「関ケ原の戦い」の歴史再現を終えた武蔵勢の前に現れたのは、行方不明となっていた元教皇総長インノケンティウスと、ムラサイの長スレイマン。ふたりの言動からその狙いを察知した正純は、輝元やマティアスに確認を取りつつ、ヴェストファーレン会議の日を迎えるのだった。正純はその議場で、この会議を「大阪の役」の歴史再現とし、自分たちが羽柴側、各国が松平側となることを宣言。さらにはこの会議で話し合われるそれぞれの講和において、敗戦国側の代理として講和をまとめてゆくこととなり……。
世界、そして武蔵の在り方と命運を賭けた会議、その顛末を描くシリーズ11-中巻。
ホライゾンが「そういう気分なので」1873回を始めたり(まさかトーリが撮られる側になるとは・笑)、それを利用して浅間がトーリの東照宮設定を行って「現人神」として会議に参加させる手はずを整えたりしつつ、ついに始まったヴェストファーレン会議。世界中の重鎮たちが集まる会議なので、メアリとエリザベスが感動の再会を果たしたり、全裸が3人もいたりと序盤からすでにおおわらわ(笑)。そんな中で始まるのは3つの講和。
三征西班牙から阿蘭陀が独立する「ミュンスター条約」は、フアナが火事案件(久しぶりに……)によって撃沈させられたので、代理として大久保が立つことに。羽柴勢が合流したことで、正純の無茶振りが竹中にも振られることになったため、それはそれで面白くない大久保がその成長ぶりを見せつけることに。
瑞典とM.H.R.R.旧派による「オスナブリュック講和条約」では、瑞典の副長であるアクセル・オクセンシェルナと、傀儡皇帝マティアスによって指名された正純が対決。しかし後半で相対戦を望むアクセルのため、クリスティーナが登場して戦うことに。
そして六護式仏蘭西とM.H.R.R.旧派による「ミュンスター講和条約」では、毛利・輝元と、これまたマティアスによって指名された羽柴=三成が相対することに。とはいえ輝元とコンセンサスがとれている状況の中、本当の意味で敵対してくるのはマティアスの方。しかし元々プログラムであるがゆえに、単純な損得勘定を越える発言を繰り返すマティアスに対抗できない三成の代わりに、竹中が補佐としてその能力を発揮するという展開に。
これまで裏で参謀あるいは情報担当として「縁の下の力持ち」的な存在だった3人が、世界を向こうに回した大舞台で活躍するという流れがとにかく熱い。話し合い、あるいは腹の探り合いという流れが続く中、武蔵勢がこれまで積み上げてきたものをきちんと踏まえつつアップデートしていく姿になんともしみじみする。
そうして最後に置かれたのは、武蔵を世界が認めるかどうか――という、シリーズ冒頭に教皇総長から出された「課題」の回答編。他国の人々が言うように、トーリの存在だけでなく、彼が正純に全権を委任しているというシステムもまた脅威のひとつとなっていた。トーリとホライゾンの「失わせない」という理想を、武蔵の存在意義、そして政治理念に落とし込んでいく正純の手腕もまた、今回最大限に発揮されたと言える。かつてのトーリとホライゾンのように、正純と教皇総長とが「平行線」の議論を繰り広げていくラストは圧巻。ホライゾンのアップデートにより「大罪武装」もバージョンアップし、罪を突き付けたり裁いたりするのではなく「赦す」という属性を得たことで、彼らは「運命」とどう相対していくのだろうか。
◇前巻→「GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン11〈上〉」
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