新人警官の堀北恵平は刑事課鑑識係での研修中、東京駅近くのラブホテルで起きた事件に駆り出されることになる。殺されたのはAV女優で、撮影現場だった部屋に残されていた遺体からは一部が切り取られて持ち去られていた。凄惨な現場に衝撃を受けながらも、恵平は鑑識係の一員として事件に当たることになるが、たった3人の撮影スタッフは容疑から外れ、ほとんど手掛かりがない状態。しかもそんな中、同じ手口の事件が新たに発生し……。

新人警官・堀北恵平(という名前だが女性)が、都内で起きた猟奇殺人事件に挑む警察小説シリーズ第2弾。

新米、しかも研修中の身ということで、すべてが勉強という状態の恵平。しかし実際に起きる事件はそんな彼女を待ってくれるわけもなく、様々な遺体と向き合う中で、恵平は少しずつ、しかし確実に、警察官としての決意と覚悟を固めていくことになる。そんな彼女が今回挑むのは、ふたりの女性が殺害後に身体の一部を切り取られているという事件。性を売り物にしていたというひとりめの被害女性へつい偏見を持ってしまうことに悩みながらも、周囲の男性警官たちが気付かないことやおざなりにしていることにも、同じ女性としてひとつずつ向き合っていく姿がなんとも心強い。

どうしても前シリーズの比奈子と似てしまう部分はあるが、大きく違うのは彼女がまだ新米であり、本人もそのことを強く自覚しているということ。自分の誤った考え方をひとつずつ見直し、できることとできないことを見極めようとする恵平は、きっといい警官になることだろう。

しかし今回もわからなかったのは例の「うら交番」のこと。東京駅に住み着いているホームレスのメリーさんが実際にうら交番を利用していたことや、他の先輩警官たちも幻の「うら交番」の存在を知っているなど、ますます謎が深まるばかり。


◇前巻→「MASK 東京おもてうら交番・堀北恵平」