学院の創立祭の準備に追われるケータのもとに現れたのは、かつての部下である魔王軍四天王のひとり、ベスティアリだった。魔王フードゥー本人からの命令でケータ――大元帥ヴェーレスを連れ戻しに来たという彼女を拒絶しながらも、心のどこかでは魔王の存在が引っかかって仕方ないケータ。そんなある日、創立祭最大のイベントである精霊召喚タッグトーナメントに、聖剣に選ばれし光の勇者ハイラントや、最強と名高い戦術召喚士集団「白の腕」が観戦にくるという話題で学院内は持ちきりに。自分を召喚した存在の手掛かりになると考えたケータは、どうにか「白の腕」と接触できないかと考え始めていた。その矢先、落ちこぼれであるはずのケータがトーナメントに参戦することが決められてしまう。先日、学院一の優等生・ライラがイリスを押しのけ首席を取ったのは、教官たちのひいきであると考える参加者たちが、ハンデのためにライラとケータを組ませようとしていたのだ。イリスと共に憤慨するケータだったが、ライラ本人はあっさりとそれを承諾して……。

普通の中学生だったはずがひょんなことから異世界召喚→魔王軍大元帥→落ちこぼれ召喚士候補生(イマココ)という華麗なる(?)転身を遂げつつも元の世界に戻る術を探し続ける主人公の奮闘記、第2弾。

相変わらずひよこしか出せない最底辺ぶりのまま、創立祭の演劇の衣装係に追われるケータ。過去の仲間が現れて後ろ髪をひかれたりしながらも、今回深く関わることになるのは学院きっての天才と名高い少女・ライラ。周囲からの期待と妬みなんてなんのその、といわんばかりにいつも穏やかにふるまうライラだったが、ケータはそんなライラが無理していることを見抜き、その本音を引き出そうとする。だれもが「天才」あるいは「名門ラズライト家の娘」という色眼鏡で彼女を見る中、唯一ライラ本人を見てくれるケータにそりゃ惚れないわけはないだろう、というわけで、ライラはケータに少しずつ心を開いていくことに。これぞ青春。

「光の勇者」というすごそうな肩書の割には中身がただの女たらしなハイラントや、「白の腕」の一員でライラを溺愛する叔父ルクス、さらにはかつてのケータの部下であるロリ系美少女(今のところ)ベスティアリなど、今後も活躍しそうな新キャラも登場。そしてまたしてもケータは「ヴェーレス」として勇者たちと戦うことになるのだが、とりあえず驚いたのはヴェーレスとハイラントの力の差。思った以上にヴェーレスの力が圧倒的なので、ふだんのケータの様子とのギャップの激しさがまたなんとも。イリスはやっぱりヴェーレスに一目惚れしたようだし、一方でライラはケータとヴェーレスとの関係に気付きつつあるようだし、さらにケータを召喚した人物も明らかになってきたようだし、今後の展開が気になるところ。


◇前巻→「偉大なる大元帥の転身 出直し召喚士は落第中」