大学3年生の夏、それはつまり就職活動の開始時期。親友の湊は教職を目指しているというが、まもり本人はこれといってやりたいことが見つからず、ひとまず手当たり次第にインターンシップを受けてみることに。そんな中、あるシステム会社のインターンシップに参加したまもりは、面倒を見てくれた総務担当の女性社員の仕事ぶりを見て、自分のやりたいことを少しずつ掴み始めていく。一方、友人と共に起業を決めた葉二だったが、相手の家庭の事情により神戸に事務所を構えることになる。しかしまもりにそれを伝えることがどうしてもできず……。

ベランダ菜園を挟んで進む恋物語、シリーズ7巻。就活と起業、それぞれの転換点を迎えたことでふたりの関係がどうなるかが描かれてゆく。

葉二が関西方面に行くというのは前巻で決まっていたことではあるが、改めてそのことを突き付けられると「えっどうするの!?」とそればかりが気になって仕方ない。ということで、作者もあとがきに書いていた通り、今巻は葉二の心の動きがいつも以上に描かれており、彼がどれだけ仕事とまもりに対してそれぞれ真剣に考えているのかというのがよくわかる展開になっている。そして、どちらも大切だからこそ、どんどん余裕がなくなってしまうということも。以前からわかってはいたが、葉二は本当にまもりのことが好きなんだなあ……としみじみしてしまう。もちろんまもりも葉二のことが好きなんだろうけど、性別や年齢の違いもあり、その表現方法が全然違うというのも面白いのだが。

すれ違いはあったにせよ、とりあえず収まるところに収まったふたり。しかし葉二さん、気が早いぞ(笑)と言いたくなるラストがなんとも。そんなふたりの反応を見るにつけ、次巻も楽しみになってくる。


◇前巻→「おいしいベランダ。スミレと6粒のチョコレート」