7/25(火)HPF2017
工芸高校
『サンタクロース・コンプレックス』
作・演出/南希美砂子
@シアトリカル應典院

2年生による創作劇。
舞台奥に高台(二重舞台と言う)があり、ベンチが1脚置かれている。
主人公が老人とベンチで会話するお芝居で、会話の内容である主人公の回想が舞台前部で劇中劇として描かれる。
このように劇中劇を持つ構造の演劇をメタフィクションと言う。
ここがどこなのか、いつなのか、説明しないまま物語が進行するのが大変良い。
主人公の淋しさが観客に伝われば問題ないので、くどくど説明を加えれば加えるほど嘘くさくなる。
効果音で風の音や、遠くから聞こえる街の賑わいを流しても良い。
主人公の独りぼっちの淋しさがより一層深まるはずだ。
二重舞台の淋しさに対比して、劇中劇は明るくカラフルに幸せな時間が描かれ、やがて恋人との別れが訪れる。
二人の出会いから別れまでの全てを描く必要はない。
回想シーンには楽しく明るく幸福な場面を作れば作るほど、二重舞台上の淋しさがどんどん際立つ構成になれば、静と動、淋しさと楽しさが明確に対比されてより良くなる。
ダンスを挿入しても良いかも知れない。
ラストシーンで主人公が悲しくなればなるほど、恋人との突然の再会を誰もが祝福し、サンタクロースの優しいプレゼントが輝いて見える。
工芸高校のスタッフワークは上出来である。
何より前明かりを抑え、無駄な光量を照らさないのが良い。
二重舞台を暗いブルーに染め、淋しさを上手く表現している。
もし前明かりを強くしていたら、舞台はあのように美しくブルーに染まらなくなってしまう。
途中、何ヶ所か照明変化してから音楽が流れる場面があったが、キッカケとして逆の方が望ましい。
人が感じる情報の9割は眼で視認する情報で、演劇の鑑賞にも同じことが言える。
劇中にで突然照明が変化すると、無意識にそちらに眼が向いてしまいかねないし、違和感を与える事もある。
先に音楽を流すことで耳から音の情報が先行して入り、それから照明変化すると眼からの情報が緩和され、照明変化が緩やかに感じられる。
音楽の挿入時のほとんどが音楽先行、のちに照明変化である。
覚えておいて損はない。