主題を大切にしたアニメの素晴らしさ 「プリティーリズム・オーロラドリーム」総評

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プリティーリズム・オーロラドリームが、1年間、全51話の放送を終え、最終回を迎えました。
1話を見たときには「「ムズムズリズムにノリノリ乗りまくればwwwww」なにこれw」と半分バカにしながら見てましたが、いつの間にやら魔法の言葉「レッツダーンス」を詠唱するようになり、1年を経た今となっては終わることが本当に惜しい作品になりました。

みおん様の合流で一気に会話劇が楽しくなり、今まで単独技のみだったところがMARsによる団体演技でプリズムショーの華やかさが増し、社長とりずむママの過去・強敵のかなめちゃんの登場で大きく物語が動き出し、そして最終決戦を描いた49・50話は、正に1年間の集大成ともいえる素晴らしい内容でした。

単純にJUNさんの電波発言を楽しむだけ、プリズムショーシーンの出来のよさを楽しむだけの実況アニメとしても十分楽しめる作品でしたが、1年間の視聴を終えて今寂寥感を覚えるこの理由は、本作品の主軸がまったくぶれなかったことにあるのではないかと思います。

完全に信者的記事になりますが、この作品がいかに主題を適切に、そして大切に維持し続け、そしてこのことがいかに作品の魅力を押し上げていたか、総評として振り返ります。

本作品の物語の主人公はあいら、りずむ、みおんの3人。特にメインヒロインはあいらです。
ところが本作品の主題としてずっと据えられていたのは、それは「オーロラライジング」に他なりません。
そしてこの主題をずっと追い続けていたのは、第1話から「オーロラライジングを飛ぶ!」と宣言していたりずむです。
 
JUNさんにスカウトされてなりゆきでプリズムショーの世界に放り込まれ、所謂流されヒロインであったあいらは、第50話で「今まで目標が何かなんて分からなかった」と、観客の声援を前に省みています。
みおんは、当初は「今のプリズムショーの世界には、自分と張り合える相手はいない」として距離をとり、更にはオーロラライジングに価値を見出さず、「オーロラライジングを超えるジャンプ」を志向し、葛藤します。事実、最終決戦では、みおんだけはオーロラライジングとは異なるジャンプを披露し、満点を叩き出しました。
この2人とは対照的に、りずむは終始オーロラライジングを志向していました。

ここまで見ると、「りずむ以外は軸がぶれぶれではないか」と思われるかもしれません。
しかし、これらもすべて、オーロラライジングに絡めた展開に他なりません。
りずむは目標を持たないあいらと衝突し、しかし、彼女達との親交を深めることで心を成長させ、一時は黒化するものの、やはりあいらとみおんに救い出され、最後はオーロラライジング・ファイナルを決めることで、母との和解にたどり着きました。
りずむのキメ台詞「心、充電!」は、まさにオーロラライジングのためのパワーを、ここまでの40数話で溜め続けていたことに他ならないのです。
「プリズムジャンプは心の飛躍」、この言葉の意味することを終始一貫して紡ぎだしていたのがりずむです。

 本作品のすべての展開が、りずむとオーロラライジングを軸としていましたが、それではあいらやみおんはあくまでもサブとしての存在なのか。決してそうではありません。
あいらはりずむの良きパートナーとして、しかしオーロラライジングの悲しみの連鎖をとめるべく、決戦の舞台へ。
そしてみおんは、オーロラライジングを超えるジャンプのために自らの道を進む。
また、かなめはりずむの前に立ちはだかる。
更に、オーロラライジングに翻弄された社長とりずむママの物語がその根底に。
あたかも群像劇のように、しかしあくまでも、主軸は揺るがさずに、物語が紡がれていたのです。

故に、オーロラライジング・ファイナルで、りずむが母親に13年間の全てを見せて和解したその瞬間、この作品の熱さを感じ取れたのではないか。
りずむの13年間、仲間と、父親と育んだ日々を、それぞれのシーンのフラッシュバックで見せましたが、それぞれのシーンは、これまでにしっかり積み重ねられたものでした。りずむママが胸を打たれる演出としては、十分すぎます。

また、あいらがオーロラライジング・ドリームを飛び、社長とりずむママが往時の姿に戻り、二人が笑顔でオーロラライジングの翼を広げた瞬間。
じっくりと、しかし朝アニメの明るさを損なうことなく、しっかり描いていたために、ふたりがかつての姿になった瞬間の演出は神がかっていました。
そして連なるオーロラライジングの円環。時には「オーロラライジングの大安売り」「至難のジャンプとはなんだったのか」という声も聞こえましたが、決してそうではない。あくまでも、あいらのオーロラライジング・ドリームの中で、各自が心の飛躍を決めた瞬間なのです。
「プリズムジャンプは心の飛躍」という言葉の意味に、正に今このときに気付かされます。

確かに、このアニメがアニメ鑑定士1級のみなさんのお腹を満腹にできるかというと、違うかもしれません。
作画が崩壊した回もありましたし、バカバカしい描写も多かった、オーロラライジング・ドリームは最早爆笑の渦だったかもしれません。僕も初めて見た回が50話だったら、腹筋が崩壊していたと思います。
 
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それでも、各回の魅せ場としてのプリズムショー。それを支えるダンスシーンのCG、そして音楽。
特にオーロラライジング専用曲。是非録画していたら、ヘッドホンで聞いてみてください。
鍵盤の可憐なメロディーに併せて、しかしベースラインが躍動的に力強く、まさにオーロラライジングを演出する曲になっています。
話数が短くされたり、大惨事の影響でアニメパートが普通のアニメよりも遥かに短かったとしても、ずっとずっと主題を見失わずに1年間追い続け、魅せ場をまとめて見事に昇華させたこの構成の力には目を見張らざるをえない。

物語は、今日最終回を迎えました。
それぞれの目標が終わり、そしてオーロラライジングが進化することに気付いたJUNさんは新たなスターを探す旅へ。故にオーロラライジングにまつわる物語はここで一旦閉じます。
そしてあいら、りずむ、みおんは再度MARsとしてまた活動する…彼女達の目標も忘れずにしっかりと描写した脚本は流石でしょう。

あれもこれもとひとつの作品で追うのもまたよし、ただ「絶対に作品の主題を見失ってはいけない」と、改めて気付かされました。
この1年間、楽しませてくれたスタッフのみなさんに最大限の賛辞を送りつつ、本稿を閉じます。
是非未見の方は、どこかで一挙放送とかあればご覧ください。  

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