HPF2017『一劇心奪』 総括
7/21(土)〜7/31(月)


28年目を迎える26校による3劇場11日間のHPF2017、今年も暑く、熱い夏の祭典であった。
第6回HPF(1995年)から講評を引受け、23年が過ぎた。
スペース・ゼロが主催の頃はHPF出場校の全ての作品を観ていた。
主催がHPF実行委員会に代わり、会場やシステムも変更され、講評はサポーター制になって全ての作品は見られなくなったが、演劇人やOB・OGの講評者が増えたことで多くの視点からの講評が可能となった。
しかし舞台技術者のサポーターは少なく、スタッフワークの進歩は牛歩になったように思う。
それは単に舞台技術スタッフの講評者が少ないからだ。
各校に最低1人は舞台技術スタッフの講評サポーターを確保することが、HPFの急務に思う。
嬉しいことにHPFの演劇の質は毎年着実に上がっている。
だがスタッフワークに進歩が見られないのは、先輩から後輩に技術が正しく伝わってないからであろう。
大切なことは文章や図にして残すようにしたい。
たった1人が苦心して図解と文章による詳細、注意点を作成すれば、末代まで残る。
今年のHPFも観劇校の半数が照明のシーリング(前明かり)を正しく扱えず、明かり作りを失敗していた。
昔、高校演劇でホリゾントが頻繁に使われていた頃があり、時間の経過や感情表現をホリゾントの色変化に使う訳だが、効果的な使い方を理解してる演劇部がほとんど無くて、大黒にした方が良い作品までホリゾントを使いたがる演劇部も多かった。
効果的にホリゾントを用いる演劇部は、総じて顧問に照明の知識がある演劇部で、知識に乏しい演劇部にホリゾントのデメリットを繰返し伝えてきた。
HPFではホリゾントを使う演劇部が減り始め、ついにはどの劇場も大黒を基本設定とし、ホリゾントは使いこなせる演劇部しか用いなくなった。
そして今はシーリングの注意ばかりしている。
繰返し伝えなければならないほど、前明かりの使い方を知らないからだ。
ホリゾントは知識と技術がないなら使わなければ済むが、シーリングを使わずに演劇は済ませられない。
地明かりは舞台の上からの照明で作るのが基本で、顔や顎の下に陰影が出ない程度に前明かりを灯す、それだけのことが上手く後輩に伝わらない。
基本的な使い方さえ覚えれば、舞台スタッフは面白く遣り甲斐のある仕事ばかりだ。
しかもその基本は、実はそれほど難しくはないのだ。
さて、今年度からHPFでは講評のやり方が変更され、講評会で観劇校一つ一つの講評を述べるスタイルが改められ、講評文を提出し講評会では総括のみを述べることになった。
私は2005年から始めたblog『舞監@日誌』で、観劇した舞台作品全ての感想を書いて来たが、年間の観劇数が300を超えた頃からブログに費やす時間が確保できなくなり、ブログを制限することにした。
依頼された講評は、コンクールや演劇祭のホームページ(space×drama等)に書き込むようにして、劇団からの要望は直接劇団に劇評を送り、劇団のホームページに掲載して貰うようになった。
だが、高校演劇の講評だけは今もブログを毎年続けている。
講評を書くことは他の講評サポーターにとっても非常に有意義であると思う。
書くことと話すことは別の脳を使う。
頭の中を整理して、違った角度から作品を見直すことを可能にする。
それに思わぬ副産物があるのだ。
ある年、他府県の高校演劇連盟より連絡があり、県大会の審査員をお願いされた。
訊けば、高校演劇の講評を書いたブログを読んで、是非とも審査員をお願いしたいとの依頼であった。
もちろんお引き受けすることにした。
その後もブログのコメント欄にご依頼を頂いたり、更には大会会場で違う地域の関係者から審査員をお願いさて次々と御縁が広がり、県大会やブロック大会の審査、分科会への登壇、演劇部顧問への顧問講習会講師、大会の舞台監督と、多くの高校演劇のサポートへと繋がった。
中でも嬉しいのは講評した作品の脚本を書いた高校生や、観劇した作品に出演した高校生が、ブログのコメントに作品の意図を解って貰えて嬉しいとか、指摘された改良点を具体的に直すにはどうしたら良いか?とか、質問や感想を頂いた時で、その都度必ず返答を返している。
最近も他府県の大会でコメントに質問をくれた高校生が、大阪の大学に進学し、卒業後劇団を旗揚げ、5年前にお世話になりましたと挨拶してくれた。
嬉しい、でも思い出せない、困った。
そんな時にブログ内を検索すれば、ちゃんと記録が残っている。
過去の自分に感謝する。
そんな訳でサポーターの皆さまに、講評文を詳細に書くことをお勧めするのだ。
出来ればウェブ上に残していけば、きっと誰かの役に立ち、それがいつか新しい出会いに繋がり、延いては自分自身に利益を運んで来てくれることになる。