雪の王 光の剣 (講談社X文庫)
中村 ふみ
講談社
2018-04-05

天下四国のうち北に位置する極寒の国「駕」。宰相である柳簡に招かれた裏雲は、彼が国王を傀儡としていることや天令を捕らえ監禁していること、そして他の三国へ攻め入るつもりであることを知る。さらに裏雲を自国に取り込みたいと考えている柳簡は、黒翼仙である彼に迫る死の呪いから解き放つ方法があると告げるのだった。一方、裏雲を追って駕へと密入国した飛牙は王宮へ潜入するが、あっさり見つかってしまう。助けに入った裏雲を逃がして自身は捕らえられた飛牙だったが、そこで柳簡の目論見を知ってしまい……。

天下四国シリーズ、第4巻にして完結編。お人好し&人たらしな元王子・飛牙がまたしても他国の政変に巻き込まれ、これを救うという展開に。

今回の黒幕・柳簡の正体やその非道さには驚かされたが、しかし一方で自国を守りたいという一心がそこまでさせたのかと考えると彼もまた「被害者」ではあるのだろう。とはいえ彼の行いでたくさんの犠牲者が出ているのもまた事実だし、その目論見が実現していたらさらなる犠牲が出ていたのもまた確か。なので今回のオチの付け方にはなんというか「それでいいのか?」と言いたくなる半面、「いやこれでよかったんだ」とも思ったりして。同時に「天」の在り方がいまいち見えづらいというか中途半端な感じもするが、まあ神様というのはそういう理不尽な存在なのだから致し方ないのだろう。

それはさておき、気になるのはやはり裏雲の行く末。結論から言うと呪いは解けなかったけれど、でも保留状態になるということでとりあえずはひと安心。今後の飛牙の行い次第、ということではあるが、ふたりの関係がまたこれから続いていく――あるいは元に戻っていくであろうというラストがとても良かった。


◇前巻→ 「月の都 海の果て」