phantasmagoria

読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。

暑くなってきたので休みの日に出かけるときはサンダルなぞを履いてみたりしてるのですが、今年はなぜか1度履くごとに靴擦れができてしまいます。もちろん毎回同じところに。去年履いてた時はそんなことなかったんですが……今年は相性が悪いようです(笑)。

でまあ今日もサンダルを履き、またしても靴擦れをひとつこさえてよろよろと帰宅したところ、1通のメールが。来月開催される某アイドルアニメイベントのライブビューイングのチケットが取れたというお知らせでした。応募してはいたものの、発表が今日だというのをすっかり忘れてましたよ……覚えてたらその時間に合わせて出かけたのに(笑)。ということで当選しましたので明日にでも代金を払いに行かねば。あと、実はそのイベントに出演する3グループのうち1グループの曲しか聴いてないので、予習をせねば……。しかし当たってよかった。これで踊る推しを見れるぞ。


*ここ1週間の購入本*
椙下聖海「マグメル深海水族館2」(バンチコミックス/新潮社)
高尾滋「人形芝居4」(花とゆめコミックス/白泉社)
糸森環「お狐様の異類婚姻譚 元旦那様に求婚されているところです」(一迅社文庫アイリス/一迅社)
青木祐子「これは経費で落ちません!4〜経理部の森若さん〜」
白川紺子「契約結婚はじめました。3〜椿屋敷の偽夫婦〜」
辻村七子「宝石商リチャードの謎鑑定 紅宝石の女王と裏切りの海」(以上、集英社オレンジ文庫/集英社)
篠田真由美「レディ・ヴィクトリア 謎のミネルヴァ・クラブ」
内藤了「犬神の杜 よろず建物因縁帳」(以上、講談社タイガ/講談社)
浅田次郎「天子蒙塵 第三巻」(講談社)
山川藍「いらっしゃい」(KADOKAWA)
本多真弓「猫は踏まずに」(六花書房)
「現代詩手帖 2018年6月号」(思潮社)


金椛国皇帝の妹である麗華公主と隣国・夏沙の国王との政略結婚が決定した。そこで麗華の近侍として白羽の矢が立ったのは遊圭。男子禁制の後宮にも付き従う必要があるため、またしても女装して向かう羽目に陥ってしまう。しかしてその真の任務は、西方に持ち出されたとされる紅椛王朝の天文記録「天官書」を探し出すというものだった。往路で夏沙国を狙っている朔露国の襲撃に遭いながらも、なんとか夏沙へとたどりつき、つつがなく婚礼の儀を終えた一行だったが、「天官書」の手掛かりを知ると思われる紅椛皇族の末裔探しは難航。さらにその間にも、何者かによって麗華や玄月たちへの贈物や食べ物に毒を仕込まれるという事件が起こり……。

新章スタートとなる中華風ファンタジーシリーズ第4巻は西方編。公主のお供として向かった先で、故国の存亡に関わる事件に巻き込まれていくことに。

族滅法が廃止され、晴れて「星公子」として太陽の下を歩けるようになった遊圭。これで女装ともおさらばし、今後は一族の再興に向けて具体的に動ける……と思っていたはずが、またしても女装して、今度は行くだけでも月単位の日時がかかる遠方へと向かうことに。もうこの時点でご愁傷様……という感じなのだが、往路では賊に襲われ、たどり着いた先でも毒を盛られたり襲われたり。そしてなにより、砂漠の国である夏沙は金椛と違ってあまりにも暑く、病弱な遊圭にとっては常人以上に厳しい展開に。

しかし今回課せられた任務は、帝国の存亡に関わる重大事。国を守ることが自分の大切な人たちを守ることになると理解している遊圭は、自身の体調も顧みず奮闘に次ぐ奮闘を重ねることに。過保護気味の胡娘を説き伏せたり、犬猿の仲だったはずの玄月を以前よりも認められるようになったりと、ひとまわりもふたまわりも大きくなった様子がうかがえてなんだか感無量。とりあえずの懸案事項だった日蝕は終わったものの、天官書自体がまだ西方のどこかに眠っているということで、次巻はそのあたりの話になるのだろうか。ついに元服もしたので、さすがにもう女装はないだろう……と思いつつ、でもどこかで期待してしまう(笑)。


◇前巻→「後宮に日輪は蝕す 金椛国春秋」


負傷し倒れた小玉に代わり、沈太監が軍を率いてこのたびの戦闘はひとまず終結した。しかし小玉の容体は思わしくなく、戦場から動かすことすらできないでいた。同じ頃、宮城にも戦況と小玉の容体、そして樹華戦死の報がもたらされ、関係者たちは動揺を隠せない。そんな中、文林は床に伏していた梅花を呼び寄せる。理由はただひとつ――今回の結果を招いた原因のひとつが彼女の企みにあったからだった。小玉のために司馬氏を失脚させようと暗躍していた梅花だったが、彼女の知らぬところで生じたほんのわずかな綻びが、巡り巡ってこのたびの小玉の負傷に繋がっていたのだ。梅花は身命を賭してその理由を探ろうとするが……。

激動の中華風ファンタジー、第1部完結となるシリーズ8巻。

小玉の闘病と回復、沈太監の作戦によって帝国が負わざるを得なくなった「負債」、そして梅花の目論見とその顛末。特に司馬氏失脚の原因を作り上げたのが梅花であること、そしてその策を利用して「綻び」を作った張本人の正体については前巻でもはっきりしていたが、今巻では具体的に彼女たちかどのように暗躍していたかが描かれてゆく。そしてその中で小玉と文林は、改めて自らの伴侶に対する想いを自覚することになる。

思えば遠くまできたものだ、と皇后になったころからすでに小玉は思っていることだろう。しかしそこからさらに今巻までの間に多くのことがあった。そして歴史は繰り返す――後宮の主として、またしても妃嬪を断罪することになってしまうのだ。しかし文林の予想とは裏腹に、小玉はある決断を下す。それはきっと変節というわけではない。成長というのもやや違うような気がするが、近いといえば近いだろう。彼女が弓引いた相手が皇帝であるという、その事実の重みが小玉の中で変わっているのかもしれない。裏を返せばそれは「皇后」としての自覚が深まっていることに他ならない。いい意味でも、悪い意味でも。こうして小玉と文林との距離は、近くもなり遠くもなってゆく。牢獄で司馬氏が文林に突き付けた言葉を小玉が聞いたら、いったい何と答えていただろうか。しかしどう答えたとしても、それでも小玉の「忠誠」の持つ意味は変わらないのだろう。そして直接その言葉を投げかけられた文林は、今後なにか変わっていくのだろうか。第2部がどのように始まり、どのように閉じてゆくのか、今から気になって仕方ない。


◇前巻→「紅霞後宮物語 第七幕」

15日にストレイテナーのライブに行ってきました。「Future Dance TOUR」岡山公演です。

テナーのライブに行くのはちょうど2年ぶり。この間行ったACIDMANよりはマシだけどかなり久しぶりな気がします。うまいことママキン最後列の段上をゲットできましたので、遠いのは遠いけどステージ全部がよく見えました。たいてい前方か真ん中へんの端っこで見てたので、全体を見たのは初めてかも(笑)。

もちろん今回は新譜「Future Soundtrack」のレコ発ツアーなので、セトリはアルバムの曲が中心。今回のアルバム、個人的にはおとなしめな印象を持っていたのですが、やはりライブで聴くと雰囲気が変わりますね。同じ曲でも「静」ではなく「動」にスイッチを切り替わってる感じ。これぞ「ライブ感」というか。

それと20周年ということで、トリビュートアルバムや秦基博とのコラボ、モバイルサイト会員限定ライブにまつわる話や曲についても。特に後者のライブでは、しばらくライブでやっていない曲ばかりを集めて演奏したということで、その時に「改めていい曲だと思った」という「KINGMAKER」をやってくれたり。懐かしいなあ。しかもその流れで「瞬きをしない猫」も。それ以外でも「stilt」や「MAGIC WORDS」なども聴けて大変満足です。中盤のやたら長いMCではなぜかトイレの話になったり、ホリエ大好き(ただしまだ行ったことがない)某ブラジリアンパークの話をしたり。ちなみにOJはブラジリアンパークのことをあまりよく知りませんでした(笑)。ぜひ行ってほしいです。

個人的には最新曲「The Future Is Now」についてのくだりにぐっときました。20年間バンドをやってきて、そして今があるのだということ。歌詞にもある通り「その未来が今なんだ」。「今」を積み重ねて「未来」にやってきたテナーは、これからもまだ走り続けるんだと思います。それを私もまだ見ていたいと、そう思えるライブだったのでした。

ちなみにこの日は平日だったので、仕事帰りにライブに行ったんですけどね。
基本的に10時出勤でシフトを組んでるんですが、この日は8時出勤に変更しました。つまりいつもより起きる時間も早い。そして時間の流れが変な感じ(笑)。例えば12時の場合、いつもだったら始業2時間後なわけですが、この日は4時間後になるわけです。帰りが早いとはいえ、なんだかどっと疲れた気分に。ある意味これも時差ボケ(?)なんだろーか。


*ここ1週間の購入本*
椙下聖海「マグメル深海水族館1」(バンチコミックス/新潮社)
米代恭「あげくの果てのカノン5」(ビッグコミックススピリッツ/小学館)
栗美あい「紅霞後宮物語〜小玉伝〜5」(プリンセスコミックス/秋田書店)
雪村花菜「紅霞後宮物語 第八幕」(富士見L文庫/KADOKAWA)
夕鷺かのう「後宮天后物語〜新たな妃にご用心!?〜」(ビーズログ文庫/KADOKAWA)
柚月裕子「最後の証人」(角川文庫/KADOKAWA)
津村記久子「ディス・イズ・ザ・デイ」(朝日新聞出版)
山崎ナオコーラ「偽姉妹」(中央公論新社)
千早茜「正しい女たち」(文藝春秋)

世界の終わりと始まりの不完全な処遇
織守 きょうや
幻冬舎
2018-06-07

9年前に出会った少女に一目惚れし、それ以来彼女との再会を夢見ていた大学生の花村遠野。そんなある日、所属するオカルト研究部の仲間である百瀬千夏から、「彼女」に似た女性を見かけたという話を聞かされる。学祭に向けて幽霊部員にも召集をかけようということで、遠野は親友の辻宮朔、そして千夏と共に、最近引きこもりがちだという部員・竹内の家へ向かい、そのついでに武内の家のすぐそばだという「彼女」がいた場所に行ってみることに。するとその近くにある公園――少し前にOLの惨殺事件があった場所――で、夏野はついに例の「彼女」らしき人物と再会して……。

9年越しの初恋と猟奇的殺人事件が交錯する切ないミステリ長編。

9年前の夜更け、囮捜査的と思しきことをしていた「彼女」に出会って以来、彼女の面影を追い続けていた遠野。ここにきてひょんなことから再会を果たした遠野だったが、そこにいたのはなんとふたりの「彼女」だった。ひとりは9年前とほぼ同じ容姿の朱里、そしてもうひとりは朱里を少し成長させた姿の碧生。普通に考えたら碧生の方が「彼女」のはずなのに、遠野は朱里の方に接近していく。それはなぜなのか――というのがひとつ目の謎。

そしてもうひとつの謎は、遠野たちが暮らす街で起きている殺人事件のこと。夜更けに首元を食いちぎられたような遺体が次々と見つかる中、「彼女」たち――朱里と碧生はこの犯人を追っているのだという。その犯人とはすなわち「吸血種」。とはいっても想像上の「吸血鬼」とはやや異なる存在であり、朱里たちはその「吸血種」を管理し、事件が起きればその収拾にもあたる「対策室」の一員。しかし世の中には対策室の管理外にある吸血種もいるのだという。今回の犯人はその「未登録」の仕業ではあるだろうが、計画性もなければ被害者に共通点もなく、殺害方法も残忍かつ杜撰で逆に手掛かりがないに等しい状態。そこで遠野は地の利を生かし、彼女たちに協力を申し出るのだった。もちろんそこに下心が十二分にあったりするのだが、そのうちそうも言っていられない展開に。

「記憶屋」の時もそうだったが、本作でも物語が進むにつれ、「吸血種」という存在――つまり「普通とは違う」存在ゆえの孤独について描かれてゆく。老いと死から遠ざけられた「吸血種」は、外見からはまったくわからないが確実にヒトとは違う。何もしていなくてもハンターのような人間に追われるし、普通の人にしてみれば受け入れることのできない存在である。そしてなにより、生に限りのある人と寄り添っていくことはどうしてもできない存在でもある。遠野に訪れた結末はまさにタイトル通り「終わりの始まり」としか言えないものだったが、それでも彼の「初恋」はここから始まり、動き出していく。永遠に続くものがあるのかどうかまだわからないし、その「永遠」とは何なのかをまだ肌身に感じられぬとしても、それでも彼の目の前にはまだ希望がある。そんなラストが印象的だった。


皮膚科医の是枝は、脅迫まがいの手段で妻と別れるよう迫ってくる愛人・郁美を深夜の駐車場に呼び出して殺害した。暗がりで空き缶につまづき、階段から転落死したように見せかけたのだ。一晩中、病院で論文の校正をしていたような細工を仕掛けていたため、彼のアリバイは完璧なはずだった。しかしその翌日、病院に福家と名乗る女性刑事が現れる。彼女は郁美が持っていたとされる地図の行き先が是枝の勤務先であることを理由に訪れただけ、と言うが、その後もあれこれと細かな質問を繰り返してきて……。(「是枝哲の敗北」)

冴えない見た目とどこか抜けた感じの雰囲気とは裏腹に、恐るべき洞察力と観察力で犯人を追い詰める女性刑事・福家の活躍を描く倒叙型ミステリ連作集、第5弾。今回は「ミステリーズ!」に2016〜2018年に発表された3作と、書き下ろし1作が収録されている。

愛人を殺した皮膚科医、保険金目当てに自分を殺そうとする夫を返り討ちにした妻、強請屋の男を殺したバーテンダー、そして恋人の敵討ちをした証券マン……誰もが完璧な計画を練り、アリバイも作り、見事に対象を殺してのけたにも関わらず、ほんの小さな綻びから福家警部補は真実を見抜いていく。なんと今回は殺人事件の捜査のついでに、過去に起きた別の事件も解決してしまうのだからさすがとしか言いようがない。最後まで「すごい……」としか言えない鮮やかさは健在だった。

もちろん毎回のドジすぎる登場シーンも健在。まあだいたい名刺は忘れるか、出てきたとしてもよれよれなものが1枚。初対面で警察官だと思ってもらえない。商売柄、客の人柄なり本質なりを見抜くことに長けていたバーテンダーの浦上も、最初は彼女の存在をつかみかねていたのだから面白い。今後もその人を食ったキャラでどんどん活躍してほしい。


◇前巻→「福家警部補の追及」

最近チョコミントのお菓子がとみに増えているなあ……と思いつつローソンに寄ったらこんなものがあったので買ってしまいました。で、同時に食べるという(笑)。

20180609チョコミント

どちらもミント感はあまり強くないのであっさりしてて食べやすい。そして後味はすっきりです。色味もさわやかでいいですよね、ミントチョコって。しかし周囲に聴くとわりと好き嫌いがはっきり分かれる味のようです。否定派に理由を尋ねたら「歯磨き粉の味がするから」「甘いものにミント感をプラスする意味がわからない」と言われたんですがまあ一理はある。しかし好きですよわたしは。ミントは苦手ですがチョコミントならなんとか。いい世の中になったなあと思っております(しみじみ)。

ちなみにチョコミントアイスも買ってるのであとで食べます(笑)。


*ここ1週間の購入本*
縞あさと「君は春に目を醒ます2」(花とゆめコミックス/白泉社)
岩本ナオ「マロニエ王国の七人の騎士2」(フラワーズコミックスα/小学館)
RURU「インフェルノ5」(KC×ARIA/講談社)
春河35「文豪ストレイドッグス15」(角川コミックスエース/KADOKAWA)
志村貴子「ビューティフル・エブリデイ1」(フィールコミックス/祥伝社)
額賀澪「さよならクリームソーダ」(文春文庫/文藝春秋)
早坂吝「探偵AIのリアル・ディープラーニング」(新潮文庫nex/新潮社)
織守きょうや「世界の終わりと始まりの不完全な処遇」(幻冬舎)

飛ぶ孔雀
山尾 悠子
文藝春秋
2018-05-11

シブレ山の石切り場で事故があって、火が燃えにくくなった。たくさんの川に囲まれた町では火種がよく売れる。場所によって火が着きやすいところとそうでないところがあるので、料理にも苦労する。停電も増えた。そんな中、大庭園で催されるのは夏の茶会。夜間の特別開放とライトアップの時期に重なり、人々でごった返す中、少女は火を運び、孔雀がそれを襲う。そうしてますます火が燃えにくくなった世界の、ふたつに分かたれた山のてっぺんに建っているのはとある施設。旅館ともラボとも言われるその場所をさまようのはふたりの男。しばしば雷が落ち、地下には大蛇が眠るというこの山でふたりは何を視るのか……。

「文學界」に発表された同名作品に、書き下ろし「不燃性について」を加えた連作長編。

前半「飛ぶ孔雀」は平地での、後半「不燃性について」は山頂での物語。断片的に語られるこの世界では火が絶え、水に満ちている。KとQというふたりの男性は状況がよくわからぬまま彷徨い、そんな彼らに対して町の娘、女子高生、オールマイティな双子、路面電車の運転士、配管工、売店の売り子など様々な女性たちが訳知り顔で近付き、そして通り過ぎてゆく。

大温室、地下浴場、頭骨ラボ、掃除会。芝の孔雀と地下の大蛇。禁忌を犯した娘は孔雀となり、地上に降り立った娘は靴をなくしていたことに気付く。「星」と「塔」のカードは何を意味していたのか。世界は終わりかけていて、けれどまだ続いている。それが滅びへ向かっているのか、再生の兆しを見せているのかはわからないけれど。この世界を理解するにはまだまだ時間が必要なようだ。

烏百花 蛍の章 八咫烏外伝
阿部 智里
文藝春秋
2018-05-10

端午の節句で宮中が沸き立つ中、貴族男性たちの間で話題に上りつつあったのは、自ら出家し桜の君の女房となった美貌の姫・真赭の薄の存在だった。主人である浜木綿は若宮に彼女を側室にするよう迫るが、若宮本人は断固として拒否。とはいえこれから真赭の薄の縁談でもめるであろうことを予見したふたりは頭を悩ませる。そんな折、若宮の側近・澄尾は、山内衆のひとりである雪哉との縁談を提案するが……。(「しのぶひと」)

昨年7月に第1部が完結した和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」初の短編集。雑誌「オール讀物」に2016〜2018年にかけて掲載された4作と書き下ろし2作が収録されている。

真赭の薄に降ってわいた婚約話の顛末を描く「しのぶひと」を始めとして、時系列や登場人物はバラバラであるが、山内での様々なエピソードが収録されている本作。個人的に気に入ったのは、雪哉の産みの母・冬木の姿を描いた「ふゆきにおもう」と、時系列的にはおそらく最新エピソードとなる書き下ろしの「わらうひと」の2作。

「ふゆきにおもう」の語り手は、雪哉の母である梓。しかし彼女は育ての親であり、産みの母は彼女の主人であった北家の姫君・冬木だった。病がちではあるが物事の本質を見抜く目を持つ聡明な姫君・冬木が、いかにして雪哉の父・雪正と結婚して雪哉を産むに至ったか、そしてなぜ梓がその雪正の側室となり雪哉を育てることになったかという顛末が語られている。病弱で長く生きられないということ、そして大貴族の姫だったということが冬木の人生を狂わせてゆく。誰かの思い通りになったということは、すなわちその裏では誰かが意に染まぬ現実を押し付けられることに他ならない。しかしそれを呑み込んだうえで振る舞った冬木の姿が悲しくも美しい。そんな彼女の性格をおそらく受け継いだであろう雪哉が、本編で受けた大きな傷をどう乗り越えていくかが気になって仕方ない。

「わらうひと」は「しのぶひと」の続編ともいえる短編で、真赭の薄と澄尾との関係について再び語られていくエピソードとなっている。まあどう見たって両想いなのだが、それぞれの立場、矜持、そして相手への想いがふたりの距離を隔てる原因となってしまう。本人たちはそれでも納得ずくなのかもしれないが、いつかはそれを乗り越えて幸せになってもらいたいと思う。


◇前巻→「弥栄の烏」

6月になりましたよ奥さん……!
今年ももうそろそろ半分が終わるんですね。早いなあ。毎年思うけど早いなあ。

それではここで夏らしいお話(?)をひとつ。
先日、東京に行ったときに扇子を買いました。人生初扇子です。

厳密に言うとなにかのおまけで貰った扇子は持ってて、夏の遠征時には重宝してたんですけど(暑がりなもので……)、先日の上京時に忘れてしまったんですよね。でまあ、そもそも手持ちのやつはだいぶくたびれているし、時間つぶしで立ち寄った書店にカワイイのがあったしってんで買ってしまいました。いろいろポップな柄がたくさんあったのですが、その中から惑星柄を選んでみました。今夏からはご活躍いただきましょう。

20180602扇子


*ここ1週間の購入本*
チノク「白石君の動級生1」
萩原ダイスケ「ホリミヤ12」(以上、Gファンタジーコミックス/スクウェア・エニックス)


今はもう滅びてしまった「死霊術師」の孫娘シュガーリアは、ある望みのために悪魔の島を訪れる。塩の竜に守られ、死霊が自身の死の記憶を繰り返し続けるその島で、シュガーリアが出会ったのは悪魔背負いの男・ヨクサルだった。孤独を糧とする悪魔の力を有するヨクサルに、シュガーリアは力を貸してほしいと懇願するが、ヨクサルはただ島から出るよう命じるばかりで……。

終わりの始まり、あるいは終わらない孤独と愛を巡る物語。

死霊術師たちから愛されて育ったシュガーリアと、誰にも愛されず孤独をかこち続けるヨクサル。その半生は真逆であるはずなのに、ふたりの本質ともいえる芯の部分は、なぜか似ているようにも見える。そしてふたりが寄り添うことで生まれるのは新たな孤独。しかしその孤独はどこかあまく、まるで恋に似たような感情をもたらす――あるいはこれこそが恋、だったのかもしれない。互いの手を取ってしまえば、二度と離すことができなくなってしまう、そんな関係。

悪魔はヨクサルにさらなる孤独を与えるためにシュガーリアを求めた。シュガーリアは自身の目的のためにヨクサルを求めた。そしてその「求め」に応じたのは、その手をとったのは、まぎれもなくヨクサル本人だった――最初は拒んでいたはずなのに。ふたりが迎えた結末は、もしかしたらギブアンドテイクの結果にすぎないのかもしれない。それでもそれがきっとふたりの幸せであり、そして永遠に続く孤独の、その幕開けでもあるのだろう。


喫茶店「エメラルド」に再びダニエルがやってきた。私用で悠貴の実父・時ヶ瀬に相談をしたところ、悠貴を家に連れ戻すことを交換条件として出されたというダニエルは、悠貴に謎解き勝負を仕掛けに来たのだ。はらはらする美久を尻目に、悠貴はあっさり承諾。かくして美久は悠貴と共に、謎解きの舞台である軽井沢へと向かうことに。今回の「謎」はダニエルの知人である雨宮からの依頼で、雨宮の祖父が戦時中に助けた米兵からもらったという「宝物」とはなにか――そもそもそんなものは存在するのか否か、というもので……。

シリーズ10巻は初の旅行編。6巻に登場した「ダニエル」ことウィリアム・ダニエル・グッドフェロー君が再登場し、まさかの勝負を吹っ掛けてくるという展開に。

同行していた真紘を助手として調査に乗り出しつつも、時同じくして軽井沢で開催されていたイベントに参加するなど、どこか余裕を見せるダニエル。そんな彼を横目に、悠貴は美久と共に雨宮の祖父の遺品から推測を積み重ねていく。さらにはそのイベントで窃盗事件が連発していたのだが、最終的には「宝物」の謎解きだけでなく、その事件の犯人まであっさり当ててしまうのだから、いつものことながらその推理の鮮やかさには脱帽するしかない。美久でなくとも「すごい―――!」としか言えなくなってしまう。

そんな中で気になるのはやはり悠貴と美久の距離感。前回の事件の影響で火が怖くなってしまった美久はそれを隠そうとするが、そんな彼女の態度にもあっさり気付く悠貴(まあ美久の場合、こういうのを隠すのが下手だからというのもあるだろうが……)。それ以外にも美久の大切さに気付くモノローグがいつもより多めで、ふたりの距離が確実に縮まっているということがよくわかる。だからそれゆえに、ラストでの悠貴の選択の理由がわからない。大切なものを守りたいと思ったからこその決断なのかもしれないが、だとしたらいったい、今の彼に何が起きているのだろうか。そういえば例の「稀早」の電話の件もまだわからずじまいのようだし……。


◇前巻→「オーダーは探偵に セピア色の謎解きはビスケットと忘れじの記憶」

映画「孤狼の血」を観てきました。先日読んだこれです。大上役が役所広司、日岡役が松坂桃李で、原作同様たいへん泥臭く、えぐく、そして古き良きバイオレンス!といった作品になってました。なんせ初っ端から拷問シーンですからね。度肝を抜かれること請け合いです。もちろん原作を軸にはしてありますが、細かい展開や結末など違う点もたくさんありました。特に大きいのは大上の過去(家族周りのこと)がカットされてることと、日岡の正体がわりと早い段階で明かされることかな。けどこれ関しては、ふたりの絆が深まっていくシーンを強調する要素になっていたので、変更されてよかったなあと思います。

個人的には松坂桃李のあの真っ黒な目がとても印象に残ってます。以前「MOZU」で殺し屋役をしていた時から思ってたんですが、何の感情も浮かべない状態でのあの目はなんというかサイコパス度がすごい(褒め言葉ですよ念のため)。終盤、ある事情により半ば自棄的になった時の演技がもう最高でした。そう!その目が見たかった!って感じで(笑)。あとあれです。江口洋介(一之瀬役)が常にオールバック&ピンストライプの黒スーツ姿なんですが、これがキマりすぎてて目が離せません。しかもこの姿で白木の鞘の日本刀を持つシーンとかもう最高かよ……としか言いようがなかったりして。

で、実はさっき知ったのですが、続編の制作も決定したそうですね。もちろん「凶犬の眼」がベースになるとのことですが、そうなると国光さんが誰になるのか気になります。あと映画でああいうラストになったことを考えると、続編であの人はどうなるのかなーとか。

という話題から180度転換しまして。
先日、久しぶりにTommy fell in love with sweets!の新作をゲットしてしまいました。「スイーツフォーク(はちみつパンケーキ)のバッグチャーム」と「ゴーフルのエンブレム風ブローチ」です。

20180526Tommy

スイーツフォーク(スプーン)シリーズはこれで3つめ。パンケーキの断面がすごく美味しそうで……! そしてゴーフル! わたしゴーフル好きなんです(突然のカミングアウト)。だから買うしかなかったんです。中のクリームが見えてるのもいいですよね。やっぱりすてき。


*ここ1週間の購入本*
おがきちか「Landreaall 31」(ゼロサムコミックス/一迅社)
近江泉美「オーダーは探偵に 謎解きいざなう舶来の招待状」(メディアワークス文庫/KADOKAWA)
穂村弘「水中翼船炎上中」(講談社)
Beretta「ニッポン駄菓子工場」(雷鳥社)
「皆川博子の辺境薔薇館」(河出書房新社)


ウィッツバリーで対ファンタズニックの仕事について学び始めたカイ。しかしその矢先、雨の夜にランスが姿を消す。行き先はシンシアの泉のある森で、ランスは高熱を出して倒れていたのだった。シンシアが魂を持つようになったがために妖精の女王にさらわれたことを知ったランスは、まもなくバーンズ奪還のため妖精の国に向かう鞠子たちに同行することを望む。一方、鞠子は自身が視たビジョンの中にランスだけでなくカイもいたことを告げ、彼にも同行するよう要請。かくしてハロウィンの夜、カイはバーンズとシンシア奪還のための一行に加わることになってしまい……。

英国妖精ファンタジー、シリーズ6巻にして完結巻。

ついに妖精の国に向かうことになったカイとランス、そして鞠子。前半は妖精の国に乗り込むまでのいざこざが描かれるのだが、そこでカイはランスの過去と変化を知ることに。そしてそれは後半の「妖精の騎馬行列(フェアリー・ライド)」以降でさらに強調されていく。夢のような――それは美しく幻想的な、そして同時に厭わしい悪夢のような世界で、カイは皆を助けるためとっさに精霊と取引し、シンシアはその力を解放してランスを救う。しかしその手が引く先は此岸ではない。永遠を切り取ったかのような一瞬の中で、ランスがこの結末を選んだという事実は切なさをはらむけれど、しかしこれでよかったんだ、とも思う。住む世界が違うからなどという陳腐な答えではなく、夢を見るのをやめたんだなどという安易な答えでもなく、シンシアもランスも、ありのままを「生きていく」ということを選んだ、そういうことなのだと思う。そんなふうにどこかほろ苦い、しかし希望のある結末がなんとも印象的だった。


◇前巻→「英国幻視の少年たち5 ブラッド・オーヴァ・ウォーター」

先週の日曜は現場仕事だったんですが、とにかくただひたすら現場をうろうろするだけの簡単なお仕事だったんですよ。しかし逆にすることなさ過ぎてしんどかったです……しかも翌日からはまた怒涛の残業ラッシュ……老体にはなかなか堪えますな……(苦笑)。

という苦行をなんとか乗り越え、この土曜は上京してきました。とはいっても飛行機で弾丸日帰りツアーだったんですけどね。最近ハマっている声優・佐藤拓也氏のお誕生日イベントのチケットを軽率にも取ってしまっていたため、東大和市なるところまではるばる行ってまいりました。いやー遠かった。空港から電車を乗り継いで1時間半はかかるんですよ。何も考えずにチケット取ったものの、その遠さに今更ながらびっくりしたのでした(笑)。

私が参加したのは昼の部だったんですが、同い年だという小野友樹さんと赤羽根健治さんがゲストとして登場。3人でトークやらゲームやらいろいろと繰り広げてくれました。元より仲良しな間柄らしく、距離感が近いというか、普通にお友達同士が集まってわちゃわちゃしてる感じがとても良かったです。というか3人とも面白すぎでした。なぜみんなして代永翼さんのモノマネが得意なんですか(笑)。笑いすぎて涙が止まりませんでしたよ途中。こんなに面白イベントだと知ってたら、夜の部のチケットも取って泊まりがけにしてたのになーと後悔している今日この頃です。それに移動に時間がかかりすぎて、イベント以外の場所にあまり行けなかったのも残念でした。ちょっと見積もりが甘かったかな。久しぶり過ぎて遠征のカンが鈍ってるなわたし(笑)。

で、その翌日の日曜は友人に誘われてたので、ふらふらしながらACIDMANのライブに行ってきました。「LIVE TOUR Λ」岡山公演です。ACIDMANを観るのはおよそ9年ぶり(!)だし、ママキンも多分数年ぶりだったはず。一応最新アルバムとベストで予習していったのでおおむねわかる内容でしたが、それにしても昔観た彼らのライブとあまりお変わりがなくて(もちろんいい意味で、ですよ?)なんだかしみじみしてしまったのでした。芯の強いハスキーボイスも健在です。あの声好きなんですよね。あとMCでの大木さんの冷静すぎるツッコミが大好きです(笑)。あとやたら「宗教じゃないですよ?」と連呼されて笑ってしまいました。この世界の成り立ちにずっと興味があるという大木さん、ぜひシュノーケルの西村くんとお話してみてほしいです。気が合うんじゃないかと思いますよ。


*ここ1週間の購入本*
コトヤマ「だがしかし11」(少年サンデーコミックス/小学館)
白川紺子「下鴨アンティーク アリスの宝箱」(集英社オレンジ文庫/集英社)
森晶麿「文豪Aの時代錯誤な推理」(富士見L文庫/KADOKAWA)
ユン・チアン「西太后秘録 近代中国の創始者(上)(下)」(講談社+α文庫/講談社)
山尾悠子「飛ぶ孔雀」(文藝春秋)
大倉崇裕「福家警部補の考察」(東京創元社)
穂村弘・堀本裕樹「短歌と俳句の五十番勝負」(新潮社)

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