phantasmagoria

読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。

今年は花粉めっちゃ飛ぶぜ!と巷間では言われてますがそれって毎年の話だし、去年もその前も私は全然大丈夫だったし〜などと甘く見ていたんですが、今年はガチで鼻が詰まるし目がかゆいです(苦笑)。花粉症とはいえ、私の罹り具合(?)は比較的軽い方なんですが、それでも結構キますね今年。何年かぶりに薬を飲んでます。ちなみに花粉症と言われると、某あずまんが大王の大阪の「かふんしょお。」という台詞が脳内をよぎります。わかる人は一緒に頷いていただけると幸甚です。

そんな感じで鼻をすすりつつ、メガネガチャこと「EYEWEAR COLLECTION」を再度見つけましたので、2度目の挑戦を致しました。前回は全9種中2種しかないサングラスを引き当ててしまったので、今回こそ普通眼鏡を!と意気込んで回した結果がこちらです。

20190316メガネ

……よかったー!(心の中ではサングラスが出てくると思ってたので……)
ということで「スクエア(セル)」です。このかたち、好きなんですよね……自分には似合わないのでかけてないんですけど。だからこその憧れなのかもしれません(笑)。


*ここ1週間の購入本*
志村貴子「淡島百景3」(太田出版)
山尾悠子「増補 夢の遠近法 初期作品選」(ちくま文庫/筑摩書房)
吉岡太朗「世界樹の素描」(書肆侃侃房)



「歪み真珠」を読んで勢いがついたので、初期作品選の文庫版も買ってしまいました。こっちも単行本で持ってはいますが、2編追加されてるというのでつい……まあ追加された短編も「作品集成」には入ってますけど、でも文庫版には自作解説がありますので!だから大丈夫!(言い訳)


罪を犯した友人を助けたことで、辺境での徒刑を命じられた遊圭。最初は先輩役人たちからの嫌がらせに遭っていたものの、ルーシャンや胡娘の助けもあり、それなりに平穏な日々を送っていた。そんな中、夏沙から撤退してきた負傷兵の中に、胡娘の夫らしき人物から銀貨を託された者がいることが発覚。さらに時同じくして、陥落した夏沙王宮から麗華公主が逃げ延び、西大陸からやってきたとされる宮廷医師――おそらく胡娘の夫――の手引きで、死の砂漠の奥にある伝説の郷に向かったらしいという情報がもたらされる。胡娘と麗華のため、遊圭は自ら死の砂漠へと向かうことを決意するが……。

若くして波乱万丈すぎる日々を送る病弱主人公・遊圭がまたしても無謀な旅に出る羽目になる、中華風ファンタジーシリーズ第6巻。

幼い頃から今に至るまで母親代わりとして世話になっている胡娘。そして罪人の母を持ち、遠い国に輿入れしたかと思ったらその国を滅ぼされ未亡人となってしまった麗華。そんなふたりのため、遊圭はどこにあるとも知れない幻の郷を探し、死の砂漠へと向かうことに。いつもなら嬉々として(?)遊圭に無茶振りをする玄月が、今回は遊圭の出立に乗り気ではない感じというところからも推して知るべしというような過酷な旅が繰り広げられることとなる。

かつて自分たちを騙して窮地に陥れた旅人・真人もなぜか一行に加わり、不安要素が山積みな展開になるのだが、次々と起きる問題の中で、遊圭は人と人との繋がりについて、改めて身をもって知ることになる。敵だった人が味方になることもあるし、その逆もある。離れ離れになっていた夫婦が、再会したからといって元通りになれるとは限らない。文字通り「箱入り」だった遊圭にとって、こういった人々の感情の機微というものに対しての実感は薄かっただろうから、いろいろと感じることは多かったのだろうな、と思う。

一方、その「勉強」の結果を明々との関係につなげてくれればいいのだが、そっちはそっちで大変なことに。これまで遊圭のことを弟のよう思っていただけに、彼の気持ちをはかりかねていた明々。弟・阿清に背中を押され、ようやく答えを出すべく遊圭の住まう辺境へ……と思ったら遊圭は砂漠行のため留守。さらには終盤で遊圭が大ピンチに陥って消息不明になったため、なんと明々は遊圭を迎えに行こうと動き出す。今巻では最初から最後まですれ違い続けていたふたりだが、ここで明々が動くとややこしくなりそうな気がするのでちょっとじっとしてて!と思わずうめいてしまったのは私だけではないはず(苦笑)。


◇前巻→「青春は探花を志す 金椛国春秋」


東京駅のコインロッカーで少年の遺体が発見された。被害者は全裸で、不気味な面をかぶせられた状態で白木の箱に詰められていた。しかも現場となったロッカー周辺は工事中で、一般人の立ち入りは不可能だった。東京駅おもて交番にて研修中の新米警察官・堀北恵平もまた、捜査に駆り出されることとなる。先輩刑事に付いて、面の正体と出所を探すことになった恵平。そんな中、見覚えのない地下通路に迷い込んだ恵平は、落とし物を発見。近くにあった古びた交番に届けがてら、恵平は応対してくれた老警官・柏村と話し込んでしまう。恵平が先日の事件のことを話すと、柏村は以前にも似たような猟奇事件――少年の遺体が水槽に押し込められ、床下に隠されていた事件――について語り始め……。

先日本編が完結した「猟奇犯罪捜査官・藤堂比奈子」シリーズ作者の新作はまたしても警察小説。堀北恵平(ほりきた・けっぺい)という男のような名前の新米女性警官が、奇妙な殺人事件を追っていくというストーリーとなっている。

……というと前シリーズと同じような気がするが、本シリーズで鍵となるのは、タイトルにもある「東京駅おもてうら交番」。恵平が勤務しているのは「おもて交番」だが、時折、彼女は「うら交番」という古びた交番に迷い込んでしまう。そこで老警官・柏村と会話をする中で、捜査のヒントを得ることも。しかしいつでも簡単に行けるわけではないようで、どんなタイミングで辿りつけるのかは今のところ謎。ラストで一緒に迷い込んだ先輩刑事の平野が示した「資料」は一体何を意味するのか――なぜ恵平は「うら交番」に行くことができるのかという部分がこの先明かされるのか、気になるところ。

ちなみに、なぜ彼女の名前が「恵平」というのかは、その名前を付けた祖父が他界しているため、本人も知らないとのこと。そのあたりが、いずれ「うら交番」の存在に絡めて判明したりということはないだろうか……とちょっと期待したりもして。

某審神者になって1か月とちょっとが経過しました。とりあえずブログでの開始報告直後に推しが声を当てている刀剣男士その1は来ました。その後、約1か月ほど試行錯誤して、ようやくその2もやってきました。もうこれで思い残すことはありません……ということはもちろんなく、日々レベル上げをがんばっております(笑)。ちなみに、推し以外に気になりつつあるのは亀甲貞宗さんです。まさかの白スーツ&眼鏡(しかも眼鏡紐付き!)といういでたちがたまりません。あといちいち発言が不審ですよね。「ご主人さま!」と呼ばれるたびに「ヒッ!」とうめいております(笑)。

あと最近、演練で他本丸の大太刀にバッサリとやられることが多いので、大太刀(特に蛍丸)恐怖症になりつつあります。あの子ちいさいくせに強すぎるんですよ……一応幣本丸にも大太刀は2振おりますけど(頼りにしてます次郎さんといっしー)、こわいものはこわいんだよ……。

それと、久々にTommy fell in love with sweets!の新作を買ってしまいました。バレンタインモチーフとかいちごとかいろいろありましたが、今回はこの3点を購入。

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左から時計回りに「ハートチョコ缶」、「Wハートマカロン」、「シナモンロール」のバッグチャームです。ハートチョコ缶は赤が欲しかったんですが、売り切れてしまってたのでブラウンで。これはこれで落ち着いた色合いなのでいいですね。マカロンも色味が柔らかくてちょうどいい感じ。シナモンロールは焼き色がリアルでほんとおいしそうです(つい……)。ホント毎回毎回、かわいいしおいしそうだしで困る……!


*ここ1週間の購入本*
内藤泰弘「血界戦線 Back 2 Back 6」(ジャンプコミックスSQ./集英社)
斉木久美子「かげきしょうじょ!! 7」(花とゆめコミックスSP/白泉社)
山尾悠子「歪み真珠」(ちくま文庫/筑摩書房)

歪み真珠 (ちくま文庫)
山尾 悠子
筑摩書房
2019-03-08

持ってるけど文庫化されてるのを見てつい買ってしまいました。山尾悠子の短編集「歪み真珠」です。単行本が国書刊行会から出たのが9年前というのを知ってびっくりしてます。つい最近読んだような気がしなくもないのに……時間の流れってこわい(笑)。

叡智の図書館と十の謎 (中公文庫)
多崎 礼
中央公論新社
2019-02-22

どこまでも続く白い砂漠のその果てに、鎖で戒められた無機質な白い塔が立っている。その塔は、あらゆる知識を収めた「叡智の図書館」への入口。図書館への道を開こうとやってきた旅人は、その塔の守り人たる乙女の彫像に語り掛けられる――これから彼女が発する問いに答えること。逃げても、答えなくても、間違えても死あるのみ。乙女像のひとつめの問いに対し、旅人は携えた黒い石板を使い、ある物語を彼女に見せる。それはアハートという女戦士の数奇な運命の物語だった……。

2016〜2018年に「小説BOC」にて連載されていた連作短編の書籍化。「叡智の図書館」なる存在をめぐり、喋る石板を携えた旅人・ローグと、槍を手にした乙女との問答が、やがてふたりの正体を明らかにしていく。

乙女の提示する「謎」は一般的な問題ではない。最初はそれらしいというか、目的の見えないあやふやな質問だったが、次第にそれは彼女の存在そのものを問うような内容となっていく。そしてその問いに対し、ローグの持つ石板がふたりに見せる物語は実に様々。閉鎖的な一族の女戦士が、服従すべき女王への忠誠を揺らがせた理由。貧しい絵描きの少年が、依頼人の家で盗みを働いた上に使用人を刺した事件の真相。神に選ばれし7人の巡礼者たちの中に混ざった裏切り者は誰なのか。隣国に攻め入られた小国の王が召喚したモノは。昔の悪い仲間にそそのかされそうになった錠前職人の胸に去来するものとは。……等々、一見何のつながりも関係もなさそうな物語から、ローグは乙女の問いかけに対するヒントを得て、それを答えてゆくのだ。

答えを得た乙女は、いつしか彫像から人間の姿に転じ、さらには人間らしい感情を習得してゆく(なんとジョークまでとばす!)。しかしそれは、彼女に新たな苦しみを与えることになる――彼女の「正体」という名の苦しみを。彼女の「過去」は後悔と諦念、絶望に満ちている。しかしローグと出会い、10の謎を解くことで、彼女の未来にも光が射すというラストにはあたたかな気持ちにさせられる。帯であざの耕平が「物語賛歌です」と書いているが、同時に「人間賛歌」でもあるのだろうと思う。ヒトはまだ、信じるに足る存在だと彼女が認めてくれてよかった、と。

山手線謎日和 (ハルキ文庫)
知野みさき
角川春樹事務所
2017-12-13

とある小さな出版社に編集者として勤める折川イズミは、山手線内で自社から発売されたばかりの翻訳ミステリを読んでいる男性を見かける。その3時間後、イズミはまたしても山手線内でその人物を目撃。しかも読んでいた本が残り十数ページになっていることに気付き、彼は何者だろうかと首をかしげるのだった。その翌日、移動中に立ち寄った五反田駅のホームで、歩きスマホの女性が何者かに押されて転倒する事件に遭遇したイズミ。その様子を、昨日見かけた男性も目撃していたことに気付いたイズミは、とっさに彼の後を追って山手線に飛び乗ってしまう。事件のことを問うイズミを軽くいなしつつ、男はこの電車がイズミの乗りたい方向とは逆回りであることを指摘。慌てて次の駅で降りながらも、イズミは事件のこと、そしてあの男性のことが気になって仕方なく……。

編集者の折川イズミと、山手線内で読書に勤しむ男性・和泉怜史が、山手線とその周辺で起きる事件を解決していくライトミステリ連作。

ということで、イズミが山手線内で何度も遭遇した読書家の男性は、アパート経営のため働く必要がないため、山手線に乗って読書を楽しんでいるというなんともうらやましい生活を送っているという和泉怜史なる人物。「いずみ」繋がりであることや、職場の先輩の行きつけの喫茶店に、たまたま怜史も入り浸っている(オーナーと親しいらしい)ということもあり、おせっかいの気のあるイズミが怜史を引っ張っていく形で、様々な事件に首を突っ込んでいくことに。

今のところ恋愛感情的なものはなさそうだが、ふたりがなんだかんだ言っていいコンビになりつつあるのが楽しい。その突き放すような口調や態度とは裏腹に、怜史が思いのほかイズミの面倒をちゃんとみてくれたり、彼女の気持ちを尊重してくれたりするところもいい。1月に出たばかりの2巻でふたりの関係がどうなるのか気になるところ。

3月になってしまいましたので、毎年恒例の呪文を唱えたいと思います。
「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る……」

さておき(笑)。そんな3月になった早々、ちょっくら大阪へ行ってきました。今回もUNISON SQUARE GARDENのライブに行くためです。

今回の会場は大阪のZepp Osaka Bayside。USJの裏手にあるライブハウスで、行くのは2回目です。先月の広島公演では後ろから数えた方が早い番号でしたが、今回は前から数えた方が早い番号だったうえ、中にもロッカーが大量にあることをちゃんと覚えていたので、入るなり後で取り出しやすい場所にさっと荷物をしまい、トイレにも行った上で、1段高くなった見やすい場所を難なくゲット。いい番号ってだいじですね。

で、ライブ。今回ももちろん「MODE MOOD MODE ENCORE」ツアーですので、前回とほぼセトリは同じ。1曲だけ、本編ラストが「夜な夜な」になってましたね。最近ライブで聴いてなくて、そろそろまた聴きたいなーと思ってた矢先なので嬉しい限りです。あとまた言いますけど「夜が揺れている」から「クローバー」の流れはいいですね。しみる。

なおライブの前後は何をしていたかというと……実は午前中は仕事をしていました(笑)。業務上、どうしても出ないといけない日だったので、13時まで働いた後、新幹線に飛び乗って大阪へ。しかし同行者が私よりも1時間遅れてくることになったため、ふらっと日本橋方面に行ったりして。あとそんな感じだったので昼食をとっておらず、同行者と落ち合ってから梅田の大丸のHARBSへ。ついケーキを2個食べてしまいましたが昼食代わりなので許してください。さくらケーキとストロベリーミルフィーユにしました。春ですし。あとアップルジュース頼んだら、冷凍りんごが入ってました。すごい。ごちそうさまでした。

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*ここ1週間の購入本*
雪広うたこ「彼に依頼してはいけません2」(ゼロサムコミックス/一迅社)
夏目イサク「熱帯デラシネ宝飾店3」(ウィングスコミックス/新書館)
萩原ダイスケ「ホリミヤ13」
萩原ダイスケ「ホリミヤ メモリアルブック page.100」(以上、Gファンタジーコミックス/スクウェア・エニックス)
永瀬さらさ「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました4」(ビーンズ文庫/KADOKAWA)
篠原悠希「湖宮は黄砂に微睡む 金椛国春秋」(角川文庫/KADOKAWA)
内藤了「MASK 東京駅おもてうら交番・堀北恵平」
織守きょうや「響野怪談」(以上、角川ホラー文庫/KADOKAWA)
知野みさき「山手線謎日和2」(ハルキ文庫/角川春樹事務所)
三川みり「君と読む場所」
小松エメル「銀座ともしび探偵社」(以上、新潮文庫nex/新潮社)
雪舟えま「パラダイスィー8」(新潮社)
千早茜「鳥籠の小娘」(KADOKAWA)
渡辺優「地下にうごめく星」(集英社)


陸上部のエースとして活躍する女子高生・一ノ瀬ときわの隠れた趣味は、少女漫画を読むこと。特にお気に入りなのは藤原ホイップ先生が描く大正ロマン系の人気恋愛漫画「恋色ノスタルジック」なのだが、周囲では「もう少女漫画は卒業」という雰囲気が流れているため、幼馴染の結を除いて、その趣味を明かすことはできないでいた。そんなある日、帰宅中に行き倒れているスーツ姿の男性を見かけたときわ。彼女の父が経営するアパート「ヒット荘」の住人だというその男性――鈴木桂太を部屋まで送り届けるときわだったが、中に入るとそこには少女漫画誌と「恋ノル」の単行本、そして漫画を描く道具が並んでいた。実はこの桂太と、その直後に帰宅してきたノリの軽い金髪の青年・長山レオこそが、ときわの崇める少女漫画家「藤原ホイップ」の正体だったのだ……。

少女漫画好きの女子高生(兼・大家の娘)が、男性の少女漫画家コンビを食事でサポート!な短編連作。

母親を早くに亡くしたことや、自身がアスリートであることも加わり、栄養バランスを考慮した料理が得意なときわ。そんな彼女の前に現れた憧れの漫画家は、欠食児童よろしく食事を満足にとっていない男性2人組だったからさあ大変――ということで、なし崩し的にときわはふたりにも料理を振る舞うことに。地元の食材や旬の野菜を使って繰り出される数々の食事の描写には、読んでいるだけでお腹がすいてきそうになってしまう。

そしてもうひとつ面白いのは「藤原ホイップ」が置かれる少女漫画界の現状についての描写。アプリと紙媒体での描き方の違いや、アプリ(電書)化に対する漫画家・編集者・読者の三者三様の意見……紙と電子書籍の過渡期ともいえる現在の状況がありありと描かれているので、基本的に紙派の私としては目からうろこだったりする。しかし媒体が何であれ、描く側も、送り出す側も、そして読む側も、漫画が好きという事実に変わりはない。そんな想いも強く感じられる作品だった。


経理部に異動してから1か月半が経過したものの、何度かミスを起こしたこともあり(ただし森若さんのおかげで事なきを得たが)、数字が怖くなってしまった真夕。そんな彼女の生きがいは、ヴィジュアル系バンド「CAROLINE」のライブに行くこと。そんな折、仲間からとあるライブの打ち上げに「CAROLINE」のボーカルであるアレッサンドロが来るという情報があり、真夕もその仲間のつてで打ち上げに参加することに。しかし当日の定時直前、真夕は勇太郎が作成していた重要なデータを誤って消してしまい……。(「佐々木真夕 初恋アレッサンドロ」)

石鹸・入浴剤のメーカー「天天コーポレーション」の経理部のベテラン社員・森若沙名子が、お金に絡む社内の問題や人間模様を解決したりしなかったりするシリーズ第5弾。今回はスピンオフ形式で、沙名子の周囲にいる人々を主人公に据えた短編集となっている。

沙名子の後輩である経理部員・真夕を主人公に据えた第1話のみは、シリーズ1巻よりも前のエピソードであるが、それ以外は1〜4巻に起きた事件とその前後を、それぞれの当事者側の視点で語り直していくという内容。と同時に、彼女たちから見た「森若沙名子」という人物評も含んでいるのだが、中には微妙に「ヘンな人なのでは?」という疑念(笑)を抱いていなくもない感じがなんとも面白い。

とりわけ気になったのは、営業部のエース・山崎の視点で描かれた「カラークリスタル」。彼こそは沙名子が最も関わりたくない「小さなズル」をしている人物であり、珍しく、彼女の指摘を受けてもなおそれを止めない人物でもある。今回のエピソードでは、そんな彼の奇妙なアンバランスさが如実に表れている。「要領がいい」とか「洞察力が鋭い」とか、そういう一般的な評価を超越したところにいそうなこの男性は、また問題を起こしそうな気もするし、逆に何も起こさないような気もする。だからこそ沙名子も、彼が「ズル」を止めないのをスルーし続けているのかもしれない。


◇前巻→「これは経費で落ちません!4〜経理部の森若さん〜」


ミスチフが持ちえない「進化」――「繁殖」の概念を与え、淘汰させるという考えのもと、ラゴスがアカネカたちに提案したのは、冥王斑の免疫を持つ2組の恋人たち――フェリックスとウーラ、ユレインとカランドラの生殖細胞を提供し、オムニフロラの亜種を作り出そうというものだった。しかしこれらを精神的に受け入れられない――だまし討ちのようなラゴスの態度に反発を覚えた4人は、リリーたち姉妹と共に脱走を試みる。一方、メニー・メニー・シープのセアキのもとには、意識不明に陥っているはずのアクリラから電話がかかってくる。アクリラはラゴスが隠している彼らの現状をカドムに伝えたうえで、打開策を提示し……。

足掛け10年におよぶ、宇宙の存亡とヒトの営みを活写する大河SF長編、ついに完結。

たくさんの思惑が絡み合う。それは個人レベルのものから、宇宙レベルのものまで、大小様々。しかしそれを想う彼らの根底にあるのは「種の存続」、これに尽きる。オムニフロラの新種を作るという「人類」の提案は、遠い未来にさらなる破滅をもたらしかねないという理由で、オンネキッツに論破されてしまう。しかしその総女王の意識を変えたのもまた「人類」だった。

個のことを挙げればきりはない。しかしそのために私を殺して公に尽くすことを強いるというのも少し違う。種の存続は重要なことかもしれないが、子を残さずとも、自身が生きた証は残る。そこには確かに、いろんなかたちの「愛」があった。セアキとイサリ、そしてアクリラの関係と選んだ道は、多様性という言葉だけでは説明しきれないほどに、普遍的な「愛」が満ちていたように思う。青葉が豊かに生い茂るように、生命の営みは続いてゆく。本編で使われていたのとは意味が異なるけれど、この言葉を伝えたいと思う――おめでとう、と。


◇前巻→「天冥の標10 青葉よ、豊かなれ PART2」


くもりの日にしか現れない奇妙な店「バージンパンケーキ国分寺」。ある悩みを抱えるみほは、店主のまぶに誘われて、この店でバイトをすることになる。幼馴染の明日太郎が、親友の久美とお付き合いすることになった。みほはふたりとこれまで通りの関係を保っていたかったのに、久美はみほと明日太郎がふたりで遊ぶことをやめてほしいと訴える。そこでみほも、明日太郎だけでなく久美と距離を置くことを決める。もやもやとするみほにまぶが語ったのは、あるシスターの恋の物語だった……。

不思議なパンケーキ店を舞台に、恋と友情で悩む少女の道筋が照らし出される、あたたかな短編連作集。

その店はくもりの日にあらわれる。そしてベルがないのに扉を開くと音がする――ただし、非処女の女性が入ってきたときだけ。そんなえもいわれぬ奇妙な「パージンパンケーキ国分寺」。女子高生のみほのこの店に2度やってくる。最初は友人たちと。2度目は幼馴染の明日太郎と。しかしふたりとの関係に距離を置くようになってから、みほは「恋」と「友情」について考え始める。そしてドアベルの謎は、みほの悩みに拍車をかけていく。

みほにとって、明日太郎も久美も、かけがえのない幼馴染であり親友でもある。しかし明日太郎に対する恋心は持っていないとどれだけみほが主張しても、久美は嫉妬せずにはいられない。それを理解できないからこそ、みほは苦しみ続けるのだ。そんな彼女の悩みを解いたのは、店主であるまぶと、常連である陽炎子のエピソード。そして店にやってきたフィンランド人の2人組。彼女たちが見せた「恋」そして「友情」の在り方は、みほの背中を強く押してくれる。まぶが開いたこの店の持つ「可能性」は、そのままそっくりみほたちの関係にも「可能性」を与えてくれた。自分の気持ちに正直になるということの大切さが、しずかに、そして丁寧に伝わってくる物語だった。

ラメルノエリキサ (集英社文庫)
渡辺 優
集英社
2018-02-20

帰宅途中、見知らぬ男に背中を切られた女子高生の小峰りな。元より人一倍復讐心の強い彼女は、犯人が呟いた「ラメルノエリキサ」という単語のことを警察に伏せたまま、犯人探しを始める。そんな中、同じような手口の事件が続けて発生。りなは被害者の少女ふたりに話を聞くも、ふたりとも例の単語は聞いていなかった。しかしりなを含む被害者3人に、ある人物との接点があることに気付く――それはりなの元カレである篠田。事件の直前、りなは篠田に浮気されたため、クラスの女子全員に軽蔑されるように仕向けるという復讐を果たしたうえで、関係を断っていたのだが……。

第28回小説すばる新人賞受賞作。復讐心の強い女子高生が、自分を害した犯人を執念深く追い詰める、謎の疾走感にあふれた青春小説。

とにかく復讐心が強い――このひとことに尽きるのが主人公であるりな。7歳の頃、飼い猫にけがをさせた少女を2階の階段の上から突き落として骨折させる。長じて現在、お付き合いしていたクラスメイトの篠田が人妻と浮気(!)しており、その人妻から嫌がらせのメッセージを受け取ったため、篠田のスマホから浮気相手とのメッセージのやりとりを他のクラスメイトに流出させる。つまりそんな感じで、自身が受けた実害だけでなく、そのせいで被った精神的被害(自身だけでなく周囲のぶんも含む)や手間などを総括して結果的に倍返しせずにはいられない、というような思考回路の持ち主。そんな彼女を実の姉は「復讐の申し子」と呼び、クラスメイトの立川は「病気」だという。しかしりなの中では、彼女の「復讐」はどこまでも正当で、まっとうなものなのだ。

事件の真相に近付いていく中で何度も語られるのは、彼女の図抜けた復讐心、そして母親に関することだ。完璧で美しく、いつも穏やかで非の打ちどころのない「ママ」。そんな理想的な存在である「ママ」を愛する一方で、「クソババア」と内心では罵るりな。思春期の反抗心とは違う何かがそこにはある。自身の行いが母親をどんな気分にさせるかをりなはちゃんと理解していて、その美しい顔がゆがむことに心を痛めながらも止めることはない――むしろ進んでそうしようとするのだ。本人も言っていたとおり、文字通りの「コンプレックス」――りなはもう気付いているからだ。そんな完璧な「ママ」なんているはずがないことに。そのことに気付かされた瞬間、言いようのない寂しさに襲われてしまう。

しかし、そんなりなの心の内を理解しつつも見守ってくれているのは姉だった。犯人を追い詰めた後に現れた姉の行動には、ここまでのりなのぶっ飛んだ行動や言動もすべて包括して、なんだか奇妙にすかっとした気分にさせられる。りなの小さな世界は今日も守られた。そんな不思議な幸福感を伴って。

最近、つい衝動買いしてしまったものをふたつ。

まずひとつめが地元のハンドメイド作家である「たいくつ堂」さんのがまぐち。

20190223どら焼き1

……そう、どら焼きなんですよ。しかもすごくふかふかしている……!
本体(お金を入れる部分)があんこになってるんですが、外から見るとちゃんとあんこしてる……。

20190223どら焼き2

ということで、この可愛さに完全にひとめぼれしました。使いどきがまだ見当たらないんですけど、とりあえず飾っておくだけでもかわいい。しかしいつかちゃんと使いたいです。バッグから何気なく出して度肝を抜きたいです(笑)。

そしてもうひとつ。久々にガチャりました。「EYEWEAR COLLECTION」ということで、そのままズバリ眼鏡マスコットです。ちゃんとケースもついているという凝りよう。なので普通の眼鏡のようにテンプルをたたむことも可能です。全9種類で、うち2種がサングラスなんですね。で、何が出たかというと……

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ティアドロップ型のサングラスでした。確率的にはサングラスを引く方が難しそうなのに……こんなところでくじ運使ってるんじゃないよ私(笑)。


*ここ1週間の購入本*
ぱんだにあ「ねこようかい ミー!」(バンブーコミックス/竹書房)
仲村つばき「漫画家先生とメシスタント」(富士見L文庫/KADOKAWA)
青木祐子「これは経費で落ちません!5〜落としてください森若さん〜」(集英社オレンジ文庫/集英社)
雪舟えま「バージンパンケーキ国分寺」(集英社文庫/集英社)
あざの耕平「ダーティキャッツ・イン・ザ・シティ」
多崎礼「叡智の図書館と十の謎」(以上、中公文庫/中央公論新社)
小川一水「天冥の標10 青葉よ、豊かなれ PART3」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
新見南吉・ねこ助「赤とんぼ」(立東舎)


マンションの改装も無事終わり、ベランダ菜園の復旧に勤しむまもりと葉二。そんな中、まもりは親友である湊から相談を受ける。彼氏である周が、サークルで映画の自主制作をしており、そのせいですれ違いが続いているのだという。嫉妬心に苦しむ湊のために悩むまもりだったが、一方で葉二の方にも仕事でトラブルが発生しているようで……。

成人式にバレンタイン、そして恋の悩みにと大忙し!なベランダ菜園ラブストーリー6巻。今回はまもりの親友・湊がクローズアップされる展開に。

映画が好きという共通点はあれど、湊の方は観る専門。ゆえに映画を作りたいという周を応援しようという気持ちはあるけれど、そのグループの一員である女子とやたら仲がいいというのは確かに悩みのタネではある。クリエイター側である葉二の意見は参考にならず――言いたいことはよくわかるしごもっともではあるが、湊の悩みに対しては全く意味を持たなかった――、ついには破局寸前までいくことに。そんな湊のためにまもりが作ったのは、バレンタインだからと勧められたスミレを使った砂糖漬け。それが功を奏したのかどうか――湊と周が選んだ新しい選択肢には思わず拍手してしまいたくなる。しかしその「新しい選択肢」という言葉が、今度はまもりと葉二にも影響してきそうな感じが。一難去ってまた一難……としか言えないラストシーンが気になって仕方ない。


◇前巻→「おいしいベランダ。マンション5階のお引っ越しディナー」


司馬氏の追放、梅花の死、さらに養い子である鴻が立太子したことで、後宮は少しずつ綻び、荒れ始めていた。妃嬪たちの中には表立って小玉に敵対する者も現れ始め、さらには死んだはずの鳳がまだ生きている、と語る者まで出る始末。文林のため、そして自身の覚悟のために、あらゆる事態に立ち向かうことを小玉は決め――そして紅燕と真桂もまた、懸命に彼女を支えようと力を尽くしていた……。

第2部スタートとなる中華風ファンタジーシリーズ、本編9巻。文林の傍にいることを選んだ小玉の新たな戦いの火ぶたが切って落とされる、まさにイントロダクション的な展開となっている。

今巻でもっともクローズアップされたのは真桂と紅燕。特に真桂は小玉に心酔する妃嬪の筆頭的存在として、その聡明さを活かして小玉を支えようと試みる。しかし一方で、日々消耗してゆく小玉に対して自分がなにをできるか自問し続けることになる。他の妃嬪による妨害や造反程度のことであれば、小玉は皇后であるし、王太妃の娘である紅燕の存在があるので、ギリギリではあってもなんとかなるといえばなる。しかし小玉自身――皇后という存在に与えられる数々の圧力を、どうすれば解消してあげられるのだろうか、と。

なんといっても問題は鴻の立太子。文林の実子であるが、小玉の実子ではない彼の存在は、下手をすると小玉の立ち位置を大きく動かしてしまう可能性がある。文林が懸念している「未来」はあまりにもわかりやすすぎる末路であり、だからこそ絶対に選んではいけない道。しかし市井の人々は、そんな小玉を憐れむのだ――実の子がいないのがかわいそう、などと。そして小玉はその評価に苦しめられることとなる――ただでさえ独り歩きしている自分という存在が、さらに自分の実態とはかけ離れたものになっていくことに。かわいそうなどと思われることに対して苛立ちが募ることに。そしてそれでも、文林を独占しようとしてしまう自分自身に。

だからこそ、そんな彼女に真桂が決死の覚悟で懸けた言葉は強く響いたのだろう。王太妃や紅燕ではない、いち妃嬪である彼女の言葉だからこそ。後宮という場所を確かに信じられるよすがを得られた小玉が、今後どのようにその辣腕を振るうことになるのかが楽しみ。


◇前巻→「紅霞後宮物語 第八幕」

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