母の入院に伴う形で先月半ばまで日本の実家に滞在していたのだが、
その時にしみじみと感じたことの一つに、


ダイレクトメールの異様な多さ


があった。

毎日、郵便ポストの中に何かしらの郵便物が届いていたのだが、
その8割近くはダイレクトメールだったと思う。



Direct-Mail1


通販のカタログもあれば、買い物をしたことがあるお店からの案内もあれば、
聞いたことがあるようなないような化粧品や健康食品の広告の山、山、山。

当然ながら、それらのダイレクトメールは、
宛名と住所の部分を破り、そのままゴミ箱行きである。

中にはダイレクトメールの隅々まで目を通す人もいるのかもしれないが、
ほとんどの人は自分と同様に、即ゴミ箱行きにしているんじゃないかと思う。

送り付けてくる企業の方もその辺りはおそらく承知していて、
100人に1人でも見て(そして、買って)くれる人がいれば、という気持ちなのだろう。

これを資源の無駄と呼ばずして何て呼ぼう? という感じである。

ある健康食品の会社のダイレクトメールに至っては、
何とか酵素の開発の過程をご丁寧に薄いマンガ冊子に仕立てていた。

そこまではまあ、よくある話なのかもしれないが、
なんとまったく同じそのマンガ冊子が、3冊も同封されていた。

間違えて入れてしまったのかな、と思いながら同封されていた手紙を見ると、
1冊はお手元に、残りの2冊は親しい方やご友人にお渡し下さい、と書かれていた。

もう一度、資源の無駄だ! と声を大にして言いたい。
貴重なパルプをこんなもののために浪費してはいかん!

・・・と思うのだが、さまざまな会社からのダイレクトメールがこれだけ多いということは、
やはりそれなりの費用対効果があるからなのだろうな、とも思ったりする。

そんなこんなで大量のダイレクトメールをゴミ箱にぶち込み続ける日を送り、
韓国に戻ってきた時にあらためて思ったことがある。

それは、


ダイレクトメールの異様な少なさ。


少ないというより、ほとんど来ない、と言う方が近いかもしれない。

近所のスーパーや小売り店が特売のチラシをポストに投函していくことはあるが、
これらをいわゆるダイレクトメールと一緒に考えるのは少し違うと思う。

単に自分の家に届いていないだけで、よその家庭には届いているのかな?

と思ったのだが、同じヴィラのよその家庭のポストにも、
その手の郵便物はあまり届いていないように思う。

かと思うと、スマホや携帯電話に、
一斉発信の形でネットショップや分譲マンションの広告が届くことはある。

だから、韓国は日本よりダイレクトメールのデジタル化が進んでいるからか?
と思ったりもしたのだが、実は別の理由もあるのではないか、とふと思い当たった。

それは、


韓国の識字率の低さ


である。

まあ要するに、文盲率が高いというか、
文字の読み書きが満足にできない人が多いのである。

統計資料などを見ると、日本の識字率は99%以上になっていて、
韓国の識字率も日本と同様に99%になっている。

が、はっきり言うと、それはウソだと思う。
正確な数字はわからないが、実質的な識字率はずっとずっと低いはず。

今、韓国で60代から70代の世代にあたる人たちというのは、
朝鮮戦争の真っ只中、または戦後に生まれた人たちである。

戦中、戦後の動乱の中で、
まともに学校に通うことができなかった人も少なくないと聞く。

最近は見かけなくなったが、自分が光州に来たばかりの頃は、
主婦向けハングル教室、と書かれた広告をバスの中でよく目にした。

「主婦向けハングル教室って、一体なんだろう?」

と、その時はかなり疑問に思っていたものだったが、
読み書きができない人向けのクラスであることが次第にわかってきた。

実際、もうすぐ70歳になる義母も、小学校までしか出ていないため、
わりと最近まで、文字の読み書きが満足にできなかった。

自分で勉強して、今は読み書きはできるようになっているのだが、
銀行の手続き等がある時は、夫や義妹が一緒に付き添ったりしている。

また、自分は毎日のように近くの大きな郵便局に行くのだが、
そこで年配の韓国人によく「宛名を書いてくれ」と頼まれることがある。

荷物を送りたい相手の名前と住所が書かれた紙片を受け取り、
宅配便の伝票にそれを書き写してあげると、感謝される。

ああ、読み書きができない人が多いんだな、と思う瞬間である。

最近はあまりないが、以前はバスに乗っていた時に、
このバスはどこそこに行くか? とよく聞かれた。

すぐ目の前に貼られている路線図を無言で指差そうとして、
ああ、文字が読めない人なのかな、と思い当たる。

普通に生活していても、このような場面に出くわすことが多いので、
韓国の識字率は低い、ということには素直に頷ける部分がある。

コストをかけて読んでもらえないダイレクトメールを作成しても無意味なので、
企業側としても、別の方法で販促活動を行うようになったのだろう。

もっとも、これはあくまでも自分が立てた仮説に過ぎない。
が、あながち間違えてもいないんじゃないかな、と思う。

まあ、識字率が低い、というのが良いことだとは思わないけれど、
ダイレクトメールが少ないのは悪くないかな、って感じ?

届いたら即ゴミ箱、というのも、ちょっとした罪悪感を伴うしね・・・。