HPF2016
清風南海高校
『まつまちへ』
作/中辻英恵
演出/小林留奈
@シアトリカル應典院

OGの書き下ろした脚本がとても良く書けている。
登場人物6人を時系列に沿った二人芝居の連続で構成し、「待ち合わせの町」の物語を語り継ぐ会話劇によるライトファンタジー。
短い二人芝居の各場面には必ず「待ち合わせの町」のテーマ曲が流され、一人が舞台から去ると転換曲が挿入されてブルー場となり明転(あかてん)される。
このセオリーに従って最終景まで進むので、3場あたりにはこの構成が解るように作られている。
友から友へ、姉から妹へ、先輩から後輩へと二人芝居で語り継がれた「待ち合わせの町」が、最終景で最初と最後に登場した2名による二人芝居になるのは予想通りなのだが、ほんのタタミ1畳ほどの「待ち合わせの町」が実際に舞台に登場するのは秀逸なアイデアと言える。
脚本上で惜しいのは、1場と最終場が公園なのか空き地なのか場所がはっきりと判らないのと、この世界そのものが「待ち合わせの町」であることを劇中で語ってしまう部分で、台詞で語るではなく劇中の会話から観客に空想させ、想像を膨らませ、この町が、この国が、この星が、この世界そのものが「待ち合わせの町」なんだなと、答に行き着く台詞構成に出来れば最良であった。
舞台美術はシンプルで良いのだが、舞台奥に立てた4色の柱が意味を成さないので単色の方が良い。
白かグレーなら照明も映える。
照明は場面ごとに工夫して地明かりのパターンを変えてあるのだが、シーリング(前明かり)が強過ぎて色明かりを消してしまい、同じ場所の1場と最終場だけを同一の照明プランにしたアイデアが、ほとんど効を成さない。
地明かりは頭上からの照明をベースにして、シーリングは陰影を消す程度に抑えると良い。
会話の内容から場所が違うのは明白なので、全ての場面明かりを変えずとも室外や校内を全体明かりで、狭い自宅の自室を中央部だけのエリア明かりに、この2パターンあれば十分で場面により明暗を付けて夕方や夜の場面はアンバーやブルーを足せば良い。
場景を助けるために音響で効果音を足すべきかと思う。
オーソドックスだが、夏の場面にはセミの声を、道路脇なら車の行き交う音を、公園なら子供らのはしゃぐ声を、朝方には鳥の鳴き声を、室内でドアの開閉音等、効果音を挿入する余地は多い。
演出は同じ構成の場面が続くので単調になりやすく、会話の間(ま)を大切にする余り、間延びしてしまう。
採るべき間は重視しながら、テンポ良く演技が進むよう会話を流すことも留意したい。
稽古は十分に成されていて、役者のミスはほとんど無く、非常に好感の持てる作品だった。