7/31(月)HPF2017
大谷高校
『こどもの一生』
作/中島らも
潤色/演劇部
演出/石黒陽菜
@一心寺シアター倶楽

HPF2017最終日、一心寺シアターを締めくくるのは大谷高校である。
本年もまた潤色作に挑む。
中島らも氏の1990年初演『こどもの一生』は、当時の時代のキーワード、[テクノストレス][精神カウンセリング][ヴァーチャル・リアリティ]と言ったテーマを組み込み本作を2時間の演劇作品として創作したと言う。
もちろんその時代に起きた政治や事件、社会の話題をふんだんに組み込んで作劇されたものと思う。
反資本主義的な台詞や、88年に開通した瀬戸大橋の利権問題等、宗教的な問題も挿入されていたと思うが、大谷高校は時代にそぐわない部分を大きくカットして、物語の中枢部分をなぞる潤色で90分作品に仕上げている。
元々中盤までが面白く、終盤ホラーに変わる作品だったのだと思うが、潤色によりコメディとホラーのバランスが絶妙となり、加えてラストは大幅に書き換えてある。
オリジナルは絶望的に怖いらしい。
それはともかく、大谷の話に戻そう。
配役の妙もあるが、大谷高校は伝統的に全員が芸達者で、それぞれに個性が強く、キャラクターが見事に立っている。
音響や照明の技術はまだまだ未熟だが、決して下手ではなく、最低限の及第点は常にキープされている。
基本は役者で見せる、お客さんに自分たちを見て楽しんで貰おうと言う、おもてなしの精神が全員に行き届いているのだ。
これは全ての演劇に通じるとても大切な精神性の一つで、これが観客に伝らないとお客さん全員を味方にすることは叶わず、本当の意味で観客を楽しませることも出来ない。
大谷高校は初見のお客さんも含めて、劇終を迎える頃には観客全員に愛されている。
それが大谷演劇部の持ち味であり、最大の武器とも言える。
だから大きなミスでもない限り、特筆して言うべきことがいつも無い。
内容を掘り下げた方が良い作品なら、もちろん検証も怠らない。
だが毎年HPFで大谷を見に来る時は、いつもの大谷かどうかを確認しに来るだけになる。
皆が先輩から素晴らしい精神を受け継いでいる。
そしてそれは、来年もきっと変わることはない。