今日はちょっと暗いお話になりそうです・・・
今、暗い話は見たくないよなーという方は、どうかご無理なさらないでくださいね。


5月8日に「氷河期世代から社会がどう見えているか知って欲しいのです」という
ブログを書きました。

そこに「わたし定時に帰ります。」の著者、朱野帰子さんのコラム
つけたのですが、その中にこんな一説がありました。

「あの頃、『新卒採用を絞ろう』と決断した人たちがいたということを、私は忘れていません。
災禍は災禍でも、就職氷河期は自然現象などではない。上の世代の雇用を守るために人為的に
作り出されたものです。」

この一説は、わたしの中でずっとリフレインしています。
氷河期世代から見たら、こう見えて当然なんだろうなと。

ただ、そのころ30代半ばだった私の目からは、当時ちょっと違って見えました。
今日はそんな時代のお話を書きたいと思います。
氷河期世代が新卒採用の機会を奪われているときに、同時に何が起きていたか
少し書いてみたいと思います。



今、これを読んでくださっているあなたがおいくつかわからないのですが、
ご自身が1993年から2005年くらいに、何を考え、どのように感じていらしたか
思い出してみていただけると光栄です。


今書いた1993年〜2005年、このころ就職期を迎えた人たちを
氷河期世代と言います。
これは狭義であって、多少浮き沈みはあるものの、その後2008年のリーマンショック、
2011年の東日本大震災があり、日本は失われた20年を送ってきました。


私は1990年から13年ほど、人材紹介の仕事をしていたので、
ちょうどバブルからバブル崩壊、失われた時代を「雇用」と言う視点で
見せてもらえる、というか見つめざるを得ない立場におりました。

女性の転職が急に注目を浴びるようになった90年。
でも、現実的にはまだまだ転職が一般的ではなかった時代です。
とはいえ、そのころも人材不足が叫ばれ、「とりあえず誰か紹介しろ!」などということが
言われる時代でした。

そこから一転してのバブル崩壊。あの急展開は本当に驚きでした。
でも、そのころはみんな思っていたのです。一時的なものだろうと。
まさかこの先20年続くなんて、誰も思わなかったのです。


「あの頃、『新卒採用を絞ろう』と決断した人たちがいたということを、私は忘れていません。
災禍は災禍でも、就職氷河期は自然現象などではない。上の世代の雇用を守るために人為的に
作り出されたものです。」

確かに決断したのはそのころの経営者たちです。人災にも見えるでしょう。
でも、私は「上の世代の雇用を守るため」だったとは思えないのです。
なぜかというと、そのころたくさんの人がリストラに遭ったからです。

経費を削り、それでも足りなくてリストラをし、同時進行で新卒の採用を絞っていました。
退職者の補充はなく、3人がしていた仕事を1人でし始めた時代です。


1993年、パイオニアのリストラはリストラ時代の幕開けとして、とても衝撃的な記憶です。
1997年、山一證券の倒産・・・。
1999年、ブリジストンの社内で自殺者が出ました。


暗いニュースばかりが新聞に踊りました。


そのころ、人事部長の求人が多くなりました。
意外でしょう? それはね、リストラをするというミッションの人事部長でした。
もともといた社員には、あまりに辛くてできないので外から採用しようと言うものです。
人材紹介会社の中では「首切り職人」と揶揄されるポジションでした。

私のお付き合いのある人事部長の中にも、リストラを遂行せざるを得なかった方がいらっしゃいます。
彼らの中には、その仕事が終わったあと、自ら退職される方も多かったと思います。
「みんなに辛い思いをさせたのに、私だけ残れませんから・・・」と
退職のご挨拶にいらしてくださった方もいらっしゃいます。

また、リストラされる社員のリストを持参され、どこかに紹介して欲しいと
私の上司に頼み込みにいらした人事部長も何人もいらっしゃいました。
皆さん、今にも泣きそうな表情をされ、憔悴されていました・・・。

新卒採用の人数を絞って、ほかに何もしなかったわけではないのです・・・。

「上の世代の雇用を守る」というより、数年後に景気が戻ったときのために
組織だけは残さないといけないと言う判断だったように、私は思っています。


こんな背景だから、氷河期世代は我慢しろなんていうつもりはありません。
社会人になるドアさえ開かれなかった記憶は、まだやわやわした感性の年代の人には
本当に酷なことだったと思います。
でも、同時に起きていた世界も知って欲しい・・・。


そして2度とあの状態を体験したくないのです。
中国経済の不安など、オリンピック後の景気は危険視されています。
また同じ轍を踏まないために、ひとりひとり何ができるのかまだわかりません・・・。
政治に頼れるとは思えないので、真剣に考えないといけません。


今日のブログは暗いお話しでごめんなさい。
書こうかどうしようかとても迷いました。
氷河期世代の苦しみを前に、「私たちだって大変だったんだ」と言うお話に
なってしまいそうな気もします。
でも、そんなことをお伝えしたいのではなく、ひとつの現象が起きると同時に
いろんなことが起きていることをお伝えしたかったのです。

これをご覧くださった方のご年齢や、どういった立ち居地でいらしたかによって
見えていたものは違うと思います。
それぞれが痛みを感じていた時代でしたから、思い出すのもお嫌な方がいらしたかと思います。
ごめんなさい・・・。

それぞれの世代が対立するのではなく、お互いの背景を少し想像して
お互い思いやれるようになるといいな。

特に私たち50代は、まだパワーを持っているので、
意識して想像力を働かせましょうね。
私自身も自戒をこめて・・・。


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