堕落王フェムトは「普通」になりたがっていた――それは彼が唯一持ちえないもの。それからというもの、ヘルサレムズ・ロットには毎日のように「堕落王」が現れるようになっていた。フェムト本人ではなく、なぜかフェムトの意識に乗っ取られたような状態で声を上げる人々。ただし実害はない――はずだった。しかし、電算呪術戦に長けた犯罪組織「神のくしゃみ」のアジトに踏み込もうとしていたレオたちのもとにもたらされたのは、「堕落王」化した少女がこのアジトに入り込んでいるという情報で……。

内藤泰弘の同名漫画のオリジナルノベライズ第2弾。今回は表紙はもちろん、中身も堕落王フェムトだらけというまさかの展開に。

「普通」を求め、「凡人」になりたがるフェムト。彼の考える「普通」とは一体何なのか――レオとザップ、ツェッドはライブラの任務の中で彼の奇矯な実験(?)に否応なしに巻き込まれていくことに。例えば人助けをする。ただそれだけではなく、自分でトラブルを起こし、それを自ら解決して賞賛を得る――なんというか小物感漂うこんな行為をもして見せる「普通」のフェムト。しかし「普通」であるがゆえに付け込む隙もできてしまい……ということでひと騒動起きるという展開に。なぜか自分をライブラの一員と思い込んでレオたちに付きまとうというエピソードにはつい笑ってしまうが、しかしこれがヘルサレムズ・ロットにとっていいことになるとは決して言いきれず、逆に状況が悪化してしまうというのがこのお話のいいところ(?)。事態収拾のためにレオたちが奮闘するわけだが、実は遠回りだったというのもならではといったところで、オリジナルエピソードのはずなのに自然すぎるなあ、とまたしても思わされるノベライズだった。


◇前巻→「血界戦線−オンリー・ア・ペイパームーン−」