舞監@日誌 since 2005

大阪在住、舞台監督・CQ塚本修(ツカモトオサム)の日記です。 観劇の感想や舞台用語の解説、たまに日々の出来事や劇団ガンダム情報も書いてます。 コメント・トラックバックは承認制ですので、すぐには反映されません。非公開希望の方はその旨お書き添え下さい。返信用アドレスも基本的には非公開にいたします。

2011年01月

【観】Fling Fish Sausage Club『時間です。』

0e25230a.jpgウイングフィールド若手劇団応援シリーズ特別編「ウイングカップ2010」参加作品
Fling Fish Sausage Club NO.6
『時間です。』
作・演出/松永恭昭
@ウイングフィールド

結婚相談所で、運命100%と言われた相手は、ある事件の被害者で、すでにこの世に居なかった。
納得いかない主人公は、その相手を探す旅に出た。
着目点はとても面白い。
しだいに真相が明らかになって行くサスペンスラブストーリーなのだが、その作りは故意にダラダラとしたメリハリのない作品になっている。
前説の導入部分から、開演の区切りのないまま本番に突入し、通常会話の延長上に台詞がある構造 とし、作品をより現実に近いものとする試みが成されているように思う。
しかしそれが上手く観客に伝わらず、何とももどかしい居心地の悪さを感じてしまう。
本来なら、もっと作品世界にのめり込んで行くはずが、どんどん遠い世界の物語のように見えて来る。
これは本末転倒ではないだろうか。
明確に作者の意図が伝わらぬまま終演してしまい、答えのないモヤモヤだけが残ってしまう。
もう一度、作品を解体し構築し直して、再構成して見せて欲しい。
違うアプローチで作品を作ることにより、同じ脚本が生き生きと見えて来ることも、よくあることなのだ。

【観】collect-collection『ワンダフル・ニャン』

7c11e87d.jpgコレクトエリットpresents
collect-collection VOL.12
『ワンダフル・ニャン』
@シアターカフェNyan

プログラム
1) ニュートラル『屋上サーファー』
作・演出/大沢秋生
2) dracomEP『gallery(20min version)』
作・演出/筒井潤
3) 妄想プロデュース『アンブレラ』
作・演出/池川辰哉
4) コレクトエリット『樹にすみ祈り』
作・演出/べかお

コレクトコレクションは何ともう12回目!
今回は4本立てなのだが、どれもクオリティが高い。
ニュートラルは一瀬尚代と片山誠子の二人芝居。
内容はいつものニュートラルなので、安定感は強いものの、いつものような美しく印象深いシーンが見られない。
本来なら、二人が耳をすませてノイズを聴くシーンが、もっと美しく見せられるハズなのだ。
それが惜しい。
ドラカンを久しぶりに見る。
これは名作である。
美術館を訪れる人々と、絵画を見張る担当女子。
録音されたナレーションに合わせ、時に合わせず、プレイヤーはごく自然に動く。
無言劇ながら、台詞や動きは全てナレーションで説明されるので、吹き替えさえ出来れば、全世界で公演可能である。
絵画と登場人物に関係性を持たせ、笑いも取り入れながらしっかりアート作品に仕上がっている。
見事。
妄想プロデュースは、とても切ない。
いつもの長尺の作品よりも、短編の方が面白いのは問題だが、これはとても良い。
三人芝居ながら、結婚式を今から挙げるカップルと、花嫁に恋い焦がれた男の、動と静のコントラストが活きる。
両者の絡みは一切なく、男は舞台奥中央の台上で、二人を見下ろすのみである。
この新婚夫婦が、ストーカーの男から逃れてようやくゴールインした二人なのか、それとも男が妄想する自分自身と彼女との結婚式なのか、答えを出さずに終わらせるのが非常に良い。
最後はコレクトエリット。
前回、月刊彗星マジックで演じた『演技体練習』は、定まった一つの風景(もちろん定点風景と掛けているのだろう)が、多方面多種多様な見方をすることで、全く違った作品になってしまうことを、役者の肉体を通して表現することで提示して来たのに続き、今回は一本の樹の見えない内側と外側から、実際に在るのに見えないモノを、身体を通して表現する作品を示して来た。
不安定な動きから繰り出す台詞は、十分な間(ま)を持って表出され、コレクトエリットの今後の方向性を明示しているようだ。
見る或いは見せる演劇から、ダイレクトに心で感じる演劇へと、次第にシフトチェンジして行くのかも知れない。
今後の作品が見逃せなくなる。

【観】桃園会『ダイダラザウルス』

f4afbe4b.jpg桃園会 第40回公演
『ダイダラザウルス』
作・演出/深津篤史
@アイホール

この作品は、作者にとっても、劇団にとっても、私を含めた観客にとっても、大変不本意なものであるには違いない。
久しぶりの深津篤史氏の新作書き下ろし、しかも劇団員のみによる公演に、多くのファンや演劇人が期待に胸を膨らませ、満を持しての新作発表のはずであった。
が、主演男優の不測の降板により、代役による公演を余儀なくすることとなる。
しかし、そこは深津演出。
どんな逆境でも、意味ある舞台公演にきっちり作り上げる。
舞台中央には身長ほどの高さまで延びる広めの間口の大階段。
階段も床も黒色の、真っ黒のシンプルな舞台。
舞台上手に台本を持った代役の三田村啓示氏が立ち、本来舞台上に居るはずの主人公の台詞を朗読する。
舞台上の役者たちは、主人公が居るかのように演技する。
すると不思議とその場は人の形に光を放ち、あたかも役者が居るかのように見えるのだ。
もちろん勝手な私のイメージだ。
2月に東京公演を控えた状況で、軽はずみな感想は慎みたい。
このままの状態で東京公演をするにせよ、本来のプラン通りに公演するにせよ、これはこれで素晴らしい作品であったし、今もまだ本来予定されていた作品を見たかった思いも消えないからだ。
この主人公は深津氏自身である。
そしてまたコラージュされた舞台上の人々は、彼に近しい人たちであり、その中にはすでに亡くなった方もいて、彼自身も近年大病を患い、大切な人たちとの思い出や言葉が、作品には満ち満ちている。
劇中、舞台はホームとなったり、自動車の中になったり、遊園地となったり、どんどん場面は移り変わり、やがて宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が引用され、列車の車内となる。
終演する頃には、何故この作品のタイトルが『ダイダラザウルス』なのか、しみじみ伝わるに違いない。

【観】隕石少年トースター『パペット・オン・ザ・パニック完全版』

cf047393.jpg隕石少年トースター 第10回公演
『パペット・オン・ザ・パニック完全版』
脚本・演出/山内直哉
@インディペンデントシアター2nd

2005年第2回公演『崖っぷちの人形劇場』と2007年第6回公演『パペット・オン・ザ・パニック』を大幅に改訂し、完全版に編集したと言う本作は、メタフィクション技法を取り入れたシチュエーションコメディである。
舞台は劇団が稽古場としてよく利用する公営会館の会議室か何かであろう。
壁面に囲まれた室内の上手にドア、奥に大きな窓と時計、下手の壁にはスピーカーがある。
ドアの横に電灯のスイッチとスピーカーのボリューム。
窓からはすぐ外にある電柱と、遠く街並みが見える。
室内には壁に押しやられた机と椅子、よくある会議室そのままを西本卓也氏が再現する。
この作品が良く出来ているのは、リアルに動く時計の時間通りに物語が進行することだ。
オープニングは1階の人形劇団の控え室。
その後、メインとなる2階の劇団の稽古場となるのだが、映像でタイトルを出したあとの転換が見事である。
見ていて愉しく美しい。
西本氏の頑張りが窺える。
2月17日から東京公演を控えているので、詳しくは書かない。
必見の転換である。
稽古場として借りている会館の文化祭の当日であろうか、不測の事態で今からの本番を出来なくなった人形劇団のピンチヒッターで、劇団の面々が人形劇をすることとなる。
ここで描かれる劇団員たちは、何らかの理由でこの場から逃げ出したい人たちである。
親類の危篤、書けない作家、舞台が恐い役者、嘘を隠すために入団した新人、理由は様々だ。
この劇団員を隕石少年トースターの劇団員たちが演じることに、この作品の意味がある。
もちろん大団円に終わるのだが、今すぐ立ち去りたいと逃げ腰だった劇団員たちが、次第に前向きに心変わりして行く姿が心地良い。
劇中の物語と、実際の劇団活動が、微妙にシンクロし合っているだろう事は明らかなので、劇中で取り扱う人形劇と、劇作家が空想する劇中劇も、同一テーマでまとめてしまえば更に面白くなるだろう。
池袋シアターグリーンで21日(月)まで。
東京の観劇ファンにもお勧めしておく。

『赤塚不二夫展』『STROBE LIGHT』とか

d2b82b41.jpg
0317b5dc.jpg
『山の声』が終わり、心斎橋大丸の『赤塚不二夫展』最終日(1/24)にギリギリ駆け付ける。
不二夫は天才だな。
天才バカボンだな。
シェーと驚いたぞ、ニャロメ!
なかなか『山の声』の事後作業が終わらない。
1月前半に出演する筈の映画が後半にズレ込んで、本日は昼から深夜まで撮影のため伊丹に行く。
伊丹発の劇場公開映画『STROBE LIGHT』(監督・脚本/片元亮)。
内容はまだ明かせぬ。
本日は主演の福地教光くんと、二人の数分間シーンを8時間を費やし撮影。
乞うご期待!
今年に溜まっている観劇の感想は残り4本。
しばし待たれよ。

【観】30×30『ともにょ企画×ブラックリム』

53d14ee3.jpg30×30 pair.15
テーマ「オトコの...」
ともにょ企画『オトコの一生』
作・演出/鈴木友隆
ブラックリム『排卵コンプレックス』
作・演出/鐘ヶ江大吾+野上大樹
@インディペンデントシアター1st

1つのテーマに沿って作られた30分の作品を2劇団が競い合う「30×30(サーティサーティ)」も早15回目。
まぁ、勝敗を決める訳ではないのだが、個人の好みははっきりと出る企画である。
ともにょ企画の『オトコの一生』は、タイトル通りあるオトコの誕生から死に至るまでの一生を30分で描く。
人生を80年とすると、1分で2.666…年を描かねばならず、実際に超高速で一気に一生を描き切る。
4人の男優が代わる代わるに主人公の「オトコ」を演じ、パフォーマンスを交えつつ高速で配役をバトンタッチして交代していくスピード感は、意識したと言う「柿喰う客」にも引けを取らず、胸にマジックテープで貼り付ける名札がどんどん移り変わる様は、見ていてとても心地よい。
オトコの生涯は、とてもありふれた平凡な一生であり、誕生し、成長し、入学し、クラブに入り、恋をして、失恋し、卒業して、就職し、結婚し、出世し、ムスコが産まれ、親が死に、定年退職して、ムスコが結婚し、年をとって、家族に見取られて死ぬ。
ムスコの誕生からは、オトコの誕生からの場面とシンクロさせ、同じシーンを親の目線で描いて行くのが上手い。
昨年度の感想でも述べたが、今年最も注目すべき劇団の一つだ。
コトリ会議同様に、毎回テイストを変えた作品を提示して来る。
あとは観客動員を増やすだけだ。
ブラックリムは大阪のシナリオ作家集団と言うことなので、役者も自分たちで演じているのだろう。
『排卵コンプレックス』はナンセンスコントと言うべきか、シュールでハチャメチャで、予測の着かない展開は目を見張るものがあるが、残念ながらその展開に魅力がない。
オトコの夢精が卵となり、それが孵化して産まれ、やがて兄弟となり、更に兄貴が焼死したかと思えば生きていて、もう何でもありの展開はそれなりに面白いのだが、ある程度に意味付けや、作品の意図は必要である。
オトコから何かが産まれることや、弟が兄を憎む設定が、旧約聖書のカインとアベルをなぞっているのかと深読みもしてみたが、どうやら徒労であった。
台詞はそれなりに面白いのだが、非常に間が悪い。
このグダグダ感を失わず、笑いのツボだけをしっかりと押さえて行けば、面白い集団になるかも知れない。

【制】くじら企画『山の声』千秋楽

0cad0390.jpg大竹野正典追悼公演第三夜『山の声』、くじら企画最終公演、無事終了いたしました。
2008年の初演時に、僅か180名の観客動員しかなく、その作品のあまりの素晴らしさに感動し、もっとたくさんの人に見て欲しいと言う思いから、大竹野氏に直接進言した。
氏が動員数に無頓着なのを重々知りながら。
(2008年12月6日ブログ参照)
翌年7月、水死した大竹野氏の遺体がようやく自宅に戻り、遺族となった妻の後藤小寿枝が追悼公演をしましょうと宣言した時、自分が制作をするのだと言う思いが自然と湧き上がった。
『山の声』を最低でも500人に見て貰いたい。
大阪における小劇場の観劇人口はたかが知れている。
エンタメやミュージカルならまだしも、くじら企画のようなジャンルの芝居は、500名の観客動員が難しい。
事実、犬の事ム所時代からくじら企画の現在まで、観客動員数500名を超えたことは皆無であった。
追悼公演第一夜『サラサーテの晩』、第二夜『密会』をしても、400名代の観客動員である。
サラサーテの登場人物は13名、密会が9名。
対して『山の声』は二人芝居。
役者の手売りには期待できない。
しかし『山の声』がOMS戯曲賞の大賞を受賞してから、私には根拠のない自信があった。
企画室長として、500名は必ず入れると断言した。
舞台監督以前に培ってきたプランナーやディレクションの仕事が大いに役立った。
結果、602名の観客が、『山の声』に足を運んで下さった。
もちろん私の力などでは断じてない。
出演者のみならず、関係者、スタッフ、その家族までが、最大限の努力をしてくれた。
更には大竹野氏と親しかった友人たちが、出来る限りの情宣をしてくれた。
千秋楽には初演の総動員数180名を超える190名ものお客様が来場し、客席の熱気、舞台の寒々しい寒気と、熱い眼差しと、これで終わってしまう切ない気持ちと、様々な思いが錯綜し、かつてない雰囲気に包まれた、素晴らしく崇高なまでの舞台が完成した。

昨日のアフタートークの直前には、多くの山々で山の唄を歌い続けるシンガーソングライターのリピート山中氏が飛び入りし、加藤文太郎の唄を厳かに唄って下さり、その歌詞に目頭が熱くなった。
アフタートークゲストの小堀純氏(編集者)も山登りが趣味で、大竹野氏と山の話で盛り上がり、しばらく演劇から遠ざかっていた大竹野氏に山登りの芝居を描くよう提案された『山の声』誕生秘話が飛び出し、遊劇体のキタモトマサヤ氏も大阪進出公演の劇場を探すにあたり、噂に聞く犬事ムが公演を打つ劇場に申込みに行った際、大竹野作品に感動する劇場主宰者に犬事ムのビデオを見せられた話など、ご両人と付き合いの古い私ですら知らない話がいくつも飛び出した。
もちろんその劇場主宰者は、前回公演『密会』時にアフタートークをお願いした、スペース・ゼロの古賀かつゆき氏である。

千秋楽では、犬の事ム所からくじら企画までを通して、大竹野作品唯一無二のダブルコールとなった。
役者二人によるカーテンコールのあと、鳴り止まぬ拍手に後押しされ、満席の客席の中を観客を掻き分けて後藤小寿枝が舞台に上がり、大竹野氏に代わって口上を述べた。
いつも通りの、くじら企画らしい役者紹介が行われ、本当に本当の最後に、録音された大竹野正典の終演時の挨拶の声が、劇場内に響き渡った。
くじら企画最終公演の幕は、聞き慣れた大竹野正典の声で閉じられた。
いくら拍手が続こうと、これ以降のカーテンコールは不要に思われた。
多くの観客が泣いていた。
言うまでもなく、くじら企画は大竹野正典氏の個人ユニットなので、くじら企画の名で公演が打たれることは二度とない。
千秋楽の舞台は、観客の動員からカーテンコールにいたるまで、もちろん作品の完成度も素晴らしいものとなり、名実ともにくじら企画の最高傑作となった。

資金面をサポートして頂いた賛助会員の皆様を初め、この3連作を支えてくれた全ての方々と、劇場に足を運んでくれた全ての観客に感謝したい。
通常の演劇公演以外に展示や上映会、アフタートーク等の追加企画があるため、各公演の制作スタッフ、受付スタッフには多大な負担を強いることとなった。
感謝とともにお詫びしたい。
私の無茶なプランやスケジュールの中、代わりに企画書を作成してくれた藍田マリンさん、情宣や渉外を助けてくれた宮本理絵さん、賛助会員の受付から会計を一手に引き受けてくれた小室千恵さん、私不在の中、第一夜公演の制作チーフをしてくれた池上和美さん、池上さんが第二夜公演に出演するため第二夜から引き継いで第三夜公演の最後まで制作チーフを担ってくれた秋津ねをさん、拙い企画室長の私を後押しし、助言や提案を頂くばかりか企画室後見人まで引き受けて頂いた編集者の小堀純氏とウイングフィールド主宰の福本年雄氏、会場となった精華小劇場、ウイングフィールド、インディペンデントシアター2ndの各劇場スタッフの皆様、本当にありがとうございました。

最後に、大竹野正典さん。
本当に素晴らしい、たくさんの作品をありがとう。
あなたと同じ時代に生まれ、本当に幸せでした。
役者として同じ舞台に立ち、舞台監督として同じ芝居に携わり、観客としてあなたの作品を目撃して来ました。
生涯を通して、あなたの作品を忘れることはないでしょう。
語り出せば、あれもこれも、全て記しておきたいことばかりです。
ですから過去のことよりも、未来のことに目を向けることにします。
今後あなたの作品が、多くの人に語り継がれ、遺された脚本が、たくさんの演出家によって上演され、それを観た観客が、その素晴らしさを更に後世に伝えてくれるよう、尽力したいと思います。

大竹野正典さんへ。
ありがとう。

【告】くじら企画『山の声』

1ebc4225.jpg大竹野正典追悼公演 第三夜
『山の声』
作・演出/大竹野正典
@インディペンデントシアター2nd
1/21(金)19:30〜
1/22(土)13:00〜、19:00〜※
1/23(日)15:30〜

※1/22(土)19:00の回終演後アフタートークあり
ゲスト:キタモトマサヤ氏(遊劇体主宰)・小堀純氏(編集者)

前売:2500円
当日:2800円

同時併催ビデオ上映会
1/22(土)16:00〜『屋上のペーパームーン』2000年@茶臼山舞台屋上
1/23(日)13:00〜『サヨナフ』2005年@ウイングフィールド

当日のみ:1000円(公演をご覧の方は500円割引)


ブログが止まっていますが、またまた忙しいのです。
1/14(金)満月動物園『太陽物語』@シアトリカル應典院
1/15(土)sputnik『アライヤ』@インディペンデントシアター1st
1/15(土)劇団態変『ファン・ウンド潜伏期』@精華小劇場
1/16(日)えろきゅーしょん『ヒーローズ』@ウイングフィールド
1/16(日)ムーンビームマシン×劇団大穴『Jack In The Box』@インディペンデントシアター2nd
1/18(火)30×30「しろっとそん×ゲキバコ!」@インディペンデントシアター1st
お待たせします。
さて、月曜日に無事くじら企画は仕込みを終え、本番を迎える準備は万端です。
大竹野正典氏が亡くなり1年半、3回連続の追悼公演も最終回を迎えます。
数年振りの寒い冬に、酷寒のお芝居をします。
1936年、冬の槍ヶ岳で命を落とした加藤文太郎と吉田富久の二人の山男をモデルにした二人芝居です。
2008年12月この作品を最後に、翌年の7月に大竹野正典氏は他界し、『山の声』は彼の遺作となりました。
今回の公演を最後に、くじら企画は散会いたします。
大竹野作品を見る最後の機会です。
是非ご来場下さい。
脚本の素晴らしさは、昨年度のOMS戯曲賞大賞を受賞したことからも判るでしょうが、大竹野作品の素晴らしさは作品そのものにあるのです。
その作品に出会った時、役者とは何か、演劇とは何か、表現とは何かを、見つめ直し、考え、再発見することでしょう。
劇場にてお待ちします。
防寒着にてご来場下さい。

【観】30×30『激団しろっとそん×ゲキバコ!』

45959c75.jpg30×30 pair.14
テーマ「童話」
激団しろっとそん『不思議の國の二人のアリス』
ゲキバコ!
作・演出/大牧ぽるん
『おしえて☆ピーターパン!特約』
作・演出/吉野圭一
@インディペンデントシアター1st

今日のしろっとそんは本当に頑張った。
出演者で主演の一人がインフルエンザで倒れ、急遽配役を入れ替え、差し替え、登場人物を一人減らして、何とか本番に漕ぎ着けたと言う。
その出来は、それを気付かせぬほどの仕上がりであった。
もともとヘッポコミュージカルなので、それほど支障はないものの、本人たちはさぞかし大変だったに違いない。
幼なじみでコンビを組んだ二人のアリスは、アイドルデュオであった。
ひょんなことから不思議の國に迷い込んだ二人のアリス。
やがてバラバラになったアリスたちだが、冒険を通して二人に初めて友情が芽生える。
しろっとそんの一番凄いところは、ダンスでも歌でも演技でもない。
もちろんルックスでも芝居そのものでもない。
まだまだ発展途上なのだ。
ところが彼女たちは観客に愛され、支持されている。
それは本当に一掴みの集団にのみ許された天分であり、身に着けようとして出来るものでもない。
願わくば型にハマらず、自由に育って欲しい。

ストレートな激団しろっとそんに対し、ゲキバコ!は見事に変化球で中堅劇団の実力を発揮する。
異母姉妹の愛情を描いた前作『4/3【サンブンノヨン】』も良く描けていたが、本作『おしえて☆ピーターパン!特約』もかなり良く出来ている。
劇団のカラーを会話劇ベースに移行した方が良いのではと思えるほど、吉野氏の脚本が良い。
加えて劇団員の成長が甚だしい。
OLと保険勧誘員との会話から、あれよあれよと言う間に童話の世界に突入し、ピーターパンの世界をなぞりながら、ラストにはしっかりと自立する女性の生き方を描ききって終わる。
しかも全ての配役は女優3人で演じ切る。
そう、これは女優三人芝居なのだ。
このシリーズは是非とも続けて欲しい。

【観】ムーンビームマシン×劇団大穴『Jack In The Box』

7e33ab63.jpgムーンビームマシン×劇団大穴Presents
『Jack In The Box』
@インディペンデントシアター2nd

2劇団2部構成による演劇とショーケースのエンターテインメント。
芝居、ダンス、歌、マジック、多彩な舞台で魅せるビックリ箱。

Ⅰ部(芝居)『ルセントレ』
脚本/マツイカヅアキ・Sarah
演出/Sarah
振付/和田雄太郎
1時間程度の小作品ながら、光の国と闇の国が戦う分かりやすいストーリーと、判りやすい衣装、解りやすい構成で、十分に楽しめる。
何より短くて良い。
本公演では、こんな感じの物語に、説明や謎解きや人間関係を書き加え、描き過ぎてよく失敗するので、注意したい。
転換を兼ねたダンスや殺陣と芝居のバランスがとても良い。
雪の仕掛けは、せっかくの大団円をしょぼくするので、明かりだけの処理か、しっかりと全面に雪を降らせたい。

Ⅱ部(ショー)『Every Jack One!』
構成/Sarah
無言劇を間に挟みつつ、ダンス、唄、公演予告、朗読、マジック等、7編のショーケース。
よく稽古している。
このようなイベントでは、バラバラになり勝ちな作品の完成度を、上手くまとめ上げ、中だるみすることなくラストまで疾走する。
見応え十分。

【観】劇団えろきゅーしょん『ヒーローズ』

608bbdfa.jpgウイングフィールド若手劇団応援シリーズ特別編「ウイングカップ2010」参加作品
劇団えろきゅーしょん 第6回 絆公演
『ヒーローズ』
作・演出/佐々木潤子
@ウイングフィールド

毎日が平凡でどこにでもありそうな学校のとあるクラス。
ある日、宇宙征服を目論むエイリアンの手先が、転校して来る。
しかもそいつが、ムチャクチャいい奴だったら?
この魅力的かつハチャメチャな設定で、前半バラバラだったクラスがまとまり始め、次第に友情が芽生えていく。
ここまではとても面白い。
しかし宇宙人の女王の側近の策略で、やがてクラスメートの宇宙人は人が変わったようになり日本征服を達成してしまう。
10年の年月が流れても、同級生たちは彼との友情を忘れていなかった。
ここからの展開は、「走れメロス」であり、「死亡遊戯」であり、「明日に向かって撃て」に向かう。
これは多くのエンタメ劇団が行う常套手段であり、さほど魅力を感じない。
登場人物が少ない分、サクサク物語は進むので、中だるみはしないが、劇団員が増えたり客演を呼んだりした時に、段階的に強い中ボスが登場して来て、仲間がどんどん倒れていく展開のエンタメアクションを、うんざりするほど見ている。
とどのつまり、オープニングとラストだけ見ればストーリーが理解できるような構成の物語が実に多い。
絶対にそうなって欲しくないと思う。
えろきゅーしょんの描く芝居は、全員が一致団結して行く姿であり、何ものにも代え難い友の存在であるはずだ。
それを描くのに、政治も国家もバトルも必要ない。
クラスから国家にいきなり広がる展開も悪くはないが、小さなクラス内で起こる、ささやかな友情を描いて欲しい。
音響・照明、共に適切ではあるが、女王の登場シーンにBGMが無かったり、見せ場の前に盛り上がる音楽を挿入してしまう等、逆効果となる場面もあるので、作品をトータルで見直して、効果の挿入を再検討すべきである。

【観】満月動物園『太陽物語』

9c93abe3.jpg満月動物園 第壱拾八夜
『太陽物語』
演出・脚本/戒田竜治
@シアトリカル應典院

チラシの裏には、とても魅力的なあらすじが書かれている。
“シセツ”で育った私たちの、誰かが死んだ時には自分たちでお葬式をしよう。
いつまでも“カゾク”でいるための約束。
その時は考えていたよりもずっと早くやってきた。
この通りの会話劇があったとしても何の不思議もない。
ところが冒頭から血しぶきが上がり、全身を真っ赤に染めてゆく女のモノローグから始まる。
やはり満月動物園だ。
ステキな会話劇を思わせるチラシのあらすじは、どんどんステキなストーリーから離れだし、おどろおどろしい物語へと変貌していく。
孤児院と思われたシセツは、クローン人間の実験用施設であり、家族のように接していたシセツの仲間たちは、同じ遺伝子を持つ自分自身だった。
かつて数十名の自分自身が殺し合い、最も人格の離れた5人が生き残った。
やがてその中の一人は、偶然か必然か、オリジナルの自分自身と出会い、当人同士も理解不能のまま殺されてしまう。
お葬式と言いながら、どこか愉しげな仲間たちの動的なシーンと、刑事に取調べを受けるクローンの元となったオリジナルの女性の静的なシーンが、意図的にコントラストを際立たせ、静と動の繰り返しが徐々に融和して行く構成で、いつもの公演では無くても良いのでは(失礼!)と思える映像も、今回は作品に上手く溶け込み、良い効果を生み出している。
中盤からミステリー色が強くなるが、決してストーリーを見せたい訳ではない。
誰もが自分を自分たらしめるために、自分の中のもう一人の、或いは複数の自分自身を殺して来た。
いくつかの選択肢を諦め、無かったことにして来た。
だが本当は、今も心の奥底に隠れながら、密やかに暮らしているのかも知れない。
これは、今も誰しもの中にひっそりと棲む、自分自身と向き合う物語である。
それを解放し、内から外に、日の当たる場所に、今一度解き放つ物語なのだ。
文頭におどろおどろしいと書いたが、決してそんなことはない。
とてもステキな物語だ。
わたし(たち)の、わたし(たち)による、わたし(たち)のための鎮魂歌。
『太陽物語』
タイトルに込められ思いが、あとから程良くじんと来る。
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