舞監@日誌 since 2005

大阪在住、舞台監督・CQ塚本修(ツカモトオサム)の日記です。 観劇の感想や舞台用語の解説、たまに日々の出来事や劇団ガンダム情報も書いてます。 コメント・トラックバックは承認制ですので、すぐには反映されません。非公開希望の方はその旨お書き添え下さい。返信用アドレスも基本的には非公開にいたします。

2012年07月

【舞】クロムモリブデン『進化とみなしていいでしょう』

fda45a3f.jpgクロムモリブデン
『進化とみなしていいでしょう』
作・演出/青木秀樹
@赤坂RED/THEATER
7/28(土)19:30〜
7/29(日)19:30〜
7/30(月)19:30〜
7/31(火)19:30〜
8/1(水)14:00〜
8/2(木)19:30〜
8/3(金)20:00〜
8/4(土)14:00〜、19:00〜
8/5(日)15:00〜
8/6(月)19:30〜
8/7(火)休演日
8/8(水)19:30〜
8/9(木)14:00〜
8/10(金)20:00〜
8/11(土)14:00〜、19:00〜
8/12(日)15:00〜
8/13(月)19:30〜
8/14(火)13:00〜、17:00〜

クロムが始まり半分が過ぎた。
今回のクロムは全20ステージ!
私は7月26日に上京し、すでに8月3日に帰阪している。
だから既に半分が終わってしまったが、まだ半分がある訳だ。
今回は大阪公演がないので残念だが、敢えて言うなら、東京まで見に行く価値があることを伝えたい。
いつにも増して素晴らしい。
いつにも増して面白い。
いつにも増して解りやすい。
古くからのファンは名作『キレレレのイエロー』を思い出すだろう。
登場の仕方は『空耳タワー』で、入り組んだ物語がラストに収束する構成は、いつも通りに素晴らしい。
それからオーディションで選ばれた3人の女優に注目だ。
手塚けだま、最高に面白い。
ビックリ初体験できる筈だ。
佐藤みゆき、最高に上手い。
表情が素晴らしい。
ゆにば、最高に狂っている。
頭が沸いているのは間違いない。
もう、見るしかあるまい。
私は楽日にもう一度見に行くぞ!

【観】枚方なぎさ高校『親の顔が見たい』

e8d790e0.jpg枚方なぎさ高校
『親の顔が見たい』
作/畑澤聖悟
演出/上久保梓・高井真衣
@シアトリカル應典院

とある名門女子中学の生徒指導室。
壁面に学内の室内らしさを出し、適切な机や椅子、衣裳の選択で、場の雰囲気を上手く作り出している。
一人の女生徒のイジメによる自殺を背景に、それに携わった生徒の父兄が一室に集められる。
自殺した女生徒の遺書に、5人の級友の名が書かれており、イジメの疑いがあるので、その5人をそれぞれ別室で事情聴取している。
集まった保護者たちは、それぞれの立場もバラバラで、当初自分の娘を信じ、イジメを否定していた親たちだが、徐々に真実が明らかになるにつれ、自分たちの本性をさらけ出し始める。
難しい題材の2時間もの作品と真摯に向かい合い、よく稽古も為されていて健闘している。
この作品には大人しか登場しない。
だから、個々の役づくりも相当に大変で、その苦労のあとが作品からも良く窺える。
役者たちにほとんどミスがないのも、その表れである。
この作品を上演するならば、コメディとして描くか、シリアスとして描くか、大きく2つの作り方を選択できる。
テーマが重いだけにコメディとして描いた方が楽なのだが、本作ではシリアス寄りの中道を行く。
登場人物が遺書を読むシーンにのみ音楽を挿入し、場面の雰囲気に合わせて照明変化で効果を与える。
だが、照明効果が逆にシーンの邪魔をしており、遺書のモノローグ以外は不要であろう。
これだけ役者が出来るのであれば、音楽も挿入せず、照明も変化させないで、演技のみの会話劇に挑戦しても良いだろう。

【観】箕面高校『ヒwriter┌(*・ω・)┘』

84d05351.jpg箕面高校
『ヒwriter┌(*・ω・)┘』
〜引いたり押したりスライドさせたり〜
作/上西秋穂
演出/生島佳奈
@ウイングフィールド

脚本がとても良い。
友達の心無い言葉に傷付き、心を閉ざした女子生徒がふと目覚めたら、そこは自分の知らない場所だった。
先住者の男子生徒と、幾度も脱出を試みるが、押しても引いても弾かれるばかりで外には出られない。
しかし不思議と居心地の良いその場所は、次第に自分たちの居場所になっていく。
ある日その場所に、委員長と副委員長が女子生徒を迎えにやって来る。
何故か自分たち以外の人たちは、この場所に自由に出入りできるのだ。
だが、既にこの場所を安住の地と感じている彼女には、外に出て行こうとする気持ちが失せている。
その場所に住む亡霊や、気持ちを綴ったノートの精霊たちも、彼女の気持ちを外に向けさせようとするが、考えを変える様子は全くない。
しかし冒頭で彼女を傷付けた友達の登場で、彼女の誤解は解け、ついに心の扉を開けるのだ。
保健室登校の生徒を描いた本作は、その場所が保健室であることを、最後まで明かさない。
このアイデアが、その閉じられた空間を、保健室ではないどこかに感じさせ、密閉された室内や、閉ざされた心の中にも思わせ、観客の想像を膨らませる。
舞台奥には上手側に「閉」の大きな文字が、下手側には「開」の文字を逆さまに吊られており、両サイドにも記号の書かれた懸垂幕が吊られていて、女子生徒が心を開くと同時に、全ての吊り物が落とされ、大黒が徐々に開かれて行き、彼女の心を視覚的に演出する。
ダイレクトながら、心に響く作品である。
音響も照明も、過不足のない適切なプランで、キッカケの取り方やフェードクロスが大変上手い。
脚本上、隣室や室外に何度か場面が移行するが、舞台装置の変化がなく、照明変化だけでは判り辛い。
舞台装置の転換をするよりは、この室内だけで全てのエピソードを描いた方が、収まりも良く完成度も高くなる。

【観】アコヤの木『FOLL IN DOWN/FEEL SO GOOD』7/24

3646e8e0.jpgアコヤの木
AKOYA SOGI One-man SHOW
『FOLL IN DOWN
FEEL SO GOOD』
出演/曽木亜古弥
作・演出/上田ダイゴ
振付/ニランジャン・櫟原将宏
@インディペンデントシアター1st

曽木亜古弥、まさかの1時間45分一人芝居!
熱演でない訳がない。
舞台となるのは、取り壊しの決まった木造5階建てのボロアパート。
それぞれの階に一つずつ部屋があり、屋上には教会のような大きな鐘がある。
鳴らない筈の鐘が鳴る時、奇跡が起こると言う不思議なアパート。
1階に住む大家の老女が、来訪者に語って聴かせる物語として進行する本作は、曽木亜古弥がこのアパートの各部屋の住人たちを演じながら、10年前の深夜に一度だけ鳴った鐘のエピソードを絡めた物語となっている。
上田氏の脚本はオーソドックスながら安定感が強く、先読み出来ても見事に感動させられる。
鐘の音と共に各階から同時に落ちた「女性」と「猫」と「ウェディングドレス」と「ライスシャワー」が、見事に重なって起きる奇跡と、訪れて来た男性が起こすラストの奇跡が、予定調和ながらしっかりと胸を打つ。
脚本力はプロと言って過言ではない。
この骨太の1時間45分の脚本を、歌い、踊り、演技して、曽木亜古弥の魅力をふんだんに盛り込んだ一人ミュージカルは、今後も彼女のレパートリーとして、長く続けて行くに相応しい作品となった。

【観】工芸高校『夜の談笑』

80080669.jpg工芸高校
『夜の談笑』
作・演出/佐次優美香
@シアトリカル應典院

舞台はある家族のダイニングキッチン。
父母と娘の3人家族。
下手奥にカウンター大の白い長箱、舞台中央やや上手に食卓となる大きな白箱、食卓の周りには椅子になる小さな白箱。
それ以外の室内にあるモノを擬人化し、役者がモノになって演じる。
日々当たり前にある「モノ」をテーマに、モノたちの人間に対する愚痴とささやかな反逆を描いた、工芸高校らしい作品である。
古来より日本の民間信仰に、長く使った道具や長生きした動物には神や霊魂が宿る九十九神の観念があるが、本作はその現代版と言える。
登場するモノたちが、電子レンジ、植木、冷蔵庫、電灯、パソコン、テレビ、携帯電話、タブレット端末で、電化製品が多く、植木が浮いてしまいバランスが悪い。
流行と製品寿命により使い捨てられる電化製品のみに絞るか、家具や道具の調度品を混ぜてバランスを取りたい。
日常、酷使されているモノたちの人間に対する愚痴がエスカレートして、抵抗を始めるまでは非常に面白い。
新たな登場人物(?)のタブレット端末がやって来て、物語が膨らむ筈が収束してしまう。
人間とモノとの共存と調和を描いた作品だが、ストレート過ぎるのが惜しい。
音響効果は適切で、挿入曲も妥当である。
照明はプラン自体に工夫が見られるが、カラフルに色分けされたモノたちの衣裳に連動した遊び明かりを使えば、より良くなるだろう。
昼間と夜の状況照明は、オンオフの切り替わりが曖昧で気持ち悪く、もってキッカケを整理した方が良い。

【観】北摂つばさ高校『マクベス』

a3c0426a.jpg北摂つばさ高校
『マクベス』
作/ウィリアム・シェイクスピア
訳/小田島雄志
演出/阪元裕吾
@ウイングフィールド

2時間もの長編作品『マクベス』に正攻法で挑戦する。
舞台奥に段差のある二重舞台を設えて、舞台上には椅子を兼ねた装置として立方体の箱が2つのみ。
場面により玉座が出し入れされるが、ほぼ素舞台と言って良い。
演技はまだまだ未熟だが、十分にしっかりと稽古されている。
台詞のミスはほとんど無い。
音響、照明、共に演出の目が実に行き届いており、選曲のセンスも実に良い。
照明も時間変化だけでなく、心象風景をも適切に表している。
転換は無理のない暗転で構成し、とてもスムーズで、転換の練習を抜かりなく稽古しているのが窺える。
それでも暗転ゆえのタイムラグは避けようがないので、どうしても間延びする転換がある。
玉座の出し入れ以外は、明転か登退場転換でも可能なので、スピードを優先するなら選択肢はある。
本作では全体の統一感を優先し、作品の完成度を高めている。
何よりも誉めるべきは役者たちで、聞き慣れない難しい台詞を暗記するだけでなく、しっかりと意味を捉えて自分の台詞にしている。
マクベス夫人の堂々たる風格、マクダフの心打つ台詞、全編を通して緊張感を張り詰めたマクベス、見応えのある2時間であった。

【観】Noisy Bloom『Krok Rock』

d6a2b2a9.jpgEntertainment party Noisy Bloom本公演vol.01
『Krok Rock.』
脚本/ohana
演出/岡田花
@アトリエS-pace

またまた随分と観劇ブログを溜めてしまう。
7月末から8月に掛けて東京出張中だったのだが、絶えず人と居るため落ち着いて感想が書けないのだ。
ゆるゆるとぼちぼち記して行く。

Noisy Bloom旗揚げ公演。
とてもシンプルでストレートな作品である。
高校演劇の延長線にあるとも言える。
メルヘンチックではあるが、多分に作者自身の物語であることは明白で、等身大の自分を描いた物語である。
だから、あまりにもストレートで、ダイレクトに心に届く作品となっている。
冒頭、何もない素舞台から始まり、床面にアクティングエリアとなる絵本が広げられ、オモチャ箱をひっくり返したような子供部屋が出来上がる。
絵本の中の世界と、現実の世界を、アクティングエリアを上手く使い分けながら物語は進行し、ついには絵本から飛び出して自分の思いを伝えに向かう。
惜しいのは、この絵本上のアクティングエリアが、観客に今ひとつ伝わりにくいことで、絵本から飛び出すことで絵本上の物語として観客に伝わりにくいことだ。
だが、その世界観は興味深く、方向性も間違ってはいない。
今後もたくさん作品を発表し、回を重ねることでどんどん面白く、上手くなっていく筈だ。
第2回公演に期待したい。
ウイングカップやロクソドンタフェスティバルに出ても良いだろう。

【観】ともにょ企画『エンカウントLOVE!』7/13

015a49c3.jpgともにょ企画
『エンカウントLOVE!』
作・演出/鈴木友隆
@シアトリカル應典院

space×drama2012第2弾。
冒頭からキューブリックの名作「2001年宇宙への旅」をそのまま再現する。
類人猿がモノリスと出会い、進化を始める。
人類の進化の最先端が現在であり、その一側面である現代日本の若者の姿が描かれている。
舞台には中空にまで無数のキューブが飾られ、中央にはひときわ大きなキューブがあり、主人公の引きこもる部屋であり、閉じた心の中である。
その中には更に小さなキューブが1つあって、室内唯一のアイテム、パソコンとして使われる。
キューブリックだけにキューブ尽くしなのであろう。
描かれるのはアニメやコミック、或いはライトノベルズ、アイドル等、現実ではない虚構に依存する者たちの姿で、虚構に投影するしか自分を見いだせない若者たちである。
自己完結したその者たちは、それぞれが自己満足する完全体としてのキューブであり、相互のコミュニケーションは為されない。
コミュニケーション不全の物語である。
80年代から始まる「自分探し」をテーマとした小劇場演劇は、同時に「コミュニケーション不全」の物語として現在も続けられて来た。
ますます「自分」を探し難い時代になった。
コミュニケーション不全の問題は現在進行形で、これを扱う演劇のラストは、奇麗事で終えるか、答えを出さずに終わるしかない。
心の壁を崩して、外に飛び出した主人公だが、外の世界にある筈のコミュニケーションは、既にそこにも無かったのだ。
雑踏の中、うずくまった主人公に、初めて触れ合う現実の女性は、単なるバイト仲間ではあるけれど、ついに彼は虚構から脱却し現実への入口を発見したのかも知れない。
悪くないラストシーンだ。
この作品が鈴木氏にとって、大作の合間の骨休めとは思えないし、テーマ的に幼いとも思わない。
人の進化の行き着く先はどこなのだろう。
現在が時間の流れの最先端ならば、間違いなく今が進化の最先端でもあるのだ。
その現実を描こうとして、結果的に本作に行き着いたと考えるのが妥当ではなかろうか。
作品の方向性がコミュニケーション不全に向かい過ぎていて、人の進化を描く物語が希薄になってしまっている。
実は虚構依存やコミュニケーション不全も、進化の過程の一プロセスにしか過ぎず、人類が近い将来に更なる進化を遂げるならば、人はこの先どこに向かうのであろうか。
それもまた、近い将来に舞台作品として描かれる日が訪れるに違いない。

【観】千里高校『24'12』

1d4e8b7c.jpg千里高校
『24'12』
作/水本麻里子
脚色/千里高校演劇部
演出/多田剛志
@シアトリカル應典院

舞台上ではじけ、楽しみ、一生懸命で、高校演劇の醍醐味を詰め込んだような見本的作品。
舞台装置は中央に間口2間の3段階段と、上手側に斜めに措いた2段階段。
天井の高さをカバーする階段状の切り出しをバックの下手側に飾り、空間を埋めている。
全体スカイブルーの舞台美術は、単色では周りの黒に馴染まないので、色調を3段階くらいに変えると良い。
舞台美術に奥行きが生まれる。
これまでに何度も書いて来たが、客席と舞台が同じ高さの場合は、寝転ぶ芝居や座り芝居を舞台前でしてはならない。
最前列の観客が壁となり、後方の客席からは全く見えないからだ。
小道具を床に置くのも御法度で、本作の場合はアタッシュケースの中は全く見えない。
出来る限り舞台奥で演技し、小道具は一旦持ち上げる配慮が必要となる。
音楽は場面に合っているからと言って、その場だけ用いると、短く浮いた状態となり逆に違和感を与えるので、前後の繋がりのシークエンスを考えて挿入すること。
不要なシーンが多過ぎる。
場面転換は不要な暗転を整理して、登退場転換に変更すると良い。
また暗転のブリッジ曲も、暗転が短いなら不要なので、短い音楽は極力省く方が良い。
音響と同じく照明の切り替わりが早急で、ぶつ切り感が強い。
フェード技術を身に付けたい。

【観】七月ハリケーン『りゅうのはなし』

536d6819.jpg七月ハリケーン 第五回公演
『りゅうのはなし』
原作・演出/七月ハリケーン
脚本/ふじまるしの
@芸術創造館

端正に作られた真っ白の舞台美術が、黒の舞台に映える。
物語は完全なるトリプルプロットで、3つの物語が交差しながら進行し、ラストで融合するオーソドックスな構成である。
舞台美術に呼応した白黒の衣裳は、3つの物語に合わせた3種のデザインで、その舞台美術と衣裳に溶け込まない唯一の存在が主人公の「りゅう」である。
人で在らざる存在として、彩りのある衣裳を纏い、3つの物語に姿を現す。
3つの物語には、それぞれ祈りを抱く女が居て、その女の傍には男が居る。
太古の昔、女は時折村を襲う洪水を鎮めるための人身御供として「それ」に捧げられる。
しかし女には愛する男が居て、村に戻ることを許されたが、やがて産まれた子供は異形の者であった。
戦いの時代、女は戦士であった。
街の平和のため、「それ」の声が聞こえる唯一の英傑として異国と戦い、異国の街を滅ぼした。
戦火の上がる最中、女が誤って殺してしまったのは、探し求めた実の妹であった。
近い未来、女は科学者だった。
勢力を広げる「それ」を研究し、「それ」から逃げ出すべく、空飛ぶ船で大移動が始まる。
女は逃げるのを止めて、「それ」と過ごす決意をする。
「それ」は3人の女たちから、「りゅう」と名付けられ、初めて名前を得る。
「りゅう」にメタファーされるのは、もちろん自然であったり人智を超えた存在でもあるが、同時に人が生み出せし原子力や放射能を隠喩している。
使い方を誤ると、その恐ろしい猛威から逃れる術はなく、見えざる恐怖はじわじわと侵略し襲い来る。
劇中では、その放射能の影響で女の産んだ子供は異形の者となり、兵器としと用いれば強大過ぎる威力は肉親をも滅ぼし、融解した原子炉の周辺は誰も住めない死の土地となってしまう。
だが決して、原子力自体が悪い訳ではない。
やはりそれを扱う「人」の問題なのだ。
かなり飛躍したメタファーだが、それを紐解くヒントは十分に散りばめられている。

【観】山田高校『A Justice 〜真実を知る権利〜』

40f10f9b.jpg山田高校
『A Justice 〜真実を知る権利〜』
脚本・演出/臼井良介
@メイシアター中ホール

広い中ホールの舞台を区画分けすることで適切な演出処置を施している。
舞台前の両袖寄りにアナウンサーブースを設け、舞台中央を横長に編集部の室内とし、上手側にデスク、下手側に応接セットを据える。
舞台奥の中央に拘置所の面会室を作る。
この配置では、舞台装置の配置は三角形となり、客席からは大変見やすく、エリア分けすることで広さ負けすることもない。
置きポンでオーソドックスながら、最適な作り方である。
置きポンとは、持って来てポンと置くだけで完成する舞台美術のことで、仕込み時間の少ない高校演劇コンクールでも、しばしば採用される方法である。
音楽は適切ながら、冒頭にヴォーカル曲を採用するのは良くない。
歌が台詞と喧嘩するからだ。
しかし音量は極めて適切で、聴かせ所では大音量の音楽を流し、物語に緩急を付けている。
場面転換には、役者による登退場転換を採用し、場面の終わりが近付くと次のシーンの役者がオーバークロスして登場し、場面が終わると同時に照明変化で次の場面にスイッチして、タイムラグなしに場面転換を可能にしている。
場面によっては次の場面に即座に移れないシーンもあるので、一旦ブルー場にしてから次のシーン明かりに移行すると、よりスムーズになる。
脚本は内容的にも説明台詞が多くなるので、会話台詞で構成できるようにすると良い。
マスコミの在り方と、真実を伝える正義について、作者の考えが良く描けている。

【観】長尾高校『パレード旅団』

0fbdedea.jpg長尾高校
『パレード旅団』
作/鴻上尚史
演出/藤森一光
@ウイングフィールド

鴻上尚史の『パレード旅団』を大胆に潤色し、65分の中学生編のみを抽出する。
この戯曲はイジメを題材にした中学生のパートと、家庭崩壊を描いた家族のパートを交互に描いたダブルプロットの作品で、いじめっ子の包囲されながらもイジメに立ち向かう中学生たちと、台風のさなかに家庭崩壊の危機を修正しようとする家族が、再生に向けて交錯するスイッチプレイが加速度的に速くなり、やがてシンクロするのが見事なのだが、本作ではそのスピード感は得られない。
イジメにテーマを絞った分、途中から崩壊に向かう物語が刹那的で、絶望感が強い。
舞台はほぼ素舞台で、下手奥に白いロープで象ったドアの開口部があり、その横には電話台、その上に赤色のコードレス電話が置かれている。
時代設定は示されないが、携帯電話はないがネット環境のある時代。
潤色に当たり時代設定を加えるのは重要で、普遍的なテーマゆえ時代的な違和感には注意したい。
下手前の大臣幕が3尺ほどあるので、一番下手側の客席からはドアからの出入りが見えないので大臣幕を無くしても良い。
音楽は劇中のお遊びシーンに挿入されるが、短いので無くても良い。
それに伴う照明変化も、色彩の変化に大胆さが欲しい。
演技は正面芝居が多く、全員が前舞台に固まる場面が多いので、もっと舞台全体を使いたい。
冒頭の傘のパフォーマンスシーンが浮いてしまうので、暗転中など雨の効果音を有効に使うと良い。
ガラスの割れる破壊音も、数種類準備するとバリエーションが生まれ、音量や音質の調節により距離感も作り出せるので試してみて欲しい。
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