化学探偵Mr.キュリー4 (中公文庫)
喜多 喜久
中央公論新社
2016-03-18

庶務課が運営している「なんでも相談窓口」に、構内に猫が増えてきたという苦情が相次いで寄せられる。さっそく数や種類を把握しようと調査に出た舞衣が見たのは、野良猫におそるおそる近付こうとする沖野の姿だった。そんなふたりの前に現れたのは「大学猫を守る会」と名乗るサークルの会長・堺と、以前別の「事件」で関わり、ふたりとも顔見知りである早苗。ふたりに猫を預けた舞衣たちだったが、そこで早苗から密かに相談を持ち掛けられる――実は早苗には猫アレルギーがあるようで、本当は猫に接するのが難しいのだが、彼氏である堺のそばにいたいため、どうにかアレルギーを治す方法を探してほしい、と。皮膚科に通っても効果がなかったという早苗のため、舞衣はある漢方薬の店を紹介するのだが、それでもアレルギーは治るどころか悪化する一方で……。(「化学探偵と猫騒動」)

大学内で起きる様々な事件を、准教授と庶務課の女子職員が相変わらずの名コンビ(?)ぶりで解決していくライトミステリシリーズ第4弾。今回は珍しく、沖野単独の謎解きエピソード「沖野春彦と偽装の真意」と、その裏側で起きていた舞衣単独のエピソード「七瀬舞衣と三月の幽霊」も収録されている。

猫アレルギーに隠された秘密、落とし物のUSBメモリが引き起こす詐欺事件、そして舞衣の親友である人気アイドル・剣也が殺人事件の謎解きに挑戦!?という変わり種エピソードもあるなど、今回は3巻までとは少し趣が異なる展開に。そして最後には前述の通り、外出先で沖野がある事件の謎解きをすることになるエピソードと、同じころに舞衣が大学で起きた事件の謎解きをえるエピソードも収録されている。沖野はともかく、舞衣がひとりで謎解きができるのか?と少し心配になったものの、沖野の助言を受けて見事解決していくところに、彼女の成長ぶりが見られてなんだか微笑ましくなってくる。ふたりが出会って今巻で1年経ったということなのだが、沖野が自ら「これからもよろしく」と舞衣に告げるラストにはぐっとくるものがあった。今後のふたりの関係も要注意ということで(笑)。


◇前巻→「化学探偵Mr.キュリー3」