化け狸たちが人間社会に隠れて生きていくために作った任侠団体「愛宕組」、その組長の娘である椿(もちろん彼女も狸)とのお付き合いを継続するため、愛宕組に入ることになってしまった化け猫の千歳。椿の父親である組長になにかと仕事を命じられ、お目付け役の諏訪と共にしぶしぶ働く中で、なんとなく椿に対してこれまでのような想いを抱けなくなっていることに気付いた千歳は、少しずつ彼女と距離を置くように。そんななか、千歳は諏訪がストリートミュージシャン・多摩子の歌を聴いているところを目撃する。本人は仕事だと言い張るが、以前に多摩子が喧嘩に巻き込まれそうになったところを助けたということもあり、多摩子の方は諏訪に気がある素振りを見せていた。そこで千歳は諏訪と多摩子の仲を取り持とうとするが……。

化け猫の千歳が、化け狸の任侠集団に混じり「人」として社会に溶け込もうとする中で、自分の進むべき道について再び悩み始めるシリーズ第2弾。

「千歳と椿の恋に暗雲が!?」と「諏訪の恋!?」の2本立てで物語が進む本作。前者では以前のように椿に接することができなくなった千歳が悩む様が、後者では無愛想で不器用な諏訪にロマンスが!?というにわかに信じがたい(笑)展開が描かれていく。しかしどちらのエピソードでも共通しているのは、千歳と諏訪、それぞれの「不器用さ」が図らずも浮き彫りになっているということ。「化け猫」と「化け狸」という種族の違いはあれど、自身の生き方について悩んでしまうのは彼らも、そしヒトも、みな同じ。特に家族から忌み嫌われている千歳と、家族をみな亡くした諏訪は、意味合いは多少違えども、周囲に無条件で頼れる者がいない――と本人は思っている――という境遇は一致しているので、抱えるものもきっとかなり近いに違いない(そしてそれが、千歳にとっては椿へのわだかまりというかたちで現れてしまったのかもしれない)。だからこそふたりはわかりあえる――というほど単純なことではないかもしれないが、それゆえに相手に欠けているものがよく見えるのだろう。きっとふたりは、これからもっといい「相棒」に慣れるに違いないと、そう感じさせられた結末だった。……ただ、千歳の懸念についてはどうしても気になってしまうが(笑)。


◇前巻→「猫と狸と恋する歌舞伎町」