そして物語は穏やかな時へ・・・



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ビブリア古書堂の事件手帖7
~栞子さんと果てない舞台~

著者:三上 延
メディアワークス文庫


あらすじ:
ビブリア古書堂に迫る影。
太宰治自家用の『晩年』をめぐり、取り引きに訪れた老獪な道具商の男。
彼はある一冊の古書を残していく――。

奇妙な縁に導かれ、対峙することになった劇作家ウィリアム・シェイクスピアの古書と謎多き仕掛け。
青年店員と美しき女店主は、彼女の祖父によって張り巡らされていた巧妙な罠へと嵌っていくのだった……。

人から人へと受け継がれる古書と、脈々と続く家族の縁。
その物語に幕引きのときがおとずれる。




ネタバレ具合:中




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 どんなに熱い鉄も、いつまでも放置していると冷え固まって打てなくなります。
 どんなに熱中していても、長い期間間が空くとやっぱり多少はその熱がなくなってしまうものだと思います。
 長い事右側が空白になっている、本棚の6巻を見る度に、徐々にその熱が失われている事を実感してきました…。
 前巻の発売から二年三ヶ月ぶりの続刊ですからね。さすがに…。
 大まかなあらすじは覚えていますが、これだけ期間が空いてしまうと物語の細部はさすがに忘れてしまっていました。
 なので、7巻の発売がアナウンスされた時にもう一度6巻を読み直そうかと思ったのですが、ただでさえ読書に割ける時間が少ない中、積み本が大量に増えてきている状態になっているので、もう一度読み直す時間は取れないと判断して、そのまま7巻を読み始めました。
 ところが、作者の方もこれだけの期間があったからか、序盤はこれまでのあらすじを交えての構成にしてくれていたのはありがたかったです。



 6巻のあとがきで、このシリーズもあと一冊か二冊で終了と書かれていましたが、この巻で終了という事です。
 前もって告知されていたのですが、あと二冊か。という言葉があったので、一冊での終了は結構堪えました。まぁ、始まりのがあれば終わりがあるものですから、仕方ないことですが、残念ですね。

 さて、今回のお題は、四〇〇年前に刊行された、シェイクスピアの戯曲集です。
 当然、その本の事はまったく知りません。シェイクスピアは知ってますが、シェイクスピアの作品も詳しくは知らない無知な人間です。
 でも、このシリーズの例によって、お題の内容を知らなくても楽しめます。安心してください。



 今回はこれまでのシリーズとは少し趣向が違っている様に感じました。
 このシリーズは、お題となる本に関わった人間の物語を、主人公とヒロインが推理していく、ビブリオミステリーでした。
 もちろん、今回もその要素はありますが、それ以上にサスペンス面と言いますか、駆け引きが楽しめた内容だったと思います。
 あまりネタバレしないように書きたいのですが、未読の方はここから先は注意して読んで下さい。
 主人公たちにとって、深い縁の本、太宰治の晩年。
 その事件に終止符を打つために踏み込んだ取引で、巨額の負債を抱えてしまうことになったビブリア古書堂。
 そこから引き金となって、シェイクスピアの戯曲集を巡る物語へとシフトしていきます。
 このシェイクスピアの戯曲集を巡る内容が、これまでの推理物ではなく、駆け引きをメインとしたサスペンス風に感じました。
 特に最後の見せ場の場面を、頭の中で強く描きながら読んでいると、止められないくらい面白く感じました。
 長年いがみ合っていた二人が、協力体制をとった時の爽快感も良かったです。



 もっと書きたいことはありますが、さすがにネタバレを回避しつつになると難しいので、内容に関しての感想はここまでにしときます。
 個人的に完全にスッキリしたラストではありませんが、この物語はここで終了。
 あの人物が最後に見せた行動は、どういったものからなのか? 一つ大きな疑問が解消されていませんが、それは自分の中の答えで補うとして…。



 この7巻で、シリーズは終了ですが、あとがきによると、この物語では描けなかった視点、エピソードがまだまだあり、本編とは別の形でこのシリーズは続けていくとの事です。
 その中の一環でしょうか? 先日電撃文庫から、作者の三上延先生が原作を担当し、別の作家が手掛けたスピンオフ作品『ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌』がリリースされています。
 本編は終了しましたが、こういう形で続いて行くビブリオを楽しみ待ちながら、制作が決定した、実写&アニメ化の映画の方もどうなるか、色々な意味で楽しみです。
 実写化は正直不安しかないのですが、どうなんでしょうね?
 あの大ゴケした月9のイメージをどう払拭するか?
 個人的にはあのドラマの所為で、この原作自体のイメージにも少なからず影響はあったと思いますし…。
 自分はこの作品と出会った当時から、アニメ化した方が良いのでは? とずっと思い続けていたので、今回のアニメ映画化の方は大歓迎!
『君の名は』の影響で、アニメ映画への注目が上がっている今の時期にはもってこいだと思いますし。
 欲を言えば、映画よりテレビアニメでじっくりストーリーをなぞって欲しいのですが、どうでしょう?
 映画は二時間という時間制限があるので、そこでどこまでこの物語を語れるか?
 そう考えると、やっぱりテレビアニメが一番かな? という気がします。
『舟を編む』をアニメ化した、ノイタミナ枠で…。

 最後は脱線してしまいましたが、これで感想を終わります。