phantasmagoria

読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。 (当ブログは全文無断転載禁止です)

此の世の果ての殺人 (講談社文庫)
荒木あかね
講談社
2026-03-13


荒木あかね「此の世の果ての殺人」
第68回江戸川乱歩賞受賞作。小惑星が日本の熊本県に衝突し、人類が滅亡するといわれている、その数か月前。世界は混乱を極め、暴動で亡くなる者、国外へ逃亡する者、そして自殺する者が後を絶たない。そんな中、小春はある目的を叶えるため、自動車学校へ向かう。しかし無人と思われた教習所にはイサガワという女性教官が残っており、小春は彼女の指導の下、運転技術を磨いていたのだった。しかしある日、教習者のトランクに女性の惨殺遺体が入っていることが発覚。元警察官だというイサガワは、小春を助手代わりに犯人を捜そうとする。人類が滅びるというこのタイミングで殺人を犯すというそのメンタルはなんなのか……「人類最後の連続殺人事件」という惹句がキャッチ―すぎる本作だが、ミステリとしては実にまじめというか堅実(?)な展開。ゆえに明かされる真相とには驚きを隠せない。どうせ犯人を見つけても、その少し後には犯人だけでなく自分たちも死んでしまう。けれどそれでも、自分たちが信じる「正義」をなそうとするふたりの姿が印象的。




倉知淳「占い師はお昼寝中」
約30年ぶりに大幅加筆修正を経て復刊されたという「改訂完全版」な本作は、タイトルの通り「占い師」が、依頼人の抱える悩みを解決していく連作短編集。ただしこの占い師、まったくもって霊験あらたかではなく、本当に洞察力のみで謎を解くのだから驚きしかない。そんな本作の語り手は「占い師」……ではなく、その姪で大学生の美衣子。母親に頼まれて叔父・辰寅の面倒を見つつ、助手として「占い師」の仕事を手伝っているのだ。その叔父・辰寅は「霊感占い所」にやって来る「お客さん」から悩みを聞き出し、その「霊感」で解決法を伝授しているのだが、もちろん(?)辰寅に霊感などはない。しかしその洞察力はピカイチで、ともすれば「占い」やら「霊感」やらを標榜する相手に、悩みのすべてを正直に洗いざらい話すわけではないし、話していたとしてもそれだけで真相を見抜くなど無理からぬ話……かと思いきや、なぜか辰寅はたちどころにその話の裏に隠れた部分まで推理してしまうのだ。ぐうたらすぎる性格に対しては怒りっぱなしの美衣子だが、その推理には一目置いていることがうかがえる。ただ、すごいのにすごそうに見えないところがある意味彼の人徳(?)なのかもしれない。


ぼくらは回収しない (創元推理文庫)
真門 浩平
東京創元社
2026-05-28


真門浩平「ぼくらは回収しない」
第19回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」に、書き下ろし短編4編を収録した作品集。個人的によかったのは「カエル殺し」と「速水士郎を追いかけて」。「カエル殺し」は「井の中のかわズ」というお笑いコンピが主人公。じわじわと頭角を現していき、ついて大きな賞を獲った「かわズ」。順風満帆に見えたふたりだったが、テレビでの露出仕事が増えたことで、バラエティ番組における自分たちの力量のなさを思い知らされるように。そんな中、ピン芸人の先輩が大きい賞を獲った直後に何者かに殺されてしまう。作中にも出てくる「蛙化現象」をテーマにした短編だが、まさかのオチには驚かされる。「速水士郎を追いかけて」は、繊細すぎる高校生・速水士郎と、彼と仲良くなりたいサッカー部員・一ノ瀬による日常の謎系ストーリー。こちらも「まさか!」と言いたくなるような真相の事件が起きるのだが、これはこれで青春だ、という感じもしていい。なお、本作品集のタイトルを冠した作品は収録されていない。が、最後まで読むと、なぜこのタイトルになったのかがよくわかる。この作品集自体が謎解きの答えになっているということに、またしても「まさか!」と驚かされてしまった(笑)。

昨日の話ですが、広島に行ってきました。
目的はもちろん「文具女子博pop-up in広島」に参加するためです。今年も行っちゃうぜ!ついこの間、地元の文具イベントにも行ったばかりだけど!(笑)

ということで今回も文具につられてふらふらと広島そごうまで行ってきました。今年は最近のお気に入りである「Lindo」が出店しているというので真っ先に行ってみたりして。コラージュ用のオリジナルPETテープのメーカーなのですが、先日の地元文具イベントよりも文具女子博の方が品ぞろえに気合が入ってますねやはり。1ループのみの販売もあったので、つい手が出てしまいました……この間も1巻買ったばっかなのに……(笑)。あと今回は積極的にノベルティをもらいに行ったので(今までは見落としてたり、面倒なので無視してた)、そういうのも含めて買い回り袋がいっぱいに……いやスミマセン。嘘です。自分で買ったものばっかです(笑)。

で、ほくほくしながら本屋(下の階にある紀伊国屋書店)などに寄ったりもしつつ、お次の目的地へ。ミナモアにムレスナティーの直営店ができており、これまでも何度か行ってるんですが、今回は初めてカフェを利用してみました。とはいえそんなに空腹でもなかったので、アイスティーを注文。何十種類とあるフレーバーから好きなものを選べるということだったので、「山の上のマンゴー」という茶葉をセレクト。濃いマンゴーの香りがなんともいえません。

しかしこのお店、看板メニューは「ティーフリー」なんです。カップがあらかじめテーブルの上に置かれており、スタッフがランダムで様々な種類の紅茶を注いでくれるんです。飲み終わったらまた別の紅茶を注いでくれます。つまり「わんこそば」ならぬ「わんこ紅茶」です。そしてアイスティー単品を頼んでも、このティーフリーがついてくるんです。つまり、アイスティーを飲みながら別の紅茶を飲めるんです。ちょっと何言ってるのか自分でもわかりません。でもそうなんです。ついでに言うと、入店して最初に出されるのも水ではなく紅茶です。ショットグラスに入った「ウエルカムティー」なんです。もうこの店に入ったら最後、紅茶以外の飲み物は口にできないと思ってください(笑)。

おかげで約40分ほどの間にウエルカムティー(1)+アイスティー(1)+ティーフリー(8)で計10杯もの紅茶を飲みました。お腹いっぱいです。また来よう(笑)。


*ここ1週間の購入本*
芦沢央「汚れた手をそこで拭かない」(文春文庫/文藝春秋)
荒木あかね「ちぎれた鎖と光の切れ端」(講談社文庫/講談社)
京橋史織「午前0時の身代金」
月吹友香「アフタースパーク」(以上、新潮文庫/新潮社)
赤野工作「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム(上)(下)」(創元SF文庫/東京創元社)
三木笙子「帝都一の下宿屋」(創元推理文庫/東京創元社)
小林美香「その〈男らしさ〉はどこからきたの? 広告で読み解く『デキる男』の現在地」(朝日新書/朝日新聞出版)
sattou「肩幅だけで鬼退治!」(扶桑社)
大木芙沙子「叔父は肩幅がメートルあったらしい」(PHP研究所)
鈴木七月「かわりに嘘」(講談社)
真門浩平「終着駅で待ち合わせ」(東京創元社)
北澤平祐「おかしな おかしな おかしや」(光村図書出版)
永野護「F.S.S.EPISODES of 40th MEMORIAL」(KADOKAWA)

ハザードランプ
芦沢央
小学館
2026-09-16


芦沢央「ハザードランプ」
2023〜2026年にかけて雑誌「GOAT」などで発表された5本に書き下ろし1本を加えた短編集。帯に「どこで間違えたのか。その岐路で何ができたのか。」とある通り、どの作品もどこかで「あれ?」という違和感を覚えるようなエピソードとなっている。個人的によかったのは表題作「ハザードランプ」。こちらは夫から傷害容疑で逮捕された義理の息子・健太を迎えに行くよう頼まれた女性・麻千子が主人公。健太の好物だという「前妻特製の卵焼き」を作って健太のもとへ向かう麻千子。義理の息子との車中での会話から、麻千子はあることに気付いてしまう。健太の傷害事件の理由だったり、父親に対する態度だったり、表面だけなぞっていると誤解してしまいそうな事柄がたくさんあるが、会話が進むにつれてそれらは次々と裏返っていく――いい方にも、悪い方にも。そのことに気付いた麻千子がとっさにUターンするラストには救われたような気がした。


岬の魔女と頂の姫 (アース・スター文庫)
野梨原花南
アース・スター エンターテイメント
2026-09-18


野梨原花南「岬の魔女と頂の姫」
9月に新創刊されたライト文芸レーベル「アース・スター文庫」創刊ラインナップの1冊である本作は、孤児の少女の成長と、彼女を取り巻く世界の裏側を描くファンタジー長編となっている。孤児ゆえに魔法学園で虐げられて育った少女ルルは、死者の助けを借りて自分の立場を変えさせ、いち生徒として頭角を現し始める。そんな中、世界に響き渡ったのはひとつの鐘の音だった。リートリートなる神の加護を受ける国・トーリンリマンは、その代償としてある条件を付けた。それは「頂の者」と呼ばれるものが鐘を鳴らし、その音に導かれた「岬の魔法士、あるいは魔女」が出会うことができれば、その加護を与えるのだと。自身がその「岬の魔女」であるという予感を抱いたルルは、学園を飛び出して都へと向かうことに。魔法の知識があっても世間のこと、そしてひとりの人としての知識が足りていなかったルルが、ある事情を抱える青年・アンザハンと共に旅し、周囲の人々に助けられながらも都へ向かっていく姿はなんとも心強く、そして希望にあふれている。そしてそんな彼女を、さらには次代の「頂の者」であるリッタをも妨害しようとする当代の「岬の魔法士」、その隠された真実には驚きを隠せない。光があればそこには闇があり、神から与えられるものには多大な、そして無慈悲な代償がつきもの。であってもリッタとルルの出会いには心躍らされたし、彼女たちの行く末に待っているであろう困難を、ふたりが力を合わせて乗り越えるであろう様を見てみたい。




壁井ユカコ「後宮を欺かば 愛され下手な奴婢ですが」
作者の久々の新作は中華後宮ファンタジー。幼くして旅芸人の娘から奴婢に落とされた少女・未寒。買主に虐げられる彼女の唯一の希望が、身分の差など無視して優しく接してくれる令嬢・藍玻瑠の存在だった。そんな玻瑠が東宮妃候補として都へ向かうこととなり、未寒を侍女として連れていきたいのだという。やがて来るその日を心待ちにしていたふたりだったが、ある陰謀によって玻瑠が重傷を負ってしまうのだった――それから2か月後、後宮に蝶の仮面をつけた少女が現れる。彼女の名は「藍玻瑠」。しかし彼女が後宮に現れた直後から、不審な事件が発生。権力渦巻く後宮で、玻瑠は果たして東宮妃の座を射止めることができるのか……!という後宮ものではあるが、実のところはそれだけではないというまさかの展開。とにかく令嬢らしからぬ大胆かつ堂々とした振る舞いで周囲を圧倒する玻瑠だが、そんな彼女が隠しているあることに気付いているのは、東宮の側近である祥葵。最初はそりの合わないふたりだったが、やがて利害関係の一致により協力関係を結ぶことに。この凸凹コンビが今後どうなるのか気になるところ。


9月下旬から繁忙期に入るため、シルバーウィークに休みを取るなど無理無理無理ィ……と思ってたんですが、諸事情により1日だけ半休をとることになりました。で、なんかあちこちハシゴすることに。あわただしい1日だった……。

まず午前中はコンベックス岡山で開催されていたルピシア・グラン・マルシェへ。ここ数年、毎年参加しているお茶のイベントです。当初の開催予定は9月の土日だったので、誘い合わせて参加することにしてたんですが、いざ予約が始まってみたらまさかの日程変更。シルバーウィーク中、火水の開催となっていたんです。そりゃ世の中の方は祝日だから問題ないのかもしれませんが、祝日が休みにならない私のような職種の人間には大ダメージです。しかもよりによってこの時期! しかしすでに行くと約束してしまっていたので、この日は半休にしたのでした。

で、イベント。昨年より会場が少し狭いので、レイアウトも含めてちょっと変わった印象を受けましたが、どのお茶もおいしくてつい2周してしまいました(笑)。ですが購入はちょっと控えめに(笑)。紅茶「マロングラッセ」、秋の冷茶「蜜りんご和紅茶」、そして地域限定プチ缶から東京の「アールグレイ・ロマンティーク」と、京都の「雁ヶ音日記」をゲット。しかしこのほかにスコーンを買ってみたり、同行者の買い物をまとめて精算したりしたので、ノベルティの「メルシー ミルフォア」がもらえる金額になっちゃってたんですけどね(笑)。

で、イベントを終え、昼食をとってから職場へGO。4時間ほど働いてから(わたしエライ)、帰りの足で我が母校(大学)へ向かいました。というのも、約10年ぶりに大学時代の友人に会うことになったからです。もともとこちらの予定が半年ほど前から入っており、これに関しては仕事終わりで会うことを決めてたんですね。なのでルピシアのイベントが同じ日にまとまったのはある意味良かったかも。

で、大学にて久しぶりの再会を果たしたその足で、これまた約20年ぶり(!)の学食へ。祝日ですが若人とか若人ではなさそうな人々(わたしたち含む・笑)が入り乱れておりました。メニュー自体はあまりかわってない印象でしたが、テーブルや椅子がカフェっぽいオシャレな感じになってました(笑)。ちなみに私は当時の好物だったチキン南蛮とひじきと枝豆の煮つけを注文したのですが、ごはんも含めて約600円! や、安い! そしておいしい! この時ばかりは大学生に戻りたいと心から思ったのでした(笑)。

ちなみに約10年ぶりの友人との会話は、当初は探り探りなところもありましたが(笑)、お互いの近況も知れて楽しかったです。次は5年以内には会えたらいいな……。


*ここ1週間の購入本*
熊倉献「少し長めの一瞬」(東京創元社)
薬丸岳「告解」(講談社文庫/講談社)
長岡弘樹「白衣の断罪者」
夏川草介「勿忘草の咲く町で 安曇野診療記」(以上、角川文庫/KADOKAWA)
垣谷美雨「人生が二度あれば」(中公文庫/中央公論新社)
ジェラルド・カーシュ「廃墟の歌声」(創元推理文庫/東京創元社)
荒木あかね「おむこさんは殺人鬼」(文藝春秋)
「建築知識 2025年8月号」(エクスナレッジ)

Z線上のピエタ
宮内悠介
潮出版社
2026-09-04


宮内悠介「Z線上のピエタ」
2025〜2026年に「潮」にて連載された作品の書籍化。作者自らが現地に向かって取材したという本作は、約4年前から続くウクライナの戦禍が綴られている。ポーランドを経由し、戦禍に見舞われているウクライナへ入国した新里恭子。息子がウクライナで義勇兵となり、戦死したという報せを受けた彼女は、いてもたってもいられずここにやってきたのだ。そんな中、同じように義勇兵となった息子を亡くしたというウクライナ系アメリカ人のミラと出会う。ふたりはレンタカーを借り、息子たちの死の手掛かりを求めて前線へと向かうことになる。ほぼ違法に近い手段で免許を取得し、車を駆りて旅をするロードムービー的なエピソードにはほっとさせられる部分もあったが、今この世界で起きている戦争を描いているということで、その手触りは最後までざらりとさせられる――殊にふたりの息子の「正体」が明らかになってからは。それでもすべてを善と悪の二元論で語ることはできない。現実はグラデーションで、受け入れざるを得ないこともある。その「切り離し」の行為が、生きていくということ、あるいは折り合いをつけるということなのかもしれない。


ふしぎな凶器博物館
潮谷験
講談社
2026-09-03


潮谷験「ふしぎな凶器博物館」
京都にあるという、警察の協力機構「EMWM」――「奇妙な凶器博物館」というその建物には、その名の通り実際の事件で扱われた奇妙な凶器が展示されている。館長の千手はやる気はほぼゼロだが洞察力は鋭く、奇妙な凶器によって起こされた事件を解決する能力に優れている変わり者。近隣の警察では、事件協力を依頼する一方で、解決の暁にはその凶器を寄贈するのだという……というなかなか変わり種なミステリ連作集。本作で取り上げられる事件はまさに「奇妙」としか言いようのないシチュエーションばかり。投石器で顔を潰された男性。全ての下着を盗まれたうえ、下着で首を絞められ殺された女性。マイナーな特撮番組のオモチャ(ただしコレクターズアイテム)で殺された前科持ちの男性。そして首を絞められ、肩を刺され、メロンパンで窒息させられそうになった高校生。状況も動機も想像がつかなさすぎるのだが、それは各事件を担当した刑事たちも同様。この謎解きだけでも面白いのだが、事件とは別に各話の間に挿入された「クイズ」もすごい。それは猟奇殺人に手を染めていた夫婦の間で起きた事件なのだが、密室に閉じ込められた妻が、部屋の外にいる夫を毒殺した方法を考えろ、というもの(出題者は千手)。第1話に出てきた刑事の阿多と一緒になって考えるという趣向がなんともいえない(笑)。


幽冥の岸 十二国記 10(新潮文庫)
小野不由美
新潮社
2026-12-11


小野不由美「幽冥の岸 十二国記」
久々の新作となる短編集は、前巻のスピンオフ――というよりはその前後、またはさなかにあったエピソードをまとめた短編集となっている。逃走中の驍宗たち一行の行方を密告した里の男が、後悔から戦死者たちの墓を作り続ける「戦城南」。前巻のキーパーソンのひとり・琅燦と驍宗との出会いを描く「異邦の客」。浮民の少女・白玉が数奇な運命に巻き込まれる「夢の結び」。そして前巻であらたな怨嗟をまとい病んだ泰麒のその後を綴る表題作「幽冥の岸」の4本が収録されている。「戦城南」ではどうしようもない現実そのものの姿が、「異邦の客」では謎に包まれた黄朱の里の様子が、「夢の結び」ではちょっとしたシンデレラストーリーが描かれ、短編集ならではの多彩な展開が楽しいのだが、やはり一番気になっていたのは「幽冥の岸」で描かれた泰麒の様子。彼の魂はいまだあの岸辺に在り、その周囲には消えることのない怨嗟がまとわりつく。しかし彼にはやるべきことがあり、ともに立ってくれるひとがいる――たったひとりの主である驍宗が。そしてもうひとり、かの岸辺に置いてきてしまった「先生」もそうなのかもしれない。

【前巻:白銀の墟 玄の月 一】

地元文具メーカー「うさぎや」が主催する文具イベントが開催されてたのでイオンモール岡山に行ってきました。開催期間がシルバーウィーク真っ只中で、しかも運悪く私の予定が空いてる日がよりにもよって20日……つまりイオンのお客様感謝デーしかなかったため観念して向かったのですが、とにかくすごい人。とはいえ開店15分前には到着。イベント自体にも規制がかかるほどの人出ではなかったのでひと安心です。

イベント名が「文具・缶」となっている通り、実はこのイベントの目玉は文具とクッキー缶。県外のいろんなクッキー缶が日替わりで販売されるので、こちらもチェックしないわけにはいきません。しかしお客様感謝デーであることを見越されたのか、20日はほかの日に比べて種類が少なかったような気も……でもその中でも一番のお目当てだった「コトリスタンダード」のクッキー缶を無事ゲットいたしました。ちなみに今年はクッキー缶以外のスイーツも多数出展されていたので気にはなっていましたが(むらすずめや白十字のワッフルなど、地元銘菓の特大版というまさかの限定商品もあったので)、クッキー缶がわりと値が張るので見送ることに。ちょっと残念ですがまあしゃーない。財布にも限界というものがある(苦笑)。

文具の方もいろいろとお目当てがありまして。今回は私の好きな「てるふく商店」さんが出店されており、しかも今回のイベント用のオリジナル新作メモが出てるというのだから行かないわけにはいきません。クッキー缶をつかむやいなやまっすぐブースへ向かい、こちらも無事ゲットしました。あとは以前から気になってたア・ラ・カル堂の無限カステラロール付箋とか、BGMネコ喫茶フレークシールなどもゲット。おおむね欲しかったものは全部買えたので満足です。そして同行者の購入分も立て替えて合算で支払いをしたら、なんと1万円を超えてしまい、すべてのノベルティをいただいてしまったのは秘密です。おかしいな……2週間後には文具女子博POPUPがあるので控えめにしようと思ってたのに……(笑)。
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*ここ1週間の購入本*
進む「さよなら、英雄になった旦那様〜ただ祈るだけの役立たずな妻のはずでしたが……〜1」(KXx/講談社)
鈴木りつ「ストーンフラワー1」
鈴木りつ「垂直・宇宙・無限 鈴木りつ第二短編集」(以上、青騎士コミックス/KADOKAWA)
萩原ダイスケ「恋と呼ぶにはささやかですが2」(ガンガンコミックス/スクウェア・エニックス)
うの花みゆき「雪と墨10」(ヤンマガKCSP/講談社)
大須賀めぐみ「マチネとソワレ19」(ゲッサン少年サンデーコミックス/小学館)
ジョージ朝倉「ダンス・ダンス・ダンスール33」(ビッグコミックス/小学館)
森 薫「シャーリー・メディスン3」(雪割草)
野梨原花南「岬の魔女と頂の姫」(アース・スター文庫/アース・スターエンターテイメント)
藤本ひとみ「まんが家マリナ貴族事件 愛する君のために」
藤本ひとみ「まんが家マリナ七星剣事件 愛をかたるエリニュス」
藤本ひとみ「まんが家マリナ タイム・スリップ事件 愛と剣のキャメロット」(以上、集英社オレンジ文庫/集英社)
壁井ユカコ「後宮を欺かば 愛され下手な奴婢ですが」(講談社タイガ/講談社)
小野不由美「幽冥の岸 十二国記」(新潮文庫/新潮社)
海老沢泰久「無用庵隠居修行」(文春文庫/文藝春秋)
小路幸也「マンション・フォンティーヌ」(祥伝社文庫/祥伝社)
夢野久作「白髪小僧 夢野久作全童話(上)」(ちくま文庫/筑摩書房)
J・ペナー「魔法の国のベイキング大会」(創元推理文庫/東京創元社)
芦沢央「ハザードランプ」
月村了衛「腐魚の海」(以上、小学館)
古賀及子「遠くまで旅するような顔だけをする」(産業編集センター)
津村記久子「本のおかげで暮らしていける」(毎日新聞出版)

そして本もわりと買いまくってた(笑)。

トリカゴ (創元推理文庫)
辻堂 ゆめ
東京創元社
2025-02-12


辻堂ゆめ「トリカゴ」
第24回大藪春彦賞を受賞した社会派ミステリ長編。主人公の女性刑事・森垣里穂子が殺人未遂事件の被疑者として逮捕した少女ハナは、何らかの理由で戸籍のない存在だった。しかも彼女とその実兄リョウは、同じような無戸籍者が隠れ住むコミュニティの一員であることが判明する。ハナとリョウの兄妹の年齢、そしてふたりがこのコミュニティに「拾われた」という時期を知った里穂子は、この兄妹が過去の未解決事件「鳥籠事件」の被害者ではないかと考え始め、この事件を担当している捜査員・羽山にコンタクトをとることに。被疑者であるかもしれない少女は、しかし別の事件――しかも個人的に思い入れのある――の被害者かもしれない。そんなふたつの相反する可能性の狭間で揺れる里穂子。逡巡を繰り返し、手探りで捜査を進める里穂子に対し、羽山は警官として、そして自身の野心のために捜査を引っ張っていく羽山。そんなふたりの奇妙な組み合わせもさることながら、事件の結末にも驚かされるばかりだった。


残火
辻堂 ゆめ
東京創元社
2026-08-31


辻堂ゆめ「残火」
所轄の女性刑事・森垣里穂子が再び登場する社会派ミステリ長編第2弾。ある男性3人が行方不明となり、その被疑者として湊川という男が逮捕される。実は行方不明――ではなく、湊川に監禁されている3人は、14年前に起きた産院放火事件の被害者家族であり、湊川はその加害者の息子であるという。取り調べには素直に応じながらも、時に自身の半生を語り、時に芝居がかった態度で自供らしき発言を行う湊川だが、肝心な部分については何もわからない状態。そんな中、3人の自宅が爆破され、さらなる犠牲者が発生。もちろん爆弾を仕掛けたのは湊川だが、時限式爆弾の可能性が低いため、共犯者がいるということが判明。しかし何のヒントもないまま、捜査は手探りかつしらみつぶしに行うしかない状況。先の事件の後に捜査一課に配属されていた羽山と再びバディを組んだ里穂子は、湊川のセリフから事件の背景を探ろうとする。物語は里穂子の視点だけでなく、湊川に騙され、監禁された3人と共に地下室に閉じ込められた青年の視点からも語られていく。どちらにしても被害者/加害者との対話から背景をあぶりだしていくという展開が面白い。そして思いもよらないラストにまたしても驚かされた。


一次元の挿し木 (宝島社文庫)
松下龍之介
宝島社
2025-02-05


松下龍之介「一次元の挿し木」
第23回「このミステリーがすごい!」大賞、文庫グランプリ賞受賞作にして、2026年7月期にドラマ化されたSFミステリ小説。遺伝人類学を学ぶ大学院生・七瀬悠が、担当教授の石見崎の依頼でDNA鑑定にかけたのは、200年前にヒマラヤ山中で発見された人骨。するとその鑑定結果が、4年前に失踪した義妹・紫陽のものと一致していることが判明する。驚愕した悠は石見崎に相談すべくその自宅に向かうが、石見崎はそこで何者かに殺されていたのだった。やがて悠の周辺では奇妙なことが起こり始める――紫陽という娘はそもそも存在しないと言い始める義父・七瀬京一。行方不明の石見崎の娘を探しているという石見崎の姪・唯。生前の石見崎が接触を試みていた、分子生物学の世界的権威・仙波佳代子。そして暗躍する「牛尾」なる謎の男と「樹木の会」なる宗教組織。やがて悠は得体のしれない事態の、その中心に容赦なく巻き込まれていくこととなる。登場人物の誰もが断片的な発言を繰り返し、あるいは核心を語ろうとしないため、読者であるわたしたちも悠と一緒にこの事態に翻弄されることになる。その謎が一気に集約され、真相を導き出すラストはなんとも奇妙で恐ろしい。


先週の土曜に大阪に行ったときの余談です。

最近「ウイルスイーツ」というガチャガチャシリーズにハマっているんですが、公式サイトで調べたところ、心斎橋筋商店街にあるガチャ専門店に、過去のシリーズの在庫が残っていることが判明したんです。せっかく大阪まで行くならぜひ寄ってみなければ!ということで、スマホ片手に地下鉄なんば駅を意気揚々と出発したのはこの私です。

基本的に大阪に行くときって、梅田かなんばの駅地下街を中心として徘徊してるんですが、今回の目的地は地上の商店街にある店舗。なので久々に地上に繰り出しました。ン十年ぶりのような気がします(笑)。天気が微妙によくなく、日差しがさほど強くなくて助かりました。

土地勘のない田舎者にとって、Googleマップ先生は頼みの綱。そこで先生におうかがいをたてたところ、商店街に直接入って目的地を目指すのではなく、平行する大通りを進み、店の近くになったら商店街に入るというルートを示していただきました。そこで地下から這い出て、かの有名なグリコの看板を横目に歩くこと約5分、ようやく「そこを右折したら目的地周辺だ」という指示をいただきましたので、右に曲がったわけです。そして人混みあふれる商店街へ入って右往左往していたら、それらしい店を発見。これまた人だかりを抜けて中に入り、わき目も降らず大量の機械の間を縫って目的のブツをさがしたんですが……な、ない!?!? 店内(2階建て)を念のため3周くらい回っても……な、ないよ!?!?!?

さすがに困った私は店員さんを見つけて尋ねてみたんです。公式サイトの在庫検索画面を開いて「これ、どこにありますか?」と。店員さんも一緒になって探してくれたんですが、ふと「それってこの店で合ってますか?」と逆質問が。(公式サイトおよびGoogleマップ先生が言うんだから)ここだと思うんですけど……と改めて検索画面を見てもらったところ、衝撃の事実が!

「あ、これココじゃないです。ここは1号館で、在庫があるのは2号館です」

ええええええええ!!!!!!!

いやまあちゃんと公式にも「2号館」って書かれたのは知ってましたが、そして周囲を見回したときにこの店しか見つけられなかったので飛び込んでしまいましたが、まさか建物違いだったとは……まじすか……と店員さんに教えられた道順(この店を出て左に曲がって斜め前方)を辿ってみたら、ありました2号館。人混みで見えてなかったんですね。ウワー恥ずらかしい!!!!!

……ということで無事、欲しかったミニクリアファイルガチャを回し、しかも5回やってもまったくダブらないという幸運をかみしめながらなんば駅へと戻ったのでした。おしまい(笑)。
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*ここ1週間の購入本*
和山やま「女の園の星5」(FCswing/祥伝社)
浦野月鼓「彼は友達5」(モーニングKC/講談社)
益田ミリ「ミウラさんの友達」(マガジンハウス文庫/マガジンハウス)
五十嵐律人「密室法典」(角川文庫/KADOKAWA)
浜口倫太郎「たまゆら堂書店の本好き姉妹」
畑野智美「若葉荘の暮らし」(以上、小学館文庫/小学館)
倉知淳「占い師はお昼寝中 改訂完全版」(光文社文庫/光文社)
佐々木愛「胸なんて夢と希望でふくらみません」(双葉文庫/双葉社)
川上未映子「きみは赤ちゃん」
辻村深月「朝が来る」(以上、文春文庫/文藝春秋)
歌田年「ABC殺人事典」(宝島社文庫/宝島社)
玉岡かおる「われ去りしとも 美は朽ちず」(潮文庫/潮出版社)
堂場瞬一ほか「隠蔽 警察小説アンソロジー」(河出文庫/河出書房新社)

先日は誕生日でして、特別なお小遣い(笑)をいただきましたので、また気の向くままに積本を増やしてきました。しかしその山を尻目に、来週新作が出る「十二国記」を読み返してるのは私です(笑)。



藤本ひとみ「まんが家マリナ黒鈴事件 愛よいま、風にかえれ」
6巻は3度目の薫メイン巻。前巻で起きたタイムスリップ事件から目覚めたマリナは、ひょんなことから東京拘置所そばの病院に、薫が身元不明の病人として入院していることを知る。薫が医師の治療を拒みながらも病院から離れないのは、1巻に登場し、現在は死刑囚として服役中の兄・巽のためだった。巽が薫との面会を拒んでいることを知ったマリナは、まさかの方法で巽に接触し、薫への伝言をもぎとってくることに成功する。そんな巽の願いは、高名なヴァイオリニストのユキ・辻口の弟子となり、薫がヴァイオリニストの道に戻ること。それを聞いた薫はあの手この手を使ってユキ・辻口が現在開いている入門試験に潜り込もうとする。お目付け役としてマリナと和矢がついていくことになるが、最終試験が行われている軽井沢の別荘で、薫を陥れる嫌がらせが次々と発生。そもそも先ごろから心臓の調子がすこぶる悪い薫にとって、ほんの少しのストレスも文字通り命取りになりかねない。マリナは和矢と共に犯人探しに乗り出すことに。薫の命を狙う黒幕の正体もさることながら、やはり気になるのは和矢のこと。2巻の事故のせいでマリナに関する記憶だけ喪ってしまった和矢だったが、今巻ではだいぶ復調して、いつものようにマリナを口説いたり茶化したりやりたい放題なわけだが、マリナがピンチになると身体を張って助けに来る。マリナが逆ギレしたり、照れのあまり暴言を吐いたりすると(ってこれはこれで少女小説の主人公としてどうなのか・笑)、本当に怒ってしまう場面も。果たして和矢の記憶はどうなっていたのか……もちろんラストではその真偽が判明するのだが、そうとわかっても和矢め……となってしまうのは私だけではないはず(笑)。

【前巻:まんが家マリナ アストラル・トリップ事件 愛してローマ夜想曲】




藤本ひとみ「まんが家マリナ密室殺人事件 愛と哀しみのフーガ」
7巻の舞台はまたしてもフランスへ。前巻のラストで薫と和矢は事故に遭い、薫はその前の度重なる心労と無茶ぶりがたたって瀕死の状態に。そんな彼女を救えるのは天才医師シャルルしかいない!ということで、マリナはフランスへと向かうことに。しかしシャルルは文字通り「冬眠」に入っていたからさあ大変。しかも理由はマリナへの想いを整理するためときた。なんとかシャルルを目覚めさせることに成功したマリナだったが、なぜかそのシャルルがアルディ家の分家の当主の殺害事件の容疑者となってしまったため、彼の無実を証明するために分家へと潜入することに。もうここまででかなりお腹いっぱいな急展開なのだが(笑)、そこで重傷の和矢の代わり(?)にマリナを手助けするのはカークという若手刑事。日本語も喋れるという彼と共に捜査に乗り出すマリナだったが、その謎の魅力(?)はこの初心なイケメン刑事にも効果抜群(笑)。マリナ、相変わらずなんという罪な女……。


昨日(9/5)のことですが、大阪に行ってきました。
目的はふたつあり、ひとつはランクヘッドのライブのため、そしてもうひとつはハーブスのケーキを食べるためです(笑)。

ランクのライブですが、参加するのは約2年ぶり。前回は25周年ツアーの岡山公演でしたが、今回は27周年のツアーの大阪公演です(27周年?)(笑)。現在ランクは27周年ツアーと称し、過去のアルバムをリリース期間ごとに3シーズンに分けてセトリを組んだライブをしているようです。で、現在は5〜8作目のアルバム5枚(その期間内にリリースしたミニアルバムも含まれる)が対象となる第2シーズンのツアー中。「孵化」「AT0M」「V0X」「[vivo]」「青に染まる白」がその対象となるアルバムなのですが、これは私が過去にドハマりしていたころの作品なんですね。ならば行ってみるか、となったわけです。まあ公演の1週間前に急遽決めたわけですが(笑)。

で、ライブ。場所は心斎橋のCLAPPPERというライブハウスです。2年ぶり――そして同アルバム群をリアルタイムで聴いていたころからはもう何年も経っていますが、あの頃のパワフルなステージは健在。とはいえ、この頃の作品は世界観がちょっと暗めというか、内向的・内省的な歌詞が多いせいもあってか、ちょっとおだかが調子を崩す場面も見受けられましたが、それはそれとしてとにかくなつかしい!のひとことに尽きます。あとまあこちらも年を取りましたのでね、昔よりも刺さるなあと思ったりもして。

個人的には本編ラストの「明日」にぐっときました。まだ見ぬ明日という日を「明るい日と呼んだ」という歌詞が特に。どんなに今日が暗い日でも、夜が明けてどうなるかがわからなくても、それでも明日は「明るい日」なんだ、と励まされるような気がしました。いいこというなあおだか……。

でまあこのライブなんですけど、なんと開演が午後0時だったんです。つまり終わってもまだ午後2時前。てなわけで自由時間はたんとあります。そこで私と同行者である妹が向かったのは、この日の第2目的地である心斎橋バルコのハーブスでした。ケーキだ!!!!!

ランチの終わり頃と3時のお茶の時間の境目ということもあり、待ち時間は思いのほか短くて助かりました(なにせお腹減ってたんで)。ケーキメニューはもう秋となっており、栗や洋梨のケーキがズラリ。で、悩んだ末に私も妹も和栗のタルトを頼み、なおかつマロンチョコレートケーキをひとつ頼んで半分こにするという暴挙に出たのでありました(笑)。

そんな暴挙を慮ってくれたのか(笑)、先に来たのはマロンチョコレートケーキ。思いのほかチョコクリームがあっさりしていたのと、スポンジがふわふわで柔らかかったため、あっという間に口の中で溶けていったんですけどどういうことでしょーか(笑)。そして満を持して登場した和栗のタルトは、タルト生地の上に小豆入りの生クリームがたっぷり盛られ、その上を栗のペーストで覆い、なおかつ縁に大粒の栗も配してあるというボリューミーなつくり。栗のリキュールも混ざっているということで、ものすごく濃厚なお味でした。まさに栗の暴力です(笑)。

そんな感じで小さな秋を感じたひとときでありました。ケーキ最高!!!!!(笑)
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*ここ1週間の購入本*
ミートスパ土本「限界OL霧切ギリ子3」(ジャンプコミックス/集英社)
町田そのこ「夜明けのはざま」(ポプラ文庫/ポプラ社)
森絵都「獣の夜」(朝日文庫/朝日新聞出版)
嶋津輝「襷がけの二人」
山岸忍「負けへんで 東証一部上場企業社長vs地検特捜部」(以上、文春文庫/文藝春秋)
逢坂冬馬「歌われなかった海賊へ」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
角田光代「希望という名のアナログ日記」
辻堂ゆめ「十の輪をくぐる」
辻堂ゆめ「山ぎは少し明かりて」(以上、小学館文庫/小学館)
辻堂ゆめ「残火」(東京創元社)
宮内悠介「Z線上のピエタ」(潮出版社)
潮谷験「ふしぎな凶器博物館」(講談社)
井上伸一郎・永野護「MAMORU MANIA Reprinted Edition」(星海社)

ちなみに大阪ではジュンク堂書店難波店へ行きました。マモルマニア復刻版、やっと発見!



谷瑞恵「めぐり逢いサンドイッチ」
大阪は靭公園の目の前にあるサンドイッチ店「ピクニック・バスケット」が舞台のハートフルストーリー第1弾。この物語の語り手となるのは、サンドイッチ店を経営する清水姉妹の妹・蕗子。サンドイッチを作るのは姉の笹子で、蕗子はそれ以外の業務を担当。サンドイッチに使うパンを卸してくれるパン職人の川端や、職業不詳のアヤシイ常連客・小野寺との和気藹々とした関係のエピソードを挟みつつ、基本的には店を訪れるお客さんたちのささやかなトラブルを、サンドイッチでもって解決していくという物語になっている。とにかく笹子の作るサンドイッチはどれもおいしそうなので、読んでいるとめちゃくちゃサンドイッチを食べたくなってしまう(笑)。そして今後の蕗子たちの関係性の変化も気になるところ。




青木祐子「これは経費で落ちません!14〜経理部の森若さん〜」
シリーズももう14巻となり、ついに沙名子と太陽の新婚生活がスタート!……とはいえ太陽はまだ大阪勤務なので、正確には「遠距離新婚生活」といったところだろうか。そして天天コーポレーション本社では業務効率化のために各種システムの入れ替えの真っ最中。新システムが軌道に乗れば今までより便利になるはずなのに、今までの古いやり方に固執する人、よくわからないから経理に丸投げしたい人などが見え隠れする今日この頃。わかる!わかるよそういうの!とめちゃくちゃ頷いてしまったのは私だけではないはず(笑)。そんな中、システム会社の担当者にまで頼られる沙名子の沙名子っぷり(笑)は健在。もちろん業務上でも様々な問題が起き、頼られては突き放したり協力したりもしつつ、(遠距離)新婚生活に戸惑いながらも順応していく沙名子がなんともかわいらしかったりする。とはいえラストではついに太陽が本社に戻ってくることになり、次巻からはがっつり共同生活がスタート。そこで調子を崩さなければいいのだが……と心配なような楽しみなような(笑)。

【前巻:これは経費で落ちません!13〜落としてみせます森若さん〜】




竹岡葉月「鈴掛紬の針しごと 日暮里ミシンカフェ営業中」
新作は「谷中びんづめカフェ竹善」シリーズの続編。前作の主人公・鈴掛紬は現在、ミシンカフェの店主として働いている。第1話は紬ではなく別の人物の視点からこのミシンカフェについて描かれていくのだが、第2話からは紬が主人公となり、前巻との間に起きていたことが綴られていくという展開になっている。ちなみに「カフェ」ではあるが料理は竹善のものをセドリックから卸してもらっており、紬にとってのメインはやはりハンドクラフト。そんな彼女がなぜカフェをやることになったのか、そして姿が見えない反社顔の官僚・虎太朗はどこにいったのか……などなど気になることはいろいろあったが、最後まで読むと全部わかってスッキリ。そしてまさかそんなあらあらまあまあ、な展開にニヤニヤが止まらなかったりするので続編希望ということで。

【前シリーズ1巻:谷中びんづめカフェ竹善 猫とジャムとあなたの話】

8月の終わりに休みが取れたので、ふらっと出かけてみました。夏休みの自由研究(?)です。

まずは岡山県立博物館。今後とうらぶに実装予定となっている「桃太郎祐定」が9月中旬まで展示されているらしいと聞いたので行ってみました。他の観光客が後楽園に吸い込まれていく中、その入口に背を向けるわたし(笑)(後楽園と博物館の入口は向かい合わせにあるので)。ちなみに博物館では、入口でパンフレットと一緒に汗拭きシートをくれました。これはありがたい。

刀剣の前に現在の企画展「すすめ!ポンポン船〜木造船の世界〜」へ。「ポンポン船」というのは、「焼玉エンジン」という特殊なエンジンを搭載した木造船のことだそうです。このエンジンが稼働時にポンポンという独特の音を立てることからついた名前のようですね。実際にその時の音声が聴けたのですが、思ったより軽快な音でした。

展示室には船を描いた絵や絵巻、あるいは写真から始まり、船の部品や造船に関する資料、船大工の道具、船の作り方などを展示。とてもわかりやすかったです。個人的に面白く見させてもらったのは、船の木製装飾の型紙。その中になにやらお褒めの言葉が書かれていました。よく描けてるな!ということでしょうか(笑)。
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次に向かったのは隣の展示室。こちらでは「奉納された刀と剣」ということで、岡山県内(一部福山もあり)の寺社に奉納された様々な刀が展示されていました。こちらにあったのが「桃太郎祐定」とも呼ばれている、吉備津彦神社の御神刀「刀 銘 上野大掾祐定」です。大太刀ということですが、思ったより細身ですらっとしているのが印象的です。ていうかとうらぶで取り上げられて初めて「そんな刀があったんだ……」とびっくりしているのは私です(笑)。吉備津神社に刀がいろいろ収蔵されてるのは知ってましたが、吉備津彦神社にもそういうのがあったんですね……ていうかよくよく考えたら、私、吉備津彦神社に行ったことないかも……(いまさら)。
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あと、気になったのがもうひとつ。倉敷市にある羽黒神社の御神刀「大太刀 銘 逸見竹貫斎義隆」。明治から大正にかけたて活躍した工芸家・逸見東洋によるもので、刀身には龍が彫り込まれている美しい大太刀。この隣には「短刀 銘 逸見義隆」という、同じく刀身に倶利伽羅龍が彫り込まれた短刀が展示されているのですが、こちらは先ほどの大太刀作成時に余った鉄を使って作られた短刀なのだとか。まさに兄弟刀といったところでしょうか。なんだかステキ。
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県立博物館を出たら、お次は林原美術館へ。現在(8/30まで)は、子供や外国人など、初心者向けの企画展「こだわり日本美術」が開催されていました。昨年も同様の企画展をしていましたが、テーマ展ではないので、林原のいろんな収蔵品が観られるし、見どころもわかりやすく説明されているので、初心者には大変助かります(笑)。

今回は「こだわり」とある通り、作者や持ち主のこだわりが感じられるようなものが展示されていました。例えば「たくさん集める」というブロックでは、おめでたい柄をたくさん描いた皿や絵を展示。面白かったのは「百福図」という掛軸画で、そこに描かれているのはたくさんの仙人と、山積みになった10個の打出の小槌。この小槌は1個につき10の福を呼び寄せるので、10×10=100(百)の福の図、ということだそうです。マニ車とか千手観音みたいな「これひとつで○回分の徳が!」みたいなやつがめっちゃ好きなので、いろんな意味でテンションが上がりました(笑)。

今回の展示品の中で一番気に入ったのは「セットで楽しむ」ブロックにあった「十二ヶ月図屏風」。六曲一双の屏風なので12面あり、鳥や花で1〜12月の各月を表現。余白の多いシンプルな図なのですが、なんともいえない風情があります。このブロック含め、屏風の展示の前にはペンチが置かれていて、座ってゆっくり眺められるようになってるんですが、なんというかいつまでも見ていられる気がしました。

まあそんな感じで地元の文化を味わったひとときでした。ちなみに林原のグッズ売場に収蔵品のアクリルスタンドガチャがあり、以前から気になってたのでついにやってみたんですが、なんと一番欲しかったニワトリ(正阿弥勝義の「諫鼓鳥香炉」)が! たまにはこういうこともあるのね……(笑)。


*ここ1週間の購入本*
夏目イサク「熱帯デラシネ宝飾店7」(ウィングスコミックス/新書館)
吉本ばなな「はーばーらいと」(幻冬舎文庫/幻冬舎)
角田光代「三面記事小説」(文春文庫/文藝春秋)
角田光代「世界中で迷子になって」(小学館文庫/小学館)
奥山景布子「紫式部の生活と意見 現代用語で読む『源氏物語』」(集英社文庫/集英社)
辻堂ゆめ「二重らせんのスイッチ」(祥伝社文庫/祥伝社)
藤石波矢・辻堂ゆめ「今夜は殺れたかも」(講談社タイガ/講談社)
川上未映子「すべて真夜中の恋人たち」(講談社文庫/講談社)
畑野智美「ヨルノヒカリ」(中公文庫/中央公論新社)
秋吉理香子「鏡じかけの夢」(新潮文庫/新潮社)
益田ミリ「小さいコトが気になります」(ちくま文庫/筑摩書房)
夢野久作「東京人の堕落時代」(岩波文庫/岩波書店)
月村了衛「半暮刻」(双葉文庫/双葉社)
月村了衛「テロル」(集英社)
江戸川乱歩・ねこ助「火星の運河」(立東舎)

今週は新刊で買う予定のものがほとんどなかったんですが、本屋でゆっくりできる機会が何度かあったので、気ままにふらふらと買ってしまいました……あれ(笑)。



月村了衛「機龍警察 漆黒社会」
シリーズ第8弾となる本作は、2024〜2026年の「ミステリマガジン」連載分を書籍化したもので、第1部完結編ともなっている。海保が発見した不審船、そこから投棄されたコンテナには、誘拐されたとおぼしき子供たちの水死体が詰まっていた。かつて特捜部が摘発を試みたものの、諸事情により断念せざるを得なかった案件――子供の四肢を切断し、特殊な義肢を接続することで機甲兵装の操縦を可能にしようとしていた企業「本川製作所」が、今回の事件にも関わっていることが判明したため、特捜部は再びこの案件に着手することとなる。しかし捜査を進めるにつれて明らかになる奇妙な動き――その背後で暗躍していたのは、フォン・コーポレーションと城州グループだった。さらに特捜部の捜査と並行して描かれるのは、中国黒社会の大幹部・クワンの過去のエピソード。彼がいかにして現在の地位に上り詰めたのか、そしてその彼が決して許せないものとは何なのか。やがて物語はひとつの惨たらしい悲劇へと至り、そして姿とクワンの決闘で幕を下ろすこととなる。シリーズの節目であるにもかかわらず、そこに希望と呼べるようなものはほとんど存在しない。帯やあらすじに幾度となく書かれている通り、そこは地獄でしかなかった――しかも底の抜けた、救いようのない世界。それでも「警官の中の警官」としてくじけることのない沖津と特捜部の今後の活躍に期待したいと思う――そこに描かれるものがさらなる地獄であろうとも。

【前巻:機龍警察 白骨街道】


正義の枷 降格刑事2 (幻冬舎文庫)
松嶋智左
幻冬舎
2026-08-06


松嶋智左「正義の枷 降格刑事2」
元エリート刑事・司馬がなぜか難事件を解決してしまう警察小説シリーズ第2弾。前巻で図らずも相棒の刑事と「シバイヌコンビ」を組んでいたので、今回もそうかと思ったら違う模様。今回の司馬の相棒は、過去のトラウマによって手錠が怖い新米刑事・村崎良太朗。ふたりの名前を組み合わせると某人気作家の名前になる!?ということで、そういう法則があるんだなと驚かされたりして(笑)。もちろん今回も司馬と良太朗はほぼ戦力外扱いでなんとか捜査に関わっているというような状態だったが、司馬の鋭い観察眼により、ふたりの捜査がきっかけで事件が解決することに。スカッとさせられる展開ではあるのだが、やる気のなさそうな司馬のへっぽこぶりも健在なので、なんかいろいろプラマイゼロということで(笑)。

【前巻:降格刑事】


安らかな永久 おくり絵師 (時代小説文庫)
森明日香
角川春樹事務所
2026-08-10


森明日香「安らかな永久 おくり絵師 六」
「死絵」を描く女性絵師・おふゆの活躍を描く時代小説シリーズ6巻。大火、そしてころりの流行の中、大切な人を失いながらも日々を送るおふゆだが、今巻でも様々な別れを経験することに。兄弟子の岩五郎、女性絵師仲間の親友・おとり、そしておふゆのことを誰よりも気にかけてくれた地本問屋の主人、喜兵衛――ことに喜兵衛はおふゆが死絵を描くきっかけを作ってくれた人物であり、時に優しく、そして時には厳しく、絵師としてのおふゆを見守ってくれた人物。彼らとの別れはしかし、おふゆに人として、そして絵師としての糧を与えてくれたに違いない。シリーズ最終巻が近いということで、彼女がこの先どんな絵師になるのか、引き続き見守りたい。

【前巻:天上の宴】

突然ですがウイルスイーツにハマりました。
ガチャガチャの話です。

「ウイルスイーツ」というのはバンダイから出ているオリジナルのカプセルトイシリーズで、コンセプトは「ウイルス×スイーツ」。スイーツを擬人化した立体マスコットなのですが、ウイルスに侵されているので見た目が病んだ感じになってます。どういうことですか?(褒めてる)

私が知ったのは今年のあたまくらいで、その頃に新作が出てたみたいなんですね。大きいガチャガチャショップに行くと複数台置いてあったり、ディスプレイに飾ってあったので、人気があるんだな〜くらいにしか思ってなかったんです。そう、その時は。

で、それから数か月後、同じシリーズのラバーマスコットが出てたんです。それがなんだかかわいくて、ついガチャってしまったのが運の尽き。日に日に気になってしまい、ホームページを探し、過去に出ていたシリーズを見ては、「なんであの時ためしにガチャってみなかったんだ……!」と悔やんだりもしておりました(笑)。

そうこうしているうちに、8月下旬に新作が出るというのを知り、今か今かと待ってたんですね。しかしその少し前、公式サイトで気付いてしまったんです。なんとバンダイのガチャガチャの場合、通信機能が付いている専用機を使っていると、どの店に、どれくらいの在庫が残っているかが商品別でわかるようになっているんだそうです。なにそれすごい機能。そして今年のあたまに出ていた新作が、まだ岡山県内に、しかも私の行動範囲内に残っていることが判明したんです。ブラボー!

ということで慌ててその店に行ってみたら本当にありました。そしてあと4つだけの子てたので買い占めて帰りました。運よくひとつもダブりませんでした。助かりました(笑)。
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そしてほくほくしながら迎えた8月下旬。前述の機能で入荷した店を見つけたその日に直行し、ガチャりまくってきましたともええ。ちなみに8月の新作のテーマは「サマーフェスティバル」、つまり夏祭りということで、かき氷とチョコバナナとりんご飴というラインナップです。で、それぞれ2種類の異なるカラーリング(味)となっているので、格ゲーの1Pと2P、または色違いの双子という感じです。バラバラでもいいけど、そろってるのもカワイイですね。個人的にはチョコバナナちゃんがずっと気になってたので、両方そろって嬉しい限りです……しかも2セットも(笑)ええダブリましたがなにか(笑)。
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*ここ1週間の購入本*
青木祐子「これは経費で落ちません!14〜経理部の森若さん〜」
竹岡葉月「鈴掛紬の針仕事 日暮里ミシンカフェ営業中」
藤本ひとみ「まんが家マリナ黒鈴事件 愛よいま、風にかえれ」
藤本ひとみ「まんが家マリナ密室殺人事件 愛と哀しみのフーガ」(以上、集英社オレンジ文庫/集英社)
谷瑞恵「語らいサンドイッチ」
谷瑞恵「ふれあいサンドイッチ」(以上、角川文庫/KADOKAWA)
秋吉理香子「聖母」(双葉文庫/双葉社)
朝倉かすみ「遊佐家の四週間」(祥伝社文庫/祥伝社)
井上荒野ほか「山なら言いたいことがある」(幻冬舎文庫/幻冬舎)
伏尾美紀「誰何」(光文社)

夢見る言葉 デフ・ヴォイス
丸山 正樹
東京創元社
2026-06-18


丸山正樹「夢見る言葉 デフ・ヴォイス」
シリーズ5巻にして完結編。様々な岐路に立たされる荒井一家――両親の持ち物の中に離婚届があることを知ってしまった美和。昇進のために勉強に励むも、あることがそれを妨げていることを知るみゆき。そしてみゆきのため、その「あること」を解消することもいとわない尚人。そんな中、ろう児である次女・瞳美の通うろう学校で問題が起こり、児童の親たちによる裁判にまで発展することに。尚人とみゆきも娘のためにこれに参加することになるのだが、それでも先に発覚した問題は解決しないどころか、余計にこじれてしまうのだ。裁判での尚人のスピーチには考えさせられるところがたくさんあるが、それにしたってまさかそんな結末になるとは思ってもみなかった――としか言いようのないラスト。本人たちは納得ずくなのかもしれないが、それでもなにか別の道はあったのではないか――結局はないのだろうが――とこれまた考えさせられてしまう。けれどそれでこの4人の繋がりが失われるわけではないのだから、悲観的になることもないのかもしれないが、それでも。

【前巻:わたしのいないテーブルで デフ・ヴォイス】


謎解き広報課 (幻冬舎文庫)
天祢涼
幻冬舎
2018-01-16


天祢涼「謎解き広報課 全3巻」
ある事情を抱え、縁もゆかりもない地方の町役場で広報紙をつくることになった主人公・新藤結子の奮闘を描くお仕事ミステリシリーズ全3巻。第1巻の「謎解き広報課」は、高宝町役場に就職した結子と、伝説の広報マンと呼ばれる上司・伊達輝政との出会いから始まる。ある事情のために仕方なくこの町に就職した結子なので、広報紙を作れと言われてもやる気もなければ興味もない状態。そんな彼女を毒舌たっぷりのアドバイスで送り出すのが伊達なのだが、なんといってもこのふたりの掛け合いが面白い。そしてもうひとつ面白いのは、結子が取材するとなぜか毎回奇妙なトラブルが起こり、それを結子がはからずも解決することになるのだが、そうなるとなぜか取材内容を記事にすることができなくなるような結果になってしまうものだからさあ大変(笑)。しかしいくつもの「事件」を経て、次第に広報紙作りへの情熱が芽生えていくことに。しかも結子はもともと努力家であり、しかしその努力がなぜか空回りするがために「失敗」してしまい、そのせいで今回の広報紙作りにも影響で出ていたということが分かっているがゆえに、それを克服できるという展開がとてもいい。



第2巻「狙います、コンクール優勝!」では、結子が広報紙作りに熱意を燃やすなか、伊達も入賞したことのある広報紙の全国コンクール(というものが本当にあるらしい)へも興味を示しだすという展開に。そんな中で持ち込まれたのが、伊達も教わったことのある元教師による、廃校を活用するプロジェクト。これを連続で取材し、広報紙に載せてコンクールに出品しようと考えた結子だったが、そこには思わぬ落とし穴が待っていて……という展開。せっかくやる気を出していたというのに、あまりにも残酷な結末には読んでいるこちらもショックを隠せない。



そして第3巻「わたしだけの愛をこめて」の始まりは――というより、前巻のラストが示していた日付は3月11日――そう、東日本大震災の発災日。その地震は高宝町にも大きな被害をもたらしてしまう。先のトラブル、そしてこの震災により、すっかりやる気を失ってしまう結子。しかしそんな彼女を救ったのもまた広報紙であり、これまで彼女の作った広報紙を読んでくれた人々や、取材を受けてくれた人々だった。しかもなんとか結子が救われたと思ったら、今度は上司である伊達の様子がおかしい――これまでさんざん広報紙作りに関わってくれていた伊達が、震災以後、いっさい手も口も出さなくなってしまったのだ。伊達が隠していた想い、そして結子自身が伊達に対して抱いていた想いはなんなのか――それらが判明するラストにはびっくり。けれどそれらを経て、自分なりの答えを出した結子の姿がとてもまぶしく映った。

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