理美が五龍共々行方不明となった。槌瑤麓ら探したい気持ちを懸命に抑え、皇帝としての職務に没頭する一方、丈鉄に捜索を命じる。一方、朱西は犯人が周考仁であると考え、利害が一致した丈鉄と共に彼の周辺を探ろうとするのだった。その頃、理美は考仁が管理している廃墟に閉じ込められていた。五龍と引き離してから始末すると告げられた理美だったが、その前に現れた呂蓮佳と名乗る女性に保護されることに。彼女が高位の官吏だと判明したため、自身の正体を明かせない理美だったが、なぜか彼女はそのまま屋敷に置いてくれるようで……。

料理で人の心を繋ぐ……はずが、いつの間にか王宮内の御家騒動やら権力争いやらの渦中に身を投じるはめになる、中華風ファンタジーシリーズ8巻。

引き続き今巻も、宰相・周考仁と、鳳家当主となり暗躍する朱西の親子喧嘩(?)に巻き込まれっぱなしの理美。とはいえここにきて強硬手段に出るあたり、考仁の方も冷静ではいられない様子。そのあたりを解き明かしてくれるのが、今巻で偶然にも理美を助けてくれた女性官吏の蓮佳。かつて考仁、そして朱西の実父である青修とは友人であった彼女によって語られるふたりの関係が、現在の考仁の行動基盤に大きく影響していることがわかるという展開に。

とはいえ考仁は皇帝派の最大勢力であるがゆえに、理美誘拐の犯人として彼を弾劾できないというジレンマ。朱西も皇帝派の勢いを削りたいわけではないため、それぞれが思うように動けず、事態はこんがらがるばかり。そんな中、思いがけず朱西とふたりきりになった理美が彼を問い詰めるシーンには思わず息を飲まされる。今回のことで、朱西の目的があらかた見えてきたような気もするが、もしその予想――もちろん理美の「期待」とは結果的に異なってしまうであろうが――が当たっていれば、それはそれでろくなことにならないような気がして頭が痛い。さらには伯礼が祥飛のため、再び鳳家前当主の寧孫に近付こうとしているのもマイナス要素としか思えない。ラスボスがなんとなく見えてきたものの、肝心な部分はまだ解決しないまま。次巻で少なくとも、考仁と朱西親子のわがたまりだけでも解ければいいのだが。


◇前巻→「一華後宮料理帖 第七品」