〈本の姫〉は謳う 4 (4) (C・NovelsFantasia た 3-5)〈本の姫〉は謳う 4 (4) (C・NovelsFantasia た 3-5)
多崎 礼

中央公論新社 2008-09
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レッドの策略で圧政下にあるバニストンに潜入したアンガスたちは策を講じ、なんとかふたつの文字を回収、バニストンを解放する。しかし解放にわく人々を絶望に突き落とすかのように街のあちこちが爆発、多数の死傷者が出る。これこそがレッドの狙いだったのだ、と気付いたアンガスは彼への憎しみに塗り潰されてしまう。浮島であるラティオ島に単身乗り込もうとしたアンガスに、レッドの兄であるジョニーもまた随伴し、共に島へ向かうことに……。
一方、過去の物語。「俺」――アザゼルは、初代アザゼルの記憶、その罪と贖いの過程を知る。ツァドキエルと死闘を繰り広げ、ガブリエルの助力でからくも勝利したアザゼルだったが、そのことを知らないリグレットは絶望に支配されたまま歌ってしまい……。

現在と過去を同時に進行させる物語は「現在」に収束していき、ついに完結。
最後まで貫かれていたテーマはやはり「希望」。希望を捨てない生き方がすべてを救う。それがどれほど大切なことか、そしてたやすく絶望に裏返ってしまうそれをどうやって持ちつづけていくか。――そんなことを考えさせられる作品。読み応えもある、とてもいいシリーズだった。次作ももちろん期待。