2013年06月15日

お客様を歩かせないことにより売り上げを上げる百貨店のフロアモデル

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Oval-Link Co.,Ltd

VMDにはインストアマーチャンダイジングという学問がある。
これは以下の公式になりたつ。

お店の売上 = 売場数 × 売場立寄り率 × 
買上げ率 × 客単価 × 通路歩行者数
※数字は平均

百貨店は広大なフロアがあり、メーカーはそのフロアに売場を持つ。
フロア内にはたくさんの売場があるため。
お客様を歩かせれば歩かせるほど
フロアの売上が上がる。

以前はこれが常識とされた。
しかし今は違う。

お客様を歩かせないことによって、
フロアの売上を上げるのだ。
これは、このほど改装オープンした
新宿伊勢丹と阿倍野ハルカスに
見ることができる。

どういうことか解説しよう。

これらのフロアでは、売場面積を1割縮小し、
休憩スペースを
取ることにより、お客様を歩かせない工夫をしている。
つまり頻繁に休憩してもらうのではある。

広大なフロアでは年配者は疲れてしまう。
日本の百貨店は世界でも特異で、10階建て位の
長細いビルに集約されている。

つまり歩き疲れて、売場で商品を見る意欲が
なくなってしまうのだ。

百貨店は通常在店時間は1時間くらい。
思ったよりも在店時間は少ない。
郊外SCの1/2以下だろう。

これでは、限られた1時間の中で、メーカーは売場の
奪い合いになる。
これはテナントにとっても百貨店にとってもよくない。

そこで考えたのが、「お客様を歩かせないこと」。
頻繁に休憩させることにより、
体力補給時間→買い物嗜好時間を
長く取り、落ち着いて買い物をしていただく手法だ。

これにより、お客様の在店時間は2倍の2時間になり、
売上が増えるというもの。

それを狙ったのが、きのうオープンした近鉄阿倍野百貨店だが、
すでに3月オープンした新宿伊勢丹で実証されている。

新宿伊勢丹は、フロアにパークと呼ばれる休憩所をつくった。
カフェやシュースバーがあり、買い物客は休憩できる。

フロアの買い物客は、頻繁にそこで休憩し、
買い物試行時間を費やす。
ついでに飲食もするのでパーク内の売上も上がる。
そして、休憩が終わった後は、
商品をいいと思った店舗に引き返し、
そこで高額な買い物をするわけだ。

さらに他のお店も見てみようという気力が復活する。


伊勢丹のこの方法で、売場面積は1割ダウンして、
売上は1割上がったという。
「お客様を歩かせない方法」で売上を上げたのである。
この公式は以下のようになる。


お店の売上 = 売場数 × 
(休憩指数×(売場立寄り率 × 買上げ率 × 客単価)) 
× 通路歩行者数
※数字は平均

つまり、休憩すればするほど買い物意欲が増し、
売場立寄り率と買上げ率、客単価が向上するのである。

いつか、この指数をどこかの百貨店といっしょに
実証実験してみようと思う。

インストアマーチャンダイジングの公式が
根底から覆る日がもうすぐ来るだろう。


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