多文化家庭の増加に伴い、それに付随する問題もまた増えている。

夫の親戚のおじさんが全羅南道の農村部の小学校の教頭をしており、
その全校生徒の3割以上が多文化家庭の子供であることについては前回触れた。



多文化家庭もいろいろ


東南アジア出身の母親+韓国人の父親、という組み合わせが大多数で、
近頃はその東南アジア出身の母親の出奔が問題化しているようなのである。

しかも、子供を置いて逃げて行ってしまうので、
後には父親と子供だけが残される、というケースが大半であるらしい。


「なにしろ母親がいなくなってしまうわけですからね。
学校に関する子供の面倒も、すべて父親が見なくてはならなくて大変そうですよ」


親戚のおじさんは、首を横に振りながらそう語っていた。

言外に、子供を置いて逃げてしまうなんてけしからん、というニュアンスが、
おじさんの話し方や口調からは、はっきりと感じられた。

ところで、この話を聞いた時に自分が一番気になったのは、
家庭から逃げ出した外国人女性はどこに行くのか、という点である。

おじさんの話では、田舎から逃げて都市に行ってしまう、とのことだったが、
それでは彼女たちは都市で何をしているのだろうか?

日本だったら、場末のフィリピンパブで働く、なんていうのも可能だけど、
韓国にその手の店はあったっけな?


そのような話はネットで検索をかけてもあまり出てこないので、
というより自分の韓国語の検索能力に限界があるので、当事者に当たった。

つまり、光州に住むフィリピン人の知人に直接聞いてみた。

その彼女自身はワーキングビザで光州に滞在しており、
韓国人男性と結婚している「結婚移民女性」の一員ではない。

が、フィリピン人は同国出身者同士の仲間意識が異様に強く、
コミュニティもあったりして、日本人とは比較にならないほど横の繋がりも強い。

実際、その彼女も身近でいろいろなケースを聞き知っていて、
やや大まかな感じではあったものの、概要を教えてもらうことができた。

その話によると、逃げ出した女性が最初に行く先はシェルターである。
そこに滞在している間に、専門家の助けを借りて離婚準備を進めるらしい。

逃げ出す理由は、韓国人配偶者の暴力。

これらの女性たちは基本的に国際結婚斡旋所を介して結婚しているため、
韓国人男性の側は、結婚に際して業者側にそれなりのお金を支払っている。

この「お金を支払う」という行為が、嫁を「買った」という感覚になり、
自分が買ったモノに何をしても自由、と暴力に繋がっている可能性がある。

・・・というのは自分の個人的な解釈なのだが、
あながち間違いではないと思う。



韓国における多文化家庭の光と影


で、離婚が成立した後はどうするかというと、
そのまま韓国で暮らし続けるケースが大半であるとのこと。

なぜかというと、彼女たちの多くがすでに韓国に帰化しているため、
政府からの援助を得ることが可能だからである。

政府からの援助、というのが生活保護のことを指すのか、
あるいは母子家庭への補助金のようなものを指すのかはわからない。

いずれにしても、韓国籍を有する彼女たちへのサポートは手厚いらしく、
子供が一緒にいる場合、1人当たり毎月80万ウォンが加算されるらしい。

ここで少し話を巻き戻すと、韓国政府が多文化家庭を支援している背景には、
結婚移民女性によって少子化問題を解決したい、という狙いがある。

政府の思惑通り、中国や東南アジアを中心とした花嫁たちが国内に入ってきて、
多文化家庭を作り、子供たちを産み落としてくれている。

ここまではいい。

しかし、うまくいってくれるはずだった(国際)結婚生活が破綻し、
それらの韓国籍を有する結婚移民女性たちが国内に溢れるようになったら?

韓国籍を有している以上、政府は彼女たちの生活の面倒を見る必要が生じるため、
その数が増え続けていくと、国家の財政負担も重くなっていくことになる。

韓国政府が現在、多文化家庭への支援策を強く打ち出している背景には、
その結婚生活をなるべく破綻させないように、という計算もあるのかもしれない。

で、またまた話を巻き戻すと、その知人のフィリピン人女性いわく、
女性が自らすすんで子供を置いてきたケースは知らない、ということだった。

しかしながら、離婚を望む女性に対し、韓国人配偶者とその家族が、
子供を残して行くことを条件として挙げるケースはある、とのこと。

つまり、女性側は子供と離れたいとは思っていないのだが、
離婚してもらうために泣く泣く子供と暮らすことをあきらめるのだ。

夫の親戚のおじさんの話を聞いた時は、その話し方というか口ぶりから、


子供を置いて一人で都会に行ってしまう身勝手な母親


というイメージを脳内で勝手に思い描いてしまっていたのだが、
実際には全然違っていた可能性が高い。

もちろん、韓国人配偶者の立場から見れば、
自分と子供を捨てて逃げてしまった身勝手な外国人の嫁、となるだろう。

しかし、暴力に耐えかねて逃げることを決めた女性の立場からすれば、
自分の身を守るためには仕方がないことだった、ということになる。

正直なところ、どちらの言い分が正しいのかはわからない。
が、一方の側の話だけを聞いて物事を推察、判断するのは危険である。

ところで、今回の話を聞いてもう一つ考えさせられたのは、帰化について。

帰化するということはつまり、その国の国籍を有する国民になり、
もともとの国籍を捨てる、ということである。

Citizenship-throughNaturalization1


はっきり言って、いや、はっきり言わなくても、
これはものすごく心理的なハードルが高い行為である。

自分は韓国人と結婚して韓国で暮らしてはいるけれど、
韓国に帰化をする気は絶対にないし、日本国籍を捨てる気もない。

ところが、韓国人男性と結婚したフィリピン人女性たちは、
そのほとんどが、結婚とほぼ同時に韓国に帰化してしまう。


「母国に経済力がない、ということは、
国民による愛国心や愛着も育ちにくいのかな・・・」


いともあっさりと韓国に帰化してしまうフィリピン人女性たちを見て、
自分は漠然とそんなふうに考えていた。

というより、あまりその件について深く考えたことはなかった。
が、今回の一連の話を聞いているうちに思ったのは、


フィリピン人女性、意外としたたかやな(←なぜか関西弁)。


ということ。


結婚生活がうまくいかなくなることをあらかじめ見越していて、
もしくは保険のようなつもりで、韓国籍を取得しておく。

もちろん全員が全員、そのような考えを持っているわけではないとは思う。
が、あながち間違った考えでもないと思っている。

なぜかというと、日本のフィリピンパブの女性に騙され(?)て、
大金を貢いだ挙句にポイされたという男性の話を以前聞いたことがある。

それも、一人や二人ではないので、
したたかだ、というのもあながち間違いではないんじゃないかと思う。

参考までに、こんなサイトを見つけましたので貼っておきます。



必読 フィリピン人との結婚後に生じる一般的な事件