罪を犯した友人を助けたことで、辺境での徒刑を命じられた遊圭。最初は先輩役人たちからの嫌がらせに遭っていたものの、ルーシャンや胡娘の助けもあり、それなりに平穏な日々を送っていた。そんな中、夏沙から撤退してきた負傷兵の中に、胡娘の夫らしき人物から銀貨を託された者がいることが発覚。さらに時同じくして、陥落した夏沙王宮から麗華公主が逃げ延び、西大陸からやってきたとされる宮廷医師――おそらく胡娘の夫――の手引きで、死の砂漠の奥にある伝説の郷に向かったらしいという情報がもたらされる。胡娘と麗華のため、遊圭は自ら死の砂漠へと向かうことを決意するが……。

若くして波乱万丈すぎる日々を送る病弱主人公・遊圭がまたしても無謀な旅に出る羽目になる、中華風ファンタジーシリーズ第6巻。

幼い頃から今に至るまで母親代わりとして世話になっている胡娘。そして罪人の母を持ち、遠い国に輿入れしたかと思ったらその国を滅ぼされ未亡人となってしまった麗華。そんなふたりのため、遊圭はどこにあるとも知れない幻の郷を探し、死の砂漠へと向かうことに。いつもなら嬉々として(?)遊圭に無茶振りをする玄月が、今回は遊圭の出立に乗り気ではない感じというところからも推して知るべしというような過酷な旅が繰り広げられることとなる。

かつて自分たちを騙して窮地に陥れた旅人・真人もなぜか一行に加わり、不安要素が山積みな展開になるのだが、次々と起きる問題の中で、遊圭は人と人との繋がりについて、改めて身をもって知ることになる。敵だった人が味方になることもあるし、その逆もある。離れ離れになっていた夫婦が、再会したからといって元通りになれるとは限らない。文字通り「箱入り」だった遊圭にとって、こういった人々の感情の機微というものに対しての実感は薄かっただろうから、いろいろと感じることは多かったのだろうな、と思う。

一方、その「勉強」の結果を明々との関係につなげてくれればいいのだが、そっちはそっちで大変なことに。これまで遊圭のことを弟のよう思っていただけに、彼の気持ちをはかりかねていた明々。弟・阿清に背中を押され、ようやく答えを出すべく遊圭の住まう辺境へ……と思ったら遊圭は砂漠行のため留守。さらには終盤で遊圭が大ピンチに陥って消息不明になったため、なんと明々は遊圭を迎えに行こうと動き出す。今巻では最初から最後まですれ違い続けていたふたりだが、ここで明々が動くとややこしくなりそうな気がするのでちょっとじっとしてて!と思わずうめいてしまったのは私だけではないはず(苦笑)。


◇前巻→「青春は探花を志す 金椛国春秋」