境界線上のホライゾン4〈中〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)境界線上のホライゾン4〈中〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)
川上 稔

アスキーメディアワークス 2011-10-08
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武蔵との協働を拒む伊達家に対して外交官の派遣を宣言した正純。最上へは里見・義康とアデーレ、上杉へは点蔵、メアリ、トーリとホライゾン、そして伊達へは鈴とウルキアガが向かうことに。それぞれが各家に着艦したまさにその時、羽柴・秀次とその側室である駒姫、そしてP.A.Odaの第三特務であり五大頂のひとり、丹羽・長秀が「聚楽第」に乗って現れる。羽柴が現れたことで上杉と伊達は武蔵への攻撃を開始するが、それを阻んだのは駒姫の母親であり、最上家を率いている最上・義光。だが義光が放った攻撃が秀次のいる「聚楽第」に着弾した瞬間、秀次の背後、次いで鈴の側にいた伊達・政宗の背後に突如、武神「青竜」が現れて戦況は混乱、終息することに。ひと息ついた武蔵の面々だったが、今度は代表委員長である大久保・忠隣が臨時生徒総会の開催を宣言し、現生徒会に反旗を翻す。彼女は非戦を掲げつつ、現生徒会の方針を踏襲したいと言うのだが……。

相変わらずのボリュームを誇るシリーズ4巻の中巻。武蔵の外も中も大変、の巻。
まずは外。アデーレが餌付けされてしまった(笑)最上・義光は、秀次に嫁いだ駒姫の母親という複雑な立場ではあるものの、一見すると武蔵に協力的な様子。トーリたちは上杉家の本庄・繁長と共に本拠に向かうが、そのさなか現れたノヴゴロドのマルファと一戦交えることになってこれまた大変。そして一番大変……というかわりとめんどくさい女(笑)になりつつある伊達・成実を擁する伊達家では、鈴が驚愕の索敵能力でもって潜伏中の猿飛・佐助を発見したり、ウルキアガは延々エロゲをしつついつの間にか成実との間に着実にフラグを立てていたりともはや意味不明(笑)。けれど伊達家は伊達家で、政宗と羽柴・秀次との間に抱え込まれた大問題が明かされることに。聖譜記述ではいずれ自害させられることになる秀次と駒姫が、すでに霊体になってしまっているのはなぜなのか。政宗と秀次のふたりの背後に時折現れる「青竜」は一体なんなのか。そして政宗と秀次、さらにそれを取り巻く義光や繁長、さらにはマルファも含めた上越露西亜の面々を繋ぐ「約束」とは何を意味するのだろうか。

そして武蔵内部ではまさかの内乱勃発。代表委員長である大久保・忠隣が現生徒会――ひいてはそれを率いる正純に対して宣戦布告。実は戦争大好きなことが発覚してしまった(笑)正純に対し、戦うことを真っ向から否定するのが大久保。今後の武蔵の方針を決める討議なだけに、世界中が注目することになる。現生徒会の方針――いわゆる大罪武装の奪取と世界征服に異を唱え、すべて否定していく大久保に対して、正純はどう反論するのだろうか。大久保の言いたいこともわかるが、それは停滞であり妥協でもある。そして現在の方針より、大久保の語る方針の方が分かりやすく簡単で、うわべだけ見れば多くの人が流されるであろうことも。未来を切り開き前へ進む、けれど茨の道とも言える正純、ひいてはトーリたちの進もうとする道について、正純が大久保に対してどう説くのか、ものすごく気になるところで続く。

二代は相変わらず絶賛スランプ中で自分が戦うというその意味を見失いつつあるし、ネシンバラは上巻に引き続き「ど根性」状態でなぜかシェイクスピアが助けに来てくれてたり、メアリさんはやっぱりニホンゴちょっと難しかったり、ホライゾンは鉄板でトーリはあのマルファですら圧倒(?)したり、他にもいろいろ気になることは山積。さて、4巻ラストとなる下巻はどんなボリュームになり、どんな決着がつけられるのだろうか、今から12月が楽しみ。


◇前巻→「GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン4〈上〉」