すでに何度か読み返したこの本を買ったのは確か、
去年の暮れに日本に一時帰国した時のことだったと思う。


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購入した場所は、代官山の蔦屋書店。
この本屋さんは本当に、覗く度にいい「出会い」がある。



代官山の蔦屋書店が好きな理由


さて。

狭い家、という言葉を聞いた時、
あなたはその言葉からどんな印象を受けるだろうか?

それはポジティブな印象か、それともネガティブな印象か?

正直に言うと、自分の場合は後者だった。
狭い家? そんなものの一体どこがいいの? と思っていた。

自分が今住んでいるのは50平米、2LDKの賃貸ヴィラなのだが、
最初の頃は、この狭さがどうにも不満だった。


「片付かないのは、家が狭いせい。
もっと広い家だったら、もっときれいに片付けられるのに」


片付けられなかったのは単にモノが多かっただけなのに、
当時の自分は、それを家の狭さと間取りのせいにしていた。

誰かと話をしていて、その人の家の間取りが3LDKだと知ると、


「片付かないのは、やっぱりウチが2LDKだからだな。
部屋がもう1つあったら、もっときれいに片付けられるのに」


と、これまたすべてを間取りのせいにしていた。
今思うと、責任転嫁もいいところである。

そして、いつもいつも心の中が不満でいっぱいだった。

その頃はちょうど娘が生まれたばかりの頃で、
慣れない育児に心身ともに疲弊していた時期だった、というのもある。

産後のホルモンバランスの崩れによる影響で、
とにかくちょっとしたことで、常にイライラしていた記憶がある。

ほとんどの時間を家の中で過ごしているのに、
その家の中の視覚的ノイズがすごく、それがイライラに滑車をかけていた。

いつかもう少し余裕ができたら、
絶対に広いマンションに引っ越すんだ、と思っていた。

広いといっても、広ければ広いほどいい、というわけでもないので、
34坪で間取りが3LDKならいいだろう、とそこは現実的に考えていた。

そういえば、娘がオリニチプに通い始めたばかりの頃に、
当時娘と仲が良かった男の子のお祖母さんのお宅にお邪魔したことがある。

そこは築20年近くになる45坪のマンションだったのだが、
広さに感動するというより、無駄に広いな、という印象しか抱けなかった。

聞くと、その男の子のご両親(つまりそのお祖母さんの娘夫婦)は、
同じマンションの24坪の部屋に住んでいるということだった。

自分はそれを聞いた時に、


「え、3人家族で24坪?
それって、めちゃくちゃ狭すぎるんじゃない?」


と、ものすごく失礼なことを心の中で思っていた。
約18坪のヴィラに住んでるお前がどの口でそれを言うか、って感じである。

でも当時の自分の心の中の声を代弁すると、


「今の18坪は仮の家だから。
次に引っ越す時は、絶対に34坪だから」


ということになっていたので、まったく矛盾は感じていなかった。

なんか、こうして当時の心境を思い出しながら書いていても、
我ながら、すげーひねくれていてヤな奴だったと思う。

・・・が、ある時ふと気がついた。

きっかけは、狭い賃貸暮らしでもDIYで自分好みの空間を作り、
暮らしを楽しんでいる人たちのブログに出会ったことだったと思う。

それを読んで、目からウロコが何枚もパラパラと落ちた。

どうせ仮の家だから、という投げやりな気持ちで過ごすより、
可能な範囲で心地良い空間にして過ごす方がはるかに建設的ではないか?

いつか34坪に、と「未来」のことばかり考えて「今」をないがしろにするより、
今、この瞬間を気持ちよく過ごすことの方がはるかに有意義ではないか?

同じ頃にミニマリズムの考え方にも触れたのだが、
そちらの方も、ストン、と腑に落ちたというか、大いに共感できた。

それから断捨離を重ねることによって家の中に溢れていた不要品を整理し、
大きなモノでは、本棚やタンスも処分した。



断捨離は楽し


ソファやコーヒーテーブルといった家具を自分の好みのものに買い替え、
カーテンも替え、気に入っていなかった壁紙も簡単なDIYで雰囲気を変えた。



我が家のリビング Before & After

住まい快適化プロジェクト:第二弾 コーヒーテーブル編

我が家の劇的ビフォーアフター:リビングのカーテン

我が家の劇的ビフォーアフター:リビングの壁紙


住まいが次第にスッキリとした落ち着ける空間になってくると同時に、
あれほど狭いと思っていた50平米が、十分すぎる広さに感じられるようになった。

そんなこんなで時が経ち、娘にも個室を与えてやりたくなったので、
娘が小学校に入学する前に引っ越しをすることを決めた。

34坪ですか、って?
いえいえ、もう20坪台で十分でしてよ。

というわけで、以前から気になっていたマンションの25坪の部屋を、
つい先日、公売で落札する形で無事に手に入れた。



ついに、公売でマンションを落札


今住んでいるヴィラと比較すると、50平米から60平米になるので、
単純計算で約10平米分広くなる。

しかしながら、間取りが2LDKから3LDKに変わり、
バスルームの数も1つから2つに増えるので、個々の部屋は小さくなる。

なので、自分としては今回の引っ越しを機に、
思いっきりミニマルライフの方向に舵を切るつもりでいる。

実際に引っ越しをするのは来年の2月の予定だけど、
それまでに、これまで以上の真剣さで不要品を洗い出すつもりでいる。

え、夫の部屋っすか?



捨てられない亭主改造計画中

続・捨てられない亭主改造計画中

本棚の整理で撃沈した話


新しいマンションの間取りは3LDKなので、
3つある個室のうち2つは、娘の部屋と寝室になる予定である。

残る1部屋を、いわゆる「夫の部屋」にすること自体は構わないのだが、
今までのように「書斎とは名ばかりの物置」化させることは断じて許さん。

それに、部屋のサイズ自体も今の部屋より一回り小さくなるので、
イヤでも持ち込む荷物を取捨選択してもらう必要がある。

だから、今から夫には口を酸っぱくして伝えてある。


「あなたの部屋から新しいマンションに運ぶことができるものは、
机、椅子、デスクトップパソコン、本棚1つだけだからね」


とな。

その本棚は結婚を機に購入した少し大きめの横長の本棚で、
そこに収まらない本や書類は、潔くあきらめてもらうつもりでいる。

まあ、人に厳しくするなら自分に対しても厳しくしなければならないので、
先週末に自分の本棚からもう読まない本を選んで古書店に持ち込んだ。

日本語の単行本5冊、韓国語の本3冊、
英語のペーパーバック1冊の計9冊を売って、2万8千ウォンになった。

正直なところ、まだまだ絞り込める余地があるので、
これに関しては引っ越しの前までにまたあらためて何とかする予定。

・・・と、このままではあまりにも「タイトルに偽りあり」すぎるので、
「あえて選んだせまい家」という本についても少しだけ触れておきたい。

この本は、たとえば、狭い家で暮らすにあたっての極意であるとか、
収納方法について知りたい人には、あまり参考にならない。

そういった実用書的な側面よりも、


「実際に『せまい家』での暮らしを選んだ人たちのインタビューを通じて、
彼らの人生観に触れてみる」


といった面が、より前面に押し出されている。

55平米で4人暮らし、30平米で2人暮らし、53平米で5人暮らしなど、
さまざまな家庭のケースが取り上げられているが、それらを読んで思ったのは、


住まい選びとは、すなわち取捨選択である


ということである。

え、当たり前すぎますって?

たとえば、通勤通学に便利な超都心の物件はどうしても価格が高くなる。
価格を抑えたければ、広さをあきらめなければならない。

ガーデニングを楽しむために庭が広い家に住みたいのであれば、
必然的に郊外の一戸建てが視野に入ってくるので、都心からは離れることになる。

すべての面で満足できる住まい、というのは現実的に難しい場合が多いので、
どうしても、何かを選んだら、他の何かをあきらめる必要が生じるのである。

自分の場合は、マンションの敷地内に小学校がある、という点を最重要視した上で、
立地、造景、ブランド、世帯数の多さも気に入っていたので購入を決めた。

が、正直に言うと間取りはビミョー。

同じ25坪でも、実際より広く見える間取りの25坪もあれば、
狭く感じる25坪もあり、今回の物件の場合は残念ながら後者の方。

なので、まったく悩まなかった、と言ったらウソになるのだが、
最終的には、間取り以外の条件が間取りの問題を上回っている、と判断した。


「ちょ、何言ってんの?
間取りって、家選びの際にもっとも重要な要素じゃない?」


と思われた方もいらっしゃるかもしれない。
だから、それはもう、人それぞれの価値観の問題になってくる。

他の何かを優先させるために、あえて「せまい家」を選んだ人がいて、
その人たちのエピソードが詰まった本が、この「あえて選んだせまい家」です。

アマゾンのリンクはこちら。
自分も引っ越しの前にもう一度読み返してみようかな。




あえて選んだせまい家 (正しく暮らすシリーズ)