいのに』

b7d6c8ed.jpgGiantGrammy The 11th Stage
『バレなきゃいいのに』
作/ともさかけん
演出/ともさかけん&GiantGrammy
@インディペンデントシアター2nd

久しぶりにGGを観る。
西本卓也の舞台美術が良い。
薄明かりの中に浮かび上がった工場内の舞台装置は、見事に鉄工所を再現している。
波打ったスレートの壁、剥き出しの鉄骨、プレス機、配管、クレーン、…。
地明かりになって驚くのは、全てが木製であることだ。
ともさかくんの脚本力が随分上がっている。
構成も台詞運びもとても良い。
以前気になった演出の不在感も無い。
加えて役者が本当に上手くなっている。
拾った財布に入っていた万馬券を猫ババしたことから始まる、三谷幸喜風の強引なまでのドタバタシチュエーションコメディである。
今回は大掛かりな大転換をやめ、ドリフ的な小仕掛けを多数採用している。
このあたりがGGらしいと言えばGGらしいのだが、やはり最終的にはこの劇団のみが持ち得るオリジナリティを如何に作っていくかが大切に思う。
卒のない劇団よりも、癖や味のある劇団になって欲しい。

※画像はフライヤー。
しばらく見ない内に新人が3人入っている。
私のイチ押しの女優の一人、川辺みほが[チロル姫]に改名している。
チ、チロル姫?
何故に?

【舞】招待されなかった客(onカラビンカ)

aebd72ed.jpg座・ぐれいとえすけーぷ終了。
この作品は魔女と神父の二人芝居。
ある魔女の屋敷に招待状を持った神父が訪れる。
魔女の名前はサマンサ(奥様は魔女からの引用か?)、神父はマシュウ・ホプキンズ(魔女狩りの悪名高き第一人者)。
この二人は動と静、対比的な存在として演じられる。
物語はソーントン・ワイルダーの戯曲「わが街」を題材に、別役作品共有のシニカルでシュールな会話で展開する。
60分の小作品ながら、深読みすればキリがないほど内容は濃い。
出演者の二人は同事務所に所属するほぼ同年齢の役者さんだが、付き合いの古さの割にはがっつり絡んだ芝居をするのは初めてと言う。
半世紀ほど生きてきて、仕事のスケジュールの詰まった中、時間を割いて二人芝居をする。
同世代の私には、それが如何に大変なことかよく分かる。
そしてまた、それを一緒に出来るパートナーが在ることを、とても羨ましく思う。

※画像は劇中に登場する「わが街」の舞台となったニューハンプシャー州にある架空の街、グローヴァーズ・コーナーズの模型。
この箱庭として造られた小道具の街で、魔女の操作により「わが街」が進行する。
バラシのあと、カラビンカでささやかに打ち上げをする。
出演者二人と照明、音響、受付と舞台監督(兼雑用)の私の6人。
最低必要かつ十分な人数である。
少ないスタッフ数で事足りるのもカラビンカの強みである。

【舞】座ぐれいとえすけーぷ『招待されなかった客』

24035cd8.jpg座ぐれいとえすけーぷ
『招待されなかった客』
作/別役実
演出/宮迫ぶうたろう
@梅田OZCカラビンカ
10/6(土)15:00〜、19:00〜
10/7(日)11:00〜、15:00〜、19:00〜

某タレント事務所所属の旭屋光太郎・みぶ真也の二人芝居。
昨日22時から仕込みを始め深夜に作業終了、今朝10時から場当たり、12時からゲネプロ、15時には本番、ハードスケジュールかと思いきや、慣れたカラビンカの公演なので、まったりとした時間を過ごしている。
脚本は別役実の二人芝居。
別役作品はカラビンカがよく似合う。
出演者の二人はTVや映画、舞台で活躍中の実力派の役者である。
忙しい二人は数ヶ月の間、週に一日だけの稽古を繰り返し本日に至る。
台詞もよく入っている。
あとは本番を重ねるのみ。

※画像はフライヤー。
劇場への挟み込みをしなかったのか、他の劇場のチラシの束の中に、このフライヤーを見かけたことはない。
演出の宮迫ぶうたろうは二人の名前を合わせた合作名。

【観】火曜日のシュウイチ(7)『ダイハーダー』『ダイハーデスト』他

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火曜日のシュウイチstage51
『ダイハーダー』
『ダイハーデスト』
作・演出・振付/石原正一
ミッドナイトエキスプレス第26話
『さよならシルバーフォックス』
作/サシマユタカ


ついに半分を終えたシュウイチの折り返し51回目の公演は特別ステージ。
今月のゲスト作家・石原正一は2本立てで、1本ずつを交互に上演する。
しかし本日51回目のステージだけは、2話まとめての特別公演だ。
石原正一作演出で、まともな一人芝居になる筈はないと思っていたが、何とまあバカバカしい、これはもはや一人芝居ではなく、スーパー一人コントである。
映画「ダイ・ハード」の舞台を大阪に置き換え、ジョン・マクレーンが日本旅行に来た設定のノンストップアクションギャグコメディだ。
『ダイハーダー』の舞台は日本橋のキッズランド。
アニメからのパロディも満載で、日本橋・ガンダム'ズ・アニオタ・玩オタの方はこちらをオススメする。
『ダイハーデスト』は舞台を梅田に移し、巨大(?)な陰謀を阻止するマクレーンのドタバタアクションコント。
HEP NAVIO・HEP FIVE・観覧車・阪急電鉄好きならばこちらがオススメ。
石原正一が声の出演をしており、基本は石原くんと坂口くんの掛け合い漫才のような会話で構成される「一人半芝居」なのだ。
飛び交うダンボール、チープな影絵、ラジコンのヘリコプター、時おり見切れる石原正一。
何もかもがダメダメ感満載の究極エンターテインメント。
ミッドナイトエキスプレスは2話連続の後編。
約レギュラーキャラのシルバーフォックスが300mの高さに吊り上げられた列車から落ちて殉職する。
合掌。
と思いきや、来週の27話のタイトルは「帰ってきたシルバーフォックス」だ。
やるな、サシマユタカ!

※画像は後半に入って新調したフライヤーと今月の入場カード。
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