2浪中の予備校生・長島の前に現れたのは、高校時代に少し気になっていたクラスメイト・広崎ひかり――ではなく、彼女にそっくりな自称「新型爆弾」のピカリだった。ピカリの胸元には懐中時計のようなものが埋め込まれており、ピカリが青春的なときめきを感じるたびに時間が進み、12時を指すと爆発を起こすのだという。そして爆発を起こすために協力してほしいと、ピカリは長島をデートに連れ出すのだが……。(「ある日、爆弾がおちてきて」)

2005年に電撃文庫から刊行されたボーイ・ミーツ・ガールSF短編集の新装版。書き下ろし「サイクロトロン回廊」が新たに収録されている。

ドラマ化もされた表題作をはじめ、書き下ろし以外の7作は、普通の少年がすこしフシギな少女たちと出会う時間SFものとなっている(書き下ろしのみ主人公が少年ではなくおっさんだったりする)。個人的に気に入っているのは、記憶が退行する奇病に罹った幼馴染の少女を描くコメディチックな「おおきくなあれ」、毎日3時間目にのみ教室の窓ガラスに映る少女との交流を描く「三時間目のまどか」、そして過去の戦争で使用された時空潮汐爆弾により、60億分の1の速さで流れる時間の中に取り残された少女のエピソード「むかし、爆弾がおちてきて」の3作。これ以外もそうだが、コメディだったりホラーテイストだったり純愛ものだったり、時間SFという縛りはあるものの、いろいろと作風が幅広いのも楽しい。また、改めて読んでみても、10年以上前の作品とは思えない内容には、単純にすごいと思った。

ちなみに書き下ろしの「サイクロトロン回廊」は、亡き伯父が住んでいたボロ家を管理することになったフリーライターが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見ている最中に、時空を超えて現れた親戚のタミコ姉ちゃん(失踪中の伯父さんの娘!)に遭遇するというまさかの展開。失踪の原因がこの時空転移なのかも、という展開には、(実際笑い事ではないが)つい笑ってしまった。