神奈川県相模原市で不法入国者による自爆テロが発生した。工業製品の闇取引を検挙しようと警察が踏み込み10人の女性たちを逮捕したところ、4人が次々と自爆し、残る6人は混乱に乗じて逃げおおせたのだという。チェチェン共和国で活動する、女性のみで構成された過激派武装組織「黒い未亡人」が本件の首謀者であるとし、特捜部は外事三課との共同で彼女たちの行方を追うことに。しかしはかばかしい調査結果が得られない中、上層部は「黒い未亡人」が拠点にしている可能性の高い工場への突入を命令。龍騎兵を含めた機甲兵装が多数投入されるも、自爆をも厭わない彼女たちのゲリラ戦法になすすべもなく、またしてもリーダー格の3人含むメンバーたちを逃してしまうのだった。そんな中、由起谷は現場で見覚えのある少女を目撃。それは最初の自爆テロの直後、由起谷が不良に絡まれていたところを助けた白人の少女のようで……。

SF警察小説シリーズ第4弾。今回の敵はいわゆる「女子供」、しかも自爆テロを用いるほどに手段を選ばない相手ということで、一筋縄ではいかない展開に。

日本の警察官である面々は言うまでもなく、ライザは実妹を殺してしまったという過去から、そしてユーリもまた元警官ということで、敵の中に年端の行かない子供もいるという事実に衝撃を隠せない。もちろん姿もまた、傭兵時代に少年兵と戦った経験があるとはいえど、それに対してなんとも思わないということはない。会議で「黒い未亡人」のスタンスを知り、実戦でそれを目の当たりにする中で、彼らが動揺し、内心では葛藤しているということがありありと描かれていく。

そんなどうしようもない状況の中で語られていくのは、特捜部の捜査主任である由起谷志郎と、「黒い未亡人」で連絡役を務めていた少女・カティアの出会い、そしてそれぞれの過去。いかに由起谷の過去が荒れ果てたものだったとはいえど、彼の半生とカティアのそれとがまったく同じ重みをもつはずはない。しかしその底に流れているものは同じだったからこそ、カティアは由起谷の言葉に心動かされたのだろう。由起谷との出会いを経て、彼女が最後に選んだ道は、茨の道というような生易しいものではなく、死と隣り合わせの道に他ならない。しかしたとえそれが自己満足にすぎないとしても、彼女がその道を選んだことは、唯一と言っていい救いになると思った。

一方、そんな大事件の裏側で相変わらず暗躍する〈敵〉。城木理事官が実父および政治家である実兄が〈敵〉ではないかと勘づく一方、上層部は城木を特捜部のスパイに仕立てようと接近してくる。これまでは沖津の考え方に賛同していた城木だったが、自分の置かれる立場が変化することでそのあたりはどうなっていくのか。心配事がまた増えた……。


◇前巻→「機龍警察 暗黒市場」