phantasmagoria

読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。

元日に福袋を買って「これで今年1年間は美味しいお茶が飲めそうです」などと言った矢先の話で大変恐縮(?)なのですが、ルピシアに寄ったら新作のスイーツ系紅茶なるものが出てたのでつい買ってしまいました。ええもうふらふらっと……。

20200118紅茶

言い訳をさせていただきますと、ボール型茶こしの網が破れてしまい、お茶を入れると葉が漏れ出てくるようになってしまったので、新しいのを買いに行ったわけですよ。したらば入口のところにばーん!と置かれていたのでもう気になってつい(笑)。ちなみに左が「オペラ」、右が「柚子ショコラ」です。どちらもおいしそうだ。ティーバッグタイプなのですぐ終わると思いますし!ね!?

……とかなんとか言いつつ、レジで店員のおねえさんから「バレンタインが終わるころには新作の《さくら》も出ますのでぜひお越しくださいね(にっこり)」とされてしまったのでまたしてもつられてしまいそうです(笑)。


*ここ1週間の購入本*
入江亜季「北北西に曇と往け4」(ハルタコミックス/KADOKAWA)
佐原一可「華天楼夢想奇譚〜八月の海市の物語〜」(二見サラ文庫/二見書房)
綿矢りさ「ウォーク・イン・クローゼット」(講談社文庫/講談社)
瀬戸晴海「マトリ 厚労省麻薬取締官」(新潮新書/新潮社)
野梨原花南「マルタ・サギーは探偵ですか?設定資料集」(自費出版物)

20200118本

「講談社文庫×クリエイターフェア」という企画が昨年11月から始まっていたようで、なんとなく気になったので1冊手に取ってみました。10〜30代の男女に人気のあるモデルやデザイナー、イラストレーター等とコラボしたカバーを計12作品に付けるという企画のようです。なんとなくヴィレヴァンとかに置いてありそうな感じに仕上がっています。専用の黒い箱に収めた状態で陳列してあるのもなかなかかっこいいです。しかもこの箱は作品ごとに仕切られていて、何も入っていない部分には「品切れ中」的なメッセージもあってわかりやすい。なかなか面白い試みだと思いました。


汎用AIの導入により、事務職であった「彼」は解雇を言い渡される。ベーシックインカムの導入で必要最低限の収入は保証されるものの、今の暮らしを続けるのは難しいという状態。しかしこのかたずっと事務職で、他の有用な資格を持っているわけでもないため、新たな職に就くことはできそうになかった。そんな中、「彼」はネット上で「人間にしかできない仕事」を見つける――それはずばり「新薬の治験」。「彼」は直ちに治験のバイト――もとい「有償ボランティア」となることに。しかしそんな「彼」に最初に投与されることになったのは、なんと「くじ運が良くなる薬」で……。(「イヴの末裔たちの明日)

2018〜2019年にかけて発表された短編3作に、書き下ろし2作を加えた短編集。

やがて人間の仕事は一部を除いてAIに置き換えられる――というのはしばしば目にする話だが、それを現実化させたのがこの表題作。主人公はそこで「人間にしかできない仕事」に従事することになるが、読んでいるこちらも、最初は主人公と同じく無邪気に「再就職」を喜び、その内容が思いのほか楽であることにうらやましさを感じていた。しかしそのもっともらしさが一気に胡散臭さに一転してしまうラストにはぞっとさせられるものがある。そこまで見透かされてしまうなんて、と。

表題作、そしてその人生を賭けてひとつの目標を追いかけ続けるトレジャーハンターと数学者のエピソードを交互に描く中編「ひとを惹きつけてやまないもの」の2作と世界観を同じくする――あるいはおそらく「ひとを惹きつけて〜」のラストとリンクするであろう書き下ろし「箱舟の座席」も、その行方が気になるという点で面白かったが、個人的に一番面白いと思ったのは、もう1作の書き下ろし「まごうかたなき」だった。

物語はある村に妖怪が出たというところから始まる。妖怪が出ると村人たちは「介錯人」と呼ばれる人物を呼び寄せる決まりになっていた。果たしてやってきた「介錯人」は専用の武器を村に持ち込み、立候補した――あるいは選ばれた――村人たちと共に妖怪退治に行くと宣言。村の有力者の娘に片想いし続けている主人公は、最初は行く気などなかったが、もし退治に成功して「英雄」になれば、あの娘も自分のことを認めるに違いないと考え、立候補することに。

……と、ここまでだったら普通の昔話だし、ならば主人公は「英雄」となり村に戻るのだろうと、最初は考えていた。しかし物語は意外な方向へと転がっていく。わざわざ村の外から「介錯人」がやってくるにも関わらず、足手まといにしかならなさそうな村人たちを妖怪退治に伴う意味はなんなのか。物語の類型を逆手にとったような――そして最終的には類型に収めてしまうというラストがなんとも恐ろしかった。

三体
劉 慈欣
早川書房
2019-07-04

文化大革命のさなか、父親が粛清の標的となり、惨殺される様を目の当たりにした葉文潔。彼女も投獄されるところだったが、その経歴を買われ、「レーダー峰」とも呼ばれていた基地で謎の観測業務に携わることになる。それから約40年後、ナノマテリアルの研究をしている汪茲蓮△海2か月ほどの間に高名な物理学者が次々と自殺しているという事実を知る。その中に楊冬の名前を見つけた汪は、彼女の自殺の理由が気になって調べることに。そのさなか、突然彼にだけ見える謎のカウントダウン映像が現れる。楊の夫に紹介された物理学者・申玉菲から理由もなく研究を止めるよう忠告された汪は、その真意を確認すべく、申がプレイしていたVRゲーム「三体」に身を投じてみるが……。

中国で刊行され、アジア圏の作品かつ翻訳小説として初めてヒューゴー賞を受賞した話題のSF小説3部作、第1弾。

物理学者たちの連続自殺と、「物理学は存在しない」という遺言。科学が殺されようとしている、という「実感」。汪にしか見えない謎のカウントダウン映像。「三体」と名付けられた、3つの太陽に翻弄される世界を継続してゆくシミュレーションVRゲーム。冒頭に置かれた文化大革命における粛清のシーンは、一見すると本筋に関係のないようにも見えてくるが、物語が進むにつれ、この事件が葉文潔の精神の在り方を形成し、そして世界の行く末を決定づけているということがわかってくる。出奔した妹、転向して父を弾劾した母、そして父を殺した「世界」。彼女はだから「世界」を呪い、そして絶望してしまっていたのだ。後に夫や子供を得ても、その想いはなにひとつとして変わらなかった。その事実がどこまでも哀しい。

かつて彼女が紅岸の基地で押してしまったボタンは、この世界にとって何を招き入れることとなるのか――単なるゲームではない「三体」がもたらすであろう破滅の――あるいは福音の?――足音は、確実に近付いてきている。ゲームに秘められた問題を解いた時、何が起きるのだろうか。悪い予感しかはらんでいない状態で物語は終わる。続編となる「黒暗森林」は現在翻訳中ということだが、その刊行がすでに待ち遠しい。

2020年最初の美術館訪問です。岡山県立美術館で開催されている「ミュシャと日本、日本とオルリク」に行ってきました。

20200111ミュシャ展

今年が日本とチェコの交流100周年ということで、これを記念して開かれているという展覧会。チェコで流行したジャポニスムと、日本で流行したアール・ヌーヴォーのそれぞれの潮流が、互いの美術界にどのように影響を与え合ったかというのがよくわかります。しかも単にその作品だけが行き来したのではなく、展覧会のタイトルにもあるエミール・オルリクを始めとして、実際に来日する人や、逆に日本から渡欧する人もいたりして、「海の向こうのちょっとした異文化紹介」に留まっていなかったというのはなんとも驚きです。

大判のポスターもあれば、雑誌の挿絵のような小さいサイズの作品もあり、しかも数がものすごく多い!ので、時間があっという間に過ぎていきます。個人的に気に入ったのは、ヴォイチェフ・プライシクによるカラー・エッチング作品「冬のモチーフ」集中の1作。雪が降りしきる情景を描いたものなのですが、降る雪の量や勢いがとてもリアルで、その冷たい空気を感じさせられます。それと、ミュシャの「トラピスティーヌ酒」ポスターは、他の展覧会ではあまり見たことがないので気になりました。ミュージアムショップでポストカードを売ってたので、この作品のを探してみたんですが、なぜかなかったんですよね……残念。

ちなみにこの展覧会の図録は国書刊行会から普通に出版されているので書店でも買えるのですが(実際にこの展覧会の存在を知ったのは、国書刊行会のHPの新刊案内でした)、せっかくだからと美術館で買いました。しかしなかなかの分厚さ……大変重かったです(笑)。

おまけ。今まで弾き語りライブで何度か足を運んだことのある城下公会堂ですが、初めてランチ時に通りかかったので、お昼はここにしました。ちょっと古びたカフェという佇まいなのに、お昼のランチはばっちり和食でした。おいしかったです。今度はケーキも食べたいな……。
20200111お昼



*ここ1週間の購入本*
深緑野分「オーブランの少女」(創元推理文庫/東京創元社)
萩原恭次郎「断片」(共和国)
「ミュシャと日本、日本とオルリク」(国書刊行会)
「BRUTUS 2020年2月1日号」(マガジンハウス)


来週の1/14にサービス開始5周年を迎えるという「刀剣乱舞」ですが、男性向けの情報誌「BRUTUS」にてなぜか特集が組まれるというので買ってみました。
5年間の歩みだとか、現時点での全刀剣紹介だとか、なかなか読み応えのある1冊。私も始めてからそろそろ1年経ちますが、過去の流れとかは知らないので勉強になりました。

皇帝と拳銃と (創元推理文庫)
倉知 淳
東京創元社
2019-11-11

学内で「皇帝」と称されるほどに絶大な権力を持つ主任教授・稲見は、経費の不正使用に気付き恐喝してきた事務員を、事故に見せかけて殺すことに成功する。その翌日、稲見の元を訪れたのは、西洋の絵画に出てくる「死神」のような陰鬱な容貌の中年刑事・乙姫と、その部下で俳優とも見まがうような美貌の青年刑事・鈴木だった。計画は完璧で、どうあっても自分にたどり着くことはないと確信していた稲見だったが、「死神」の捜査の手は次第に稲見へと近付いていき……。(「皇帝と拳銃と」)

見る者すべてが「死神」を連想するような風貌の中年刑事が、完璧に見えたいくつも殺人事件を解決してゆく倒叙ミステリ短編集。

倒叙ミステリであるため、読者には犯人の正体が最初から明かされている。しかし本作に収録されている4作は、その殺害方法が明かされないものや、動機が明かされないものも。それらを「死神」がどう暴いていくかが面白い点なのだが、「死神」は派手なパフォーマンスや天才的な推理力を持っているわけではなく、その綽名にふさわしく、淡々とさりげなく、しかし確実に標的の首を刈り取るように、ともすれば見過ごしてしまいそうな小さな証拠を見つけ、それを犯人に提示していくのだ。読み進めるにつれて、その恬淡とした振る舞いがだんだんクセになってくる。また、そんな感じなのに小劇場系劇団や女性に人気の恋愛小説など、妙なサブカル知識をさらっと出してくるというギャップからも目が離せないので、今後の活躍にも期待したい。


空魚と鳥子は、DS研の汀や、彼が雇った民間軍事会社のメンバーと共に、潤巳るなのカルトの本拠地だった「牧場」へと向かう。そこは有名な実話怪談「山の牧場」になぞらえて作られたとおぼしき施設で、るなの狙い通り、いくつかの部屋は裏世界へと通じる「中間領域」と接続してしまっていた。生存していた第四種をなんとか倒し、施設をあとにしようとする汀に対し、空魚は鳥子と共にこの施設の「管理人」になりたいと要望を出す。汀には隠していたが、空魚にはある「目的」があるようで……。

女子大生コンビが、ネットロアを現実化させたような「裏世界」で冒険する姿を描く百合SFシリーズ第4弾。

前巻の事件のあれこれを引きずりながらも、いっこうに「裏世界」への興味を衰えさせることのない空魚。今巻では裏世界での移動手段として購入した大型農機をカスタムし、さらには今まで避けていた裏世界での夜間滞在をも敢行することに。空魚にとって裏世界へ行くことは、非日常を味わうためだったり、金もうけのためだったり、あるいは――これが元々の目的だったはずだが――鳥子と共に冴月を探すことであるはずだった。しかし冴月の存在がおそらく裏世界で変質し、もはや取り戻すのは難しいということが明らかになってきたとき、その目的はどこか変質しつつあるような気がしてならない。小桜の叱責あるいは懸念によって今のところは踏みとどまっている空魚だが、裏世界の怪異が――そこに「意志」のようなものが介在しているかどうかは不明だが――空魚を標的にしつつあるという現状もあいまって、彼女がいつ道を踏み外さないか心配で仕方ない。

そんな中、おそらく空魚にとって最大のストッパーとなりうるのが鳥子の存在。冴月の「現状」を目の当たりにしたせいか、あるいは前巻で離れ離れになっている間に空魚が窮地に陥っていたせいか、とにかくガンガン空魚との距離を縮め始める鳥子。これが吉と出るか凶と出るかはまだわからない部分があるが、それでも彼女の存在は空魚にとって大きいはず。図らずもこれまでと逆の立ち位置となってしまったふたりは、今後どうなってしまうのだろうか。


◇前巻→「裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ」

2019〜2020年にかけての年末年始は、曜日の並びがなかなか特殊だったため、中には12月28日(土)から9連休というといううらやましい人もいたのではないかと思います。かくいう私の職場は基本的に土日のみ公休ということになっているのですが、そうすると年間の公休日数が規定に満たないため、そのあまりを年末年始に使おうということになっています。では足りない分はどうするかというと、有休を使うわけです。いずれにせよ、他の業者が休みである以上、私たちが職場に出たところですることがないわけですし。

ということで私は少し遅れて12月31日(火)から6連休を敢行していたのですが……例年より長いとはいっても、結局のところ年末は掃除とか家のこととかでやることが山積みで、年が明けると初詣とか親戚の接待とかで気付いたらもう終わりなわけですよ。楽しい時間があっという間に過ぎるというのは伊達ではないんですよね……(遠い目)。

ということで一昨日あたりからやっと自由な時間もできてきて、ちょいとお誘いがあったので出かけてきました。で、探していた本を見つけたので買ってみたり、そのついでに友人が面白いと言っていた本も見つけたので一緒に買ってみたり、あと弁当箱が壊れていたのを思い出して買ってみたり……と、1日に続いて今日もちまちまと買い物をしてしまいました。ボーナス出たし!とか年末調整でけっこう返ってきたし!などと心の中で言い訳をしつつ、こうやってお金ってなくなっていくんだなあ……と今更ながらしみじみ(笑)。まあアレですよ。経済を回してるってことですよ、わたしも社会の一員として!(笑)


*2020年最初の購入本*
保坂正康「大本営発表という虚構」(ちくま文庫/筑摩書房)
岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美「『罪と罰』を読まない」(文春文庫/文藝春秋)
坂口安吾・しきみ「桜の森の満開の下」(立東舎)


春が近付き、紬のもとにはまたしても母親から春野菜の詰め合わせが届くように。加工を依頼すべく「びんづめカフェ竹善」へと向かった紬だったが、そこで常連客から聞かされたのは、谷中銀座に飾られている「七福猫」のひとつが何者かに盗まれたというニュースだった。そんな折、武流が飼っていた黒猫「ネコ太朗」が行方不明に。武流のクラスメイト・相沢さんにも手伝ってもらい、迷子猫の貼り紙を貼って回ることになった紬。相沢さんも飼い猫が行方不明になっているため、他人事ではないのだという。そのさなか、紬はひとりの老婆が七福猫をカートに乗せて歩いているのを目撃し……。

コミュ障気味の女子大生・紬と、びんづめカフェを営む英国人・セドリックが、彼らの周りで起きる謎をゆるく解き明かしていくほのぼの(?)ストーリー、第2弾。

商店街に現れた猫泥棒の正体、ある老嬢がかつて飲んでいた「外国の甘い麦茶」の正体、寝込んだ虎太朗の部屋に紬がいた理由、そしてセドリックが育てている亡き妻の忘れ形見・武流とその祖父母の問題……「事件」というようなかっちりしたものではなく、あくまでも彼女たちが生活している中で湧き出てくる様々な問題が、セドリックが作り出したびんづめ保存食によって解決へと導かれていく。つまるところ起きているのは人間関係にまつわるあれこれであるからして、その人間が生きていく中で最も大切な「食べる」という行為がその解決に結びつくというのは不思議な事ではないのだろう。その「どこまでも幸せな世界」は、見ていてとても穏やかな気持ちになれる。ついでに言うと、紬をめぐる人間関係もなんとなく進展?しているような気がしないでもないので、今後の発展にも注目したい(笑)。


◇前巻→「谷中びんづめカフェ竹善 猫とジャムとあなたの話」


アザリー、ついでキリランシェロが行方不明になってから4年後。コミクロンはひとり、とある酒場で相棒を待っていたはずだった。しかしそこで彼が目にしたのは、ありふれたごろつきたちの抗争――かと思いきや、掏摸をはたらいた女は「領主」の名を口にする。相棒から《最接近領》の一員になることを提案されていたコミクロンは、この諍いが《最接近領》による面接だと判断し、女を助けそのアジトへと向かうことになるが……。

久々の書き下ろし新エピソードは、作者いわく「隙間編」。これまで書かれた物語の隙間を埋めるような、そしてその中で何かひとつでも間違えれば物語が変わってしまうような、そんなエピソードとなっている、とのこと。今回は本編1巻でアザリー討伐隊に身を投じ、そのまま亡くなった、チャイルドマン教室の一員・コミクロンがメイン。本編1巻の1年前が舞台となっている。

アザリーの魔獣化、キリランシェロの出奔、チャイルドマンの不在――これらはチャイルドマン教室に大きな影を落とし、それはそのまま《牙の塔》の斜陽とも重なっていた。そんな中、コミクロンは「相棒」と信じてやまなかったコルゴンからその正体を聞かされ、さらには彼と共に《最接近領》での任務に従事しないかと誘われていた、そんなタイミングでの物語だという。まあつまるところ彼が巻き込まれたのは「面接」ではなくそのへんの武装盗賊の抗争に過ぎなかったわけだが、コミクロンが敵対することになった盗賊には「オーフェン」と名乗る凄腕のはぐれ魔術士がいて……となると「いやいやいやちょっと待って!」となってしまうのは無理からぬ話。いやそれはわかるでしょ……と思いながら読んでいたのだが、これが思いのほか、お互いに――少なくともコミクロンの方は――わかっていない。まあキリランシェロ→オーフェンについては外見がかなりすさんでいるし(主に目つき・笑)、コミクロンの方も成長してからは美女と見まごうほどの美貌の持ち主になってしまっていので、仕方ない……のかもしれない。

そんな勘違いのせいで死線を潜ったり潜らなかったりするコミクロンだが、そこで彼はあるひとつの決断を下すことになり、それが彼の「運命」を決定してしまうこととなった。彼は彼なりに教室の仲間たちのことを大切に思っていたからこそ、あの結末を迎えたのだと思うと仕方ないことだったのだと諦めざるを得ない。と同時に、そんなコミクロンだからこそ、コルゴンも「相棒」としてそばにいたのかもしれない。さすが隙間編、かゆいところに手が届いたというか、いろんな意味で納得させられるエピソードだった。


◇前巻→「魔術士オーフェンはぐれ旅 プレ編2」

2020年です。なんというかキリがよくて見た目がすっきりしますね。
今年もよろしくお願いします。

今年も例年とほぼ同じで、午前中に最上稲荷へ初詣に行き、午後からは倉敷のイオンモールにて初買い物という流れです。ちなみにとうらぶで日向正宗の鍛刀キャンペーンが今日から始まってて、朝から何回チャレンジしてもまったく出てきてくれなかったのですが、初詣後に再度挑戦してみたところ、数回で出てきました。もしやこれはご利益……!?

さておき。
初買い物もしてきました。毎年なにかしら本を買ってるんですが、今年は買おうと思ったものがボロボロになっていて、しかも他の在庫はないようなので結局買わず。その代わり……というわけでもないのですが、通りかかったルピシアで紅茶の福袋(正確には「福箱」?)をひとつ買ってみました。ランクは一番下の「梅」ではありますが、3,240円で中身はその約2倍分入っているというのだからスゴイ。10種類のフレーバードティーの詰め合わせだったので、これで今年1年は美味しい紅茶を飲み続けられそうです。

20200101福袋


あと、2020年の初読書はこちらにしました。「葛原妙子 見るために閉ざす目」です。文春の書評かなにかで気になって購入したのですが、葛原妙子は戦後に活躍した女性歌人だそうです。「幻視の女王」「魔女」などと呼ばれていたとか聞くと気になりませんか? 私は気になって釣られました(笑)。

葛原妙子 (コレクション日本歌人選)
川野 里子
笠間書院
2019-07-31


「コレクション日本歌人選」と銘打たれている通り、様々な歌人を取り上げたアンソロジーシリーズの1冊。思潮社の「現代詩文庫」シリーズみたいな、歌集の抄録がメインなのかと思っていたのですがそうではなく、1作につき2ページを割き、作品ごとに編者による解説が付いているという、とても初心者向けな作品選でした。

確かに何も考えずに歌だけを目にすると、そんな呼称が付けられてしまうのも無理はないような不可思議な世界が広がっていますが、解説を読むとそれだけではないというのがよくわかります。歌人の持つバックボーンの複雑さ(例えば戦後という時代性であったり、結婚し子供を産み育てるという環境の激変さだったり、その娘がキリスト教に傾倒したことだったり……)が入り組んだ結果、このような現実との断絶(にみえるもの)が生まれたということなのでしょうね。葛原妙子に関する書籍(歌集含む)は絶版になっているものも多いらしくて残念ですが、機会があればまた何か読んでみたいです。


クリスマスを間近に控える中、クジは兄や古来の知識を借りながら、カンラン先生を元の世界に戻す方法を探っていた。しかし本人はどちらでもいいと考えているようで、クジは困惑を隠せない。そんな中、地下鉄の駅で何者かがカンラン先生に接触。別の次元に隠していたはずの彼の杖を無理やり奪って逃走し、カンラン先生はその場で昏倒してしまうのだった。杖がない状態では魔法が使えるかどうかわからないというカンラン先生のために、クジは魔法庁の施設でデータを取ることを提案しつつ、杖を奪った犯人の手掛かりを探すが……。

電子オリジナルとなるシリーズ4巻。魔法使いにとっては半身ともいえる杖を奪われてしまい、カンラン先生大ピンチ!の巻。

なにもかもがまったく違う存在のクジとカンラン先生は、それでも協力しつついろいろなトラブルを解決する中で、少しずつ互いを理解してはいたはずだったが、今巻ではまだまだ知らないことがたくさんあるということが改めて浮き彫りに。やはりクジにとっては「無理やり自分たちの世界にしまった引き擦り込んでしまった」という負い目があるためにカンラン先生を元の世界に返そうと必死だし、けれど一方で魔法使いの好奇心ゆえか、あるいはネオンジウムをどうあっても持ち帰れない現状に対して(一応)責任を取るためか、この世界に留まってなにかしらの新発見をしようと考えている模様。何度目かわからないそんなすれ違いもここまでくれば微笑ましく映ったりもするのだが、それはそれとして、カンラン先生は「新発見」の対象として「魔王」の存在を求めようとしていた――もちろん、その対象は「サリタ・タロッタワーク」だったもののことなのだろう。ここにもまた、かの魔王との因縁――あるいは呪縛のようなもの――がいまでも根深く残っている。サリタを知る者たちにとっては、彼が死んでしまうよりもなお残酷な出来事だったのだ。

しかしそんなふたりの前には、またしてもカンラン先生の杖を――というよりは、ネオンジウムを狙う輩が現れる。彼らの狙いは一体何なのか。そして残るネオンジウムの持ち主ふたりはもちろん「大丈夫」とは言うが、相手がどのくらいの力量を持っているのかまだわからないので、本当に大丈夫なのかどうか。


◇前巻→「ちょー東ゥ京3〜月の光ワルツ〜」

金曜の夜は部署の忘年会だったので久しぶりに飲みました。そして後輩(笑い上戸からの泣き上戸)にみごとに絡まれ、なぜか家族構成について語る羽目になってしまいました。なんだったんだいったい(笑)。

まあ二日酔いにはまったくなっていなかったので、土曜は表町までお出かけしてきました。で、天満屋で開催されている「ぐでたま展」を見てきました。まあ会場はどちらかというと小さいお子さんとそのママという組み合わせが多いわけですが、私だって母娘で行きましたよ? 平均年齢はそうとう高いですけど(笑)。

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中は立体化された大きなぐでたまと、パネルになっている平面のぐでたまが入り乱れる黄色い空間。ぐでたまのおしりにさわれるコーナー(!?)もあったんですが、想像に反して固めでした。あいつ、生の黄身のはずなのに……。

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壁にはじかにイラストが描かれていたりもするのですが、なんとその中に、12/26にイラストレーターさんがやってきて直接描いていったというものも。岡山なので桃太郎ルックなんですね。

特に可愛かったのは、あちこちに飾られていた食品模型。たまごの部分(またはたまごが混ぜられている部分)にぐでたまの顔だけが描かれているんですね。たとえばパンケーキとか。

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こちらはハンバーガー。上から見るとわかりづらいんですが、中に挟まっている目玉焼きにも顔が。細かい!

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会場外にもありました。たまごのお寿司。

ちなみに出口にはグッズ売場があったのですが、なんと3,000円以上購入するとたまご1パック(6個入)プレゼント!というまさかの特典も。ちなみに私は何も買わなかったんですが、同行していたマッマがなんやかや買っててたまご貰ってました(笑)。

そのあとは表町周辺をふらふら。天満屋地下のフードコート内にタピオカドリンク専門店が出ていたので、たまには飲んでみるか!ということで私はほうじ茶ミルクティを。ミルクティよりも、タピオカそのものが黒糖味で大変甘かったです。そしてコンビニのチルド商品よりももちもちしてて食べ応えがありました。さすがそれなりのお値段がするだけありますね(笑)。おいしかったです。


*ここ1週間の購入本*
沙村広明「波よ聞いてくれ7」(アフタヌーンKC/講談社)
浅野いにお「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション9」(ビッグコミックスSP/小学館)
水谷フーカ「14歳の恋10」(楽園コミックス/白泉社)
羽海野チカ「3月のライオン15」(ヤングアニマルコミックス/白泉社)
おがきちか「Landreaall 34」(ゼロサムコミックス/一迅社)
なま子「ドラマティック・アイロニー7」(シルフコミックス/KADOKAWA)
三田誠「ロード・エルメロイ2世の事件簿7 case.アトラスの契約(下)」(角川文庫/KADOKAWA)
秋田禎信「魔術士オーフェンはぐれ旅 コミクロンズ・プラン」(TOブックス)
藤原明「偽書『東日流外三郡誌』の亡霊 荒吐の呪縛」(河出書房新社)


先日「東日流外三郡誌」のルポ本を読んだら面白かったのでいろいろと調べてみたところ、半年ほど前に読んだ「日本の偽書」の著者がつい最近新作を上梓していることが判明したので、さっそく買ってみました。ただし、こちらは「三郡誌」よりも、それ以前に「発見」された資料群(著者は「プレ三郡誌」と命名)と、民俗学において謎の多い存在「アラハバキ神」との関係について論じたもの(もちろん「関係がない」ということを立証しようとするもの)。これを読むと、「作者」がいかに巧妙に、かつ若い頃から偽作に手を染めていたのかというのがよくわかって、ますます「何のために?」と問いかけたくなります。なお、巻末には「三郡誌」を巡る年表も付されているので、ことのなりゆきがとてもわかりやすかったです。


1975年に青森県五所川原市市浦村の村史の中で発表された「東日流外三郡誌」は、記紀の内容を覆す超古代史として一躍話題となった「古文書」だった。しかし1992年、発見者にして所蔵者である和田喜八郎に対する訴訟が起こり、これをきっかけとして一大真贋論争が巻き起こることとなった。本書は2006年に発表されたルポルタージュの改題・加筆・再編集版として2019年3月に刊行されたものであり、著者・斉藤光政は東奥日報の記者として、訴訟記事の執筆をきっかけにこの論争を牽引するひとりとなっていく。

現在は偽書としてほぼ決着している「三郡誌」ではあるが、その発見者にして偽作者と指弾された和田喜八郎や、その擁護派のリーダー的存在である古田武彦らは真作であるとの主張を曲げることなく亡くなっているため、真相や動機については闇の中とも言える。しかし著者が調べれば調べるほど不審な点しか出てこず、読んでいるこちらも最初は呆れていたが、最終的にはもう笑うしかなくなってくるような展開になっていく。

特に面白かった(?)のが、「三郡誌」中に出てくる特徴的な誤字が、発見者である和田氏の文章にも存在していることを指摘すると、擁護派が「和田氏はこれらの古文書を見て文字を学んだのだから、同じ誤字があって当たり前」というような発言をすること。一瞬「それなら確かに」と言いそうになってしまうが、筆跡鑑定をしたら「三郡誌」の文字と和田氏の文字が一致しているし、毎度毎度コピーや写真のみで肝心の原本を出してこず、最後の最後でようやく「原書」が出てきたかと思ったら、やっぱり和田氏とまったく同じ筆跡であったという。もはやここまでくると、彼らが一体何をしたいのかわからなくなってくる。もはや当人たちが亡くなっているのでどうしようもないが、彼らの狙いは一体何だったのか――お金か、名声か、あるいは愉快犯なのか――が気になって仕方ない。

実は今年は萩原恭次郎生誕120周年ということで、11月から12月にかけて、出身地である群馬県のふたつの文学館(前橋文学館と土屋文明記念文学館)で企画展が開催されているそうです。大学時代の講義で一瞬だけ出てきた「死刑宣告」に一目惚れし、卒論のテーマに恭次郎を選んで先生方を煙に巻いたわたくしと致しましてはもちろん観に行きたくて仕方なかったのですが、時間の都合がつかず断念しました……。

しかしそれぞれの文学館のサイトを調べたところ、どうやら図録を通信販売してくれるということだったので、さっそく注文しました。そしてついに2冊ともゲットいたしました!やったね!

20191221図録

左の「詩とは?詩人とは?」の方は土屋文明記念文学館の図録です(ちなみに電話で注文し、郵便振替で後払いでした)。こちらはサブタイトルに「大正詩壇展望」とある通り、恭次郎を中心に、同年代の詩人たちについて、そして当時の詩壇についてといった内容のようです。佐々木幹郎による「大正という歴史の踊り場」という文章になるほど……となりました。

で、右の「何物も無し!進むのみ!」の方は前橋文学館の図録です(こちらも電話注文でしたが、先に現金書留で支払ってから図録が届くという、なかなかアナログな入手方法でした・笑)。こちらは恭次郎とその作品がメインのようですが、彼の生涯を追いつつ、各識者による文章が多数収録されていて、なかなか読みごたえがあります。

なんだかんだ言って卒論書いてからもう10数年が経過しているわけで(あっ年がバレる・笑)、知識もずいぶんどこかに落としてしまってはいるのですが、それでもこういうのを読んでいると大学時代に戻った気分になります。あの頃はアタマ良かったのねわたし……などとしみじみしつつ(笑)、今ならどんな切り口で論文書くかなあ、と考えてみたりもして。


*ここ1週間の購入本*
栗美あい「紅霞後宮物語〜小玉伝〜8」(プリンセスコミックス/秋田書店)
藤崎竜「銀河英雄伝説16」(ヤングジャンプコミックス/集英社)
竹岡葉月「谷中びんづめカフェ竹善2 春と桜のエトセトラ」(集英社オレンジ文庫/集英社)
斉藤光政「戦後最大の偽書事件『東日流外三郡誌』」(集英社文庫/集英社)
宮澤伊織「裏世界ピクニック4 裏世界夜行」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
夢野久作・ホノジロトヲジ「死後の恋」(立東舎)


定年後、特任教授として引き続き大学での研究を続けられることになった微生物学者の坂口信。亡き恩師の妻に呼び出され、厳重に保管されていたという謎の研究資料を読み進めていくうち、坂口は恩師が大学の保管庫にこっそりと何かを隠していたことを知る。「KSウイルス」と名付けられたそのサンプルをラットに投与してみたところ、ラットはいったん仮死状態になったかと思うと、突如狂暴化し、互いに互いを食いちぎりながら死んでいったのだった。それが狂犬病ウイルスをベースに加工された新型であることを知って愕然とする坂口だったが、そこに妻が急死したという知らせが。同席していた後輩の黒岩と二階堂に処分を任せて帰宅し、妻を見送った坂口。しかしその後、黒岩が謎の急死を遂げたうえ、海谷と名乗る女性刑事や、同じく警察官だという黒服の男たちが坂口の前に現れ、黒岩の周辺について聞き出そうとしてくる。さらに時同じくして、処分したはずのウイルスを手に入れたとするテロ組織が現れ、首相官邸に向けての犯行予告を送ってきて……。

致死率100%でワクチンもないという新型ウイルスの行方を老教授と女刑事が追うサスペンス長編。なお、サブタイトルにもある通り、主人公は「特任教授」の坂口信。個人的すぎる感想ではあるが、こういう場合は大抵「若き天才イケメン教授」的なキャラだと思っていたのだが、予想に反して65歳というキャリアも実績もある教授ということで驚いてしまった(笑)。

さておき、坂口が発見してしまったのが、亡き恩師が作り出していた恐怖の「ゾンビ・ウイルス」。処分を任せていたはずの黒岩がサンプルを何者かに横流しし、おそらく口封じとして殺され、さらにはそのウイルスが都内にばらまかれるかもしれない――そんな危機的状況に陥ってしまった坂口は、しかし研究者のプライドと責任にかけて、中央区内のどこかに仕掛けられたというウイルスの在処を探すべく奔走することに。一方、プライベートでは妻を亡くしたばかりで、日々の生活すらままならないという状態。それらの落差の激しさにはなんとも驚かされる。

そんな彼に――というより「研究者」という存在そのものに――反発も覚えつつ、サポートしてくれるのが、後方支援系の部署に所属しながらも、上司の制止も振り切って独自の嗅覚で事件を追う女性刑事・海谷優輝。父親の形見だという年代物のフェアレディZを駆って単独行動をも辞さない、まさに一匹狼な彼女の姿はなんともかっこよく、彼女が主役の刑事ものを読んでみたくなった。

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