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読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。 (当ブログは全文無断転載禁止です)

我に捧げよ至高の愛 (コバルト文庫 の 3-39)我に捧げよ至高の愛 (コバルト文庫 の 3-39)
野梨原 花南

集英社 2008-10-01
売り上げランキング : 2049

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国王夫妻が消えて大混乱の城内。「ギンガ王子に後を託す」的な手紙を見つけたティルファは、大臣たちにそれを伝えるべく城内を奔走するが、王位を継ぐ気などさらさらないギンガは、スマート(絶賛美少女中)を叩き起こして自分の隠れ里に転移させてもらう。が、先の戦いの際にスマートは記憶を奪われており、状況がまったく分かっていない。しかもそこに現れたのは、スマートを「運命の相手」と言う、白金色の髪が特徴的な美女。ラブと名乗った彼女の正体はもちろん八翼白金――召喚したサファイヤの言うとおり、魔力を封じ、人間としてスマートに接近したラブが望むのは、スマートと想いを通わせることで……。

〈魔王〉シリーズ5巻はまさかの恋愛編。
退屈な日々を過ごす魔王・八翼白金が興味を持ったのは、書物によく描かれている「恋愛」。けれど人間の心の機微が分からない八翼白金は、あるとき見かけたスマートに惹かれる想いがなんなのか分からないし、そのスマートをどうしたら自分に振り向かせることができるのかが分からない。初心者どころか、恋愛の、人と人との「つながり」という概念から教えていくことの難しさ。それでも八翼白金はすこしずつ、人間というもの、心というものについて学びとっていく。

そんな八翼白金よりはマシなのがティルファとギンガ。とはいえギンガもようやくティルファへの想いを自覚し始めたばかりで、こちらもなかなか進みが遅い。でもそれが面白い(笑)。

さて、本シリーズも次巻で完結とのこと。この2組はどうなるのか、そして魔王とスマート、サファイヤは無事に元の世界に戻れるのか。寂しいが楽しみ。でもやっぱり寂しい。

マリア様がみてる卒業前小景 (コバルト文庫 こ 7-59)マリア様がみてる卒業前小景 (コバルト文庫 こ 7-59)
今野 緒雪

集英社 2008-10-01
売り上げランキング : 21
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ついに卒業式の前日。姉妹たちは別れを前に、それぞれの時間を過ごす。祥子と令が新聞部の三奈子に逆襲を企てたり、由乃がこれまでの自分を振り返って「よき妹」であれたかどうかを自問したり、まもなく祥子という大きな存在を失ってしまう祐巳に対して瞳子が悩んだり、そんな瞳子を乃梨子が支えたり。そして祐巳は、卒業式前の恒例行事である「薔薇の館」の倉庫の片づけで祥子の「忘れ物」を見つけてしまい……。

ようやく卒業式か……と思っていたら、その前になくてはならない前日譚。
ついに祥子と令が卒業かと思うと感無量。前薔薇様たち、そしてこのふたりの存在が大きかったから――そして、この物語を支えてきた要素のひとつ――しかも限りなく中心的な要素――が祐巳と祥子の姉妹だったために、その柱が欠けてしまうことが想像できない。瞳子の不安は読者の不安と重なっているよう。

さて、泣いても笑っても次巻は卒業式。もしかしたら前回のように前後編になるのかもしれないが――とりあえず、どのように卒業式の幕が下ろされるのかが楽しみ。

ピクテ・シェンカの不思議な森 ひねくれ執事と隠者の契約 (コバルト文庫 あ 18-12)ピクテ・シェンカの不思議な森 ひねくれ執事と隠者の契約 (コバルト文庫 あ 18-12)
足塚 鰯

集英社 2008-09-02
売り上げランキング : 44100

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夏休み。ムイは領主の館に滞在し、崩れかけている契約書を新たに作り直そうとしていた。しかしクトーに聞いた契約書の材料は、どれも聞いたことのないものばかりで、森にも存在するかどうかすら分からない。とにかくクトーと一緒に材料集めをしようと考えていたムイだったが、主の運動能力不足を盾に、なぜかフィンドルが同行することに。さらにムイはクトーから、森の奥にはまだ契約を交わしていない者たちがいることを聞かされて……。

3巻は宝(?)探し編。タイトル通りにツンデレ執事フィンドルの出番だったりするので、面白くないのは森狼の王ラーシェン。ムイの言葉の端々にフィンドルの存在を(勝手に)感じ取って彼女に冷たく当たってしまうあたりは、彼もツンデレかと疑うことしばし(笑)。ふたりともムイのことを意識し(すぎ)ているのに、本人はまったく気づいていないところがかわいそうというか、そんなムイのせいでふたりとも微妙な態度になってしまうのかと考えてしまう。意外とムイは罪作りな少女である(笑)。

一方、元の暮らしへの未練を捨て切れないのはキハネとティッセ姉妹。キハネはあの性格なので置いておくにしても、ティッセはまたしても新たな策を練り始める。その策にいささかの抵抗を覚えるキハネなのだが、今後は彼女の動きがティッセを封じる一因となるのかも。

失恋竜と契約の花嫁 (ビーズログ文庫 わ 1-4)失恋竜と契約の花嫁 (ビーズログ文庫 わ 1-4)
渡海 奈穂

エンターブレイン 2008-07-15
売り上げランキング : 13247
おすすめ平均

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落ちこぼれなあまり魔法学校を退学させられた16歳のスウェナは、薬草採集に行った森で道に迷ってしまう。疲労と空腹でボロボロな彼女の前に広がったのは、美しい湖と、そのほとりで眠る強大な竜の姿だった。そこでなぜか彼女は、竜が抱えていた、魔力の源たる「竜珠」を食べてしまう。回復はしたものの、事の重大さにあわてて逃げだしたスウェナ。数日後、そんな彼女のもとに美しくも高飛車な青年・メリルが訪れる。彼はなんとその時の竜。彼はスウェナに、食べた竜珠を吐き出すよう迫ってきて……。

そんなわけで、深刻なのになぜか笑いを誘うこともある、でこぼこカップル(?)の珍道中――のような恋物語。最初はいがみあう――というか、相性の悪かったふたりが、次第に互いを理解し合い、恋に落ちてゆく……というまさに王道な展開なので安心して読める。スウェナの「落ちこぼれ」の理由はそれなりに意表を突いていたような気もするが、それにしてもタイトルがネタばらしになっているような気も。

銀河帝国の弘法も筆の誤り (ハヤカワ文庫JA)銀河帝国の弘法も筆の誤り (ハヤカワ文庫JA)
田中 啓文

早川書房 2001-02
売り上げランキング : 156052
おすすめ平均

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遠い未来――地球を中心として宇宙へと広がっていった〈人類圏〉を舞台とするSF短編集。

……と、このように書けば非常に見栄えのいいSF作品に見える。が、侮るなかれ、本作はそれだけではなかった。

「脳高速」なる短編を皮切りに、計5作を収録。各作品の合間に、作者の知人友人である作家によって、それぞれの作品の解説を含む「田中啓文批判」も併録。そんな笑撃的かつ脱力感あふれる作品集。
何が脱力かといえば、それはもう、たとえば上に挙げた「脳高速」のタイトルひとつとってみてもわかる。……つまり一事が万事、徹頭徹尾「こんな感じ」、なのである。

表題作「銀河帝国の弘法も筆の誤り」では、なんと禅問答を仕掛けてくる宇宙人が出現。答えられなければ侵攻する、というメッセージに弱り果てた人類は、かつて地球にあった島国で、「ゼン」と同じ種類の宗教に属していた歴史的人物「空海」が生きているという伝説に頼り、はたして永い眠りから「空海」を目覚めさせる……という話。
空海の正体が明らかになる結末に描かれた光景は、ただただ「ああ、それが言いたかっただけなんだ……」としか言いようのない脱力感に襲われる。

作者の言いたいこと――それが各作品にそれぞれ集約され、ひとつの柱となって作品の意味となり、支えていく。一本の筋の通った美しい構造を持つ作品群……なのに、美しさとはまったく反対側に、いや別次元に位置する、そんな内容がここまで並べられた姿はもはや圧巻。とりあえず読んでみればわかる。

約半年ぶりにストレイテナーの公式サイトを覗いてみたら。

……あれ、ひとり増えてる……?

というわけでテナーはギタリストを迎え、4人組バンドとなったそうです。
現在、配信限定の新曲を発表中で、さらに11月には新曲をリリース。その後、年内のみのミニツアーをやるとか。久々に本格始動。
11月の新曲が楽しみです。
てかライブ行きたい!


*購入本*
足塚鰯「ピクテ・シェンカの不思議な森 ひねくれ執事と隠者の契約」
今野緒雪「マリア様がみてる 卒業前小景」
野梨原花南「我に捧げよ至高の愛」(以上、コバルト文庫/集英社)
渡海奈穂「失恋竜と契約の花嫁」(B’s-LOG文庫/エンターブレイン)

うお、少女小説ばっかり!(笑)

月末処理はほぼ終わったはずなのに、なぜか今週も、毎日9時すぎに退社……なんでだー!

先日、ゴーイングのFC会報が届いてまして。
今回は会報にツアー後半の先行予約に大阪FCイベントの告知に継続特典のDVDに……ともりだくさんで、非常にうれしい。機嫌が直りました(笑)。
以下、感想をば。

*会報
巻頭企画は運動会というかなんというか……なかなか文字では伝わりにくい内容でしたが、それでもやってることを考えるとひじょーに面白い。50メートル走はまだしも、最後の体操って……。なんていうか、体操というよりは一発芸のようで(笑)。ぜひ映像でも観たい。

*ツアー後半の先行予約
2008-2009年ツアーの後半日程が発表になりました。
おおお、岡山に来てくれるの!?
……てなわけで、もうおおよろこびです。
ただ、今回のツアーは3月まで続く様子。今までなら冬ツアーは11月〜翌年1月までで、3月からは春夏ツアーをする、というパターンだったのですが、このぶんだと春夏ツアーはないのかな……。それとも、アルバム作業のために空けているのでしょうか。

*大阪FCイベント
てっきり東京に参加した人は応募不可なのかと思っていたのですが、別に応募してもいいようです。ただ、大阪は1日しかないので、そのぶん競争率も高そうですが。
ならば私も応募したかったのに……開催日が土・日じゃない……つまり、休めない……(泣)。

*DVD
FC継続特典のDVDもさっそく見ました。約20分くらい?
前回と同じく、現在の会報についてのトークとオフショット。内容は伏せますが、とにかく面白い。というかほほえましい。いいなあ、こういう感じ。


以上。
ああ、はやく新曲でないかな……それか、早く11月が来ないかな……。


*購入本*
西條八十「女妖記」(中公文庫/中央公論新社)

そんなわけで今日はひがな1日ラノベ読み。
やっぱラノベはスピード出るわ……(笑)。

清心女子大のプロコンにランクヘッドが来るということで、行くかどうかはともかく、ためしにTSUTAYAでCDを1枚借りてみました。本当はベスト版が良かったのですが、あいにく見当たらなかったので、置かれている中で一番新しかった「FORCE」をレンタル。
もっとゴリゴリのロック系かと思っていたのですが、意外とソフトというか、ゴーイングとかシュノーケルに似た感じの音。つまるところ、けっこう私の好みに近いということです。どうしようかな。

ついでにそのTSUTAYAでは、一部CD・DVDがよりどり3枚3000円というセールをしていたので見てきました。
で、結局ACIDMANの「green chord」(初回版)とGO! GO! 7188の「パレード」の2枚を購入。2枚だと2500円でした。さあ、どれから聴こう。

〈本の姫〉は謳う 4 (4) (C・NovelsFantasia た 3-5)〈本の姫〉は謳う 4 (4) (C・NovelsFantasia た 3-5)
多崎 礼

中央公論新社 2008-09
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レッドの策略で圧政下にあるバニストンに潜入したアンガスたちは策を講じ、なんとかふたつの文字を回収、バニストンを解放する。しかし解放にわく人々を絶望に突き落とすかのように街のあちこちが爆発、多数の死傷者が出る。これこそがレッドの狙いだったのだ、と気付いたアンガスは彼への憎しみに塗り潰されてしまう。浮島であるラティオ島に単身乗り込もうとしたアンガスに、レッドの兄であるジョニーもまた随伴し、共に島へ向かうことに……。
一方、過去の物語。「俺」――アザゼルは、初代アザゼルの記憶、その罪と贖いの過程を知る。ツァドキエルと死闘を繰り広げ、ガブリエルの助力でからくも勝利したアザゼルだったが、そのことを知らないリグレットは絶望に支配されたまま歌ってしまい……。

現在と過去を同時に進行させる物語は「現在」に収束していき、ついに完結。
最後まで貫かれていたテーマはやはり「希望」。希望を捨てない生き方がすべてを救う。それがどれほど大切なことか、そしてたやすく絶望に裏返ってしまうそれをどうやって持ちつづけていくか。――そんなことを考えさせられる作品。読み応えもある、とてもいいシリーズだった。次作ももちろん期待。

彼女は戦争妖精 1 (ファミ通文庫 う 1-6-1)彼女は戦争妖精 1 (ファミ通文庫 う 1-6-1)
嬉野 秋彦

エンターブレイン 2008-08-30
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普通の高校生・宮本伊織のもとに届いたのは、8年前から行方不明の父からの荷物だった。手違いで倉庫に7年も放置されていたというその中身はなんと棺。しかも中からは金髪碧眼の美少女が現れた。目覚めた少女は「クリスタベル」という名前と、自分が「ウォークライ」という妖精であることしか覚えていなかった。しかもそのクリスと(仕方なく)出かけた際、伊織は突然、槍を持った男に襲われて……。

1巻ということは新シリーズ。
ウォークライというこの妖精は、他のウォークライを倒すことで記憶を取り戻し、最終的には「楽園(エリジウム)」と呼ばれる場所に帰るのだという。そのために人間と契約を結んで戦うのだと。契約を結んだ人間は「鞘の主」と呼ばれ、ウォークライの血を飲むことで身体能力を高め、ウォークライが変化した武器を携えて戦うことになる。
冷静かつ周囲に無関心に見える伊織だったが、クリスの境遇を知り、「鞘の主」として戦いに身を投じることに。今後はクリスと戦いに参加することで、ウォークライの目的、父との関わりや行方が明かされていくのだろう。

まだ1巻なので内容もあっさり、かつ、さっくり。ベテラン作家だけあってすらすらと読ませてくれる。大食漢でワガママ、行動パターンが幼女そのもののクリスに振り回される伊織が、可哀想だがなんだかほほえましい。

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫 あ 4-1)神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫 あ 4-1)
あざの 耕平

ソフトバンククリエイティブ 2008-09-16
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新進気鋭の音楽家にして神曲楽士のダン・サリエルは、ある演奏会の夜に、美しい白銀の毛並みをもつ虎型の上級精霊コジと出会う。その見栄えから、サリエルはコジと契約を結ぼうと考えるが、当のコジはそれを拒否。なんでもコジは他に心に決めた楽士がいるのだという。サリエルが自分の契約精霊モモに探らせた結果、その楽士は名門キーラ家のご令嬢キーラ・アマディアであることが判明。アマディアの演奏を聴くため彼女の住む田舎町に向かったサリエルは、そのへたくそな演奏に驚愕して……。

あざの耕平の新作は「ポリフォニカ」シリーズのシェアードワールドノベル。

大衆受けするその演奏ぶりから「楽界の革命児」として人気を得ているサリエルだが、彼の音楽に対する情熱は本物――ただし、俺様的性格に隠れて、なかなか周囲には伝わらないのが現実。
そんな彼を慕うのは契約精霊のモモ。サリエルに虐げられ、振り回されて、それでも達観しつつ彼に付き従う。そのけなげさが可愛いし、真剣さがかなりの確率で笑いを誘う。……そう、意外と本作はコメディよりで、「BBB(s)」に似たテイスト。

サリエルに出会って以来、なぜか彼の家に押しかけてくるようになったアマディアの演奏の下手さ加減の理由が何に由来するのかが書かれていなかったので、次巻はそのエピソードにも期待。

恋のドレスと約束の手紙 (コバルト文庫 あ 16-21 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)恋のドレスと約束の手紙 (コバルト文庫 あ 16-21 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
青木 祐子

集英社 2008-09-02
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互いの想いを通じ合わせたクリスとシャーロックは、忙しい合間をぬって手紙のやり取りを始める。逢いたい気持ちが募る中、クリスにロンドン行きの依頼が舞い込む。シリルという女優の衣装を作ってほしいというものだったのだが、その依頼を持ち込んだのはギルレイ――闇のドレスとも関係のある男だった。採寸のためにロンドンに向かったクリスだったが、指定されたホテルがかつての「薔薇色」のあった場所に近いことで動揺する。さらに採寸後にシャーロックと会うことになっていたのだが、シリルの妨害としか思えない行動ですれ違ってしまう。しかもそのシリルと話をしてみたものの、彼女の話には整合性がなく、パメラは彼女が主役を務める予定だという舞台について調べ始める……。

いつの間にかシリーズ本編としては11冊目となる本作。せっかく両想いになったところだというのに、ギルレイたちの動きが活発になってきたことで、クリスの心情や立場もより複雑になってくる。両想いになったことでシャーロックにのめりこんでいきそうなその気性は母リンダによく似ていて、だからこそパメラも心配してしまう。とはいえ仕事も――というよりは、パメラとふたりで作り上げた「薔薇色」という居場所も大切で、さらには母リンダのことも大切で……でもどれかを選べばどれかを捨てることになってしまうジレンマ。特にリンダについては、シャーロックはクリスから引き離したがっていることだし、今後はふたりの身分問題だけではなく、リンダに対する考え方の違いがすれ違いの種になってしまいそう。

ピクテ・シェンカの不思議な森―はじまりは黒馬車に乗って (コバルト文庫 あ 18-10)ピクテ・シェンカの不思議な森 はじまりは黒馬車に乗って (コバルト文庫 あ 18-10)
足塚 鰯

集英社 2008-03-01
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ごく普通の、けれどちょっと面倒くさがりやの少女ムイは、祖父の遺言で領地を与えられる。それはナナサ国の西方に広がる立入禁止区域――ケトア平原とピクテ・シェンカの森だった。使用人だという男女、ルズとリアーニに連れられて、ムイは人が住んでいないはずの平原にある領主の館に足を踏み入れる。そこになぜかいるはずのない森の住人たちが現れ、ムイは卒倒する――それもそのはず、その「住人」たちは誰もが人間ではなく、さらにその中のひとりである鹿のような足を持つ美青年クトーは、ムイの先祖だと名乗ったのだから……。

作者の新シリーズ。
異界とつながっているシェンカの森。森を統べる森狼の王の手を借り、異世界の人々はこの世界に渡り、森に住んでいるという。人間に迷惑をかけぬように、ということで領主は住人たちと「契約書」を交わし、森から出られない代わりに彼らを守る、という契約がなされているのだという。

ムイの先祖だというクトーは森の実力者。さらにムイは幼い頃にこの館を訪れており、その際に森狼の王(当時はまだ「候補」)ラーシェン、そしてクトーの従者であるフィンドルと出会っていて、そのせいか彼らには好かれている――いや、フィンドルはツンデレ(笑)なので表立って好意を見せていないが。そんなわけなので、ムイの領主としての滑り出しは好調な様子。けれど森の住人の中にはそうではない者もいるようで、ここからはなかなか前途多難。ムイの成長譚、そして住人たちとの恋の予感?が今後の展開の柱となっていくかなー、と。


ピクテ・シェンカの不思議な森王都の夜と婚約者 (コバルト文庫 あ 18-11)ピクテ・シェンカの不思議な森 王都の夜と婚約者 (コバルト文庫 あ 18-11)
足塚 鰯

集英社 2008-06-03
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ある日、友人の頼みでムイが引き合わされたのは、かつて彼女が婚約を破棄した相手である青年・バレンだった。あらゆることを自分の都合のいいように解釈してしまう困った性格のバレンはムイを諦めきれず、その後もたびたび彼女の前に姿を見せるように。困ったムイは迷った挙句、森の住人であるキハネに相談。彼女は誰かを彼氏に仕立ててひと芝居打てばいいと提案し、とりあえずムイはその意見に乗ることに。一方、都では不審者が出没、少女たちの好きなものを尋ねてくるという事件が頻発していた。さらにその頃、森でもある噂がささやかれていた。それは、なぜか契約が効力を失い、森から出られるようになったらしい、ということで……。

シリーズ2巻。元婚約者、不審者、住人たちの王都徘徊の可能性……いくつかの問題が一度にムイにのしかかってくる。領主であるということはどういうことか、どうすべきか、それを考えさせられるムイ。「名ばかり領主」とは言えど、森に関わってしまった以上は避けて通れない問題。しかも1巻で起こった事件の際に「契約書」が破損してしまったことも原因のひとつ。日に日に崩れていく「契約書」をどうするかも今後の課題なわけで、やっぱりいろいろと前途多難だったり。

そんな風に深刻なはずの状況がそれほどでもないように見えるのは、ひとえに住人たちの明るさ。特にムイを意識するあまり、彼女への対応に悩むラーシェンとフィンドルが微笑ましい。ふたりとも素直じゃないから……。

SH@PPLE―しゃっぷる―(3) (富士見ファンタジア文庫 た 3-1-3)SH@PPLE―しゃっぷる―(3) (富士見ファンタジア文庫 た 3-1-3)
竹岡 葉月

富士見書房 2008-09-20
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青美の校内新聞に載った驚愕のゴシップ記事――それはなんと、生徒会長《若光の君》淡谷舞姫は女装した男だ、というものだった。仕方なく元の生活に戻った雪国と舞姫だったが、入れ替わり生活の影響でお互いに新たな問題が発生していた。空舟五中では、「雪国」が先日の文化祭を盛り上げたせいで、それまで活力のなかった生徒会に教師陣からの期待が寄せられ、市内の祭「人力リバーフェスタ」への協力を要請されたという。生徒会長の古葉鳥子は、責任を取って協力するよう雪国に詰め寄る。そして青美では、「舞姫」のおかげで懸案事項であった生徒会とソロリティの関係改善は成ったものの、逆に生徒会傘下にあった中部連――中等科部活動連合との関係が悪化。雪国は舞姫に「人力リバーフェスタ」での青美の協力を求めるが、舞姫は中部連との関係修復のため協力できないとつっぱね、喧嘩になってしまう。そんなさなか、雪国には典子が、舞姫には蜜が近づいてきて……。

まさかの入れ替わりラブコメ、第3巻は元の生活に戻っても問題山積、の巻。祭りのためにそれぞれ奔走する雪国と舞姫。典子や蜜、芝目も交えてすれ違いと誤解と仲直りを繰り返し……なんという青春。そこに食い込んでくるのは空舟五中の生徒会長・鳥子。雪国を意識しているような、そうでもないような……今後もいろいろと関わってきそうで要チェック。雪国と蜜の間は……相変わらず前途多難、なようだが。

さて、今回は次巻につづく。ふたりは中部連のトップ、長船白夜の妨害を乗り越えられるのか。そして新聞部に「舞姫」の記事を流したのはいったい誰なのか?

F.S.S. DESIGNS 3    KALAMITY GODDERS:BOTHF.S.S. DESIGNS 3 KALAMITY GODDERS:BOTH
永野 護

角川グループパブリッシング 2008-09-25
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2巻からは約1年ぶり、「ファイブスター物語」の設定資料集第3巻。予告通り2008年に出たのはちょっと驚き(笑)。
今回はカラミティ・ゴーダースとボォスの諸国家。ただしハスハ関係は今後の展開に深く関わってくるため次巻に持ち越し。

一番大きくページを割かれているのはやはりフィルモア帝国。表紙のクリスのフィルモアカラーのドレスは正装だそうです。なんだ、ダイ・グと結婚した後の皇后の衣装かと思ったのに……。でも公式サイトによると、胸元の飾りは皇帝のものだというから、結婚がありという話ならいいのだけど、ダイ・グに何か起こることを意味しているのなら……考えただけで頭痛が……。

さて、今回の見所というと、裏表紙の書き下ろしシューシャとパラーシャ。なぜこのふたり、というのはさておき。
あと、数少ない男性型ファティマの新キャラが登場。今まで公表されていたイカロスやアキレス、ダイモンと違って、なにやら美少年タイプ(笑)。でもショートパンツはどうかと……というか、言われないと男性型には見えない。さすがファティマ(笑)。

それと……ますます気になるのがエルディアイのこと。
システム・カリギュラについての説明も次回持ち越しとのことですが、なんかひとり浮いてますエルディアイ(笑)。つまり彼女はミラージュレフトで、カリギュラの一員で、アマテラスより年上で、MHマイトで、現在(魔導大戦時)は女子高生……ええっと……?

巻末のウエディングドレスはインタシティ。1巻のザ・ブライド、2巻のウリクルに比べるとちょっとシンプルすぎるのですが、飾りの羽根が綺麗。

それと今回の巻末には、ヘアード大神官(!)による「聖宮ラーンからごあいさつ」があり。次巻は物語の核心部分にまつわる内容です。さあ、早くても2010年くらいかな……。

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