phantasmagoria

読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。 (当ブログは全文無断転載禁止です)

またしても参加してしまいました。オンライン文具女子博の話です。
今回のテーマは「夏だ!文具だ!福袋だ!」ということでお得感のあるセット売りが中心。そして私も4回目のオンライン、しかもリアル文具イベントにもちょくちょく参加してるし、ロフトやハンズなどでもよく買い物してるので、シールやらメモ帳やら付箋やらマステやら、日常生活に必要な数量(?)はじゅうぶんそろってるんです。そろってるんですが……買っちゃうんだよなーーーーやっぱり!
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ということで今回の戦利品はこちらです。
今回はセットものを2つ購入。上半分の3点はhimekuriの「himekuriお楽しみセット ぶるー」です。一番目立つ大きな箱がマスキングテープケース。まさに「見せる収納」というやつです。なお手持ちのマステは33個入りました。実はあと数個入りませんでした(笑)。そんなに買ってた覚えはないんだけどな……。ケースの左側にあるのがセットになっていたノートと、先日文具ラボでも購入したhimekuri freeです。

下半分はワールドクラフトの「キラキラクリアフレークシール第1弾コンプリートセット」。その名の通り、箔押しクリアフレークシール8パックのセットです。キラキラいいですよね!

ということでまたしても散財している今日この頃なのでした。うーん楽しい!(笑)


*ここ1週間の購入本*
尾崎かおり「犬とサンドバッグ(下)」(ビッグコミックススピリッツ/小学館)
三枝零一「ウィザーズ・ブレイン 光の空」(電撃文庫/KADOKAWA)
紅玉いづき「今宵、嘘つきたちは光の幕をあげる」
紅玉いづき「今宵、嘘つきたちは影の幕をあげる」(以上、ポプラ文庫ピュアフル/ポプラ社)
西尾潤「マルチの子」(徳間文庫/徳間書店)
こざわたまこ「明日も会社にいかなくちゃ」(双葉文庫/双葉社)
松島智左「出署拒否 巡査部長・野路明良」(祥伝社文庫/祥伝社)
笙野頼子「母の発達・アケボノノ帯」(岩波現代文庫/岩波書店)
川崎賢子・編「左川ちか詩集」(岩波文庫/岩波書店)
太田愛「未明の砦」(KADOKAWA)
秋吉理香子「月夜行路」(講談社)
蛭田亜紗子「窮屈で自由な私の容れもの」(U-NEXT)
「ビジュアルデザインで愉しむ京極夏彦の世界」(玄光社)

禍
小田雅久仁
新潮社
2023-07-12

小田雅久仁「禍」
2011〜2022年にかけて「小説新潮」に掲載された短編7本を収録した作品集。狙ってなのかどうなのか、いずれも人間の身体の一部にちなんだ内容となっているのだが、どれもこれもタイトルにふさわしい、なんともおぞましい悪夢のような物語ばかり。その中でも特に印象深かったのは「食書」と「農場」の2本。「食書」はタイトルの通り「書」を「食」べる物語で、スランプ気味の作家が書店のトイレで本を貪り食う女に出会ったことから始まる悪夢。1枚食べたらもう引き返せないから、と女に忠告された作家だが、普通に考えて本は食べるものではない。けれど、だからこそ、もし食べたらどうなるのか――超えるはずのないその一線を越えた時、知らない世界が幕を開けてしまう。「農場」は仕事を失いホームレス寸前まで落ちぶれた男が、住み込みで働くことになった農場の光景が描かれていく。山の中に広がる農場と、そこで採れるあるモノを管理するプラント。有刺鉄線で囲まれ、外に出ることはかなわないその場所で育てられているものは、想像を絶するモノだった。これが何のために生み出され、どのように利用されているのかはわからない。けれどまっとうなことではないことはわかる。見えないけれどどこからともなく滲み出す狂気に追い立てられる、そんな作品だった。


化け者心中 (角川文庫)
蝉谷 めぐ実
KADOKAWA
2023-08-24

蝉谷めぐ実「化け物心中」
第11回小説 野生時代新人賞、第10回日本歴史時代作家協会賞新人賞、第27回中山義秀文学賞の三冠を達成した著者デビュー作を文庫化。文政期の江戸を舞台として絢爛豪華な歌舞伎ミステリとなっている。家族と共に鳥屋を営む主人公の藤九郎は、ある出来事をきっかけに、かつて一世を風靡した元女形の魚之助に気に入られ、しょっちゅう呼び出されては足代わりに連れまわされる日々。そんなふたりに依頼されたのはなんと鬼探し!?……というのも、新作芝居の前読み中に鬼が現れ、6人いた役者のうちだれかひとりを食らい、その人物に成り代わったのだという。そこでふたりは役者たちに接触し、日々芝居を見ながら調査することに。とはいえこの探偵コンビ、藤九郎は鳥のことしか頭にない朴念仁だし、魚之助は女形を辞めてもなお女のなりでいるものだから、いろいろとトラブルも絶えない様子。しかも魚之助――つまりかつての「白魚屋」「魚之太夫」の存在そのものが現役の女形たちを刺激するため、捜査もなかなか一筋縄ではいかない。そして調べれば調べるほどに、役者たちが抱える業の深さを、そして魚之助が抱える闇の深さを思い知らされるのだ。「化け物」とはいったい、だれのことだったのだろうか……。


花闇 (河出文庫)
皆川 博子
河出書房新社
2016-12-06

皆川博子「花闇」
「化け物心中」の解説で指摘されていたのが、魚之助のモデルとされる実在の歌舞伎役者、三代目澤村田之助の存在。付き人であった市村三すじを語り手として、この三代目澤村田之助の生涯を描いたのが本作である。幼い頃から圧倒的な実力と魅力を兼ね備えていた田之助の、その裏の姿まですべて見つめてきた三すじ。よく芸能人やスターなどが陰ながら努力するさまを白鳥に例えることがあるが(優雅に泳いでいるように見えて、水面下では必死に足を動かしている、というような)、田之助もまさにそれで、役者としての彼は優雅にして淫靡、絢爛にして純粋、至高の美しさとカリスマ性を備えていたが、裏では絶え間ない努力とあくなき向上心を持ち続け、なによりも完璧を求めてそれを周囲にも強いるという傲慢さもまた持っていた。見栄っ張りで強情で、けれど世間が求める「澤村田之助」という虚像を、だれよりも彼自身が強く望み追い求め、見事に演じ切ろうとしていたのだ。その「役者」たることへの執念は、時代の移り変わりのさなかでも、そして不治の病により四肢を失ってもなお消えることはなかった。見世物にされるとわかっていてもなお舞台に上がることを止められない田之助。狂い死ぬ最期の時まで役者であろうとした彼の生涯の凄絶さもさることながら、それを見届けた三すじの精神力にもまた驚かされる。田之助の死後、江戸――否、東京を離れた三すじが地方で目にしたのは、「澤村田之助」の幟だった。それほどにも人々の記憶に残る役者というのは、今の世には果たしているのだろうか。

ここ半年ほどの間に同僚が立て続けに退職することとなったのですが、いろいろあってお餞別係に任命されまして。で、退職祝いと言えばお花……しかし荷物になるし、独り暮らしの人だと花瓶持ってない可能性もあるしなあ……と考えた結果たどりついたのがハーバリウムでした。瓶の中に特殊な液体(オイル的なもの?)を入れ、様々なお花をオシャレに浮かべているアレ(語彙貧弱)です。私の描写はヒドイですが、実物はとてもキレイなんですよね。まあこれだって割れ物(瓶詰め)だし、説明書きに「1年程度もつ」と書かれていたのですがその後どう処分すべきものなのか?と思わなくもないですが、とりあえず生花よりは、と妥協しました(私が)(笑)。

で、相手の趣味や予算などを考慮しつつアマゾンや楽天であれこれ見ていたらほしくなるのが人間の性。つい自分でもひとつ購入してみました。それがこちら。
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うんキレイ。見てるだけで癒されます。
ただいま人は減ったのに繁忙期に絶賛突入中。しかも某インボイスの開始時期も近づいてますし(正直、今からでもいいので中止にならんかな〜〜〜!って思ってます。とにかくめんどいのもさることながら、他部署の面々があまりにも他人事な顔してるので正しく運用できる気がしないし……)。とりあえずこれを見ながら死なないようにがんばります。


*ここ1週間の購入本*
阿賀沢紅茶「氷の城壁4」(ジャンプコミックス/集英社)
島本理生「星のように離れて雨のように散った」(文春文庫/文藝春秋)
高野秀行「トルコ怪獣記」(河出文庫/河出書房新社)
三上延「百鬼園事件帖」
蝉谷めぐ実「化け物手本」(以上、KADOKAWA)
壁井ユカコ「2.43 清陰高校男子バレー部 next 4 years〈機咫廖塀険兌辧
津村記久子ほか「palmstories あなた」(palmbooks)

「2.43」の新刊が出てる!と気付いたのは発売日当日でした。9・10月の2か月連続刊行でシリーズ完結なんですね。なおタイトルは「高校」とあるけど、主人公たちもう大学生でした(笑)。

9/2〜3にコンベックス岡山で開催されている「ルピシア グラン・マルシェ2023」に行ってきました。お茶の専門店ルピシアが全国各地で開催しているイベントなのですが、参加するのは初めてです。
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会場となった大展示場のど真ん中には試飲ブースが設置され、イベント限定品も含めた様々なお茶が自由に飲めるようになっています。基本的には備え付けの紙コップに自分で注いで飲むスタイルですが、ところどころにスタッフさんがいて、手ずから配ってくれる時もあります。紅茶、日本茶、ルイボス、ハーブ、オルヅォと様々な種類のお茶がありますが、店舗に行っても試飲できるものはごくわずか。なので普段手が出しにくいお茶にチャレンジできるいい機会です。茶葉の匂いなら店頭で嗅ぐことは可能ですが、それがおいしいかどうかはまた別の話ですしね。

ただひとつ失敗したのが、試飲はすべて水出しだと思い込んでいたこと(笑)。半々か、どちらかというと熱いものの方が多い印象でした。なので熱いものをあわてて飲んでしまい、舌をヤケドしたのは秘密です(笑)。

それと、個人的に楽しかったのは地域限定茶のブース。一部の実店舗にはその土地の名物などをイメージした特別なお茶が置かれているのですが、そのミニ缶が一堂に会しているんです。試飲はないので匂いで判断するしかないのですが、地方の特色が出ていて面白い。そしてなによりパッケージがカワイイ。ずらっと並べられていると、オタク心に火がついて、全部集めたくなってしまいます(笑)。

また、お茶請けにぴったりなお菓子、スコーンや冷凍食品なども販売中。会場には食券方式の飲食ブースもあり、一部商品を注文してその場で食べることも可能です。私はその場では食べませんでしたが、スコーンがおいしいらしいと聞いていたのでつい買ってしまいました(笑)。

ということで戦利品はこちらです。
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茶葉は紅茶の「アップルパイ」「チョコミント」、地域限定紅茶の「海の唄」(茅ヶ崎限定)、烏龍茶の「メロン烏龍」、そして5,000円以上購入のプレゼントとしてもらった「メルシー・ミルフォワ」の5種類。そしてスコーンは「リッチクリーム」「ミルクティー」「大納言あずき」「ニルギリ&ブラッドオレンジ」の4種です。ちなみに写真の右上にあるのは、入場特典としてもらった岡山限定ハンドタオルです。桃太郎柄です。いやー買った買った。これで当面は茶葉を買わなくてもよさそうです……たぶん(笑)。


*ここ1週間の購入本*
米代恭「往生際の意味を知れ!8」(ビッグコミックススピリッツ/小学館)
羽海野チカ「3月のライオン17」(ヤングアニマルコミックス/白泉社)
川瀬七緒「賞金稼ぎスリーサム!」(小学館文庫/小学館)
高山羽根子「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」(集英社文庫/集英社)
帚木蓬生「沙林 偽りの王国(上)(下)」(新潮文庫/新潮社)
町田その子「コンビニ兄弟3 テンダネス門司港こがね村支店」(新潮文庫nex/新潮社)
今野敏「確証」(双葉文庫/双葉社)
呉勝浩「素敵な圧迫」(KADOKAWA)
武田惇志・伊藤亜衣「ある行旅死亡人の物語」(朝日新聞出版)
松閣オルタ「オカルト・クロニクル 増補改訂版」(二見書房)
「SFマガジン 2023年10月号」(早川書房)

SFマガジンで伴名練が「戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡」というコラムを連載しているそうなのですが、今回は山尾悠子を取り上げているとのことだったのでつい購入。単行本未収録の作品が結構あるらしいんですが、ぜひどこかでまとめていただきたく……!


羽根田治「これで死ぬ アウトドアに行く前に知っておきたい危険の事例集」
アウトドアに行く予定は特にないのだが(笑)、なんとなく気になった1冊。タイトルの通り、キャンプや登山など、アウトドア活動中に遭遇する可能性がありそうな危険について、実際の事例を挙げて分かりやすく説明してくれている。なお「山」「動物」「毒」「川や海」の4項目で分類されているのだが、個人的に一番気になったのは「動物」に出てきた「ダツに刺されて死ぬ」というもの。ダツというのは全長約1メートルの細長い魚で、鋭く尖ったくちばしと鋭い歯を持ち、光に向かって猛スピードで突っ込んでくる性質があるという。なのでナイトダイビングや夜釣り中などに、手に持ったライトに向かって突っ込んできた結果、手や体などに深く突き刺さり、そのまま失血死するケースがあるのだとか。もうその時点で怖すぎるのだが、もし刺さった場合の応急処置(抜くと大量出血する可能性があるが、ダツが生きたままだと暴れて傷が深くなるので、ダツの胴体を切り落としてそのまま病院へ行けとのこと)もとにかくコワイ。なんにせよ注意してしすぎることはないので気を付けようということで。


ラウリ・クースクを探して
宮内 悠介
朝日新聞出版
2023-08-21

宮内悠介「ラウリ・クースクを探して」
「小説トリッパー 2023年夏季号」に発表された長編作は、ソ連が崩壊し、やがて独立してゆくエストニアを舞台に、初期の電気計算機を使ってのプログラミングに魅せられた少年ラウリ・クースクの生涯を綴ってゆく。物語はラウリの幼少期から現代までを順に追っていくパートと、現代にある人物がラウリの足跡を辿っていくパートのふたつで構成されているのだが、そのふたつのパートが意外な人物を軸にして交わり、結末へと至る流れはドラマチックのひとこと。元は数字だけに興味を持ち、父親の勧めでプログラミングを学んでからはひとりで没頭していた――否、ひとりでせざるを得なかったラウリにとって、同年代のプログラマー・イヴァンの存在はとても大きなものだった。たとえ彼が、エストニアにとっては敵国ともいえるロシアの出身だったとしても。他者と交わるということに、その出自や国籍は関係ない――ないけれど、しかし時代がそれを許してはくれない。それはそのまま、現在の世界情勢にも通じている。しかしそんなしがらみを乗り越える力はきっとどこかにある。子供の時には持てなかったその力も、大人になれば持てることもある。時間の流れに救われることだって、きっとあるのだ。

ある日突然、何の前触れもなく「〇〇が食べたい……!」となることありませんか?私はあります。

ということで最近の私は突然「チーズおかき」が食べたくなりました。ブルボンが販売している、おかきでチーズを挟んだお菓子です。理由はわかりません(笑)。

その天啓(?)を得たのは仕事中だったんですが、帰宅して家族に話したところ、明日買い物に行くから探してあげるとのこと。それはありがたい!

そしてウキウキしながら帰宅した私に手渡されたのは……



三幸製菓の「チーズのイタズラ」という似て非なるお菓子でした……。

こちらも確かにおかき的なもの(公式によると「お米のクラッカー」)の上にチーズが乗っている商品なのですが(通常はその上にアーモンドが載っている「チーズアーモンド」という商品なのですが、この「イタズラ」はアーモンドがない状態になっています)、そしておいしいのはもちろんなのですが、やっぱり求めていたチーズおかきではない……!ということで改めて週末にスーパーをはしごして、ようやく大本命のチーズおかきをゲットすることができたのでした。めでたしめでたし。



ということで来週から、職場の机の中はチーズおかき系のお菓子でいっぱいになっていることでしょう……(笑)。


*ここ1週間の購入本*
はまぐり「シェパードハウス・ホテル2」(ヤングジャンプコミックス・ウルトラ/集英社)
藤崎竜「銀河英雄伝説27」(ヤングジャンプコミックス/集英社)
蝉谷めぐ実「化け物心中」(角川文庫/KADOKAWA)
矢部嵩「紗央里ちゃんの家」
矢部嵩「魔女の子供はやってこない」
小林泰三「AΩ 超空想科学怪奇譚」(以上、角川ホラー文庫/KADOKAWA)
志駕晃「まだ出会っていないだけ」(中公文庫/中央公論新社)
水生大海「マザー/コンプレックス」(小学館文庫/小学館)
羽根田治「野外毒本 被害実例から知る日本の危険生物」(ヤマケイ文庫/山と渓谷社)
宇野常寛「2020年代の想像力 文化時評アーカイブス2021-23」
NHKスペシャル取材班「原爆初動調査 隠された真実」(以上、ハヤカワ新書/早川書房)
宮内悠介「ラウリ・クースクを探して」(朝日新聞出版)
吉川英梨「桜の血脈」(双葉社)
石田夏穂「我が手の太陽」(講談社)
週末縄文人 縄・文「週末の縄文人」(産業編集センター)
「本の雑誌 2023年9月号」(本の雑誌社)

ケチる貴方
石田 夏穂
講談社
2023-01-26

石田夏穂「ケチる貴方」
雑誌「群像」に掲載された表題作と、第38回大阪女性文芸賞受賞作「その周囲、五十八センチ」を収録した作品集。「ケチる貴方」は原因不明の深刻な冷え性に、「その周囲〜」は腿の太さに悩む女性がそれぞれ主人公。しかし、前者はあることがきっかけで冷え性を克服する法則を発見し、後者は脂肪吸引を繰り返すことで腿のみならず全身をスリムにしていく。一見すれば悩みが解決したのでめでたしめでたし……と言いたいところだが、実際はそんな単純なものではなかったりする。それらの悩みそのものに、あるいはその(一時的ではあるが)解決策に、いろいろな問題が潜んでいたりする。彼女たちの悩みは彼女たち自身のものであるにも関わらず、その過程にはどこか他者の視線が介在する。こんな自分が他人からどう思われているか――一見するとふたりともそのあたりに頓着していないようだが、実際のところは奥深いところでがんじがらめにとらわれているのだ。つまり彼女たちの悩みの「解決」とは、実は彼女たちがそういった軛から逃れることができたひとつの証拠なのかもしれない。


三星京香の殺人捜査 (ハルキ文庫)
松嶋智左
角川春樹事務所
2023-08-07

松嶋智左「三星京香の殺人捜査」
元女刑事で現在は法律事務所の調査員となった三星京香の活躍を描くシリーズ第2弾。今回は彼女の雇い主(つまり恩人)である法律事務所の代表が、ある殺人事件の容疑者の可能性が高いとして取り調べを受けることになったため、京香たちが奔走するという展開に。もちろん京香は前巻同様、パラリーガルの夢良と調査に乗り出すのだが、それとは別に代表の息子で自身も弁護士である葛貴久也もまた、被害者の娘と共に真相追及に乗り出すことに。様々な要因が絡まりながら問題解決へと収束している流れはさすが!のひとことだが、個人的に気になるのは京香と貴久也の微妙な関係。今のところ自覚はないままなんとなく相手のことが気になる……という感じなのがいろんな意味でたまらないので、今後のふたりの関係にも期待したい(笑)。

【前巻:三星京香、警察辞めました】

またしても深海生物の侵入を許してしまいました……
ただし今回はまたすこし異なる種類です。なんとマグネットなのです!(笑)
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まるで観光名所で買ってきたお土産のようです(笑)。
ちなみにオレンジ色の方は通常のメンダコですが、透明な方は「メンダコの幼生」だそうです。なるほど……。


*ここ1週間の購入本*
河端ジュン一「GANGSTA.オリジナルノベル」(新潮文庫nex/新潮社)
河秋子「土に贖う」(集英社文庫/集英社)
山本聡美「闇の日本美術」(ちくま新書/筑摩書房)
児玉雨子「##NAME##」(河出書房新社)
羽根田治「これで死ぬ アウトドアに行く前に知っておきたい危険の事例集」(山と渓谷社)


竹岡葉月「石狩七穂のつくりおき 猫と肉じゃが、はじめました」
ポプラ文庫ピュアフルでの新作はほっこりごはんもの。派遣切りに遭って求職中の主人公・石狩七穂が母親から命じられたのは、疎遠になっていた親戚・結羽木隆司が鬱で休職し、亡き祖父が残した古民家に引きこもっているので、その様子を見に行くというミッションだった。幼い頃から隆司に苦手意識を持っていた七穂だったが、再会した隆司の様子を見るにつけ、ついしばらく彼の面倒を見てやることに。七穂や周囲とのかかわりの中で少しずつ生きる気力のようなものを取り戻していく隆司。しかしふたりの関係も少しずつ縮まりつつある中で明かされたのは、彼が「鬱」に至る原因だった。ふたりの問題がうまい具合に解決されて、お互い前を向いて踏み出せるようになるところだとか、そんなふたりの関係だとか、読んでいてとてもじーんとさせられる。「おとなの夏休み物語」という惹句が「まさにそれ!」という感じでとてもよかった。



竹岡葉月「おいしいベランダ。亜潟家のポートレート」
後日談第2弾。前巻でまもりの妊娠が発覚したのだが、今回は出産までのドタバタが描かれていく。具体的には「葉二、育休とれないってよ(役員だから)」「亜潟家、家を買う」「保活は大変」「ついに産まれました」の4本立て。ひとつひとつは大変な出来事に違いないのだが、ふたりが力を合わせ、うまいこと分担しながらもなんとかこなしていくのはさすがの一言。個人的に一番面白かったのは、産まれてくる子の性別が分かった瞬間に生じたというまもりの「悩み」。確かにそれは葉二には言えない(笑)。だがそれを踏まえて決めた名前が、のちに思わぬ事態を引き起こすという展開もまた面白い。家族が増え、理想のマイホーム(中古の家をリノベした)もゲットして、ますます発展していくであろう亜潟家に幸あれ、ということで。

【前巻:おいしいベランダ。亜潟家のアラカルト】

これまた2週間ほど前の話になるのですが、7月30日に倉敷市芸文館で開催された朗読劇「フォアレーゼン〜対決〜」に行ってきました。

「フォアレーゼン」は全国各地で開催されている3〜5人の声優(毎回異なる)による朗読劇。脚本もオリジナルで、開催地によっては地元の歴史的人物を題材とした物語になることもあります。岡山で開催されるのはこれで2回目で、今回もせっかく地元であるんだしってんで行ってみることにしたのでした。なお今回の出演者は立花慎之介さん、中澤まさともさん、河西健吾さん、狩野翔さんの4人でした。

で、今回の演目は「対決」。プロイセン王国を舞台に、宮廷音楽家たちの攻防を描く物語です。
宮廷音楽家の筆頭でありまとめ役でもあるクヴァンツ(立花慎之介)は、フリードリヒ大王(中澤まさとも)が田舎者の音楽家・バッハの息子であるエマヌエル(狩野翔)の作る奇抜な音楽に惹かれていることに我慢ならず、日々ストレスを抱えていました。そんな折、バッハとの対決から逃げ出したという音楽家・マルシャンが道場破りのごとく各地の有名音楽家に対決を挑み、勝ったら口止め料をせびっていくという話を実兄から聞いたエマヌエルは、クヴァンツに注意を呼びかけます。一方、大王が出先でたまたま耳にしたバッハの音楽をいたく気に入り、王宮に呼び寄せたことを知ったクヴァンツ。悩みながらも、バッハに勝てばその息子であるエマヌエルも追放できると考え、飼い猫がたまたま鍵盤を踏んだ時のメロディーを元に即興曲を作らせようと企みます。そしてバッハがやってくる予定の日――の前日、「招かれざる客」と名乗る音楽家(河西健吾)が宮廷に現れました。ここでやってきた音楽家はバッハではなく、くだんのマルシャン。しかしエマヌエル不在の中、みなが彼をバッハだと思い込んで対決を始めます。しかもボロ負けするクヴァンツ。果たしてクヴァンツは金を巻き上げられてしまうのでしょうか?

ちなみに演者は4人ですが、登場人物は4人以上いるので、主役格の立花さん以外は兼役となってます。それはいいんですが、クヴァンツの飼い猫役もしていた中澤さんが、ご飯をねだるとき「ゴァン」と鳴いていたのが面白すぎました。あとエマヌエルとその兄・フリーデマン(これまた中澤さん)がやたらと「ひとつ屋根の下」の某福山さんの「あんちゃん」を真似てたのも(笑)。

シリアスなようでいて、クヴァンツの苦悩ぶりが当初はちょっとコメディチックな感じなのかな……と(勝手に)思ってたりもしたんですが、実際は物語が進むにつれてクヴァンツがプライドをズタズタにされ、追い詰められていくという深刻な展開に。立花さんによるクヴァンツの狂気というかギリギリ感がこれでもかというくらい迫ってきて、さすがだな……と思いました。

本編が終わると恒例のフリートークも。
フォアレーゼン出演が多く、かつて楽器役もやったという狩野さんに驚く面々。しかもその狩野さん、2年ほど前に倉敷に来た時、行く先々で地元の人に声をかけて溶け込んだり仲良くなっていたというのでみんなして「コミュ力おばけだ!」とざわめいてたのが面白かったです。

あと立花さんは前日にアリオでの仕事があったそうなのですが、倉敷駅を出たところにある時計台とバイキングのオブジェに驚いたそうです。駅とショッピングモールの間になんでこんなものが?って思いますよね(笑)。これはまあ地元民(かつ、ある程度トシを食ってるひと・笑)なら知ってるんですが、昔アリオとアウトレットがあったところは「チボリ公園」というアンデルセン周辺をモチーフにしたテーマパーク的なものがあったんですよね。時計台とオブジェはその頃の数少ない名残なわけです。ご本人もそれをアリオのスタッフから聞いて納得されたようですが。

……とまあそんなこんなでいろいろと興味深いひとときでした。帰りに美観地区で「ロング調布」を食べたのもよき夏休み(?)の思い出です。また機会があれば行ってみたいですね。


*ここ1週間の購入本*
阿賀沢紅茶「氷の城壁3」(ジャンプコミックス/集英社)
平野耕太「ドリフターズ7」(ヤングキングコミックス/少年画報社)
椿いづみ「月刊少女野崎くん15」(ガンガンコミックスオンライン/スクウェア・エニックス)
岩本ナオ「マロニエ王国の七人の騎士8」(フラワーコミックスα/小学館)
ジョージ朝倉「ダンス・ダンス・ダンスール26」(ビッグコミックススピリッツ/小学館)
竹岡葉月「おいしいベランダ。亜潟家のポートレート」(富士見L文庫/KADOKAWA)
柚月裕子「慈雨」(集英社文庫/集英社)
秦建日子「女子大小路の名探偵」(河出文庫/河出書房新社)
松嶋智左「三星京香の殺人捜査」(ハルキ文庫/角川春樹事務所)
相川英輔「黄金蝶を追って」(竹書房文庫/竹書房)
原 錙屬修靴凸襪甦る」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
多崎礼「レーエンデ国物語 月と太陽」(講談社)
品田知美ほか「離れていても家族」(亜紀書房)
しきみ「夜話 FORGOTTEN FABLES」(KADOKAWA)

黄金比の縁 (集英社文芸単行本)
石田夏穂
集英社
2023-06-05

石田夏穂「黄金比の縁」
雑誌「すばる」に2022年に発表された中編。あることがきっかけで花形部署から人事部へ左遷された主人公の小野。たった2〜3人のヒラ社員の主観によって新卒採用がなされていることに気付いた小野は、会社に復讐するために試行錯誤した結果、ありていに言えば整った顔の人物を採用することを思いつく。果たして小野が選んだ彼ら彼女らは優秀であり、がために転職していく――これこそが小野の目的だった。やっていることはわりとえげつないが、どこか軽妙な文章がそれを感じさせない不思議。採用活動を円滑に行うため、会社のホームページや採用パンフレットも刷新させ、自分も含めた採用部員の見た目にも気を遣い(ちなみに小野本人は天海祐希をイメージしているらしく、わざわざスーツも新調したりしている)……と、はたから見ればとても仕事熱心でデキる感じを醸し出しているのがまた面白い。そんな彼女が行きつく果てにあったものがまた見もの。けれど彼女はこの先、退職まで「人事の小野さん」でいるつもりなのだろうか。そこが気になる。



松嶋智左「三星京香、警察辞めました」
捜査一課の女刑事・三星京香は、セクハラを受けていた部下を守るため刑事部長を殴り倒してしまい、そのまま警察を辞めることに。このことがきっかけで同じ警察官である夫との関係が悪化し、離婚することになるのだが、ひとり娘の親権を争うために京香が頼ったのは、年下の幼馴染で今は弁護士になっている藤原岳人だった。岳人の紹介で彼が務める法律事務所の調査員になった京香だったが、その岳人が手掛ける案件の調査を始めた矢先に、彼が何者かに殺されてしまう。京香は刑事時代に培ったカンや行動力で犯人探しに全力を挙げることになるのだ。実は両片想いの末、すれ違った結果それぞれ別の道を歩んでいたふたり。京香も離婚が決まり、もしやここからロマンスが……と期待していたところ、その岳人が殺されてしまうのだからいろんな意味でびっくり。事件そのものも、岳人が手掛けていた傷害事件についても、追えば追うほど謎が深まるばかりだったので、意外にも思えるラストには再度びっくりさせられる。もうすぐ続刊が出るようなので、彼女の次なる活躍にも期待したい。

7/29に城下公会堂で開催された渡曾将士のFC会員限定ライブツアー「Summer Camp Tour 2023」岡山公演へ行ってまいりました。わっち久しぶり〜!

今回は「指定席」となっており、チケットには「〇列 ××番」という記載が。しかしこれが見た目通りの列と席番だとしても、そんなに人は入らないでしょ城下……と疑問に思ってたんですよね。ということでドキドキしながら(笑)現地に向かったところ、「列」は会場前の列形成の列番号で、「番」の方が指定席の番号だったんですね。今までは整理番号のみで、番号順に入ったら席は自由だったんですが、この方が混雑やヘンな空席ができずに済みますね。次からもこうしてほしいです。

で、ライブ。ツアーに先駆けてリリースされたミニアルバム「Rehabilitation」からの曲も含めた新旧取り混ぜのセトリでした。日々あまりにも暑い!ということで(?)、ハワイ方面の南国気分を演出するためウクレレが出てくる場面がちらほら(笑)。個人的にはアンコールでやってくれた「Night Surf」ウクレレバージョンがとてもそれっぽくてよかったです。時々「ナイトサーフ」という歌詞が「なんくるないさーふ」となぜか沖縄弁になるのもご愛敬です(海外だったのでは?)。

ちなみに今回のツアーでは途中で1曲だけインスタで生配信されている部分があり、その時は観客も撮影・録画OKとなってる模様。で、今日はブレチャの「Phase2」。この曲好きなのでうれしかったですね。

あと個人的に良かった新曲は「サマーロール」。この曲ができたきっかけの話がいいんです(笑)。「かつて夏目漱石がI love youを《月がきれいですね》」と訳したという逸話がありますが、わっちは酔った勢い(?)で現代バージョンの訳を考えなければならない!となったそうで。で、結論として「一緒に巻き寿司を食べたい」になったんだとか(巻き寿司はひとりではなくみんなとやるものだし、それなりに手間暇がかかるから)。で、その流れで「手巻き寿司」という曲まで作ってはみたものの、翌朝にシラフになってから「これはないな」と思いなおし、改めて曲を作ろうと考えていたところ、おそらく「手巻き寿司→巻きモノ→春巻→生春巻きは英語でサマーロールというらしい」と流れていった結果、できた曲が「サマーロール」というそうです。どういうこと(笑)。しかも結局歌詞カード見たら「手巻き寿司」って言っちゃってるし(笑)。

さておき、そんなライブもあっという間に終わりまして。今日の観客のノリはとてもよかったので、わっちも楽しそうでなによりでした。また岡山にきてくださいね〜ということで。


*ここ1週間の購入本*
藤本タツキ「チェンソーマン15」(ジャンプコミックス/集英社)
竹岡葉月「石狩七穂のつくりおき 猫と肉じゃが、はじめました」(ポプラ文庫ピュアフル/ポプラ社)
香納諒一「完全犯罪の死角 刑事花房京子」(光文社文庫/光文社)
呉勝浩「おれたちの歌をうたえ」(文春文庫/文藝春秋)
桐生正幸「カスハラの犯罪心理学」(インターナショナル新書/集英社)
皆川博子「天涯図書館」
石田夏穂「ケチる貴方」(以上、講談社)
染野太朗「初恋」(書肆侃侃房)
甲斐みのり「歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ」(エクスナレッジ)
「刀剣乱舞絢爛図録 四」(ニトロプラス)


高瀬隼子「いい子のあくび」
芥川賞受賞後第1作となる本作は、2020〜2023年にかけて「すばる」に発表された3編を収録した作品集。表題作では主人公の直子がスマホを見ながら自転車に乗っている中学生にぶつかるシーンから始まる。しかしそれは単なる事故ではなく、直子は自転車の存在に気付いていて、あえてよけずにぶつかっているのだ。すると中学生は直子にぶつかった衝撃でよろけ、通りかかった自動車にぶつかってしまう。この1件はその後、思いもよらない事態に発展していくことになるのだが、この作品の軸となるのは事件そのものではなく、なぜ直子が自転車にあえてぶつかったのか、という点。気づいているのであれば避けるべきでは?とすぐに思ってしまいがちだが、直子にしてみればなぜこちらが避けてあげる必要があるのか、ということになる。「真面目で気の利くいい子」として生きてきた直子だが、その振る舞いによって自分が他人に搾取されていることに敏感でもある。だからこそ、向こうが悪いのにこちらが譲ることは「割に合わない」と考えてしまうのだ。しかし世界はそんなにも平等ではない。自分が周囲から「いい子」として見られているのは確かに事実かもしれないが、それ以外の見方だってきっと持たれているはずで、けれど直子はそこに思いが及ばない。併録されている「お供え」や「末永い幸せ」の主人公たちも同様で、世間が「当たり前」として受け入れていることがどうしても理解できないし、受け入れられない。そしてそれをどうにか表明しようとする。それがいつもうまくいくとは限らないし、その行為そのものを自分で悔やむことだってある。けれどそうでもしないと、このどこか歪な世界で、ひとは生きていけないのかもしれない。



松嶋智左「流警 傘見警部交番事件ファイル」
新作は、警察署が統廃合で不要になり、交番に格下げされた「警部交番」が舞台。かつては捜査一課の刑事だった南優月と、彼女が所属する傘見警部交番にやってきたキャリア警視正・榎木孔泉が、管内で次々と起きる事件を解決する警察小説。かつてある事件の犯人を護送中に交通事故を起こし、犯人を取り逃がしてしまうという失態を犯した優月。がために警部交番への配属を「禊」「左遷」ととらえて働いているのだが、それをあっさりと見抜き、なおかつ容赦なく非難したのが榎木孔泉だった。ある時は視察に向かった介護施設で業者の不正を見抜いたかと思えば、またある時は寮の食堂で料理(主に中華)を作って優月たちにも振る舞い、さらにはなぜか優月が同僚の女性警官たちと開いている女子会にしれっと参加しているなど、どうもクセが強いというか、思いもよらない行動をとる孔泉のキャラがだんだんクセになってくる。だが単なるキャラクター小説ではもちろんなく、管内で起きた複数の事件の点と点を線で結んで解決に導きつつ、傘見警部交番にやってきた真の「目的」をも達成していく手さばきはなんとも鮮やかで、その後の孔泉の活躍も見てみたい。


可燃物 (文春e-book)
米澤 穂信
文藝春秋
2023-07-25

米澤穂信「可燃物」
2020〜2023年にかけて「オール讀物」に掲載されていた短編をまとめた本作は、著者初となる警察小説。主人公は群馬県警の刑事部捜査第1課に所属する葛警部。どちらかといえばワンマンなところがある人物のようで、帯には「彼らは葛をよい上司だとは思っていない」という一文が。だがそれにはこう続いている――「が、葛の捜査能力を疑う者は、一人もいない」と。その文章を裏付けるように、葛は次々と立ちはだかる難事件を、地道に、しかし確実に解決していく。例えば表題作の「可燃物」では、警部はゴミ捨て場での連続放火事件の捜査に当たるのだが、捜査を始めて間もなく放火はぱったりと止んでしまうのだ。止めたからいって罪に問われなくなるわけではないが、新たな事件が起こらなければ犯人逮捕への手がかりがつかめないということにもなりかねない。だから警部は事件そのものではなく、「なぜ放火が止まったのか」ということを考え始めるのだ。言われてみれば簡単なことのように思うが、きっと真相にたどりつくのは容易なことではない(実際、私はまったくわからなかった・笑)。そしてそんな警部の性格を反映するかのような、なんともドライな地の文の語り口もいい。

数年前から文具沼に片足を突っ込んでしまい、文具女子博に参加したりハンズやロフトでせっせとメモや付箋を買いまくっている今日この頃。首都圏だけでなく、地方でも文具イベントが開催されているのを横目で見てはいいなあ……岡山にも来ないかなあ……と思ってたら来ました。いや、正確には岡山オリジナルのイベントが開催されました。やったね!

ということで岡山県内に店舗を構える文具専門店「うさぎや」(なんとなく親しみを感じる・笑)と岡山高島屋が「文具ラボ」というイベントを開催してくれました。期間は7/27〜8/1。これは行くしかない!ということで初日に休みをとり(笑)、朝イチ(正確には開店30分後)に行ったんですが、まあ平日の朝だというのにすごい人!岡山にもこんなに文具好きがいたんだね……!と胸熱です。また、地元企業ということもあってmt(カモ井のマステ)コーナー(展示含む)がものすごく大きくとられていたり、大原美術館とのコラボ文具があったりと、地元色が強いのも面白いですね。
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ということでわたくしの戦利品はこちらでございます!
上から時計回りに、

・クルーシャルの1week付箋
・mt×sou・souコラボマステ(「金襴緞子」と「華麗」)
・bandeの1枚ずつめくれるマスキングテープ ローズブーケホワイト(※イベント限定品)
・kamiteriorのmemoterior mini「ふるーつさんど」
・kaku souvenirの「書きごこちを92回楽しむメモ/しらゆり」(※イベント限定品)
・himekuriの「himekuri free」
・尚雅堂の折り紙セット(日本の紋様)

……の以上8点です。これでも控えめなんですよ?だってこの前日にマインドウェイブのオンラインショップで夏のお楽しみセット(マステ5本)とフレークシールを2セット注文していたのが届き、さらに丸善さんすて岡山店で開催されていたクラフトはんこフェアで2つばかし購入しましたんで……(笑)。

まあそんな散財はさておき(笑)、初めての試みということでローカルニュース等で取り上げられてましたし、初日の混雑ぶりを考えると、わりと盛況だったんじゃないかなーと。ぜひ第2弾もやってほしいですね(気が早い笑)。


*ここ1週間の購入本*
タスクオーナ「氷菓15」(角川コミックスエース/KADOKAWA)
佐々涼子「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」
松嶋智左「流警 傘見警部交番事件ファイル」
朝井まかて「類」(以上、集英社文庫/集英社)
砂川文次「小隊」(文春文庫/文藝春秋)
高野史緒「グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
山本聡実「増補カラー版 九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史」(角川ソフィア文庫/KADOKAWA)
NHKスペシャル取材班「戦慄の記録 インパール」(岩波現代文庫/岩波書店)
大島清昭「最恐の幽霊屋敷」(KADOKAWA)
窪美澄「ルミネッセンス」
近藤史恵「ホテル・カイザリン」(以上、光文社)
米澤穂信「可燃物」(文藝春秋)
石持浅海「あなたには、殺せません」(東京創元社)
綿野恵太「『逆張り』の研究」(筑摩書房)
平山亜佐子「明治大正昭和 化け込み 婦人記者奮闘記」(左右社)
「おみやげに選びたい!ときめくローカルパッケージデザイン」(パイ・インターナショナル)

転職の魔王様2.0 (PHP文芸文庫)
額賀 澪
PHP研究所
2023-07-11

額賀澪「転職の魔王様2.0」
先日ドラマもスタートしたばかりの、転職エージェントを舞台にしたお仕事小説第2弾。キャリアアドバイザーとしてなんとか独り立ちした主人公の千晴。そんな折、シェパードキャリアに天間という男性が転職してくる。前職でもCAとして働いており、その働きぶりからついたあだ名は「天使のお仕事」。社長命令で天間と組んで働くことになった千晴は、「魔王様」来栖とは正反対すぎる彼の仕事ぶりに振り回されることに。なるほど確かに天間の仕事ぶりは丁寧すぎるのひとことで、なんと求職者に紹介する職場を毎回見に行き、なんなら仕事を手伝ってもくるという。しかしそれが必ずしもうまくいくとは思えない――来栖の懸念通りにトラブルが起きるという展開には「恐るべし魔王様……」となってしまう(笑)。一方、そんな来栖にも転機となる出来事が。なんと前職の同僚と再会し、自分と組んで起業しないかという誘いを受けていたのだ。その同僚と来栖を引き合わせたのは千晴だったためか、来栖は千晴に相談めいた話をするように。あの魔王様が相談を!?と驚きつつも、次第にふたりの間に流れ始める微妙な雰囲気から目が離せない。転職問題にはちゃんと決着がつくものの、来栖だけでなく千晴にも大きな転機が訪れるラストが印象的。そしてその後のふたりがどうなるのかが気になる。

【前巻:転職の魔王様】



青崎有吾「アンデッドガール・マーダーファルス4」
7月からアニメ放送も開始されたオカルトミステリシリーズ第4弾。過去編かつ短編集となっており、「小説現代」に掲載された3編を含む計5編が収録されている。3人が組んだばかりの頃のエピソード「知られぬ日本の面影」はなんと小泉八雲から依頼を受け、とある怪異の真相を探ることに。そしてラストに置かれた「人魚裁判」は、八雲と別れて欧州に渡った3人が「怪物専門の探偵」となった最初の事件が描かれていくのだが、その2編の間に置かれているのは、3人それぞれの物語。「輪る夜の彼方へ流す小笹船」では鴉夜がいかにして「不死」になったのか、「鬼人芸」では津軽がなせ半鬼半人になったのか、そして「言の葉一匙、雪に添え」は静句がなぜ鴉夜に仕えているのかがわかるエピソードとなっており、どれもこのシリーズを読むうえで重要かつ入門編(あるいは復習編)としてもちょうどいい内容となっている。個人的には普段寡黙な(そして鴉夜様強火担の)静句の人となりがわかる「言の葉〜」が特によかった。

【前巻:アンデッドガール・マーダーファルス3】


復讐は合法的に (宝島社文庫)
三日市零
宝島社
2023-07-06

三日市零「復讐は合法的に」
宝島社が主催する「このミステリーがすごい!!大賞」では、選にもれたものの評価の高い作品を「隠し玉」として刊行されることがあるようで、本作も2023年の「隠し玉」として発表されたリーガルミステリ。とはいえ主人公は「元」弁護士のエリス。現在は「法律探偵事務所」を経営しており、裏メニューとしてタイトルの通り合法的な復讐代行を請け負っているという謎の人物でもある。そんなエリスが解決するのは、元カレからひどい仕打ちを受けた上にフラれた女性だったり、奇妙な殺人事件に隠された背景だったり、もみ消された悪質な事件の真相を暴くことだったり、あるいは暴露系ユーチューバーの素性探しだったり……と、エピソードごとにそれぞれカラーが異なっており、解決までのアプローチもバラエティに富んでいるのもいい。そしてなによりエリスだけでなく、補佐役どころか潜入捜査まで務める秘書のメープル(有能すぎる小4)や、エリスの友人で強面刑事の富沢など、登場人物たちもなかなかクセつよなメンツ揃いなので、ぜひ続編希望ということで。

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